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日本列島は沈没するか? 西村一・藤崎慎吾・松浦晋也

 近年映画がリメイクされたSF作品「日本沈没」を主な話題にする形で、地球科学的みて日本が沈没する可能性があるのかを検証する科学読本。海底掘削船「ちきゅう」や「しんかい6500」などのハードウェアにも触れていて最新知見と共に興味深い。
 こういうネタが探査の段階からかなり海洋冒険SF的側面を帯びるのも初めて意識した。

 なかでも日本地下周辺でのプレートとプリュームのテクトニクス情報を駆使して現実的な沈没仮説を意地でも考え出そうとする3章はおもしろかった――あそこまで行くとマゾヒスティックなものも感じるが……地球の未知なる部分に頼っている点では空想的だが、地球の起こすイベントのなかには再現性の低いような大きな真似が実在するのだからしかたがない。
 トランスフォーム断層の残骸を利用する発想には目から鱗が落ちた。既存の内陸断層が逆トレンドで動くのに使用されることだってあるのだから活動を止めたといっても、大規模地質構造の効果ははかり知れないなぁ。

 他にも沈没ネタをあつかった様々な作品を紹介していたり、日本沈没とまではいかなくても大災害に備えるための機構整備が紹介されていたりと話題が尽きない。
 あとがきで東南海・南海地震については和歌山県沖で先んじた活動があることが分かったために、1〜3か月前に予知できる体制ができてきていると語られているのが新鮮だった。いろいろな風評のなかに紛れ込まないように気を付けるとしよう。

 本書を読めば地球の活動が実にダイナミックでその研究がエキサイティングであること、人間活動が地球に大きく影響されていることが楽しみながら感じられるのではないか。
 カラーの写真も多くてある程度の基礎知識があれば分かりやすいように構成されている。松浦氏による「ちきゅう」と「地球シミュレーター」の解説はちょっと浮いているが、これはこれで勉強になった。

日本列島は沈没するか?
日本列島は沈没するか?
西村 一,藤崎 慎吾,松浦 晋也
カテゴリ:地学 | 22:11 | comments(0) | trackbacks(0)

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