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最強戦艦魔龍の弾道1 林譲治

 タングステン弾芯をクロームバナジウムで覆った16インチ砲を搭載した高速戦艦大和が太平洋所狭しと暴れ回るする架空戦記小説。
 ゲルリッヒ砲搭載の装甲艦大和を生み出したことからも分かるように、林譲治氏は「敵艦の装甲を貫通して撃破する」ことを第一に重視しており、ともかく大口径!大威力!無敵戦艦大和を追求するいってしまえばグロテスクな価値観からは無縁だ。
 娯楽としての必然からはそうなるのもしかたないのかもしれないけれど、本職の海軍軍人たるものの精神にまでそれが反映されてはならない。そう目を覚まさせてくれた――と同時に良く出来ているなのが本職の海軍軍人でさえ子供じみた巨艦幻想に取りつかれることがあったのではないかと疑わせてくれるところだ。
 まぁ、兵は鉄のみにして戦うにあらず、かもね。

 1巻は大和の誕生秘話がメインで戦闘シーンはほとんどないものの、プロジェクトXばりの苦労話が興味深く、興味を維持して楽しむことができた。
 バナジウムを入手するための苦労なんかは、戦艦が日本全体の社会から生まれながらもやはり「数隻」にすぎないことのズレをついていておもしろい。これだけ少数の働きに国家の安全を期待しなければならない状態自体がひとつのリスクに感じられるので、航空主兵になったのは心理的にも当然だったのではないか。
 そんな考えを弄んでみたりもした。

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最強戦艦 魔龍の弾道〈1〉 (歴史群像新書)
林 譲治
カテゴリ:架空戦記小説 | 21:52 | comments(0) | trackbacks(0)

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