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旭光の艦隊、ニューカレドニア戦記2 林譲治

 いまだ戦争の始まらない東南アジア地帯、しかし戦雲は着実にこの地域も蝕んでいた。脅威を増す日本軍を牽制するために大英帝国はプリンス・オブ・ウェールズとレパルスをシンガポールに派遣するが、その行動が日本側の謀略を招いてしまう悪循環。
 恐ろしいことにこの世界の日本は人間魚雷を潜入させてイギリス二戦艦の撃沈を図るのだった……話はほとんど人間魚雷に関わる人々の間で進行しており、戦記シミュレーションよりも冒険小説の色が濃い。

 この手の構成は派手さには欠けるが登場人物の哲学にまで焦点が当たるから時代観を出すにはいいかもしれない。
 安岡中尉の過去にはけっこう同情してしまった。まぁ、特殊部隊だけに個性的すぎるのか、みんなしてやりたい放題で「任務」の達成の意味ではひどい混乱状態にあるのはスッキリしないが……日本の上層部さえ腰が据わっていないのだからどうしようもない。

 南海太郎と名乗るマレーの独立主義者が作戦に加わり、最終的には主導権を握るのも興味深い出来事だ。正面から支配者に立ち向かうことはできなくても実力伯仲する状況なら一突きで自分たちの思うように事件を動かすことができる。
 それならば、できるだけ一突きを受けることが自分たちの利益に繋がるように立ち回ったほうが有利だろう。誤算はいろいろあったものの、とりあえず日本のほうがそれをできている印象だ。

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旭光の艦隊、ニューカレドニア戦記〈2〉 (ジョイ・ノベルス)
旭光の艦隊、ニューカレドニア戦記〈2〉 (ジョイ・ノベルス)
林 譲治
カテゴリ:架空戦記小説 | 19:26 | comments(0) | trackbacks(0)

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