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戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 No.61

大久野島
 実際に戦場で使用していたという逸話もあり相当おぞましかった。こういう場所が悲劇の舞台にされてしまうものだが、今は風光明媚な国民休暇村か……いい時代になったことをただ喜んでしまう。
 毒ガス兵器といっても相手を殺傷するのではなく「無力化」することに主眼をおいたものが多いことが興味深い。戦闘の目的は敵を一兵でも多く殺傷することではないのだ――戦争をひたすら忌避していると忘れてしまいそうな価値観である。まぁ、びらん剤でも運が悪ければ死ぬようだし、後遺症などもあるだろうから、使用が「人道的」なわけでも勿論ない。

武蔵 杉山城
 用法の解説がかなり興味深かった。常に攻撃のことを考えて作るからこそ守備施設は価値も持つのだろう。西側の登りつめたと思ったら見えない位置に堀の構造がエゲツない。古代や一部の文明には塀と堀を逆に造る城があったというが、これも一変形だな。

戦時標準船二E(改E)型
 どこからどう考えても悲劇的な船だ……これなら最初のヤツをつくり続けていた方がマシだったのでは?足りなくなった帳尻を無理矢理合わせようとして余計に酷くなったことが伺える。いい船に乗ったら全力で守るのが船員の生き残るか細い道だったに違いない。

戦車駆逐車
 まぁ、使えればいいじゃないか。ドイツとソヴィエトの下士官ならそういうだろうなぁ。現場に間に合えばよく、将来性など生き残ってから考える。今後この車種の出番があるとすれば最悪の消耗戦だろうか……まったくまみえたくない状況だ。

「飛龍」攻撃隊
 硫黄島からマリアナのB29基地への反撃作戦。迎撃作戦がうまく機能していない以上、狙いは非常に正しいと思うのだが、いかんせん戦力が足りなすぎた……そんなんばっかだな。

エルサレム陥落
 エルサレム市民があいまみえた悲劇の数々が……内ゲバを繰り返したあげくに神殿の供物から食料を確保している反乱軍の醜悪さが凄かった。自分たちの理念に酔っているせいで自覚がないんだろうけど。当時の感覚ではエルサレム市民の不幸は戦略的にも重要な土地に住んだことによって受けた利便の裏返しとでも諦めるしかないのかなぁ。
 ティトゥスの作戦は流石というか安定している。31歳にして老練ですらある――ウェスパシアヌスのつけた幕僚の働きも大きいに違いないけど、素直にそれを入れたであろう未来の皇帝の器も見事だ。

第三海保
 関東大震災が奪っていったものは多いなぁ。せっせと手間をかけて東京湾に危険物をつくる結果になってしまったのは残念だ。雨水を貯蓄する構造が秘密基地じみていて楽しかった。ここでの生活はあまり楽しくなかったと思うが…。

満州1945
 もはや圧倒的に踏みつぶされるのが怪しい快感になりそうで……ソ連に対抗するための関東軍の暴走による満州独立工作の結果がこの体たらくとは洒落にしても冴えがない。
 いっぽうで司令官を地形に合わせて配置してくるソ連軍のすっぱりした入念さには感心してしまうことしきりだった。せめて居留民の避難だけでも何とかできていれば末期のドイツ国防軍的輝きを示せたのだろうが……旧海軍も旧陸軍もレーゾンデートルを見失い、それゆえに滅びた気がする。

羽柴秀吉 薄氷の中国戦線
 なぜか大陸の中国を想像してしまったが、「羽柴」を付けている点からも日本の中国戦線であることは明らかなのだった。毛利氏の大戦力を前に少ない兵力を何とかやりくりしながら展開された秀吉の戦いはスリリングで面白い。実のところは織田家の遊撃兵力があるわけで、その差が毛利家との明暗を分けたようだが……単独の大名だったら潰れていると思う。着々と西進しているように見えて、名を挙げた攻城戦のうち二つが戦線の内側で生じている点がやはり気になった。
 必要から発達していった攻囲戦術については当然ながらカエサルを連想してしまう。

レパントの海戦
 西洋とオスマン帝国の一大決戦!にみえてフランスが公然とオスマン帝国と同盟しているなど一枚岩でないっぷりが凄い。
 レパントの海戦で行われた戦いはほとんど三分割され、それぞれが興味深い内容になっているのが素敵だ。シロッコによる左翼回り込み戦術など、それだけで勝利できても不思議はないものなのに、よくもヴェネティア海軍は踏みとどまったもの。中央での凄まじく英雄的な戦いも――単体では微妙だったかもしれないが、非常に魅せてくれて読み応えがあった。もっとも目覚ましいのは南方における機動戦なのだが、それに限っては敗者が活躍しているのが面白い。
 有坂氏の記事は有名なトピックでも目新しい視点を用意していてくれるから好きだ。あとは絵画がカラーで載っていればなぁ、と思ってしまった。

帝国海軍潜水艦史
 技術力の塊である潜水艦は一日にしてならず。ドイツの技術をえて建設できた潜水艦隊がドイツの運用思想からかけ離れた代物だったのはおもしろい。
 艦隊決戦思想を全否定する必要はないと思うのだが――アメリカの潜水艦は日本の主力艦を沈めまくっているし――柔軟性を失ってしまったのは大きな失敗だった。一途にならなければ覆せないほどの戦力差だと思いつめてしまったのか、単に国民性なのか…。

戦術入門 実践編機攅況盖‘亜
 戦場の選択にかんする地形の問題とそれを解決するための方法について。簡潔に図入りでまとまっており、頭に収まりやすい。迂回が助攻勢から離れた場所で行われているなど戦術と指揮〜命令の与え方・集団の動かし方で得た知識でわかる部分があるのも嬉しかった。少しはマシになっているのかなぁ…。

陸軍登戸研究所
 とりあえず一切合財の秘密兵器を任せてみましたって感じで、研究員はかなり苦労したのではないかと思う。それでもスパイ戦の道具については良い成績を収めているようだし、風船爆弾について横断的な協力体制が構築されているのに感心した。
 もちろん、化学兵器や生物兵器にはあまり感心できないが……。

戦場医療の歴史4 第一次世界大戦その3
 いろいろと兵士のことを気遣っていると見せかけて、最終的には道具的な視点で落とす……論の展開させかたが見事という他ない。理由はどうあれ、ありがたいものはありがたかっただろう。

戦史の片隅で09.戦時急造兵器
 さすがはイギリス人!って結論もあさっての方向にいっている気がするが、過酷なのに脱力させられるもののある話なのでしかたないか。きっとソ連の兵器にはイケてるのがあると思う。

戦国実戦格闘術
 なかなか楽しくカッコイイ記事だった。股間狙いの技がふたつもあるのはあまりカッコよくないが、ギリシアのファランクス時代も股間に弱点があったのを思い出した。あそこを守るパーツを発達させる文明もあるけれど…。
 鎧武者を倒す技がもとめる難度をみていると、それだけ戦争において個人の技量がものをいった時代であることが分かる。同じく技量を求める長弓ではなく火縄銃が大量配備されたのはやはり画期的な出来事だったわけだ。

機械伝説NO.30
 なんかレンズがたくさん付いていてカッコイイメカ。さすがトーンの使いかたがうまい。

インタビュー 元帝国陸軍大尉小城正
 かなり階級の高い人がでてきた。激烈な沖縄戦に20代前半で800人の責任者として参加したわけで、その時点から想像を絶しかけてしまっている。迫る米軍に対して毎日ボロボロになりながら抵抗を続ける話がとくに壮絶だった。本当によく生き残れたなぁ。

よくわかる築城学入門
 松竹梅を城の中に植えろという話。馴染みの深い植物にはそれだけの理由があるのだと分かる。庭園が築城の抜け道として使われているのが興味深かった。大名もいろいろ考えるなぁ。

日本史の非常識 織田信長は仏法の破壊者にあらず
 本願寺も宗教団体というよりは大名の一種として戦ったとも言われているね。まぁ、異教の視点で補正された宣教師の記述をそのまま受け取らない方がいいわけだ。

戦艦ポチョムキン
 戦闘力ではなく出来事が有名な艦だ。名前の響きがどうしても印象的になってしまっているのもあるのだろう。映画技法の説明が興味深くて良かった。

李舜臣の朝鮮海峡封鎖作戦
 李舜臣が一発変換できて驚く。まぁ、顔もみえてこない李氏朝鮮の当時の国王よりはよっぽど著名か。彼の抜擢が官位でいえば7階級特進に当たるという話が物凄い。上からは無茶苦茶期待されていたし、けっこうそれに応えているわけだ――戦略構造的な問題はしかたないだろうな。
 活動する船の数でいえば同じ巻に載っているレパントの海戦と大差ないのが印象的だった。

ボーア戦争
 途中までの展開はいかにも悪辣な英国紳士、という論調だったのに、まとめになってみればボーア人の人種差別主義が……歴史って難しいなぁ。
 大兵力によるタコ殴りの点ではアメリカ南北戦争にやや似るか。ブラー将軍の情けなさは大いに刻んだよ。

激闘 北越戦争
 すべては「計画通り」というわけか。まぁ、河井継ノ介新しい状況を有利に活かすのがうまい人だったのは疑う余地がなさそうだ。どの戦いも戦術展開が妙に教範的で興味深かった。

ムッソリーニを救出せよ
 余計なことを……そう思わずにはいられないが、ミクロでみれば英雄的映画的な作戦であったと総括せざるをえない。
 スコルツェニーの極悪マリオみたいな肖像が強烈だった。ワリオといったほうが直截的か。

ブラウ作戦
 スターリングラード前面で包囲された第六軍を救うための戦い。ヒトラーの顔がアップで出てくるたびに変な笑いが漏れそうになってしまう。頑なさが悪い冗談みたいだ――冗談にしては巻き込まれて死ぬ人間が多すぎるか。
 パウルスが電撃を発動していれば…と思わずにはいられない。相当数の兵士が助かったと思うのだが、最上級者の命令を遵守して勇気を疑われるのも憐れな話だ。マンシュタインって意外と粘っこいなぁ。
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