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首都壊滅作戦 大石英司

 大昔の巨人化石からよみがえった凶悪な殺人ウイルスが、ひとりの天才的狂人によって兵器に生まれ変わり、人類を破滅の瀬戸際に立たせるバイオ・サスペンス。
 ヒトゲノムが解析されてからの「魔法的」な世界観をかなり誇張して描いている気がするのだが、案外これが正しいのかもしれない。まぁ、大石先生お得意の科学と魔法の境目をつく大法螺ってやつだろう。

 巨大にみえる人類文明も、その巨大さによって少数の人間の狂気によって累卵の危機にさらされているとする指摘はいつものことながら非常におもしろい。便利なものはテロリストにとっても便利であり、使いかたを考えられればとてつもなく恐ろしい事になるわけだ。
 せっかくのフィクションなのだから、いっそ殺人ウイルスが散布される展開をみてしまいたい気もしたのだが、一本でまとめるにはボリュームが大きすぎる内容なので、犯人に美学に従った敗北を選ばせたのは正解なのだろう…。
 本当にまかれてしまった展開については、この作品のアイデアを大規模に拡大した「合衆国シリーズ」で描かれている。考えてみれば島国である日本は生物兵器の散布にあまり向かない地域かもしれないなぁ――国家による反応速度の問題によっては世界中にビジネスマン爆弾を発送する羽目にもなりえるが、周辺諸国からも「割り切られやすい」性質をもっている気がした。
 まぁ、アメリカ大陸でもひとつの島として封鎖されかねないし、いくところまでいけば今度は南極大陸のような島に立て篭もる手が使えるのだから、しかるべく働く人間がいる限りは人類を滅ぼすのもかなりの大仕事だ。

首都壊滅作戦 (幻冬舎ノベルス)
首都壊滅作戦 (幻冬舎ノベルス)
大石 英司
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