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烈日〜ミッドウェー1942・上 横山信義

 ミッドウェー海戦一本に的を絞った歴史改変。あえて変更点を人間の行動の浮動的なものだけに頼っており、史実よりましとはいえ紙一重の戦いを楽しむことができる。
 困るのはどこからどこまでが変更されているのか把握しきれない場合があることで、史実への認識までねじ曲がってしまいそう。明らかに変更されているところはかえって安心できるよ・・…こういうストレスを考えると難しい改変だ。

 有名な宇垣裁定からアメリカの急降下爆撃機に打撃を与えられるまでの冴えない立ち回りは史実通りに印象的だったが、万全を尽くしていると思っていたアメリカ海軍にしてもいろいろとエラーが描かれているのが面白い。
 特にフレッチャーとスプルーアンスの「二人の船頭」を置いてしまっている状況は気になるところだ――なんか南雲中将と山口少将の関係と対比的にみてしまう。まぁ、日本側はいちおうの同列どころか厳格に上位に南雲中将が定められているので実際には大きな差があるんだけど。

 そういえば、山口提督の幕僚たちが影を薄くしていて、飛竜艦長の加来大佐とばっかり喋っていることに違和感があった。実際におこなわれた各司令部の思考プロセスはどんな感じだったのかなぁ。そんな視点も興味深い。

烈日―ミッドウェー1942〈上〉 (C・NOVELS)
烈日―ミッドウェー1942〈上〉 (C・NOVELS)
横山 信義
カテゴリ:架空戦記小説 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0)

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