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戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 No.41 インド洋作戦

信州上田城
 どちらかというと構造よりも戦術を取り上げた記事。上田合戦にしたほうが内容的には近いかもしれない。単体の機能よりも周囲の施設とあわせたコンプレックスとしての能力に注目が集まっていた。
 第二次上田合戦のやりかたは結構泥臭いなぁ――第一次が鮮やかすぎるともいう。相当の犠牲を民に強いているけど、それでも「負けるよりはマシ」だと論理をつめて説得できていたのかもしれない。
 戦術そのものもさることながら、それを可能にした真田氏の交渉力が気になった。

松型駆逐艦
 「たった」32隻だったのか……そう思ってしまう感覚が悲しい。アメリカは主力艦ですら二桁で準備してくるかなぁ。ホント、戦争するのがバカバカしくなってくる相手だ。著者は「短期決戦主義も結構だが長期戦の可能性も踏まえて準備しておけ」と突っ込んでいたが、個人的には「短期決戦するつもりなら、ちゃんとそれで戦争をまとめられる戦略を構築しておけ」と突っ込んでみた。どちらにしろ日本海軍に先見の明がなかったのは間違いない…。
 それなりに「高級な」松型駆逐艦は、戦争全体はともかく単艦としてみれば悪くないフネだったようだ。

ヴェルダン要塞
 60万人が死傷した悪夢を伝えるには視点が冷静すぎた気もする。実数だったかはともかく、中国戦国時代における秦が虐殺した趙の兵士がそれくらいだったな。
 砲撃が今に至るも残す大地に刻み込んだあばたの様子が印象的だった。人間はなんとも不毛なことをする……。

ハイブリッド兵器
 戦艦空母とか架空戦記小説が好きな連中に関しての総覧的な記事。シェルクーフはそれなりに使いかたもあった気がするが、所詮は潜水艦の砲撃、威力よりも精神的効果を優先して考えるなら普通の備砲で十分という見方もできる。ソ連の潜水飛行艇には笑わせてもらった。

深海に眠る「大和」
 破壊され海底に散乱された様子がやっぱり無惨で物悲しい。砲塔が逆さまになっていて伝説的な砲身が確認できないのが寂しかった。どうか安らかに。

太宰府
 有坂純氏が書いていることに違和感が……戦国時代よりは「大陸的」なメソッドが駆使されていた時代の建築物だからかな。これはこれで楽しいものだと感心した。
 中国の分裂状態を利用して半島に基盤を築いていこうとするのは、日本にしてみれば地政学的に当然の方針なんだろうなぁ。

インド洋作戦
 ミッドウェーの前兆現象がいろいろ観察されているが、やはり後知恵的な側面があったことは否めないかと……勝って兜の緒を締めよ、という格言があるのに残念な真似に終わったのも確か。
 戦略状況のまとめを読んでいると枢軸国にはインド洋に絵を描ける人材がほとんどいなかったことが分かる。その点はやはり七つの海を支配したイギリス人が長じていたといえそうだ。

決戦!大坂の陣
 やっぱり淀君か……どうしても彼女に関わる問題には溜息が漏れそうになってしまう。著者が述べるように家康も戦闘を回避する方向で動いていたのだとしたら、多くの人間を無為に殺した淀君の暴走は万死に値しその通りになったといえよう。まぁ、織田家の女だからなぁ、しかたがないのだ。
 豊臣家がなんとか起死回生する作戦についていくつか考えられていたけれども、どれもが投機的で後からの運も相当必要となるものだった。それだけ不利な戦略状況に陥っていたわけでもあり、信長たちなら(結果論的に)できたことを求められているだけでもあり、史実のように意地だけはって手をこまねいているよりは投機的な作戦に身を投じたほうがまだマシであることを伝えてもいた。

カンナエ殲滅戦
 歴史群像アーカイブvol.4 西洋戦史ギリシア・ローマ編および世界戦史 歴史を動かした7つの戦いの感想で触れているため割愛。

「大和」最期の真実
 アメリカ軍の命中率もバカにならないなぁ。操艦がまともにできない状態になってから動きを読んで叩きこんでいるモノもカウントされているせいもあるけれど彼らの能力が実戦経験と訓練によって脂が乗った状態にあったこを感じさせる。
 ボイラーの水蒸気爆発はともかく、副砲の弾薬庫が爆発してしまったのは悲しい。対空戦闘にはまともに使えなかった兵器が我が身を引き裂く方向に働くとは……後からいえばさっさと注水するべきだったのかもしれない。。

ドイツ突撃歩兵
 ソフトウェアを開発してからより効果的にできるハードウェアを装備するか、その逆か……そんな第二次世界大戦後の差が電撃戦の明暗をわけた気がする。ソフトウェア的には浸透戦術で一定の成功を収めているのなら、それに戦車も使う電撃戦の発想は認知されやすいであろう。
 やっぱり軍隊において「実績」はモノを言うのであった。

イージス艦大研究
 遡れば特攻が生んだ兵器を日本が配備することになっているのは歴史の皮肉か。イージス艦を配備する国は基本的にミサイルの飽和攻撃を意識しているのだな、と受け取ってみるのも興味深そうだ。

奇想天外動物兵器
 いろいろとおぞましいものを含んだ話……スズメバチの利用がわりかしコミカルにみえてしまうのは哺乳類と昆虫類の差なのかもしれない。犬は別格としてもイルカやアシカがかなりの成功を収めているのは興味深い。
 人間は泳ぐようにはできていないから、当然といえば当然なのだろう。

信長の独断 千利休とセックス・ピストルズ
 利休のスピリットは好きだなぁ。彼らが評価され様式美にされてしまったのは、社会からの痛烈な反撃だったと考えてしまうのは穿ちすぎか…。

写真で見る過去と現在 帝都東京
 街並みが本当に大きく変わっているんだなぁ。昔の靖国神社からの見晴らしの良さは東京が平野にあることを感じさせてくれた…。

連合軍と最初に接触した日本使節団
 負けるのにも命を賭す勇気がいる……大変だ。将国のアルタイル3巻の副市長が誰かを連想させると思ったら宇垣中将かぁ。迷惑な特攻をしちゃって…。

機械伝説No.11 大英帝国軍用ナイフ
 いかにも実用品といった趣きが魅力的。実用する当てもないのに欲しくなってしまった。

ザ・コンバート3 服飾デザイン
 なかなかおもしろいウンチクだった。なんだかんだで大事なのは「イメージ」という事は軍であっても民間であっても共通しているのかもしれない。

インタビュー 水木しげる
 さすが……戦地にあってもマイペースを頑なに守りぬいた芯の強さには尊敬の念を覚えると同時に、人間性のおかげか楽しい気分になってしまう。集合写真でもすぐに見分けられる個性の強さも印象的だった――おかげで目を付けられやすさが増したのかも。

九七式20粍自動砲
 他国の対戦車ライフルに比べると重量と威力がかなり大きく、別系統の兵器にも思える。対戦車兵器に恵まれていなかっただけに、著者のいうようにうまく運用できれば相当の力を発揮しただろうなぁ。

よくわかる築城術入門5 『土塁』と『石垣』どちらが有利?
 答えは当然ケースバイケース……石垣の方が高い技術を要するのは間違いないが、土塁を使いこなすのもまた別のセンスを高度に求められる。ふたつを併用した場合の使いかたが興味深かった。

ジョミニ『戦争術概論』
 極端な理想に突っ走ることなく安定した視点から戦争を眺めた人物だったのだろう。クラウゼヴィッツと単純に比較する形で扱われてしまったのが、極端な信望に走りがちな類の軍隊にとっての不幸だったのかもしれない。まぁ、それは必然か。

「海の傭兵」戦国水軍
 情報や経済に生きる道をみつけだすが、陸上勢力がまとまって強大化すると限界がでてくる。同時代の地中海都市国家に通じるものを感じないでもなかった。生き方の多様性の意味では非常に魅力的な存在なんだけどなぁ。
 琵琶湖水軍の存在が少し異彩を放っていた。海上だけではなく湖上や河川での水運も重要だったに違いない。

鉄路の補給線
 水上の次は鉄路の話。陸上路輸送は立場がないようでアメリカの鉄道がかなり押されているなんてまとめも入る。アメリカの鉄道はまさに怪物級の代物でかの国が膨大な国力を海外に展開できるわけが少し分かったような気がした。

中東戦争 前編
 やっぱりイギリスは汚い……アラブとイスラエル両方から不信感をかって武力闘争されているのが嘆かわしかった。いっそ共通の敵となって両者の共存を助けてやってくれと言いたくなる――まぁ、両大戦では自らの生存をかけて必死だったのも分からないでもないんだけど。アラブ側の戦争指導が統一されていないことが戦局に多大な影響を及ぼしているのが教訓的だ。

バルバロッサ作戦 Act.1発動
 貯め込まれた膨大な兵力量が一気に国境線を越えて雪崩れ込むいきおいが独特な文脈で表現されていてよかった。しかし、最後の兵士のセリフ「これじゃ殺人だ…」は……言いたいことはわかるのに首を捻ってしまうなぁ。
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