火星縦断 ジェフリー・A.ランディス
2006.05.31 Wednesday | by sanasen
2028年、6人の第三次探査隊が火星に到着した。しかし、彼らが乗って帰るはずだった帰還船には故障が発見されてしまい、このままでは地球に帰れないことが判明する。そこでクルーたちは仲間を失いながら北極点にある第一次火星探査隊が残した帰還船を目指して6000キロにもなる火星のジャーニーに挑戦する。
というストーリーのハードSF。SFにしては現実に偏っていて、ノンフィクションの探検ものを読むような感覚で楽しめた。著者が現役のNASA職員で火星を専門にしていることもあり、地域ごとの風景描写は必見ものの充実ぶりだ(それでも細かい説明を避けるために地質学者を優先的につぶしているような気がしたが)。
6人の登場人物の人生が旅の中で活写されていくところも注目点。個人的にはまんべんなく掘り下げすぎだと思ったけど、あのラストに説得力をもたせるには必要なことだったのだろう。
しかし、ちょっとケチをつけたいのは旅の前に全員が帰還船に乗れないことが分かっていたのだから、二人くらいを置いていく判断はできなかったのだろうか?6人分の物資を2人で消費すれば救援船に賭けることも無謀ではなくなるし、旅にでるのもリスクが高いのは同じなのだから進んで残るものもでたかもしれないのに。
せめてラストフライトの直前には誰が残るか決めるべきだったと思う。そうすれば飛行機は北極点に辿り着けたはずだし、居残り組もわざわざ帰り道のことを考えなくて済んだ。
まぁ、物理と違って行動に文句をいれてもあまり意味はないだろう。極限状態の人間の判断力は狂うものだし、探検隊の中において必ずしも理性で物事が処理されていないことは紙面からも伝わってきた。
ラストシーンは火星年代記に比肩しうるものだったと太鼓判を押したい。
火星縦断
ジェフリー・A.ランディス, 小野田 和子
というストーリーのハードSF。SFにしては現実に偏っていて、ノンフィクションの探検ものを読むような感覚で楽しめた。著者が現役のNASA職員で火星を専門にしていることもあり、地域ごとの風景描写は必見ものの充実ぶりだ(それでも細かい説明を避けるために地質学者を優先的につぶしているような気がしたが)。
6人の登場人物の人生が旅の中で活写されていくところも注目点。個人的にはまんべんなく掘り下げすぎだと思ったけど、あのラストに説得力をもたせるには必要なことだったのだろう。
しかし、ちょっとケチをつけたいのは旅の前に全員が帰還船に乗れないことが分かっていたのだから、二人くらいを置いていく判断はできなかったのだろうか?6人分の物資を2人で消費すれば救援船に賭けることも無謀ではなくなるし、旅にでるのもリスクが高いのは同じなのだから進んで残るものもでたかもしれないのに。
せめてラストフライトの直前には誰が残るか決めるべきだったと思う。そうすれば飛行機は北極点に辿り着けたはずだし、居残り組もわざわざ帰り道のことを考えなくて済んだ。
まぁ、物理と違って行動に文句をいれてもあまり意味はないだろう。極限状態の人間の判断力は狂うものだし、探検隊の中において必ずしも理性で物事が処理されていないことは紙面からも伝わってきた。
ラストシーンは火星年代記に比肩しうるものだったと太鼓判を押したい。
火星縦断
ジェフリー・A.ランディス, 小野田 和子