鶴翼の楯3巻 橋本純
2008.09.30 Tuesday | by sanasen
やっぱり翔鶴は被害担当艦なんだろうかと陰鬱に考えた。大破したりしてもしぶとく戦いつづけたところも素敵だけれど、最初に米軍に唾つけられたのが彼女であったことを意識せざるをえない。
それに関連して人材の入れ替えもはじまっており、藤原艦長が負傷した代わりに前巻で活躍した渡部艦長が動き出した。もっと驚いたのは清水司令長官のあんまりな退場なのだけど、4人の艦長がそれだけ自立したとしての「巣立ち」みたいなものなのかもしれない。
作者がいうのとは別の場所で混迷を極めてきた気がする。
米軍の反撃は間抜けたことに常に敵よりも少ない戦力を投入してむざむざ返り討ちにパターンを何度もくりかえす形になっている。ミッドウェー海戦(作中ではなぜか中部太平洋海戦と呼ばれるようになっているが)の展開も史実の4対3にくらべて幸運に助けられても3対2のさらなる劣勢を余儀なくされているのだから、暗号改変があったことを含めて勝てるわけがないだろう。
なぜ戦力が整うまで史実のような日本軍占領地域島嶼部へのヒットエンドラン攻撃を繰り返さないのか疑問になってきた。ドーリットル隊の作戦もその手の作戦を凍結させるほどの損害をもたらしたわけではなく、無茶な航空決戦よりは論理性があると思うんだけどなぁ。
もしかしたら日本の空母機動部隊が密度を増したことによって、その隙をつくのが難しくなってしまっているのかもしれない。さすがにインド洋まで回りこんでの作戦行動はハワイ方面を手薄にする危険があるし、使い出のある前進基地、ハワイに大きな打撃をうけている米軍としてはあの辺りがギリギリの作戦行動なんだろうな。
さて、第一部完ということで、ここからがアイオワ級空母なんてイロモノまで造ってしまったアメリカの本格的反攻と4隻の鶴たちの死闘の幕開けとなる。彼女達の戦いが迎える結末には非常に興味を引かれる。
鶴翼の楯〈3〉 (歴史群像新書)
橋本 純
それに関連して人材の入れ替えもはじまっており、藤原艦長が負傷した代わりに前巻で活躍した渡部艦長が動き出した。もっと驚いたのは清水司令長官のあんまりな退場なのだけど、4人の艦長がそれだけ自立したとしての「巣立ち」みたいなものなのかもしれない。
作者がいうのとは別の場所で混迷を極めてきた気がする。
米軍の反撃は間抜けたことに常に敵よりも少ない戦力を投入してむざむざ返り討ちにパターンを何度もくりかえす形になっている。ミッドウェー海戦(作中ではなぜか中部太平洋海戦と呼ばれるようになっているが)の展開も史実の4対3にくらべて幸運に助けられても3対2のさらなる劣勢を余儀なくされているのだから、暗号改変があったことを含めて勝てるわけがないだろう。
なぜ戦力が整うまで史実のような日本軍占領地域島嶼部へのヒットエンドラン攻撃を繰り返さないのか疑問になってきた。ドーリットル隊の作戦もその手の作戦を凍結させるほどの損害をもたらしたわけではなく、無茶な航空決戦よりは論理性があると思うんだけどなぁ。
もしかしたら日本の空母機動部隊が密度を増したことによって、その隙をつくのが難しくなってしまっているのかもしれない。さすがにインド洋まで回りこんでの作戦行動はハワイ方面を手薄にする危険があるし、使い出のある前進基地、ハワイに大きな打撃をうけている米軍としてはあの辺りがギリギリの作戦行動なんだろうな。
さて、第一部完ということで、ここからがアイオワ級空母なんてイロモノまで造ってしまったアメリカの本格的反攻と4隻の鶴たちの死闘の幕開けとなる。彼女達の戦いが迎える結末には非常に興味を引かれる。
鶴翼の楯〈3〉 (歴史群像新書)
橋本 純