・
2008年ノーベル賞
日本人4人のうち3人が名古屋大学出身者であることに感心する。東大京大ばかりじゃ面白くないからね――それでも地方大までいってくれるのは難しいかな?
化学賞は他愛もないといっては失礼だが、とても分かりやすいのに対して、素粒子物理学は狭い紙面での解説を半ば放棄することによって解説するような難易度だった。過去でこれなら最先端はどうなってしまっているのか、想像を絶するものがある。
研究員だけではなく家族総出で実験につき合わせる逸話を、別の研究者でも聞いた覚えがあって微笑んでしまった。
・
SIENCE SENSOR
火星の地層を読む:地質学者ローバーではなくて偵察さんのほうからの成果か。やっぱり広い範囲を攻められる軌道船の強みが出てきている気がする。ローバーは電力的にも苦しい状況が続いているし。
鉛筆がダイアに!?:でも、地上環境で安定なのは黒鉛だからなぁ。戻さないようするには相当の設備が必要になるのではないか。
赤道にまで氷河があった?:とりあえず眉に唾付けて読みたくなる要素が含まれている。詳細な追跡調査が欲しい件だ。高度にもよるから否定する必要もないけれど、氷河の規模が問題だな。
脂肪の種類の決まり方:またそっち系の理論派漫画に向いたネタが…ピンク色ならぬ褐色脂肪細胞か。覚えておこう。
古代の都市ネットワーク:かなり斬新な文明のありかたをしていたようで興味深い。違う方向性に発展していた文明は現代社会へのヒントになったのかもしれないのに、スペイン人め!
太陽はどこからきた?:親せきの家をたらいまわしにされる家なき子の気分……変な同情をもよおした。
カメラがさらに小型化:耐久性に難がありそう。さて何に使う?
海山が震源ではなかった?:いや、これは海山が震源といっても良いのでは?今までのアスペリティのニュアンスからはずれてくるけれど。
ちりによる気候変動:これでやっと二つ目の目が開くという感じなのかもしれない。まだまだ見えていない要素は多そうだ。
・
人工知能は音楽を「奏でる」ことができるか
将棋のAIに似た方法論を感じた。あれはかなり学習型が幅を利かせていて事例参照型が補うように使われる感じかな。どちらにしろ既存の演奏がなければどうにもならない問題は解決されていない。そこに安心してしまうのである。
・
「合成樹木」が水を吸い上げた!
クララが立った!みたいな言いかた……いちど上部の水分を失った樹木は大変だと思った。時間との嫌な競争になりそう。
・
虚数がよくわかる
もはや数の歴史になりかかっている。流し読みだが
Q.E.D.証明終了7巻の影響でオイラーの公式にはくいついてしまった。実用例が興味深い。あと、数学合戦話がおもしろかった。高校の先生が話題にしていたなぁ。
・
ちりの彼方にある宇宙
もう五年になるのかと驚く。スピッツァーのずいぶんな功労者だ。しかし、ヘリウムの時限がある以上は延長ミッションは難しいだろうな。中途半端な機器運用に予算をとられて新しいことをはじめられなくなってしまうのも考えものだ。
独特の美しい画像をみせてくれるこの宇宙望遠鏡は大好きなのだけど。
・
大陸の“誕生”にせまる
大陸地殻がなかった時代にも地殻は熱交換によって生まれ続けるから海洋地殻同士がぶつかって皺ができるという説があったな。花崗岩質から安山岩質に大陸地殻のあつかいが微妙に変わっているのが興味をそそる。ちょっと成分的なデータが分かってきたのかもしれない。
説明されていた大陸地殻の生成理由は水の海が存在する特殊性を特に求めていないことが気になった。比較惑星学的に考えても有用する論理なのか、どうにも不満なのだ。正しいとしてもその変にミッシングリンクが残されている気がする。
・
雲と霧の民――チャチャポヤス
さいきん発見されたのに盗掘を受けている事実がなんか嫌……現地の人にも生活があるのはわかるが。やっぱり観光客を呼び込むには立地の問題も大きくて、いろいろ「利」で説くのが難しいのかもしれない。論理が通じるほど教育がいきとどているかも問題だが。
人口分析やアンデスとの歴史に妙に興奮を覚えた。やっぱり未知の歴史は愉しい。
・
機械が“突然変異”するとき
シミュレーション手法の発展をおしえてくれる。完璧な形状なんてものが存在しにくいのは、飛行機であればエンジンの性能や機体の材質も変わっていくからだろう。図ではほとんど変化がわからないのに燃費に3.5%も影響するのに驚いた。
いつしかその場の状況に応じてコンピューターが道具を設計し人間に手渡すシーンが生まれるのかもしれない。
・
水陸両用の奇獣 デスモスチルス
ギリシア哲学者みたいな名前に聞き覚えがある海獣。爬虫類的な骨格など相当のかわりものだったようだ。ちょっと胡乱すぎるが、クジラとも繋がる種であるし研究が進んで欲しいもの。
・
タスマニア原生地域
不思議に思うのは水が手に入りやすい環境だったのに、どうして初期入植者はここを選ばなかったのかということ――湿った日本人的感性と乾いた欧州人的感性の違いってやつかな。地形が人の接近を阻む感じになっているのも自然が残された原因のひとつかもしれない。
Newton (ニュートン) 2008年 12月号 [雑誌]