ラバウル烈風空戦録10〜激突篇 川又千秋
2009.02.28 Saturday | by sanasen
烈風が手に入ればラバウルが遠ざかる。
空母剛龍に乗って再起したアメリカ機動部隊に一大決戦を挑む激突編!彼我の新型機が現れるタイミングが上手くはまっている。おかげで烈風無敵というよりも、零戦時代からの関係をそのまま引き継いだ印象になっているのは上手い具合だ。
現実的には零戦を支えていた熟練搭乗員の割合が減少しているはずなのだが、主人公たちのような基地航空隊上がりの熟練搭乗員が底上げになったのか、対空砲火もかいくぐって少ない損害で大きな戦果をあげていたと思う。
もしかしたら零戦よりも烈風の方が新米搭乗員向きなのかもしれない――操縦性はともかく無線の完備と二機編隊制の導入は有利に働いているな。
第二次ミッドウェーに持ち込むまでの諜報戦の流れもなかなか凝っていて面白かった。陸軍まで巻き込んだ情報操作も見事だが、燃料や爆弾についてまったくセコセコしなかったのも功を奏していた。
ともかく大勝以外頭にないから大胆に賭け金をつめたのかもしれない。
こうなってみると山木八十八暗殺未遂事件で連合艦隊司令部が壊滅したのも災い転じて福となすに感じられてしまう。軍令部が主導権を取り戻すにも奇貨となったことであろう。
さんざん煽られていた三田大尉――死後中佐の死だが……やっぱり勿体ないとの思いを拭えない。戦闘機による水平爆撃で戦果をあげるなんて真似をしでかしてしまった人物は、失うのに惜しすぎる。
こちらも開戦からずっと戦い続けてきたレディ・サラと刺し違えるのも何かの縁なのだろうか。いくらなんでもこの損害発生ペースだと米海軍内での「バトンタッチ」に支障を来しそうだ。主人公たちが後まで前線に張り付いている日本軍と、そこが分かれ目になるのかもしれない。
ラバウル烈風空戦録〈10 激突篇〉 (C・NOVELS)
川又 千秋
空母剛龍に乗って再起したアメリカ機動部隊に一大決戦を挑む激突編!彼我の新型機が現れるタイミングが上手くはまっている。おかげで烈風無敵というよりも、零戦時代からの関係をそのまま引き継いだ印象になっているのは上手い具合だ。
現実的には零戦を支えていた熟練搭乗員の割合が減少しているはずなのだが、主人公たちのような基地航空隊上がりの熟練搭乗員が底上げになったのか、対空砲火もかいくぐって少ない損害で大きな戦果をあげていたと思う。
もしかしたら零戦よりも烈風の方が新米搭乗員向きなのかもしれない――操縦性はともかく無線の完備と二機編隊制の導入は有利に働いているな。
第二次ミッドウェーに持ち込むまでの諜報戦の流れもなかなか凝っていて面白かった。陸軍まで巻き込んだ情報操作も見事だが、燃料や爆弾についてまったくセコセコしなかったのも功を奏していた。
ともかく大勝以外頭にないから大胆に賭け金をつめたのかもしれない。
こうなってみると山木八十八暗殺未遂事件で連合艦隊司令部が壊滅したのも災い転じて福となすに感じられてしまう。軍令部が主導権を取り戻すにも奇貨となったことであろう。
さんざん煽られていた三田大尉――死後中佐の死だが……やっぱり勿体ないとの思いを拭えない。戦闘機による水平爆撃で戦果をあげるなんて真似をしでかしてしまった人物は、失うのに惜しすぎる。
こちらも開戦からずっと戦い続けてきたレディ・サラと刺し違えるのも何かの縁なのだろうか。いくらなんでもこの損害発生ペースだと米海軍内での「バトンタッチ」に支障を来しそうだ。主人公たちが後まで前線に張り付いている日本軍と、そこが分かれ目になるのかもしれない。
ラバウル烈風空戦録〈10 激突篇〉 (C・NOVELS)
川又 千秋