戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 No.58
2009.04.30 Thursday | by sanasen
・海軍日吉台地下壕
ここで働いていた人は勝ち組だったろう、などと考えてしまった。学校の地下にある点からして少年探偵Qのクロスワード事件の元ネタになっている気がする。
当然だけど、司令部のありかたは戦略思想に大きく影響されるんだなぁ。
・伊那 大島城
いろいろと出されたものは残さず食べるための周到なプランを立てていたようだが、基本的に城は受け身なのだと感じた。どれだけのコストをかけて整備しても戦略状況が整わなければ実用にできない。
しかし、その存在によって戦略環境を整えられるコインの裏側もあるわけで……難しく、おもしろいな。
・起重機船 蜻洲丸
戦時中も活躍して沈むことなく生涯をまっとうできたのか…低速船だが陸軍の関わっていることもあり大事にされていたっぽい。もちろん、運の要素がいちばん大きいだろうけど。
こういう正面戦力ではない機材も大きな戦力なんだよね。
・ポケット戦艦
見開きのイラストが滅法カッコよかった。戦果は三隻で総合すれば微妙なところがあるけれど、元々平時における牽制効果をもっとも求められており、それは充分あったといえるのではないか。
・ヘースティングスの戦い
まさに力攻……激しさの割に戦術的に気になるところが少ない。騎兵による機動力がノルマンディー軍に戦術的な柔軟性を与えていることくらいかなぁ。攻撃よりも防御の関係する効果だ。
どちらの王者も命の危険にさらされる場面があるのが興味深かった。かなりリスクを冒さなければ兵士もついてきてくれなかったのだろう。
・「ふ号」爆弾
この脱力的なネーミングはなんとかならないのだろうか……爆弾を積まずに単なる学術的な使われかたをしたら楽しかったに違いないと、到達図をみて思った。けっこう北寄りに届いているなぁ。
オレゴンで起こった悲劇に、さらに悲しい逸話があるのには胸をつかれた。
・スターリングラード攻防戦
同数の敵相手に見事な包囲網を形成したジューコフとワシレンスキーの作戦が見事。よりにもよって河川の屈曲部に兵力の大半をかき集めたドイツ軍の戦略的な失態のすさまじさは、取り返しのつかないものだった。
ヒトラーの頑迷さだけで説明していいものかどうか……電撃戦が有効性を失ったからといって折角の機動力を殺す方向に動いていては活路は開けまい。
・足利義昭の陰謀
最後の室町幕府将軍ってずいぶん苦労しているのねぇ。上洛上洛いわれるが実際に行われた上洛についてはあまり有名でないのが面白い。信長の行動はまさに火中の栗を拾う真似だったわけだ。
・スペイン継承戦争
面白いな、これは。
マールバラ公の圧倒的な強さには正直まいった。あまりにも勝ち続けるので、どこかでフランスを応援してしまったよ。太陽王に人材がいなかったようには見えないのだが、使いかたが悪くてはどうにもならない。逆にいえば目立たないながらもマールバラ公の思う通りの作戦を許しているイギリス政府が優秀ともいえる。
機動力をいかしての戦力集中戦術はダンスみたいで興味深かった。編成や部署がおもいっきり効いてくる戦い方だ。
名サブヒーローをやっていたオイゲンも印象的。
・人口港湾マルベリー
単位時間当たりの補給量の問題は戦線形成に大きく関わる。海洋によって国土をまもられていたイギリスやアメリカがその守備力を打ちぬくために苦労した話と考えると面白い。それを熟知しているだけにブレイクスルーできたのかも。
建造費はバカ高いが、戦後も利用価値があるし、応用がきく技術である点で戦艦ヴァンガードより余程優れている。
・戦術入門―機甲編その2―【戦車中隊〜連隊】
日本陸軍には戦車大隊がなかったというのは妙に印象的なのだが、それが単純に後進性を示すとも言い切れない。理論はきちんと正解(有効)のコースに乗っているのだし、やはり工業力やそれを前線に反映する力が及ばなかったとみるべきか。
アメリカは理論はしっかり構築しているものの、実用には問題があって、けっきょく質量で押し切るイメージ…。イギリスはやっぱり変、ということで。
・激闘熊本城
加藤清正にしてみれば熊本城の弱点は敵をひきつけて打撃するためのものだったのかな?戦闘の射程が大きく変わってしまったことで意図とは異なる結果がでていた可能性はある。
まぁ、薩摩軍の戦略そのものが微妙だったわけで、後はどこで問題が噴出するかの違いだった気も……なにはともあれ谷干城少将の敢闘は見事だった。
・城破り
いわいるひとつのパフォーマンスか。統治を考えると心理的な側面は非常に重要で呪術的な問題からもなかなか逃れられないものだ。
・航空ジオラマの鬼才 田中ショウリの世界
このテクニックには惚れぼれする。空撮のリアリティを追求することにとことん集中しているのも見事。プロペラが後から描き込まれたものであるのにはたまげた。
・機械伝説 別盃
機械かどうかは置いといて…本当に悲しい盃だ。焼きが入っていなくて素朴な作りになっているのが印象深い。
・戦史の片隅で06.G.T.O(グレートタンクおやじ)
サブタイトルが卑怯すぎて笑った。ポーランド不屈の機甲部隊司令官、マチェク将軍のお話。
けっこうド・ゴールに似ていると思うのだが、戦後の運命はずいぶんと違ったものになってしまったなぁ。彼の無限の闘志に敬意を表したい。
・戦場医療の歴史1 古代〜近代
すごくジャンプでやっていたアスクレピオスを思い出してしまう話題だった。砲架もそうだったがフランス陸軍のハードウェアはかなり優れた設計をされている印象だ。
こうやって助けに来てくれると分かれば兵士の士気も改善されるだろう。
・よくわかる築城学入門22回 作事1
礎石建築のほうが堀建建築よりも耐久性に優っているのが興味深かった。やはり日本の腐食を促進しやすい風土も影響しているのかもしれない。
指図の設計はRPGのマッピングみたいで面白そうだ。
・THE WAR MOVIE ハンド・オブ・ブラザース
舞台装置の重要性を教えてくれる解説の仕方である。舞台と打つと部隊のご変換の気がしてしかたがない……。空挺部隊はやっぱり美味しいんだなぁ。
・三別抄の乱
朝鮮民衆が可哀想すぎる高麗による対元戦争の記録……やっぱり通過点として扱われてしまうと容赦がない。結果的にだろうが、日本にとって三別抄の抵抗が大きな利益になっているのが印象的だった。少しは支援してやれといいたくなったが、鎌倉幕府にそんな視点はないか…。
海洋を主体にした抵抗を続ける体勢は鄭成功を思わせる。
・青函連絡船が死んだ日
もはや望んで悲劇を製造していたような気がしてならんよ……軍の対応は無能というほかないが、ここに至るまでで有能な人材が失われまくっていたのだから、戦訓があっても活かしきれなかったのかもしれない。
・ハワイ併合
当然のように酷い話なの――そういえば日本は欧米から病気をもらって人口を激減させたりはしていないな。微妙に交流があって医療技術も進歩していたことが、ハワイのような離島国家との明暗を大きく分けた気がする。まぁ、人口の絶対量もあるが。
アメリカ相手に牽制できるコマが日本だけではいかにも苦しい時代・地域だった。
・レッドバロン
はっきりいってやり口が猟奇的にみえるんだが……もし彼がパイロットになっていなかったら、と考えると恐ろしいものがあった。第一次大戦の空では狩人のように戦うことが許されたことがリヒトフォーヘンに幸いしたのだろう。
最後の戦いでは軍人として見事に脱皮している気もするけれど。
・ブラウ作戦 Act.7カフカス侵攻作戦
戦争の最中に赤軍の兵士をポーターにしてのカフカス、エリブルス山登山がおこなわれているのが面白かった。勝っている間は変な余裕があるなぁ。どうせ兵力を分割するならスターリングラードを攻めずにバクーまで突っ走らせるべきだったのではないか。
そうすれば赤軍の配置した戦力を一時的に遊ばせることもできる。まぁ、ヒトラーの判断の根拠が揺れているのだから無理か。
ここで働いていた人は勝ち組だったろう、などと考えてしまった。学校の地下にある点からして少年探偵Qのクロスワード事件の元ネタになっている気がする。
当然だけど、司令部のありかたは戦略思想に大きく影響されるんだなぁ。
・伊那 大島城
いろいろと出されたものは残さず食べるための周到なプランを立てていたようだが、基本的に城は受け身なのだと感じた。どれだけのコストをかけて整備しても戦略状況が整わなければ実用にできない。
しかし、その存在によって戦略環境を整えられるコインの裏側もあるわけで……難しく、おもしろいな。
・起重機船 蜻洲丸
戦時中も活躍して沈むことなく生涯をまっとうできたのか…低速船だが陸軍の関わっていることもあり大事にされていたっぽい。もちろん、運の要素がいちばん大きいだろうけど。
こういう正面戦力ではない機材も大きな戦力なんだよね。
・ポケット戦艦
見開きのイラストが滅法カッコよかった。戦果は三隻で総合すれば微妙なところがあるけれど、元々平時における牽制効果をもっとも求められており、それは充分あったといえるのではないか。
・ヘースティングスの戦い
まさに力攻……激しさの割に戦術的に気になるところが少ない。騎兵による機動力がノルマンディー軍に戦術的な柔軟性を与えていることくらいかなぁ。攻撃よりも防御の関係する効果だ。
どちらの王者も命の危険にさらされる場面があるのが興味深かった。かなりリスクを冒さなければ兵士もついてきてくれなかったのだろう。
・「ふ号」爆弾
この脱力的なネーミングはなんとかならないのだろうか……爆弾を積まずに単なる学術的な使われかたをしたら楽しかったに違いないと、到達図をみて思った。けっこう北寄りに届いているなぁ。
オレゴンで起こった悲劇に、さらに悲しい逸話があるのには胸をつかれた。
・スターリングラード攻防戦
同数の敵相手に見事な包囲網を形成したジューコフとワシレンスキーの作戦が見事。よりにもよって河川の屈曲部に兵力の大半をかき集めたドイツ軍の戦略的な失態のすさまじさは、取り返しのつかないものだった。
ヒトラーの頑迷さだけで説明していいものかどうか……電撃戦が有効性を失ったからといって折角の機動力を殺す方向に動いていては活路は開けまい。
・足利義昭の陰謀
最後の室町幕府将軍ってずいぶん苦労しているのねぇ。上洛上洛いわれるが実際に行われた上洛についてはあまり有名でないのが面白い。信長の行動はまさに火中の栗を拾う真似だったわけだ。
・スペイン継承戦争
面白いな、これは。
マールバラ公の圧倒的な強さには正直まいった。あまりにも勝ち続けるので、どこかでフランスを応援してしまったよ。太陽王に人材がいなかったようには見えないのだが、使いかたが悪くてはどうにもならない。逆にいえば目立たないながらもマールバラ公の思う通りの作戦を許しているイギリス政府が優秀ともいえる。
機動力をいかしての戦力集中戦術はダンスみたいで興味深かった。編成や部署がおもいっきり効いてくる戦い方だ。
名サブヒーローをやっていたオイゲンも印象的。
・人口港湾マルベリー
単位時間当たりの補給量の問題は戦線形成に大きく関わる。海洋によって国土をまもられていたイギリスやアメリカがその守備力を打ちぬくために苦労した話と考えると面白い。それを熟知しているだけにブレイクスルーできたのかも。
建造費はバカ高いが、戦後も利用価値があるし、応用がきく技術である点で戦艦ヴァンガードより余程優れている。
・戦術入門―機甲編その2―【戦車中隊〜連隊】
日本陸軍には戦車大隊がなかったというのは妙に印象的なのだが、それが単純に後進性を示すとも言い切れない。理論はきちんと正解(有効)のコースに乗っているのだし、やはり工業力やそれを前線に反映する力が及ばなかったとみるべきか。
アメリカは理論はしっかり構築しているものの、実用には問題があって、けっきょく質量で押し切るイメージ…。イギリスはやっぱり変、ということで。
・激闘熊本城
加藤清正にしてみれば熊本城の弱点は敵をひきつけて打撃するためのものだったのかな?戦闘の射程が大きく変わってしまったことで意図とは異なる結果がでていた可能性はある。
まぁ、薩摩軍の戦略そのものが微妙だったわけで、後はどこで問題が噴出するかの違いだった気も……なにはともあれ谷干城少将の敢闘は見事だった。
・城破り
いわいるひとつのパフォーマンスか。統治を考えると心理的な側面は非常に重要で呪術的な問題からもなかなか逃れられないものだ。
・航空ジオラマの鬼才 田中ショウリの世界
このテクニックには惚れぼれする。空撮のリアリティを追求することにとことん集中しているのも見事。プロペラが後から描き込まれたものであるのにはたまげた。
・機械伝説 別盃
機械かどうかは置いといて…本当に悲しい盃だ。焼きが入っていなくて素朴な作りになっているのが印象深い。
・戦史の片隅で06.G.T.O(グレートタンクおやじ)
サブタイトルが卑怯すぎて笑った。ポーランド不屈の機甲部隊司令官、マチェク将軍のお話。
けっこうド・ゴールに似ていると思うのだが、戦後の運命はずいぶんと違ったものになってしまったなぁ。彼の無限の闘志に敬意を表したい。
・戦場医療の歴史1 古代〜近代
すごくジャンプでやっていたアスクレピオスを思い出してしまう話題だった。砲架もそうだったがフランス陸軍のハードウェアはかなり優れた設計をされている印象だ。
こうやって助けに来てくれると分かれば兵士の士気も改善されるだろう。
・よくわかる築城学入門22回 作事1
礎石建築のほうが堀建建築よりも耐久性に優っているのが興味深かった。やはり日本の腐食を促進しやすい風土も影響しているのかもしれない。
指図の設計はRPGのマッピングみたいで面白そうだ。
・THE WAR MOVIE ハンド・オブ・ブラザース
舞台装置の重要性を教えてくれる解説の仕方である。舞台と打つと部隊のご変換の気がしてしかたがない……。空挺部隊はやっぱり美味しいんだなぁ。
・三別抄の乱
朝鮮民衆が可哀想すぎる高麗による対元戦争の記録……やっぱり通過点として扱われてしまうと容赦がない。結果的にだろうが、日本にとって三別抄の抵抗が大きな利益になっているのが印象的だった。少しは支援してやれといいたくなったが、鎌倉幕府にそんな視点はないか…。
海洋を主体にした抵抗を続ける体勢は鄭成功を思わせる。
・青函連絡船が死んだ日
もはや望んで悲劇を製造していたような気がしてならんよ……軍の対応は無能というほかないが、ここに至るまでで有能な人材が失われまくっていたのだから、戦訓があっても活かしきれなかったのかもしれない。
・ハワイ併合
当然のように酷い話なの――そういえば日本は欧米から病気をもらって人口を激減させたりはしていないな。微妙に交流があって医療技術も進歩していたことが、ハワイのような離島国家との明暗を大きく分けた気がする。まぁ、人口の絶対量もあるが。
アメリカ相手に牽制できるコマが日本だけではいかにも苦しい時代・地域だった。
・レッドバロン
はっきりいってやり口が猟奇的にみえるんだが……もし彼がパイロットになっていなかったら、と考えると恐ろしいものがあった。第一次大戦の空では狩人のように戦うことが許されたことがリヒトフォーヘンに幸いしたのだろう。
最後の戦いでは軍人として見事に脱皮している気もするけれど。
・ブラウ作戦 Act.7カフカス侵攻作戦
戦争の最中に赤軍の兵士をポーターにしてのカフカス、エリブルス山登山がおこなわれているのが面白かった。勝っている間は変な余裕があるなぁ。どうせ兵力を分割するならスターリングラードを攻めずにバクーまで突っ走らせるべきだったのではないか。
そうすれば赤軍の配置した戦力を一時的に遊ばせることもできる。まぁ、ヒトラーの判断の根拠が揺れているのだから無理か。