ふたかた わかつきひかる

 事故で死んだはずの姉に憑依された双子の弟、桂高志が必然としてセーラー服をまとって激しい羞恥プレイにさらされてしまうなかなか変態的なお話。大堀さんは攻略できそうにない。
 非常にバカっぽい雰囲気に満ちながら家庭の事情などは、かなりシビアで燎原の火のごとく広がるオカマの噂と合わせて高志には同情してしまった。

 しかし、彼の女装時における心理描写がなかなか素敵なのも事実!――以前、私があげたポイントをしっかり押さえているじゃなイカ…。
 さらに女の子らしくカワイイ行動にも、女装の緊張感から挙動がおかしくなっている理屈がついて一粒で二度おいしい。巻田佳春先生のほんわかエロティックなイラストもあいまって、高質の萌えを提供してくれた。
 決着がはっきり白黒つくものではなく、割とグレーゾーンを残したものだったのも、かえって癒されるところがあったりする。瑞希姉ちゃんはとことん可哀想だったけどねぇ……。

 もっともシビアなのはあとがきで、わかつき先生はずいぶんとぶっちゃけた事情を語られている。イラストレーターを考えてもライトノベルのチャンピオンREDいちごを目指しているのでは、と勘ぐってしまう材料を提供されてしまった。
 おかげで一般作品であっても“構想”はきちんと準備されている気がして、ドギマギしちゃうよ。しかも、肝心のシーンが女装状態ばっかりだったから余計に危険な気分になる。
 優亜が変な趣味に目覚めませんように――。

 あと、なにげに生徒会長(ほぼ背景)が気に入った。

ふたかた (一迅社文庫)
ふたかた (一迅社文庫)
わかつき ひかる
カテゴリ:ファンタジー | 20:37 | comments(0) | trackbacks(0)

スレイヤーズすぺしゃる11〜激走!乗合馬車! 神坂一

すべては真実のために
 探検隊はみたりみなかったり……巨大な魚の類は魔道をつかえば普通に合成できる気がするが、もともと巨大生物として生まれてきた存在には人工の力技生物にはない長所がいろいろあるに違いない。そういう価値を考えれば――製薬会社が熱帯雨林を大事にする意味があるように――魔道に通じているからこそ自然を大切にすることの意味も分かるはず。
 分かるはずなんだが、リナは……。
 水霊族みたいな連中が魔族との戦いに協力してくれたら案外心強いかもしれない。この世界の人類もいろいろ自分で自分の首をしめているよね。ドラコレの眉唾記事の中に何気なく真実を伝えているものがあって、ニヤリとした。

脱出!十把一からげ
 そんなにあっさり脱出できるのは世界全体のバランス感覚としておかしいだろうに……軍隊を動かす労力を思うと、いろいろと考えてしまう話だった。竜破斬を目につく拠点すべてにぶちかましまくられる危険を考えると城そのものが成り立たない気さえしてくるよ。
 そこまでバカやる人間は少数派にしても、城のキープで生活するのは尻が痒い世界だと思う。
 途中まで上手くいくかにみえたナーガとの連携がお約束的に破綻したのはいつものことである。連携しなければさしものリナもイイ線までいくこともできなかったのだし、しかたがないか。

激走!乗合馬車!
 乗客たちの抗議と、傍若無人なリナたちの反応に笑いが止まらなかった。タチの悪い笑いが。
 しかし、いくらなんでも10日でひとつの組合を破綻させることができるものなんだろうか?案外、それまでの負荷が蓄積していて誰がやっても同じだったのかもしれないな。

牛乳哀歌
 眠り(スリーピング)の術は習得がかなり高難度だったはずなのに……けっこーお手軽に小道具にされていることに違和感があった。魔力の問題ではなく、犯罪への応用性が高いから基本的に教えられず自己研究で編みだすしかないんじゃなかったっけ?
 まぁ、不眠症だと偽って色仕掛けすれば一部の趣味のやつが教えてしまうこともあるかな。
 それにしても酷いオチだ。

神坂一作品感想記事一覧

激走!乗合馬車!―スレイヤーズすぺしゃる〈11〉 (富士見ファンタジア文庫)
神坂 一
カテゴリ:ファンタジー | 21:14 | comments(0) | trackbacks(0)

月刊ニュートン2009年7月号

NGK SCIENCE SITE
 なんとなく3角柱が強いのではないかと思ってしまった……ガボォガボォ(ふがいないふがいない)。ビー玉の色をそろえたりしてビジュアル面に気を使うとハッタリも効く良い実験だ。

SIENCE SENSOR
 抜け道があった抗生剤:いままで万能の神通力が維持できていたことが奇跡だよ。生物は奥が深すぎる。
 ひっかき傷を自分で治す:医療記事が隣にあるのでゾワゾワしてしまった。自己再生素材の話題だった。うーん、近未来。
 大気の上端はどこ?:どうしても大気汚染が気になってしまう私は神経質に違いない。その辺も気を使った物質を打ちあげたんだろうなぁ。希ガス?
 暑がりなハエ:筋ジストロフィーとの繋がりが分かりにくかった。耳目を集める単語ではある。
 小惑星と隕石の直接比較:小惑星といってもかなり小さいわけで、イトカワの特異性を考えるといろいろと気になってしまう。まぁ、デカイのに落ちてきてほしいわけではないけど。
 もっと昔から住んでいた:1万年と2千年前から〜〜と繋がりそうなタイトルだなぁ。アルミニウムとベリリウムの放射性同位体をつかう方法は聞き覚えがない。効果的に精度の穴を埋められるなら広がってほしいものだ。
 乗馬のルーツ:カザフスタンが起源と聞くと妙に納得してしまう。その後の普及を考えてもいかにもな場所柄だ。
 強く押すだけで半導体に?:その「強く押すだけ」が半端ないのだが…ダイアモンドの圧子でも使ったのかな。リチウムもけっこう癖のある元素だ。
 ジェットのオン・オフ:実に納得しやすい理由だ。というか他にどんな原因が考えられるのか知りたくなる。
 オオカミは本来白かった:何かのネタになりそうな知識だ。オオカミが人間と関わってきた時間も相当長いのを感じさせられた。
 噴火がつくる低気圧:いわいるコリオリ力かー、何となく好きなのでおもしろかった。似たものではエクマン螺旋も何となく好き。
 分子のメモリーができた:ナノテクすぎて、どことなく痒くなってくる。できるものは大いに利用したいが…。
 一度で二つに効く抗体:投薬の負担を考えてもありがたい話だ。最初の記事とバランスを取っている印象。
 羽毛の起源に現れたなぞ:それほどオリジナリティのあるものではない、って答えじゃ駄目なのかな。
 ちぢんでおきた四川大地震:スラストなら縮む以外はありえないわけで、理論を実測で補強した感じの話題かな。まぁ、たまに昔と今で逆センスの運動をする断層があるから油断はならない。
 暗くなる青空:観測拠点が偏っていると…というお話。正確な情報を集めるには全球的な平和とお金が要る。
 流体で回路をつくる:動的なもので回路をつくるなんて想像を絶している…おもしろい世界だ。
 骨粗しょう症の治療薬候補:破骨細胞が単純に悪役ってわけでもないはず。逆効果には気を付けてほしい代物だ。

“第2の地球”をさがしだせ!
 捜索範囲は広いけれど、まだまだ可能性のある領域は無限にひとしい規模であるわけだ。いいなぁ、夢だなぁ。
 たしかハビタブルゾーンにある木星型惑星は見つかっているんだよなぁ。衛星が地球型の可能性は大いにあるが、その場合は多すぎる食と潮汐力が気になる。

よくわかるニュートン力学
 ニュートンの沽券にかけて全力で解説してくれていたので、全力でスルーした!あまりにもボリュームを偏らせているおかげで「雑誌」らしさまで影響を受けているんじゃよ。
 例にたびたび野球が取り上げられていることに、あの競技のシェアを感じた。

「かぐや」が見た月の絶景
 実際に月の上空を飛行しているような気分になれた。くっきりした地平線が「月」を強く感じさせる。通信速度やメモリの問題がかなりのネックになっている話題も印象的だった。信頼性の問題が重くのしかかるから厄介だ。

古代宇宙のなぞの巨大天体「ヒミコ」
 ヒミコのベールを一枚一枚剥いでいくってわけか……微妙に士気があがるかも。元ネタよりも先に謎が解けたら乾いた笑いを漏らしてしまいそうだ。

立体ナノ構造を“生みだす”レーザー
 むろん質量保存則は守っている。方法にそれぞれ使いわけが生じてきている。そこが興味深かった。

長く鋭い牙をもつ“サーベルタイガー” スミロドン
 特徴的な部分だけに注目してしまいがちだけれど、他の部位も洒落にならない破壊力をもっている。肉食獣にはよくある話だ。この猛獣と対決した人類は物凄い勇気をもっていたに違いない。

身近な“?”の科学
 もっと早くにこの知識をえていれば……あまり変わらなかった気がする。むしろ視力悪化の一因にしただけだったかもしれないね。次の世代のために注意しておきたいところだ。

カエルにせまるさまざまな危機
 カエルツボカビは前からいわれてきた危険だったが、ラナウイルスは初耳だった。両生類はやっぱりデリケートなんだなぁ。なんとか生態系を維持したいところ。

すい臓にも“味覚”があった
 ちょっと不気味さのともなうタイトルだ。発見そのものは希望を与えてくれる――個人的に糖尿病が怖くなってきたし。

日本に残された超巨大噴火の傷痕
 こんなのきたらやっていられんな……災害慣れした日本人の特性を最大限活かすことを期待するしかない。VEI8の代物が気になった。墳石が宇宙までいくレベル?

邪馬台国の最有力候補地で新発見
 決定的な証拠がみつかればすっきりするんだけどなぁ。遷都の可能性についてもいろいろ考えなければなるまい。ともかく調査を進めてほしい。

今月のフィールドワーカー
 毎年テーマをもって研究している姿勢がすばらしかった。着眼点も鋭いし、相当の根気を費やすに値する研究だ。

 次号は「確率」とのこと。ギャンブル漫画の愛読者が要チェックかどうかは二分の一だよ。ニヤニヤ。

Newton (ニュートン) 2009年 07月号 [雑誌]
Newton (ニュートン) 2009年 07月号 [雑誌]
カテゴリ:科学全般 | 18:56 | comments(0) | trackbacks(0)

スレイヤーズすぺしゃる10〜破壊神はつらいよ 神坂一

歌姫の伝説
 恐怖のリビングメイルナタリーが周囲3ヘックスに恐怖と混乱を巻き散らす!……けっこうストレスたまるような、どうでもよくてすぐに抜けるような――魔法陣グルグルのククリが乗り移った老神官を思い出してしまった。
 しかし、良く考えればナタリーは、16歳の美少女を一人称で描いている作者の自虐ネタなのかもしれない…。

白い暗殺者
 んな、白い恋人みたいな口調で……しかし名前はローザという偏屈っぷりが愛らしい、たぶん。
 人権擁護団体ネタには笑ったが、さすがにガチで突っつき続ける根性はなかったか――中の人は実質あんなもの、と言いきっていたらエクストリームに過ぎる。この世界で唯一まともといっていい暗殺者かわいいよ暗殺者。
 ローザをあのままにしておいたら、とんでもないことになっていたよね…想像してしまう自分が嫌。

破壊神はつらいよ
 因果応報にしか思えない――リナにはちょっとは反省してもらいたいものだが、まぁ無理だろうなぁ。ちょっとした機嫌でぶちとばした山や森にもそこで生計を立てる人がいるかもしれないし、野生動物が確実に生息しているのだぞ。ある方面での想像力の欠如には目覚ましいものがあるヒロインだ……我ながら詮無いことを言っている。

歌姫の出発
 恐怖のナタリー再び。思考回路がまるっきりスイーツで笑ってしまう。リナの奇襲作戦はかなり気が効いていて良かったと思う。たぶん真相は、粘液攻撃に当たりたくなかっただけ。

神坂一作品感想記事一覧

破壊神はつらいよ―スレイヤーズすぺしゃる〈10〉 (富士見ファンタジア文庫)
神坂 一
カテゴリ:ファンタジー | 18:37 | comments(0) | trackbacks(0)

戦国の堅城〜築城から読み解く戦略と戦術

 歴史群像に掲載されていた戦国時代の城をまとめ、いくつかの特集を組み合わせて収録したムック。発刊当時に入手を控えたためずいぶん長いこと探す羽目になった思い出のある一冊である。
 副題にもあるように徹底的に軍事的側面から城を扱っており血を熱くさせる要素がたくさん詰まっている。
 特に読み取りやすいイラストレーションによる城の全体図はイマジネーションを大いに高めてくれた。ただひたすら眺めているだけでも充実した時間を過ごした気分になれるのだった。

 そして、城の戦略的価値の説明と、それを戦国武将たちがどうのような方法で戦術的な形に変換して解決していったか――という説明が戦国時代に生きて頭を使っていた確かな存在を感じさせてくれるのがやたらと新鮮で心地よかった。
 城が発展してきた経緯そのものが歴史の具象といえることが強烈に実感できる。戦国武将のおかれた戦略状況が城の発展を後押しするなんて見方も非常に興味深かった。なるほど日本の西端にある島津氏はなかなか内線的な状況におかれないから、いきおい城も発展しなかったわけだ。

 初期の土造りの城から石造りの城へ紹介される城の年代が一般的に下がっていくのだが、最終進化系の城までいくと恐ろしくファナティックなものを感じさせる縄張りになっており、微妙に笑えてくる。
 畝状竪堀をひたすら張り巡らせた豊前長野城や恐ろしく高い場所に築かれた石造りの筑前鷹取城もたいがいだが、現代的視点からは「普通の城」ともいえる伏見城や篠山城が背負う「肉挽き機」としての機能には戦慄させられるものがある。
 それはまさに「近代」の萌芽と呼べるものであったのだろう。

 おかげで今後、城をみるときに愉しめる視点がひとつ増えた本だった。

戦国の堅城―築城から読み解く戦略と戦術 (歴史群像シリーズ)
戦国の堅城―築城から読み解く戦略と戦術 (歴史群像シリーズ)
カテゴリ:歴史 | 21:37 | comments(0) | trackbacks(0)

“文学少女”と穢名の天使 野村美月

 あぁ、やっぱり琴吹ななか大好きー。それとなく癒しを与えてくれる彼女がいなかったら到底最後まで読み進められなかった気がする。大げさにいえば放擲されるオペラ座の怪人になりかねないところだった。
 この話はもう、ともかく重い、暗い、グロい、見ていて辛い。それも心葉に感情移入しての辛さと実際に展開される物語の辛さが二重に重なってのものだから、やり切れない。ホント、井上ミウのように綺麗なだけじゃ終われないんだろうか。力強くこの物語を描く野村先生は凄いと思えるのだけど……。

 今回は遠子先輩が受験のために距離を置いてしまったこともあってか、オペラが正面にでてくるやや変則的な構成だった。物語がつくる謎も複雑に絡み合って、すんなりとは解けてくれない(どんでん返し分の補充のために恋愛に頼った印象)。
 そのせいか、何か大事なピースが足りない気がしてしまうのだが、今までの話でも心葉と美羽の過去が物足りなさをかき集めていたので、胸のモヤモヤは熱された琥珀のパイプに灰が吸いつくように一点に収斂してくれる。
 うまいけど、ラストのハードルを物凄く高くするやり方だぞ、これ…。

 しかし、今までの登場人物にはあった当てはまる構図が主人公の話となると成立しない気がして――そこで独自の構図をみせてくれるのも面白いかもしれない。
 どう考えてもレベル1、なべのフタだけ装備した状態でラスボスに挑みにいく琴吹にどうか神の祝福を――文学少女はなんだか世界の外側にいるよなぁ。まぁ、妖怪と結婚してもカウントされないから決着上は助かるよねっ。ねっ!!?

“文学少女”と死にたがりの道化 感想

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)
“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)
野村 美月
カテゴリ:文学 | 20:29 | comments(0) | trackbacks(0)

戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 No.50 大陸打通作戦

函館/津軽要塞
 ジブラルタルにはなれなかった要塞……日本海も地中海にはなれない気がするのだが、あの地での貿易を軽視しすぎかな。歴史的にみれば渤海国なんかもあって、けっこうバカにならない交流交易がおこなわれて来た地であろう。津軽海峡は国際海峡だしなぁ。

標的艦 摂津
 良い仕事をつづけてきた艦。最後は米軍の実弾をひきつけた――やられたことが負の面ばかりで評価せずに済むのも美点か。なんとなく戦艦土佐と印象が混じってしまう。

武州松山城
 迷路の中に迷い込んだところをせっせと攻撃――妙にアトラクションっぽい仕組みになっているなぁ。小さな高低差をできるだけ効果的に使おうとする発想がとても興味深かった。大砲が発達してからは苦しかったようだが…。

水蓄式タンク
 重油の品質維持にかなり気を使っていたという話。水質汚染が本気で気になったが時代柄無視されていてもしかたないか……劣化が気になるのはそれだけ貯め込む規模が小さくなりがちだったこともあるのだろう。

空挺戦車
 心強くも最強ではない味方。シェリダンの名前はけっこう聞く。軽量だけに特殊作戦話に出しやすいのだろう。対地攻撃ヘリが代わりになるといわれても近接支援力にはやっぱり限界があるわけで……純粋なMTBを輸送することができればそれに越したことはなさそう。

エルサレム
 ユダヤ人が住みはじめた歴史は意外と浅いといっても、もちろん相対的なことで……東方と地中海世界の結節点としての重要性を感じざるをえない話だった。誰でも自由に訪れ、信仰を深められる土地になってほしいものだ。

大陸打通作戦
 相手が中国軍で、蒋介石の政治的な事情から士気も低かったとはいえ、よく実現できたと感心してしまう。その背後にあった海軍との反目の事情はかなり情けないものであったけれど……。
 ともかく実によく歩く歩兵たちだ。
 まがりなりにもアメリカの航空基地が陸続きの場所にあったから、こういう作戦ができたわけだけど、マリアナ諸島の場合は反撃が難しかったことも考えさせられる。

真相 長篠合戦の戦略
 武田勝頼の戦略――大戦術に近いか――がそれなりに腰の据わったものであり、同時に信玄の亡霊に取りつかれたものであったことを主張している。城を落とす寸前まで追い込んでおいて餌にする方法を多用していると考えるのは若干疑問がないでもなかった。ちゃんと武田氏対策を考えて部署された城が、そんなに簡単に落とせるものなんだろうか?
 信長に後詰め失敗を連発させればそれだけでも充分に戦略的な勝利になるのだから、途中からそっちに方針を変えれば良かったのになぁ。織田・徳川軍の火力を無効化する戦略をとれず、決戦に走ってしまった過小評価は致命的だった。

サラディンVS.十字軍
 なるほどVSには省略を示すピリオドを付けるのが正確か…妙な所に感心する。
 エジプトに送り込まれた将軍が独立勢力化する流れがなかなか面白かった。サラディンの反撃をもたらしたのは色々な背景があったわけだ。ザンギー朝のヌール・アッディーン・マフムードの名前が将国のアルタイルの主人公に似ているなぁ。
 重装騎兵が軽装騎兵に一方的にやられているわけではなく、互いに戦力を発揮できる状況を与えられることで力を発揮するのが――当然だが――興味深かった。

マンハッタン計画
 科学者をふところに呼び込んだ意味でも第二次世界大戦はアメリカに多大な利益をもたらしたのだなぁ。戦場となった欧州が失ったものは凄まじく大きい。核兵器開発にうまれた差にはアメリカだけが本土を戦場にせずに、安定した基盤で研究開発が行えた事も大きいだろう。

フランス外人部隊
 本意ではない任務に何度も何度も投入されているのに、進歩を怠らないあたり非常に逞しい連中だ。存在の悲劇性を跳ね返すだけの力強さを感じた。

師団
 とても便利な編成であることは理解したが、ひたすら小型化していく現代の方向性は気になる。けっきょくは、発揮できる火力と戦場の広さの関係なのかもしれない。
 大国の場合だけをみているが、小国にとっては師団の価値も違ってきそうだ。

南雲機動部隊、北へ
 この用意周到さがミッドウェーの時にも残っていれば……準備段階の暗号が「フジサンノボレ」だったのは初めて知った。当時の教科書における日本最高峰、新高山と富士山の関係が気になる。
 単冠湾における機動部隊停泊風景復元のプロセスがおもしろかった。

戦史映画50選
 個人的には歴史系のほうに興味があるんだけどなぁ。あまり数がないというのは悲しい話である。制作された時代や国の影響を受けざるをえない点も気になる。いくつも見てみたい作品が紹介されていた。少なくとも「鬼戦車T−34」は押さえなきゃいけない気がしてくる。

機械伝説 象牙製外装中型双眼鏡 英国製
 歴史の証人みたいな代物だ。でも、純粋な学術目的に使用された可能性もあったような――そうであっても調査は侵略に影響するかな。

檄似戦国武将伝 信長の独断 今川義元とタイタニック号
 義元の成果には雪斎の存在も大きかったというが、不運であっても極端に無能な人物だったとは思えない。まったく星の巡りの悪い存在はいつの時代にもいるもので…。

インタビュー 信太正道
 海軍兵学校を受験する当時の少年が考えていたことが結構いいかげんであることに共感を覚えた。全体的に気が合いそうな姿勢をもった方だ。後輩には私の知っている人もいるみたい……まぁ、3500人もいたんじゃどれくらい面識があったかは怪しいけれど。
 飛行時間80時間、赤トンボによる特攻は淡々と語られても――あるいは淡々とされているだけに――強烈なものがあった。

二式砲戦車
 東条英機がえらく余計なことをしてくれているのに魂消た。諸元をみるかぎりでは、そこそこ使い手がありそうな戦車なのに妙に拘ったことで使う機会を逸してしまった感じだ。そんなのばっかりだ。

よくわかる築城学入門14 地形に制約されない「平城」の柔軟な縄張り
 山城より攻撃的で積極的な出撃も可能となる要害だが、それだけに多くの兵を集めて収容しなければならない。その点で、各藩が動員兵力を小さくしていた幕末期には問題もあったかもしれないなぁ。

敗れざる駆逐艦「神風」
 神風の戦いぶりはまさに神がかっていて次元が違うとすら思わせた。戦力がまったくなくなってしまった南方戦線で、最後まで戦い抜いた敢闘精神は褒めて褒めすぎになる気がしない。
 ただ、基本的に敵が潜水艦主体であえて艦隊戦力を派遣してこなかったことは留意すべきかもしれない。それでも、航空攻撃を凌ぎまくっているのは凄いのだが……けっきょく最も万能性の高かったのは操艦術なのだなぁ。

鎌倉滅亡!死闘分倍河原
 新田義貞のトホホな戦記。歴史の知られざる部分にスポットライトが当てられている気がしてとても楽しかった。分倍河原からの逆転は見事だが、進撃速度さえ調整すれば流言だけで高氏挙兵の決着がついてしまった気がしないでもない。高氏以外にそこまで読めなかったのは当然とはいえ、いかにも間が悪かった。悪いならせめて被害を足利家に集中させて戦後の主導権を――と考えないでもないけれど、周囲の足利家支持はもっと全体的か。

アラモの戦い
 デイビー・クロケットが有名だけど主導権を握っていたのはトラヴィスなんだな――展開を語る上ではクロケットはボウイ大佐よりも目立っていなかった。ボウイ大佐はボウイナイフの人か……やたらとアイドルが多い。まぁ、200人足らずなのに大佐が3人に中佐が1人もいる状況になれば無理もないかな。
 メキシコ軍の末路がやたらと喜劇的だった――歴史怖ぇぇ…。

白河口攻防戦
 伊地知隊の勇ましくも無謀な戦いぶりに笑ってしまった。著者が突っ込むように700の兵力をさらに分割する神経は想像を絶する。まぁ、著者もちょっと語りが強すぎて、歴史記事としてどうかと思われる記述があった。
 仙台藩はしっかりと政宗公の精神性を受け継いでいると思いますよ……ちゃんと精強さも受け付いていればせめて格好がついたのに。

凍土の戦場 Act.10 極寒の狩人
 冬季装備なしで北の大地に送り込まれる兵士たちのぼやきが印象的だ。戦力を発揮するには武器の性能がよいだけでは不十分で、被服や食料も一つの兵器ということができるわけ。戦況図のカオスっぷりにたまげた。
カテゴリ:歴史 | 18:15 | comments(0) | trackbacks(0)

スレイヤーズすぺしゃる8〜恐るべき未来 神坂一

ざ・がーどまん
 クロードの怪しさは爆発級だったが、神坂先生はさらにその裏を取りにくるのであった……悪党がリナに絡んだのが運の尽きといわざるをえない。
 あのリナと関わりながら上手く立場を守りおおせるようでなければ真の悪とはいえないか――魔族は「ありかた」であって善悪とは関係ないから置いておく。御用商人という設定はなかなか世界観を感じさせてくれた。

吸血の町
 怪しい連中は実際に悪かどうかは別として知能に欠けていることが多い。吸血以上に間の抜けているせいで失血を繰り返している気がするよ。そして、彼らに関わったリナの財布も失血を余儀なくされるのであった……。

薬草の丘の攻防戦
 薬草を根こそぎやってしまうと、連続的に収穫できなくなるだろう――田舎育ちのはずが都会的なリナの発想に多少戦慄してしまった。
 リナさえも手玉にとるシルビィのキャラクターはそれなりに痛快だったが、やっぱり腹立たしいのであんなオチになってくれてよかった。ひたすら可哀想なのは村の人たち関係者である。

恐るべき未来
 どこかSFちっくなサブタイトルだなぁ。ものがものなら恐ろしくエロエロな流れになっている話だという事を最初に読んだ頃には意識していなかった。悲しくも自分の変化を感じてしまう。
 ナーガみたいな女性があの世界に満ちたら別の地域の人々は魔族の結界が復活することを願ってしまうのではないか。それほどまでに恐るべき未来である。

最強への道
 だが、待ってほしい。罪が罪として裁かれるならリナの行状は明らかに過剰防衛ではなかろうか?――やっぱり捕縛しても面倒で食費が嵩むだけだから野放しにして野盗の征伐やら何やらで善悪相殺させるのが領主たちの方針なのかもしれない。
 世界にとって恐ろしく厄介なヒロインである。まぁ、それはファンタジーなら普通なんだけど、方向性が……。

超巨大あとがき スレイヤーズうら話
 やたらと長いLとの対談形式のあとがき。「神の魔法」なんて話題などが興味深かった。互いに嫌がりそうだけど魔血玉の呪符を使ったブーストは有効なのかなぁ……光の剣が魔族をばったばったと切り倒しているのをみると可能か。

神坂一作品感想記事一覧

恐るべき未来 (富士見ファンタジア文庫―スレイヤーズすぺしゃる)
神坂 一
カテゴリ:ファンタジー | 23:33 | comments(0) | trackbacks(0)

戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 No.41 インド洋作戦

信州上田城
 どちらかというと構造よりも戦術を取り上げた記事。上田合戦にしたほうが内容的には近いかもしれない。単体の機能よりも周囲の施設とあわせたコンプレックスとしての能力に注目が集まっていた。
 第二次上田合戦のやりかたは結構泥臭いなぁ――第一次が鮮やかすぎるともいう。相当の犠牲を民に強いているけど、それでも「負けるよりはマシ」だと論理をつめて説得できていたのかもしれない。
 戦術そのものもさることながら、それを可能にした真田氏の交渉力が気になった。

松型駆逐艦
 「たった」32隻だったのか……そう思ってしまう感覚が悲しい。アメリカは主力艦ですら二桁で準備してくるかなぁ。ホント、戦争するのがバカバカしくなってくる相手だ。著者は「短期決戦主義も結構だが長期戦の可能性も踏まえて準備しておけ」と突っ込んでいたが、個人的には「短期決戦するつもりなら、ちゃんとそれで戦争をまとめられる戦略を構築しておけ」と突っ込んでみた。どちらにしろ日本海軍に先見の明がなかったのは間違いない…。
 それなりに「高級な」松型駆逐艦は、戦争全体はともかく単艦としてみれば悪くないフネだったようだ。

ヴェルダン要塞
 60万人が死傷した悪夢を伝えるには視点が冷静すぎた気もする。実数だったかはともかく、中国戦国時代における秦が虐殺した趙の兵士がそれくらいだったな。
 砲撃が今に至るも残す大地に刻み込んだあばたの様子が印象的だった。人間はなんとも不毛なことをする……。

ハイブリッド兵器
 戦艦空母とか架空戦記小説が好きな連中に関しての総覧的な記事。シェルクーフはそれなりに使いかたもあった気がするが、所詮は潜水艦の砲撃、威力よりも精神的効果を優先して考えるなら普通の備砲で十分という見方もできる。ソ連の潜水飛行艇には笑わせてもらった。

深海に眠る「大和」
 破壊され海底に散乱された様子がやっぱり無惨で物悲しい。砲塔が逆さまになっていて伝説的な砲身が確認できないのが寂しかった。どうか安らかに。

太宰府
 有坂純氏が書いていることに違和感が……戦国時代よりは「大陸的」なメソッドが駆使されていた時代の建築物だからかな。これはこれで楽しいものだと感心した。
 中国の分裂状態を利用して半島に基盤を築いていこうとするのは、日本にしてみれば地政学的に当然の方針なんだろうなぁ。

インド洋作戦
 ミッドウェーの前兆現象がいろいろ観察されているが、やはり後知恵的な側面があったことは否めないかと……勝って兜の緒を締めよ、という格言があるのに残念な真似に終わったのも確か。
 戦略状況のまとめを読んでいると枢軸国にはインド洋に絵を描ける人材がほとんどいなかったことが分かる。その点はやはり七つの海を支配したイギリス人が長じていたといえそうだ。

決戦!大坂の陣
 やっぱり淀君か……どうしても彼女に関わる問題には溜息が漏れそうになってしまう。著者が述べるように家康も戦闘を回避する方向で動いていたのだとしたら、多くの人間を無為に殺した淀君の暴走は万死に値しその通りになったといえよう。まぁ、織田家の女だからなぁ、しかたがないのだ。
 豊臣家がなんとか起死回生する作戦についていくつか考えられていたけれども、どれもが投機的で後からの運も相当必要となるものだった。それだけ不利な戦略状況に陥っていたわけでもあり、信長たちなら(結果論的に)できたことを求められているだけでもあり、史実のように意地だけはって手をこまねいているよりは投機的な作戦に身を投じたほうがまだマシであることを伝えてもいた。

カンナエ殲滅戦
 歴史群像アーカイブvol.4 西洋戦史ギリシア・ローマ編および世界戦史 歴史を動かした7つの戦いの感想で触れているため割愛。

「大和」最期の真実
 アメリカ軍の命中率もバカにならないなぁ。操艦がまともにできない状態になってから動きを読んで叩きこんでいるモノもカウントされているせいもあるけれど彼らの能力が実戦経験と訓練によって脂が乗った状態にあったこを感じさせる。
 ボイラーの水蒸気爆発はともかく、副砲の弾薬庫が爆発してしまったのは悲しい。対空戦闘にはまともに使えなかった兵器が我が身を引き裂く方向に働くとは……後からいえばさっさと注水するべきだったのかもしれない。。

ドイツ突撃歩兵
 ソフトウェアを開発してからより効果的にできるハードウェアを装備するか、その逆か……そんな第二次世界大戦後の差が電撃戦の明暗をわけた気がする。ソフトウェア的には浸透戦術で一定の成功を収めているのなら、それに戦車も使う電撃戦の発想は認知されやすいであろう。
 やっぱり軍隊において「実績」はモノを言うのであった。

イージス艦大研究
 遡れば特攻が生んだ兵器を日本が配備することになっているのは歴史の皮肉か。イージス艦を配備する国は基本的にミサイルの飽和攻撃を意識しているのだな、と受け取ってみるのも興味深そうだ。

奇想天外動物兵器
 いろいろとおぞましいものを含んだ話……スズメバチの利用がわりかしコミカルにみえてしまうのは哺乳類と昆虫類の差なのかもしれない。犬は別格としてもイルカやアシカがかなりの成功を収めているのは興味深い。
 人間は泳ぐようにはできていないから、当然といえば当然なのだろう。

信長の独断 千利休とセックス・ピストルズ
 利休のスピリットは好きだなぁ。彼らが評価され様式美にされてしまったのは、社会からの痛烈な反撃だったと考えてしまうのは穿ちすぎか…。

写真で見る過去と現在 帝都東京
 街並みが本当に大きく変わっているんだなぁ。昔の靖国神社からの見晴らしの良さは東京が平野にあることを感じさせてくれた…。

連合軍と最初に接触した日本使節団
 負けるのにも命を賭す勇気がいる……大変だ。将国のアルタイル3巻の副市長が誰かを連想させると思ったら宇垣中将かぁ。迷惑な特攻をしちゃって…。

機械伝説No.11 大英帝国軍用ナイフ
 いかにも実用品といった趣きが魅力的。実用する当てもないのに欲しくなってしまった。

ザ・コンバート3 服飾デザイン
 なかなかおもしろいウンチクだった。なんだかんだで大事なのは「イメージ」という事は軍であっても民間であっても共通しているのかもしれない。

インタビュー 水木しげる
 さすが……戦地にあってもマイペースを頑なに守りぬいた芯の強さには尊敬の念を覚えると同時に、人間性のおかげか楽しい気分になってしまう。集合写真でもすぐに見分けられる個性の強さも印象的だった――おかげで目を付けられやすさが増したのかも。

九七式20粍自動砲
 他国の対戦車ライフルに比べると重量と威力がかなり大きく、別系統の兵器にも思える。対戦車兵器に恵まれていなかっただけに、著者のいうようにうまく運用できれば相当の力を発揮しただろうなぁ。

よくわかる築城術入門5 『土塁』と『石垣』どちらが有利?
 答えは当然ケースバイケース……石垣の方が高い技術を要するのは間違いないが、土塁を使いこなすのもまた別のセンスを高度に求められる。ふたつを併用した場合の使いかたが興味深かった。

ジョミニ『戦争術概論』
 極端な理想に突っ走ることなく安定した視点から戦争を眺めた人物だったのだろう。クラウゼヴィッツと単純に比較する形で扱われてしまったのが、極端な信望に走りがちな類の軍隊にとっての不幸だったのかもしれない。まぁ、それは必然か。

「海の傭兵」戦国水軍
 情報や経済に生きる道をみつけだすが、陸上勢力がまとまって強大化すると限界がでてくる。同時代の地中海都市国家に通じるものを感じないでもなかった。生き方の多様性の意味では非常に魅力的な存在なんだけどなぁ。
 琵琶湖水軍の存在が少し異彩を放っていた。海上だけではなく湖上や河川での水運も重要だったに違いない。

鉄路の補給線
 水上の次は鉄路の話。陸上路輸送は立場がないようでアメリカの鉄道がかなり押されているなんてまとめも入る。アメリカの鉄道はまさに怪物級の代物でかの国が膨大な国力を海外に展開できるわけが少し分かったような気がした。

中東戦争 前編
 やっぱりイギリスは汚い……アラブとイスラエル両方から不信感をかって武力闘争されているのが嘆かわしかった。いっそ共通の敵となって両者の共存を助けてやってくれと言いたくなる――まぁ、両大戦では自らの生存をかけて必死だったのも分からないでもないんだけど。アラブ側の戦争指導が統一されていないことが戦局に多大な影響を及ぼしているのが教訓的だ。

バルバロッサ作戦 Act.1発動
 貯め込まれた膨大な兵力量が一気に国境線を越えて雪崩れ込むいきおいが独特な文脈で表現されていてよかった。しかし、最後の兵士のセリフ「これじゃ殺人だ…」は……言いたいことはわかるのに首を捻ってしまうなぁ。
カテゴリ:歴史 | 21:09 | comments(0) | trackbacks(0)

“文学少女”と繋がれた愚者 野村美月

 芥川、お前もか。

 ちょっとした彩りのパセリだと思っていた人物が思いっきり主要人物になってくれて嬉しいやら悲しいやら――総量としてみれば悲しい。なんせ過去が過去だからなぁ。自分のトラウマが沼の底からメタンガスに乗ってふつふつと湧きあがるように刺激されて非常に危ういものがあった。
 それらも遠子先輩のアナバシスを思わせる大演説で芥川少年の過去と一緒に浄化されたであろうか?……んなわけねー。やはり自分の物語には自分で立ち向かっていかなければならないわけで、それを後押しする力をもらったと受け取るしかない。
 まぁ、立ち向かう気なんてさらさらないんだけどさ〜。

 それぞれが自分を主人公とする物語をもっている構造が効果的なのは認める――金田一少年の事件簿でクラスメイトが次々と犯人や被害者になっていくかのようだ――けれど、せめて琴吹さんだけはそのままの君でいて!と願わずにはいられなかった。
 この悲しさ切なさ繊細さが頭上で間断なく炸裂する青春のヴェルダン要塞ドォーモン堡塁で、どれだけ彼女のテンプレツンデレっぷりに癒されたことか!!とても語りきれるものではない。なんらかの予兆を感じさせている通りに彼女の胸にもパンドラの箱が埋まっているとしたら、もっとも人間から外れた文学少女が、もっとも人間的に癒しを与えてくれる人物になってしまう。
 なんてことだ。

 ホント、触っても薄くて硬いなんて人並み外れすぎだよ、遠子先輩は!!

“文学少女”と死にたがりの道化 感想

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)
“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)
野村 美月
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