月刊ニュートン12月号

NGK SCIENCE SITE
 繋ぎ直した方が手っ取り早いなんて無粋な発言は禁止!

SIENCE SENSOR
 エコなロケット燃料:アルミ粉末を使うという事は電力の確保が問題だな。月面や火星で核融合発電を行うことが前提なのかなぁ。適切な場所に設置できれば太陽光発電でもいける?……そのパネルを運んでくるエネルギーはどうしよう。
 短い睡眠で平気なわけ:この遺伝子、いらぬならもらうぞ――いいことばかりとは思えないが。
 少子化傾向に歯止め?:各国の政策がけっこう効いていると思うなぁ。0.9でTFRが3あたりに飛んでいる国が気になった。
 石器の技術もアフリカ発:単純な技術だけに異なる起源で発生した可能性を排除するのが難しい。研究者は統一的に南アフリカの技術が起源だと主張しているが、はたして。
 やっぱり重い銀河だった:遥か遠くの銀河の中の星の動きが観察できるとは――なかば変態的な観測能力に思えてしまう。
 隕石落下とマヤ文明の関係:衝突で生じた亀裂が湧き水をマヤ文明にもたらしていたらしいが、これは隕石起源元素を使った人為的変化を測定する方法の話。
 胞子のかくれみの:太い奴だと思ったが、その機能を投薬に利用しようとする発想に一本取り返した気分。
 曲がる新型ディスプレイ:体に装着した場合は、電池切れでいきなり透明になったりしないように――普通に何かで裏打ちするか。ちっ。
 巨大衝突の痕跡:こんなことまでわかるんだ、とまた感心した。天文学の分野は観測技術で進歩を感じさせてくれるなぁ。

地球と同じ岩石型とはじめて確認!
 半径が1.7倍でも質量は5倍にもなる。三乗で効いてくるから当然だが、太陽系外の星で資源探査をするときには興味深い条件になるかも。表面積で効いてくるのは半径の二乗か。

「モノ専用の通信網」をつくる!
 ちょっと不気味な感じもするが、便利になるのは間違いないな。この通信機ってスパイがすごく喜びそうな機能だ。

月面で水分子が発見された
 インドのチャンドラヤーン月観測衛星の大きな成果。クレーターと水分子の分布の関係を見比べるのも愉しい。そういえば中国の月観測衛星「嫦娥1号」の成果の話は耳に入ってこない。秘密主義が関係しているのだろうか。単に私のアンテナが低いだけ?
 ディープ・インパクトの延長利用機体が「エポキシ」ということをこの記事で初めて知ったくらいだからなぁ……。

ALMA,第1号アンテナ到着!
 巨大な計画の進行にちょっとワクワクしてきた。現場での建設作業が困難ということは、修理にもかなり苦労させられそうだ。たくさんのアンテナを設置する計画だから組み立て施設まで戻してもバックアップが効くようにはなっていると思うが。

円,球,そしてπ
 読者に実際にやらせるトピックが多いところがよかった。不精な私はやっていないけど……。円周率のなかに意外な数列が現れることには驚かされた。あれの検索を掛けるだけでも結構時間が掛かるのではないか。試してみた人は遊び心があるなぁ。

新しい“目”が見た宇宙
 ハッブル宇宙望遠鏡は滅びぬ!何度でも蘇るさ!!
 五つ子銀河などは、お約束の被写体だけに性能アップを感じるには適している。まぁ、画像処理技術の向上との区別を付けられる自信はないのだが…。オメガ・ケンタウリの凄まじい星密集写真が愉しかった。

ワクチンの正しい知識
 ジェンナー医師がやっぱり凄い。成算がかなりあったとはいえ自分の息子を人体実験に供するのだから……時代と研究対象が違っていれば非難轟々の恐れだってある。それでもやってしまうのが研究者魂かもしれない。
 技術はわかったが日本の政治的な対応にもどかしいものも覚えた。医療だって「産業」なわけで、いろいろとあるのだろうなぁ。

日本の補給機HTV,ドッキングに成功!
 アメリカが高い技術レベルを求めてきた意図がどこら辺にあるのか、分からないがおかげで技術力をあげられるならありがたい話だ。単純に明るい気分になれる話であった。「HTVがあったからこそできた」と言われるような成果をあげていってほしいものである。
 定期的な需要があるのもロケット技術にとってありがたい。

知られざる交易路「茶葉古道」
 谷甲州氏の作品を思い出しながら楽しく読んだ。サルウィン川とか、ヤルツァンポ川とか耳慣れた名詞だったりする。
 5000m級の峠を生活の一部として行き来するのは想像を超えたところがあった。足元を滑らないようにするための石を敷いた人にまで思いが巡った。厳然としてロマンがある。

クモの糸は夢の繊維?
 教授のお茶目さがいい。捕獲帯をだすところを目撃したことがあるのだが、後ろ足で器用に獲物を回転させながら白い球に変えてしまうのは職人技だと思った。身近だけどとても凄い動物なのだ。そうじゃない動物なんてないと思うけどね。

体脂肪率や筋肉量もわかる 体組成計
 私のは体重と体脂肪率しか分からない。この記事を読んで気になって測ってみたら11.4%だった。このくらいで安定させたいなぁ。
 小型化させるための技術が興味深かった。

多様な“軟体生物化石”を残した時代
 軟体動物が描き込めないと画家は復元画に描き残しがあるような気になるんじゃなかろうか。こういう地層は彼らの精神衛生的によさそうだ。ターリーモンスターことツリモンストルムの前衛的すぎるデザインに笑ってしまった。口の先端が鳥の頭にみえるだけに、奇妙だ。

身近な“?”の科学【ガラス】
 でたよ、アモルファスのガラス。添加物などによる特性の変化を詳しく紹介していてくれてためになった。ファイバーで作られた断熱材は省エネに欠かせない素材だ。

生命の進化はDNAのおかげ?
 DNAを獲得する進化にDNAの推進力は使えないけどな――などと言ってみる。そこまで根本的ではなく頻繁なマイナーチェンジに定評がある感じか?

「なくてもよい臓器」が汚名返上?
 こういうニュースがあると脾臓を摘出された人が感じる不安に同情してしまう。寿命的に割に合うならよいのだが、判断の難しい問題だろうな。

5年間で4回も大地震に襲われたスマトラ島
 今回の「大」地震は他と比べるとかなり規模が落ちる――といってもM7.6も充分に大きいのだけれど。隙間の部分が動く時はM8.5前後の地震が起きそうだ。おそろしいことに。

日本最古の石器発見か
 神の手の影響がいかに大きかったかを思い知る。健全な研究が着実にもどってきてほしいものである。

今月のフィールドワーカー
 鉱物採集を愉しむものだけど、こういう問題があると意識すると粛然とした気分になる。水が染み込んで湧き出してくるだけでも大きな負担になるんだなぁ。

Newton (ニュートン) 2009年 12月号 [雑誌]
Newton (ニュートン) 2009年 12月号 [雑誌]
カテゴリ:科学全般 | 12:27 | comments(0) | trackbacks(0)

隔週刊トレジャー・ストーン62 ディアゴスティーニ

ミネラルファイル-宝石
 ブルー・ジョン(蛍石):まぁ、納得できる宝石――宝石かどうかを判定するのが最初にやることになってしまっている。硬度は低いけど。縞状構造が綺麗にでていると実に豪華な雰囲気がある。

ミネラルファイル-鉱物
 アルコース:薄片写真だけをみたら深成岩と勘違いしそうだ――結晶の形をしっかりみれば気付くんだろうけど、手強い岩石である。
 緑泥石片岩:変成岩地帯ではよくみかけるタイプの岩石。二連続で岩石かよ!と呻いた。氷に覆われた写真を例として出すのは無茶苦茶だと思うの。なんかヤケクソである。
 レパードスキン:アクセサリーや装飾品にされることもあるなら「宝石」に分類してやれよ。そんな煽りを入れてしまう。岩石というか純度の低い玉髄?
 かんらん岩:すべて岩石でコンプリート。含んでいる赤い石榴石やペリドットの写真に慰められる。地球の深部と地表がつながっていることを感じさせてくれて好きな岩石ではある。

世界の鉱物産地/チェコ編
 山脈に囲まれた森の国。石炭や金属鉱物など堅実なものの産出が多い。なんだか国民性を思わせるのだった。ドルの由来が興味深かった。めぐりめぐってアメリカの通過がいちばん有名になるとは…。

ディスカバリー/造岩鉱物
 有名な鉱物にまじって意外な鉱物があげられていておもしろかった。方沸石やひすい輝石も造岩鉱物に含まれるのか……。

ディスカバリー/バソリス
 なんか聞き覚えがあるけど、イメージが固くて圧迫感があるというか。まぁ、岩体だぁね。地形の要素として大きな役割を果たしている。


鉱物関連記事一覧
カテゴリ:地学 | 23:32 | comments(0) | trackbacks(0)

隔週刊トレジャー・ストーン43 ディアゴスティーニ

ミネラルファイル-宝石
 シリシファイド・ウッド(珪化木):装飾品に加工できればなんでもいいのか?そんな疑問を掻き立てられてくるチョイスだ。灰皿や小物入れは確かに素敵なんだけど、宝石の訳がいまいちズレているような気がしてくる。

ミネラルファイル-鉱物
 アンチモン:錆によって複雑な色をだしているところが趣深かった。迫力はあるが、複数ほしいとは思わないタイプの鉱物だ。
 グラファイト:イタリア産はこんな鉱物でもカッコいいから困る。普通の石墨は最後の写真にみられるタイプだよなぁ。アチソン法のことを記憶にとどめておきたい。電池の発達によって黒鉛の需要は高まるばかりである。
 ルドウィヒ石:こういう鉱物だったのか!とワゴンセールで入手した後に驚いてしまう。黒くて華はあまりないが、独特の個性を感じさせる鉱物だ。
 透閃石:アスベスト怖い。が、普通の板状結晶は立派でよいなぁ。アスベストで作られた手編みの袋はどんな状況で使われるものだったのだろう。興味があるが、実際に使いたいとは絶対思わない。

世界の鉱物産地/メキシコ編
 物凄いおせおせムード……鉱物資源だけ切り取ると印象がここまで変わるものか。銀の産出においては世界一で、石油資源にも恵まれている――水力発電も充実させてほしいものだが――比較される相手が悪いだけなのかもしれない。

地球物語/岩石の年代測定
 非常に重要な技術。相対的な年代測定と絶対的な年代測定があるのだ。

ディスカバリー/酸化鉱物3
 もそっと写真を!写真を〜!と取りみだしてしまう珍しい酸化鉱物の紹介。アショーバライト、ゼーンガイト、スウィータイトの写真が載せられているがどれもコレクター魂をくすぐる。これらの入手に血道をあげるようになったら鉱物趣味もいくところまで行っているだろうなぁ。


鉱物関連記事一覧
カテゴリ:地学 | 21:48 | comments(0) | trackbacks(0)

隔週刊トレジャー・ストーン37 ディアゴスティーニ

ミネラルファイル-宝石
 スノーフレーク・オブシディアン:長い名前だ。岩石だし、宝石を名乗るのは冒険が過ぎないか?でもまぁ、加工次第ではおもしろい作品に化けられる素材だ。何気に石英でないことも評価してみたい。

ミネラルファイル-鉱物
 マンガン重石:とっても好きな鉱物。あの黒に負けかけている意味で控えめな赤色がよいのだー。板状のものは飴の板みたいである。白い石英とのコントラストが見事。
 マグネタイト:珍しい鉱物ではないが、きちっと八面体になるとかなり見栄えする。やっぱり本質はスピネル族なのだと感心するのだった。
 ウバロバイト:美しさに涙がこぼれそうになった。深い緑色と透明感のあわせ技が反則的だ。宝石に回されないのは大きさが足りないからだと理解した。
 ゼノタイム:残念な状態のものばかり印象にあるけれど、綺麗な結晶になると見応えがある。どうやって入手すればいいのか想像もつかないなぁ。

世界の鉱物産地/南アフリカ
 本場中の本場。鉱物的には祝福された地としかおもえない南アフリカである。でも、製造業が盛んになってきているところが偉い。今後もこの国の地位は揺るがないだろうなぁ――軌道エレベーターができて宇宙の資源にアクセスできるようになれば流石に変わる?

地球物語/断層
 逆断層が最後に少しだけ触れられているところに海外の出版物らしさを感じた。そもそも正断層が「正しい」扱いになっているのは地質学発祥の地イギリスの地域的な特性によるものなんだよね…。

ディスカバリー/元素鉱物
 元素鉱物の形で産出する元素の表がまとめられている。自然アルミニウムがありえることに驚いた。ひげ銀標本写真の銀の部分だけ枠の外まではみ出させている表現が好き。


鉱物関連記事一覧
カテゴリ:地学 | 19:44 | comments(0) | trackbacks(0)

隔週刊トレジャー・ストーン34 ディアゴスティーニ

ミネラルファイル-宝石
 ヒドゥナイト:文句なしの宝石鉱物。そう思えてしまえるのは一枚目の鉱物写真が素敵すぎるせいなのか。カット石は光輝の弱さがちょっと物足りない。原石の方が好きかも知れない。でも、ファセットのおかげで反対の赤色がみえているところは良かった。
 ヘリオトロープ:宝石?まぁ、貴石ではあるかな。深い歴史的な背景が石英の塊を宝石の地位に押し上げている。ブラジル産の赤いスポットがある標本にはドキッとした。

ミネラルファイル-鉱物
 アンケライト:ちょっと聞かない鉱物だ。化学組成を知るとそんなに変哲のないものなのだが。イタリア産の写真に方解石や苦灰石の仲間であることを感じた。
 カイアナイト(藍晶石):こっちの方が宝石に分類されるべきだと思う。カットされたものの写真まで載せているからなおさらだ。いちぶ文章に間違いがあって「へき開が二つあるため、二硬石と呼ばれている」と書かれていたのはご愛嬌。他の部分ではちゃんと硬度が方向によって違うからであることが述べられているのでチェックがあまいといわざるをえない。素晴らしく透明感のあるスイス産カイアナイトには涎が垂れそうになった。私の藍晶石写真はこちら
 輝石:いくらなんでもくくりすぎだろう……思いっきり突っ込んだ。石英はいろいろな異名ごとに扱われるのに、この差はなんなんだ。一枚目の写真は緑簾石の見事な結晶がお株を奪ってしまっているし、裏方の造岩鉱物はつらいよ。

世界の鉱物産地/イギリス
 今でも鉄鉱石が掘られているだけでも凄い。昔はスズ石で有名だったな。やっぱり北海の油田ついて触れられるのは時代と言わざるをえない。

地球物語/風化
 直接的にはあまり嬉しくないことの多い現象。しかし、間接的には多大な恩恵を被っていることを忘れてはならないだろう。

ディスカバリー/鉱物の結晶学的解析
 鉱物関連でノーベル物理学賞がとれることに時代を見た気になる。ノーベル地学賞があればなぁ…。

鉱物関連記事一覧
カテゴリ:地学 | 00:34 | comments(0) | trackbacks(0)

隔週刊トレジャー・ストーン30 ディアゴスティーニ

ミネラルファイル-宝石
 ヘッソナイト:灰ばん石榴石は色が多くて、別々の名前をつけられているから、化学組成で種類を集めるコレクターにとっては厄介だ。余裕が出てくればそれぞれ集められて楽しい鉱物なんだけどね。語源が「下等な」という意味なのが悲しい。
 私が持つヘッソナイトの写真

ミネラルファイル-鉱物
 黄銅鉱:銅鉱石として外せない鉱物。黄鉄鉱は資源にならないのに大きな差がついたもの。なんだかんだ言って銅が貴重な資源であることを意識させられる。一枚目の写真は輝コバルト鉱を写したものにしかみえなかった…嫌がらせか?イタリア産の黄銅鉱標本はさすがだった。
 かすみ石:ネフェリンの方が私の中での通りがいい。無色なのでついつい共存するベスブ石に目がいってしまう。でも六角柱状のかすみ石結晶は繊細可憐で素敵だった。塩酸に入れるとゼラチン化するのも面白い。
 十字沸石:球状結晶の写真が多い。これはこれでいいが「十字」沸石らしさをみせてほしい。硬水中のカルシウムの捕獲に使われる用途が印象的だった。
 苦土みょうばん:水分に弱そうな見かけだが、じつは脱水に弱い。脆さも影響しているのか、少し汚れた感じのする鉱物だ。ほしいけど。

世界の鉱物産地/ナイジェリア編
 けっこう気合いの入った国、ナイジェリア。まだまだ開発の余地は残されているようで今後の発展と鉱物の発見に期待したい。

地球物語/変成岩
 鑑定の試験を受けた記憶が懐かしい。スコットランド産の変成岩は褶曲がじつに見事で、あまり岩には興味のない私でも魅力を覚えてしまった。

ディスカバリー/結晶の形成
 カリフォルニア産のバイカラーリシア電気石が素敵だ……やっぱり結晶はよいものだと思いを新たにした。断面を磨かれた紅柱石もまた魅力的だけど。

鉱物関連記事一覧
カテゴリ:地学 | 20:27 | comments(0) | trackbacks(0)

まもって守護月天!FAN BOOK 桜野みねねのほん

 タイトルの通り、往年のエニックスラブコメ「まもって守護月天!」のあれこれを収録したムック。珠玉のカラーを収録したり、キャラクターに合わせた企画があったりで――カオスに限りなく近いが――なかなか愉しい。
 やっぱり桜野先生の塗りは好きだなぁ、と再確認した。個人的には有楽彰展先生のシャオリンカットが見逃せなかったりする。他にカットを送っている先生も、なかなか豪華な顔ぶれである。

 キャラクター設定を見直していると、宮内出雲がロリコンすぎて恐怖を覚える。まぁ、シャオはロリでもお婆さんなので、精神年齢的に魅かれるものがあったのかもしれない(物凄いうそ臭さだ…)。
 星神たちのデザインのうち、非人間的な外見をもつものは、けっこうポケモンに影響を受けていることに初めて意識がいった(仕事場にポケモンのフィギュアがおいてあったりするのだが)。

 企画のなかでもっとも興味深いものは七梨家の間取りで、もっとも変な印象を残したものは花織のゲーム紹介「たほいや」であった。それでいて無茶苦茶の権化であるルーアンの中国語講座はふつうにためになるのが、イメージに反していて笑える。あと、虎賁の「てっぺんが見えねぇ!!!」が凄く記憶にこびりついているんだよなぁ。刷り込みの良く効く時期だったのかもしれない。

 さすがに年月の変化はあるようで、相性診断をやったら結果が昔の記憶にあるものと変わっていた……そんな現象も少しおもしろい。

まもって守護月天!再逢1巻感想

まもって守護月天!FAN BOOK―桜野みねねのほん
カテゴリ:写真・イラスト集 | 00:44 | comments(0) | trackbacks(0)

戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 No.39 ガダルカナル奪回作戦

乙型駆逐艦秋月型 照月
 駆逐艦でありながら魚雷艇にやられた結末が悲しい。砲撃能力で優れているのだから水雷艇狩りにも一定の力がほしいと思ってしまうが、明暗を分けたのはやっぱりレーダーの有無なのだろうなぁ。

丹波八上城
 強硬策をとるならば玉ねぎの皮を剥くように法光寺城からせめていくべきか。谷のなかにはいらないと攻撃正面がとれないかもしれない。確かに堅城であることをうかがわせる縄張りになっていた。おもしろい城だ。

東京湾海堡
 工事の大変さを想像すると頭が痛くなってくる。これだけ国家予算を投じておいて結末が関東大震災でおじゃんというのも悲しい。射程距離の延伸に力を入れて、海堡は第一で満足しておけばよいものを……黒船への恐怖のない人間の後知恵か。

グライダー
 ギガントはインパクトのある機材だけれど……なかなかうまく使うのは難しいな。それをいえば空挺そのものが大変。イギリス軍のハミルカーが結構活躍しているのが気になった。ソ連のグライダーが高級な設計になっていたのも興味深い。

台湾陸海軍基地
 台湾とフィリピンの位置関係はどうしても意識せざるを得ないものがある。大日本帝国にとって非常に重要な島であったことは間違いない。
 CGの監修に坂井三郎氏が協力されていた。実に適任だ。

海洋国家カルタゴ
 個人的には常識的な歴史をさらりと。
 円形の軍港が大量の軍船を収容しているイラストがおもしろかった。水面に船を出す方法については疑問が残るが、普通に人力で押していたという解釈なのだろうか?
 第三次ポエニ戦争では右手に秘密の水道が掘られたはず――などと考えるのも楽しい。

ガダルカナル奪回作戦
 文体が林譲治氏的すぎて史実であるという感覚が鈍ってきてしまうのは困った問題だ……兵力や補給ではなく指揮通信能力に着目して戦いをみているところが興味深かった。まぁ、一時的に日本軍が空港の奪回に成功しても、その後の作戦でアメリカ軍の反撃意図をつぶすことができなければ最終的な消耗戦の勝者に輝くのはやっぱり連合軍になっていたと思うが。
 いつのまにか天王山になってしまった価値の微妙な戦場にどこまでの資源をつぎ込めるか。その覚悟も問われていたとすれば、資源を多く持つアメリカ側が有利だったのは否めない。

逆襲!山崎決戦
 明智光秀をかなり好意的に評価した視点で分析された本能寺の変から山崎の戦いまで。織田軍団内であそこまで頭角を伸ばしていた人物だから、これくらいの評価が正しいのかもしれない。秀吉の運があそこまで良くなければ――すべては彼のはかりごとだったら、運では片付けられないけど――織田家の方面軍司令官の争いは長期化してディアドコイ戦争みたいになっていたのだろうか。やっぱり、それは違う気がする…。

THE KOREAN WAR 中共大反攻
 戦場にされた土地に住む人間にはおそろしすぎる戦争……同胞ではなく、大国が暴れまわっているから余計にタチが悪そうだ。
 無茶苦茶な破壊力をもっているようにみえた中国義勇軍も補給に大きな問題を抱えていて、国連軍を攻めきることができなかったのは興味深い。半島という地勢的な条件が、双方に互角の戦いを強いた印象も根強かった。
 トルコが旅団を派遣して、かなりの役割を果たしていたことに驚く。

坂井三郎に学ぶ 零戦完全操縦マニュアル
 坂井氏がもっとも重要な零戦の性能として挙げられているのは「航続力」。なぜなら飛行機は飛んでいなければ意味がないから、というが、それならエンジン始動にセルモーターを使用したり、上昇力を高めたり、整備の容易性を上げることでも達成できる可能性がある。実際にアメリカ軍などがやったのはそういう事だろう。
 つまるところ達成できない性能の一部を、長時間操縦する人間に託すことで技術格差を埋めざるをえない事情が見え隠れしていた。レーダーの配備まで行ってしまうと話が拡大しすぎるが、あくまでも「搭乗員視線」で正しい評価をされている印象だった。
 操縦方法の説明では零戦がもつ機械的な複雑さに感心させられた。これでも相当凄いのに現代はそれ以上の技術の塊と言えるジェット戦闘機が飛んでいるのだから時間の流れとは恐ろしい。

海兵隊発達史
 アメリカ海兵隊は日本軍が育てた――そう主張しても通る部分がないではないようだ。不幸な昔はともかく、今は彼らに守られているなら数奇な運命といえる。

幻の四式中戦車
 先生、どうしても四式中戦車が量産品に見えません!
 性能が高いと言われるほど、そう感じてしまうのだが、高いといってもM4シャーマン76.2ミリ砲搭載型と大差ないのだから泣けてくる。まぁ、数があっても敵戦車と交戦できない戦車よりは劣勢でも戦える戦車。
 戦術で補える限界を考えればそういう結論になるのだろう。ノモンハンの時点で気付いてくれていれば…。

よくわかる築城学入門第3回「天守」が秘める防御力
 天守の戦いともなると使える兵力もギリギリのところまで追い詰められているわけで、それにふさわしく戦闘正面も狭くなっている。実際に配置についているか分からなくても十字砲火の殺戮帯に侵入するのは勇気のいる行為だっただろう。

信長の独断 武田信玄とサダム・フセイン
 信玄はまだしもフセインはどうやっても天下を取るのは無理だろう。条件設定を考えると最後のまとめが強引極まりない気がした。元よりそういう企画なんだけどさ。

戦国「安土」の歩き方
 へうげものなど読んでると更に行ってみたくなる町、安土。でも現代の状態を考えると信長にとっては安土も遷都前提の拠点だった気がしてくる。やっぱり最終的には大阪を考えていたのかなぁ。

機械伝説 石弓
 小銃と構造を共用しているのが面白い。火薬などの入手が難しくなったときに素早く作りかえる準備がしてあると戦闘力の低下を少しは押さえられるかも。

ザ・コンバート
 缶詰やレトルト食品と軍隊の関係を論じる。調理時間を他の活動に使えることは軍隊にとっては非常に大きいわけだ。社会における日常技術の進歩は市民に余暇時間を生み出すが、軍隊内においては戦闘行為(主に行軍だが)の比率を上昇させて、実質戦闘力をあげる方向に使われてしまう。なんか力が正反対に働いているみたい。

沖縄戦を生き抜いた一兵士の証言 山本義中インタビュー
 中国戦線でも戦われた方なので、そちらの話にもけっこうボリュームが割かれていた。非常に対照的な中国軍とアメリカ軍の戦いぶりが同時にでてきて興味深かった。小隊長として責任のある立場でいると、いろいろと後から悔むことが多いと良く伝わってくるお話だった。飛行機偵察より伝書鳩の方が距離感が近いところが面白い。やっぱり兵科による連帯感の差があったのかなぁ。

五式15サンチ高射砲
 B29も高価だし、自由な飛行を妨げただけでも大きな戦果をあげたと判断できてしまう、そんな立場が悲しい。二人で90キロの弾丸を動かす苦労は想像を絶するなぁ。一回だけの気合いをいれた行動ではなく、安定したペースで敵がいるかぎり続けなければならないのだから尚更苦労が偲ばれる。

十八試陸上偵察機景雲
 せめて戦後にこの機体の技術を活かせれば良かったんだが……航空機産業そのものがやられてしまったからなぁ。やっぱり発動機開発がネックになっているのは、他の機体と変わりなかった。暁雲が当初積む予定だった5000馬力のヌ号発動機って……本気で言ってるの?

電撃 桶狭間の真実
 信長の偉大なのは桶狭間の勝利を幸運に終わらせず最大限に活用して飛躍に繋げたところだと思う。敵前での陣形変更という困難もこなした今川義元が討たれるのは、世の無常を物語る。

仰天!信州真田家二百五十年の大計
 かなり好きな記事。オチまでしっかりつけて真田家は流石だ!と称えざるをえない。徳川家への怨念を箱に封じ込め続けた信之もやっぱり昌幸の息子で信繁の兄だなぁ。人材が250年にわたって残り続けたことも凄い。

ノモンハン1939
 悪夢のような自滅戦。関東軍に付き合わされるソ連・モンゴル軍も不幸な気がしてきた。ああ、いちばんついてないのは満州軍か……虹色のトロッキーを思い出した。あれの辻参謀はカッコ良いところもあったけど、やったことをみればやっぱりロクでもない参謀だったと断ぜざるをえない。

海軍漸減邀撃構想の成否
 貧乏だったらアメリカに対抗しようなんてするなよ!と文句をつけることもできる。世界情勢的に難しかったんだろうけど、外交で考えるべきところまで海軍内でどうにかしようとして、ひたすら歪んだ構想に囚われていった背景には官僚的なセクト主義も大いに絡んでいると見える。
カテゴリ:歴史 | 12:45 | comments(0) | trackbacks(0)

古代エジプトの言葉 フランソワ=グザヴィエ・エリー編/荒俣宏訳

 遥か昔からあった、そして現代まで遺されることのできたエジプトの格言をおさめた冊子。人間はいつの時代でも成長して、何かを思うようになるのだとしみじみ感じてみた。含蓄のある考えを抱く点においては必ずしもエジプトが特別だったとは思わない。
 ただ、流石に死生観や「神」への考え方では独特のものがあって興味深かった。

 神は唯一の存在だが、どこにでも存在していてあらゆるものの形をとって姿を表すと考えていたなら、それは一神教になるのか。
 徹底的に細分化していくことは、最終的には統一を招くのかもしれない。日本人の宗教観と比較していろいろ考えさせられた。

 収録されている写真は、エジプトの壁画や印象的な風景。どこか怖いものも数多いが、夫婦と子供が戯れている壁画には癒された。
 言葉を遺した人物の名前が、おもしろい響きを持っているのも良かった。まぁ、編者もその点では負けていないが。

古代エジプトの言葉 (コレクション 知慧の手帖)
古代エジプトの言葉 (コレクション 知慧の手帖)
カテゴリ:文学 | 12:32 | comments(0) | trackbacks(0)

グラフィック図解 関ヶ原の戦い 歴史群像シリーズ

 CGで関ヶ原の戦いの展開を逐一再現し、周辺情報も充実した一冊。個人的には前哨戦や他の戦線での戦いも紹介してくれているところがよかった。最後に青赤メガネで立体地図をみられるページも用意されているが、まぁこれは余興。

 こうして全体をみると大身の家康相手に中規模大名の禄で対抗した石田三成の凄さが際立っていたように思う。岐阜城の陥落によって濃尾尾張方面で雌雄を決する抗争が崩壊しても、関ヶ原では優位な布陣を構築してしまう才覚は侮りがたい。
 大量の敵を引きつけた戦ぶりについてはいうに及ばず……島左近や蒲生郷舎の働きが大きいのは間違いないが、そういう有能の士を召し抱えること自体が誉れだ。福島正則らの武断派大名は、三成に対抗心を燃やして家康についたことで、仇敵が戦場においても彼らに劣らない存在であることを証明してしまった気がする……まぁ、武断派も内政手腕に優れた面をもった連中がいるので、一概に大敗とはいえまいが。

 対する家康もどっしりと落ち着いた采配で主力を損ねることなく勝利を手中に収めている点は流石だった。小早川秀秋はともかく、吉川広家が東軍側についたのは秀忠軍分の余力が東軍に温存されていたからじゃないかと、少し考えを弄んでみた。
 東軍に寝返れば関ヶ原の一戦で勝敗は決するが、西軍が勝って家康を討っても秀忠や結城秀康が残っている以上は、再び戦いの天秤が傾く可能性が多少はある。
 ……ちょっと無理があるかなぁ。

 CGで井伊直政の赤備えが非常によくわかるのが興味深い。高台に陣取っている諸将にとっても同様の効果があったことであろう。武功が目立つ代わりに集中攻撃される恐れもあるわけで余程の自信がなければできない備えだ。

 関ヶ原の戦跡巡りに行ってみたくなる本だった。

グラフィック図解関ヶ原の戦い―家康、三成の采配がよみがえる合戦図解!! (歴史群像シリーズ)
カテゴリ:歴史 | 12:19 | comments(0) | trackbacks(0)
| 1/2PAGES | >>