F.S.S.DESINGS3-KALAMITY GODDERS:BOTH 永野護
2009.12.30 Wednesday | by sanasen
ジョーカー星団のうちカラミティ・ゴーダースとボォスの2惑星を根城とする国家群を包括的に解説した架空「社会科の資料」。惑星の地形と歴史がきちんと結びついて描かれているところに感動すら覚えた。
地球とは違って歴史の方が地形に多大な影響を与えまくっているが……アースドラゴンがハツーダン大陸をまとめてオマーンオフィオライト以上の代物に変えてしまっていることに深くおののく。この世界の地質学者は実地の比較惑星学やりたい放題、バスターライフルでマントルを直接観察することも可能(でも本当にやっちゃダメ、絶対)と、非常に恵まれている。
最低ラインの悲しい騎士やミミバ族をそっちの探検に使えれば――などと妄想するが、ボォスはまだしも資源が枯渇しているカラミティでは予算がつくはずもなかった。そんなこんなで騎士の才能を活かせる場所が――人格の方は向いていないにしても――限られていることが世界に与える閉塞感は大きいと思う。
と同時に、解説を加えられる国家の主要産業に必ずといって良いほど「軍事」の一文が加えられてしまっている事に、世界をかろうじて回している戦争の存在感をみた気になる。騎士やMH、ファティマなどに多大な出費をともなう戦争を任せて、一般への被害を限定し、資源は宇宙からもってくることでギリギリ経済を回している。
人類史的におそろしく説得力があるが、それだけに悪夢のような世界観が直接的に伝わってくる資料集だった。
それにしても解説文が途中から確定した事実ではなく所感を語り始めてしまったり、いつ描かれるのはさっぱり予想できない先への展望につなげるのは、なんとかならないものか。
ベビーに設定を抑えているとはいえない読者としては「ねぇわかるでしょう?」みたいな語りかたも「ちくしょうわかんねぇよっ」とダメージを受けるところがあった……結構クセのある文体については人のことをいえない身だが。
ともかく、漫画には収まりきらないレベルの情熱を注いでいることは伝わってくる。泡沫国家にみえる勢力が意外と重要な役割を担っていたり、変わった人材が深い愛着を受けていたりする発見も楽しく、ただでさえ深い世界の深みがさらに増した感じだ。
要するに、ハスハの濃緑色の軍服ハァハァ。
ファイブスター物語1−11巻感想
ファイブスター物語12巻感想
F.S.S. DESIGNS 3 KALAMITY GODDERS:BOTH
地球とは違って歴史の方が地形に多大な影響を与えまくっているが……アースドラゴンがハツーダン大陸をまとめてオマーンオフィオライト以上の代物に変えてしまっていることに深くおののく。この世界の地質学者は実地の比較惑星学やりたい放題、バスターライフルでマントルを直接観察することも可能(でも本当にやっちゃダメ、絶対)と、非常に恵まれている。
最低ラインの悲しい騎士やミミバ族をそっちの探検に使えれば――などと妄想するが、ボォスはまだしも資源が枯渇しているカラミティでは予算がつくはずもなかった。そんなこんなで騎士の才能を活かせる場所が――人格の方は向いていないにしても――限られていることが世界に与える閉塞感は大きいと思う。
と同時に、解説を加えられる国家の主要産業に必ずといって良いほど「軍事」の一文が加えられてしまっている事に、世界をかろうじて回している戦争の存在感をみた気になる。騎士やMH、ファティマなどに多大な出費をともなう戦争を任せて、一般への被害を限定し、資源は宇宙からもってくることでギリギリ経済を回している。
人類史的におそろしく説得力があるが、それだけに悪夢のような世界観が直接的に伝わってくる資料集だった。
それにしても解説文が途中から確定した事実ではなく所感を語り始めてしまったり、いつ描かれるのはさっぱり予想できない先への展望につなげるのは、なんとかならないものか。
ベビーに設定を抑えているとはいえない読者としては「ねぇわかるでしょう?」みたいな語りかたも「ちくしょうわかんねぇよっ」とダメージを受けるところがあった……結構クセのある文体については人のことをいえない身だが。
ともかく、漫画には収まりきらないレベルの情熱を注いでいることは伝わってくる。泡沫国家にみえる勢力が意外と重要な役割を担っていたり、変わった人材が深い愛着を受けていたりする発見も楽しく、ただでさえ深い世界の深みがさらに増した感じだ。
要するに、ハスハの濃緑色の軍服ハァハァ。
ファイブスター物語1−11巻感想
ファイブスター物語12巻感想
F.S.S. DESIGNS 3 KALAMITY GODDERS:BOTH