工場管理2010年5月号

改善で安全な職場づくり KYで"HH"をなくせ!(下)
 だんだん苦しくなってくる小さな改善例集。ネタが苦しいと言うよりも、小さなことでも改善は改善、もっと積極的かつ体系的に評価する姿勢を身につけるべきなのかもしれない。トラックがギリギリまで下がってくれないのは、入ってくるトラックの車種が統一されているなら座席からみえる地面に印をつけておく手もあるな。

伝統のQCC活動、若手中心の取組みで新たな効果〜段取り時間を半分以下に大幅短縮〜
 もはや社の文化としてしっかり根付いている感じだ。それでもまだまだネタはある。そういうものか。

まんが de KAIZEN 224 引取方式で、在庫削減と後工程の能率向上を実現
 2コマ目に不覚にも笑った。似顔絵がよく似ているのを確認してさらに破壊力がアップ。こういうことをやるには、部下にとってもメリットがあることを含んで伝えておいて、しつこがられないように気を使うんだろうか。
 結果さえ出して納得させられれば、それほど問題ではないレベルかな。

工場運営の光と影 46 設計の工程にキャパがあるなどと考えていると、日程の遅れを挽回することはできない
 欧米では構想設計者とCADオペレーターは分離されていると言うが、それに近い発想だった。いろいろな仕事ができるのは、特に中小企業だと意味があるので、役目を分けるよりも作業ごとに場所をわける手はメリットが大きそうだ。

隠れた病巣を暴き、明快な処方箋を示す! ドクトル・ホリコンの企業経営診療録 23 サービス業に学べ!リラクゼーションサロン編
 床屋でも同じような気がするが、あちらは時間がほぼ固定されているところが違う。

メンバーをその気にさせる 現場のコーチング術 10 年上の部下、扱いにくい…!
 だろうなぁ。強気に出すぎて臍を曲げられるのも怖いが、経験に押されていいなりになってしまうのも考えもの。そういう難しいことをするから給料があがるわけだが。

海外のゲンバから お!ナイスカイゼン 7 改善魂を復活させろ!
 コフィンの工場。話のなかで出てきている原材料が金属だったのに、写真ではマホガニーだのオークだの文字がついていたのは「それ風の塗装」なのかなぁ。土葬は大変だが、そこにも商機があることが分かって興味深かった。

工場管理 2009年 05月号 [雑誌]
工場管理 2009年 05月号 [雑誌]
カテゴリ:工学 | 21:12 | comments(0) | trackbacks(0)

動物チラリズム-趣味は人間観察ですけど…?- やきそばかおる

 チラリと見えるのではなく、動物がチラリとこっちを見てくる写真をちょっと気になる文章と一緒にひたすら掲載した写真集。

 撮影地の動物園も多岐にわたっており、作者の行動力と根気が感じられる。複数の動物が写真に載っている場合は、どいつがこっちをチラ見するのかワクワクしてしまった。全員が向いてくれている場合はなんとなく嬉しくなるけれど、作者はどれくらい粘ったのかと思ってしまう。
 動物たちの位置は動いていないし、なんか振り向かせるコツがあるのかなぁ。

 飯田市立動物園のアルビノタヌキがとても気になった。独特の模様がないと流石にキツネによく似ている。
 コメントには結構「余計な御世話だ」と思ってしまうたちのものもあるが、動物にそれを言われてしまうのが面白味なのだ。

動物チラリズム―趣味は人間観察ですけど…?
動物チラリズム―趣味は人間観察ですけど…?
カテゴリ:写真・イラスト集 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0)

青柳鉱物標本 青木正博編 地質標本館

 表紙にスコレス沸石を持ってくる渋いセンスが大好きぃいいいい!

 地学教育に尽力してこられた青柳隆二先生の鉱物コレクションが、地質標本館に寄贈されることになったさいに制作された標本写真集。出版の経緯が今吉鉱物標本 地質調査所によく似ている。

 こちらは外国産の標本も積極的にコレクションにくわえられており、基本的な鉱物種を王道産地でしっかり押さえている印象があった。さらに、同種の鉱物を産状や産地別に複数確保していることが多い。
 教育用にもちいることを考えれば、それも当然かもしれない――赤谷鉱山の金平糖型自然砒はでてきて当然のようにでてくるなぁ。
 それだけに標本のグレードは全体的に高く、1ページ丸々写真につかって紹介されている標本には目を奪われた。ファーデン水晶が群晶になっている姿は断層線を思わせて圧巻だった。谷みたいに付け替えがおきそうだと妄想してしまう。
 黄色のスクロドフスカ鉱と二重になっている銅スクロドフスカ鉱のもっと大きい写真でみたかったものだ……というか実物が欲しい。

 コレクションの特徴である福島県石川産のペグマタイト鉱物は青柳先生が第二次世界大戦時にウラン鉱を探しながら集めたものとのことで、非常に歴史を感じさせる。福島産のペグマタイト鉱物は、他の三大ペグマタイト産地(や山梨県黒平)の標本にくらべると華がない印象があるが、それはここでも払拭されなかった。
 やっぱり華の代わりに重厚感に満ちている。国内標本であろうとも堀先生のおっしゃられていた「鉱物はお国柄を反映する」に則っているのかもしれない。

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カテゴリ:地学 | 22:46 | comments(0) | trackbacks(0)

海上の森〜四季のファンタジー 矢崎進写真集

 愛知万博の会場となった海上(かいしょ)の森にあししげく通った作者の送る写真集。
 当然のことながら政治的な動きと無関係でいられないのは悲しい……万博の会場になることが取り沙汰されなくても、この写真集は出たのだろうか、とついつい思ってしまう。それをあえてチャンスと捉えて森の姿を写真集のかたちで世に伝えようとする作者の姿勢は積極的に評価できるものだった。

 みどころはやはり物静かな雰囲気をたたえた水没林の写真であろうか。
 水につかって立ち枯れした白樺はどこかモノ言いたげにみえるのだが、やはり何かを口にすることはなく――そもそも口がなく――従容として現実を受けて容れているように見える。まぁ、実際は生きれるものなら生きたかっただろうけど。

 描かれている四季のなかでは海上の森の「冬」が存外厳しいものであったことに新鮮味を覚えた。緯度や標高の問題よりも寒気の流れ込みが問題なのだろうか。さすが雪が厚くつもった様子は見られなかったけれど、森の白化粧が美しかった。

四季のファンタジー 海上(かいしょ)の森―矢崎進写真集
カテゴリ:写真・イラスト集 | 21:18 | comments(0) | trackbacks(0)

修羅の波濤8〜未完の講和 横山信義

「英霊に申し訳ないから撤兵できない。英霊に申し訳ないから講和できない。英霊、英霊、英霊!
 ああ英霊よ、そはまことに便利至極な、反論封じの決まり文句に他ならん――」

 作中で山下奉文が放ったこの言葉ほど強烈なものも珍しい。死んだ人間は「いや、あれはそういう意味で言ったわけじゃ…」なんて反論は決してしないからなぁ。言葉に踊らされるどころか「地下でこう思っているに違いない」などと、やりだすことがどれだけ自己欺瞞に満ちているか、このセリフは如実にしている。

 真珠湾奇襲の失敗によってはじまった長き戦いと議論の果てについに日本と連合国の講和がむすばれるときが来た。
 しかし、それにあくまでも異をとなえる頭の中がおめでたい人々がクーデターを起こし、日本全土が混沌とした状態になる……クーデターでの戦闘で皇軍同士があらそえば彼らが無敵と思い込んでいる組織でも修復不能の損傷をうけることがわからないものか。本当におめでたい連中であるが、史実でも早期講和をしようとすれば過激な反対活動が行われたのは想像にかたくない。
 もっとも寺尾大佐のように、周囲とのしがらみから引き込まれていってやむにやまれず乗ることになってしまって人間も少なからずいたのだろう。それまた日本的なことである。

 寺尾の場合は徳田少将みたいに上手く立ち回れば、艦隊派を発射台にすることは十分可能だったと思うのだが――村上武雄とのパイプもあるし――誰もが器用に世渡りができるわけではないか。
 最初の2・26の時に反省していれば…と惜しまれる。

 ともかく大和と武蔵が失われる絶望的な戦いをへて、日本と米英の戦闘状態は終わりを告げた。しかし、それを生みだすために起きた、ソ連とドイツの同盟が新しい戦火を満州の地に運んでくるのであった……まるでモグラたたきみたいである。

 P&Wの2000馬力エンジンを積んだ烈風や流星の活躍が楽しみだ。まぁ、生産数の絶対量から、そのうちF8Fやスカイレーダーを使った方が効率的といわれてしまう気もするが……。

修羅の波濤〈8〉未完の講和 (C・NOVELS)
修羅の波濤〈8〉未完の講和 (C・NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 21:43 | comments(0) | trackbacks(0)

修羅の波濤7〜トラック奪回 横山信義

 そう、トラック奪回――対ソ援助物資的な意味でアメリカが。

 刀折れ矢尽きながらも日本海軍は自ら放棄した地、トラック環礁への再進出を果たす。
 アメリカ海軍の太平洋艦隊司令長官が殿軍をつとめる劇的な海戦のすえに――徳田少将の賢い活躍がよかった――ルーズベルト大統領を縛っていた勝利の幻覚が晴れることになるのであった。

 虚偽の報道をさせていた彼の退陣がトルーマンの大統領就任を招き、反共主義者として知られたトルーマンへの不信感がスターリンをドイツとの停戦に走らせる玉突きのごとき変化がおもしろかった。
 現場の人間には、そりゃないよと言いたくなる展開だが、日本海軍が余裕を失ったことでインド洋での英海軍牽制を果たし得なかったことも伏線として効いている。また、日本人にとっては終戦直前に不可侵条約をブチ破られた恨みもあるので、ソ連が無茶苦茶をやっても納得しやすい土壌がちょっとはあるのかもしれない。

 ともかく、この土壇場でのソ連による背信は、下手な大海戦よりも劇的だ。
 大きな状況の変化をうけて、日本とアメリカの停戦交渉も成立の現実味を帯びてくる。だが、停戦が近いと感じるからこそ少しでも大きな成果をあげようと戦闘が激しくなることは、朝鮮戦争などをみても明らか。
 真珠湾奇襲作戦の失敗に目を覚まし、日本のために自らをすり潰してきた連合艦隊最後の戦いが幕を開けようとしている。

修羅の波濤〈7〉トラック奪回 (C・NOVELS)
修羅の波濤〈7〉トラック奪回 (C・NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 18:18 | comments(0) | trackbacks(0)

修羅の波濤6〜遥かなる環礁 横山信義

 日本海軍による反撃のターンがはじまった!しかし、それは大いなる自滅への道へ踏み出すものでもあったのかもしれない。トラックを守るアメリカ軍の堅固さがそう感じさせる。
 拠点の距離の問題もあって、やはり攻める側は不利なのだが、さりとてひたすら頭を下げて守ってばかりいても講和へのきっかけをつかむのは難しい。軍事的ではなく外交的な成果をえることの厄介さが日本軍の戦略を制限していた。
 もっと自由な発想で、搦め手から勝利を繰り返すことを積み重ねていければ理想的なのかもしれないが、まぁ真剣に講和を求めているだけでも大したものだ。

 日本の戦艦部隊が一方的に叩かれたのを含めれば1巻に三回の海空戦が描かれておりボリューム感があった。
 陸奥が残念なことになったのは、艦がもつ宿業だろうか……戦後まで生き残った長門の実績はなかなか覆せない「キャラ付け」になってしまっている。アメリカ海軍側でもエンタープライズは生き残りやすく――サラトガはまぁ…この作品だとかなり粘った――雪風に至っては真面目に考えるのもバカらしくなるくらいしぶとい。
 そんなことを考えていたらマラッカ海峡で潰されたウォースパイトが憐れでしかたがなくなって来た。

 某派閥側の人間だと分かった途端に負けフラグを立てた高木提督には苦笑させてもらった。彼我の戦力差を理解できていないわけで、無能に繋がるのも無理はないが、実にわかりやすいなぁ。

修羅の波濤〈6〉遙かなる環礁 (C・NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 22:20 | comments(0) | trackbacks(0)

修羅の波濤5〜愚行の島 横山信義

 グアム島がアメリカ軍にとってのガダルカナル島となって、著しい戦力の損耗を招く。
 実際にこんなことが可能なのか確信がもてないのだが、状況をそっくりひっくり返してみせられた風景には興味深いものがあった。少なくとも日本よりミスの少なかったアメリカも、無謬であったわけではない。
 そのことも忘れないでおいた方がいいのかもしれない。

 立場逆転がもっと皮肉に効いているのは、愚島の戦いよりも、マラッカ海峡の戦いであったかもしれない。よりにもよって捷一号作戦で恐ろしい挟撃を受け、殲滅された西村提督にイギリス東洋艦隊殲滅の役割を負わせるとは……。
 旧式戦艦同士の砲撃戦が地味に熱かった。

 アメリカとの最新鋭戦艦同士の砲撃戦では、めずらしく戦艦陸奥が活躍している。大和がまあまあでも、戦艦武蔵が酷い苦戦を余儀なくされるのはお約束に近い出来事かな(練度を思えばそれが自然だし)。
 そして、呆れるほど沈まない。

 激しい戦争の裏では講和に向けて歯車が準備運動を開始している。
 枢軸の同盟国は当然として、海軍や陸軍のなかにも足を引っ張ろうと画策する連中が跋扈している状況は面倒だ。それがどんな事態を引き起こすかについては1巻の冒頭ですでに提示されているわけで、みていて辛いものがあった。

修羅の波濤〈5〉愚行の島 (C・NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 21:43 | comments(0) | trackbacks(0)

修羅の波濤4〜反撃の一航艦 横山信義

 伊号潜水艦から発進した零式小型水上偵察機がオレゴンの森に投じた炎から、残存空母を叩き合う激しい海空戦の狼煙があがる。
 焼夷弾投下が史実であることを知っているとニヤリとできる展開だった。それが引き起こした結果については流石にニヤリとはできない――アメリカの議会制民主主義への皮肉が効いているところは悪くなかったが。

 本国からのつきあげで英雄キンメル太平洋艦隊司令長官がはじめさせたグアム攻略作戦では、いつにもまして酷いハルゼーの猛牛っぷりがみられる。史実でも台風に突っ込んだり、レイテ沖海戦で所在を聞かれたりしているからなぁ。
 弁護したいのに弁護しにくい……追い詰められたあげくに劇的な展開にもっていった点は「役者」として評価できる。空母を傷つけ損なえば翌日からの空襲で全滅するぞ。別動隊がいることも知っていたはずなのに、恐ろしい無茶をしたものだ。

 対象的に冷静にみえてしまうのがフレッチャー提督。地味なフレッチャー提督。毛利三兄弟にたとえれば、吉川元春がハルゼーで、小早川隆景がスプルーアンス、毛利隆元がフレッチャーというくらい地味なフレッチャー提督(横山先生の喩えに触発されてみた。そのため正確性はあまり気にしない)。
 無傷の零戦を手土産にして自分の地位を保とうとするところに、アメリカ海軍がそれぞれの提督個人の戦いをはじめてしまっていることが象徴されていた。恩を売る買うのレベルでも海軍との協調を考えているカーチス・ルメイ中佐の方がまだしも正常。

 こんな軍隊が史実にも存在することが悪夢だ。

修羅の波濤〈4〉―反撃の一航艦 (C・NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 23:01 | comments(0) | trackbacks(0)

修羅の波濤3〜内南洋攻防戦 横山信義

 トラックまで日本の意図どおりに引っ張り込まれた米軍はマリアナから来襲する日本の航空機に連日連夜おそわれることになる。
 あの手この手の作戦は最初からこうなることを予期していた日本側が一枚上手で、危うい戦力差をなんとか補って互角以上の闘いをくりひろげる。アメリカ軍の空母が航空機輸送に使われてしまっているのが不満だったが……日本の乏しい空母機動部隊は整備中なのだから、ヒットエンドランの一度や二度仕掛けても問題ないと思う。守りがかたい部分をさけてマリアナへの中継点を狙うのでもいい。
 勝っている安心感なのか、妙に受動的になってしまっているのだった。

 そんな中でむかえたパラオへの侵攻作戦は散々な結果に……さすがは戦艦大和(の描かれかた)だ!!
 キャラハン少将はなにも落ち度がなかったと嘯いていたが、大和を旗艦で引きつけて、長門には同じ40センチ砲戦艦をぶつけ、陸奥には36センチ砲戦艦二隻をぶつける戦術とか、工夫の余地はあったと思う。
 戦績からみて弾着観測が混ざらなければ陸奥を廃艦に追い込むところまではいけたのではないか――この世界では船体が残ったら空母に改造されてしまいそうだなぁ。

 特に描写がなかったけれど、基地航空隊の支援がうけられる位置で戦った日本海軍は弾着観測を一方的に使えたんだろうな。アメリカ戦艦の弾着観測ペースなど、細かい部分で気になる描写がいくらかあった。
 高い表現力の醸し出すスペクタルは見事なのだが。

修羅の波濤〈3〉内南洋攻防戦 (C・NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 18:38 | comments(0) | trackbacks(0)
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