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蜀の北門、剣門関
両側に崖が切り立っている物凄い地形だ。ここを切り開く方法がイメージできない……ロッククライミングの技術がある時代ではないだろうし、別の場所を迂回する判断は正解だな。
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岩殿城の防御機構
戦国時代、しかも武田氏の城という雰囲気が弱かった。切り立った岩を利用した天然の枡形など、もっと前の時代の施設に感じられる。有効性があるならば、いちいち時代を問うこともないか。
最初にもっとも攻撃の難しい、というより不可能な方向からみたイラストをもってくるのはズルいなぁ。池の位置に萌える。
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驀進する九七式中戦車 陸軍戦車学校の猛訓練
チハといえどもこれだけ集中すると壮観だ。生身の、とくに無防備な人間にとって脅威であることに関しては、榴弾射撃を得意としているだけに他の戦車に引けをとらないだろうし。
質より数の思想も教育効果を考えるとあながち間違いではない。実戦になる前に次世代の戦車を準備できていれば。
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呉海軍工廠
これくらいの解像度のCGのほうがかえってCGっぽく感じるなぁ。いまやろうとすると労力が大きくなりすぎる気がする。それにしても空母鳳翔の甲板はのっぺりしすぎていたが。
建造数比べで横須賀工廠が大量の空母を送り出していたことが印象的。
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寄生戦闘機
アメリカの飛行船空母アクロン号に可能性を感じる。太平洋戦争時に生き残っていればなんらかの役割を果たしたのでは?いや、F9Cスパロホークを専用機にしているところをみると、発展した次世代の飛行船が採用されない限りは厳しいか。
ツポレフTB−3に戦闘機を5機載せたものは何度見ても曲芸だ。
レッドサンブラッククロス外伝1でゴブリンをモデルにした架空の寄生戦闘機が出ていたのを思い出した。
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工作艦 明石
大和級が後1隻あったらとは思わないが、信濃が後2隻あったらとは思う。明石は1隻あっただけでも良かった!
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硫黄島を行く
地熱の物凄さ。生きていくには厳しい環境の話を聞くだけで自分には無理だと思ってしまう。ここで戦った人々は凄すぎるとしか言いようがない。それも兵士になる前は一般市民だったのだ。
記念碑の像で後にアル中になった一人が削除されたというエピソードが切ない。戦争体験も影響していたんじゃ…。
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帝都ローマ
実に歴史雑誌らしい特集である。記事の内容もよくまとまっており、ローマが帝国の分身であることを感じさせてくれた。この都市に住んだ人々は何を思って日々を送っていたのだろう。
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マレー電撃戦
この戦いから私が導き出したこと。
防御する側が有利に戦闘を展開するには、次の陣地に向けて組織をたもったまま後退できねばならない。その余裕がなく追撃を受け続けることになってしまえば、事実上、最初の戦闘ですべてが決してしまう(というのは流石に過言だが原理的にはそうなのではないか)。
もしも機動力に劣る側が有効な防御戦闘を行おうと欲すれば、敵より優勢な兵力を複線化された陣地に張り付けるべきである。つまり、一時期のソ連軍、と考えるとけっこう納得がいった。
プリンス・オブ・ウェールズをもってこれるのに、戦車をマレーに運び込んでいないイギリスの戦略は歪んでいる。戦艦のほうが機動力があって、蘭印などでも活動させられるって目論見だったのかもしれないが。
昭南島になりかけている戦場で、第18師団長が負傷したと聞いて口にするのは憚られることを思ってしまった…。
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ユトランド沖海戦
第一次世界大戦時点で斜陽に入っていた偉大なる兵器、戦艦。その最大の戦いとなるユトランド沖海戦が描かれる。限られた北海を舞台にしているにも関わらず、段取りがまどろっこしいと感じてしまうのは、やはり水上艦艇の作戦行動だからであろうか。シェア提督が飛行船と連携しようとしていた点は興味深いのだが、それは果たされず、遭遇戦の連続となる。
戦艦の性能もさることながら、捕獲された暗号をそのままにしていた落ち度が大きく響いていたことを考えるとカタログスペック信仰の空しさを思わずにはいられなかった。
ドイツ海軍がみせた応急処置を含めた実際の性能と経験豊富な人材による運用。ふたつを兼ね備えた海軍が本当に強い。
表で比べてみるとイギリスの42口径15インチ砲が地味に優秀砲だ。
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姉川合戦の真実
やたらと劇的な展開でみせる合戦に再構成された姉川の合戦の「真実」。あまりにも劇的で楽しいことがかえってウソっぽい印象を与えるのだけど、いろいろ説明できているし、秀吉がこういう例から学習したと考えるのもしっくりくる。
何よりも恐るべきは徳川軍団が朝倉勢の猛攻に耐えていることか。遠国へのお助け出張でも高い士気を保ち――なんせ三河兵なので――信長もその働きに応えて援軍を送った。有機的な連携の点で朝倉・浅井連合をうわまわっていたのかもしれない。
浅井勢が信長を攻撃するふりをして徳川の右側面を攻撃できていれば勝敗は逆になった気がする。あくまで主攻勢を朝倉勢とするなら浅井勢の攻撃は積極的にすぎた。おかげで美濃三人衆による迂回攻撃に対処する余裕もなくしてしまっているし。
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CG再現 重巡 高雄・摩耶
重巡洋艦の精悍なイメージにぴったりの背景だなぁ。人物の顔が真っ黒にされているところが地味に怖かった。
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秋津洲
二式大艇が搭載されたかなり印象的な姿で載せられている。やはりあの機体は大きく、船ごと飛んで行ってしまいそうな印象すら与えかねない。背景がとても綺麗だった。隣の水上機母艦日進も見ごたえがある。
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二式大艇大研究
要求性能をやたらと高くする悪癖が、優れたエンジンに恵まれたこともあって良い方向に作用した例かな。火星エンジンに素直に資材を投じていれば?
機体の断面図がおもしろかった。絵本にあるビルのそれを彷彿とさせることからも、二式大艇の巨大さを意識できる。著者の三木原氏が持ち出した、もし第二次真珠湾爆撃が情報局を直撃していたら、というIFは
超弩級空母大和シリーズで使われることになった。
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戦国最強軍団はこれだ
戦国大名のうち有名な8家をレーダーチャート化して比較。こういうのちょっと恥ずかしい。でもやりたくなる気持ちは分かる。手法のかわいさを著者が微に入り細を穿つ記述でカバーしていた感じだった。
「中入り」がどんな戦略なのか理解できた点が自分にとっては収穫。ダンケルク突破戦もいちおう中入りといえるのかしら。
著者が選んだ大名家はバランスの取れた武田家。個人的には押したい徳川家が負けてしまっている相手だから否定しにくいのぅ。徳川家のデータが関東に移る前のものだった点が気になった。根付いた土地での戦力で比較をってことか――後北条氏のことは深く考えまい。
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大改造軍艦フューリアス物語
変態英国にやりたい放題されてしまった不遇の元大型軽巡洋艦フューリアス。モニター艦って言葉がでてこなかったのが不思議だった。
紆余曲折の改造歴が空母発展史そのものになっている。そんなフューリアスの歴史的価値は非常に高いといえる。
まぁ、林譲治氏らしい喩え話で最後をもっていかれてしまったが…。
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西洋史面白人物伝 神をも恐れぬ狂戦士ヴァンダンム
ナポレオン配下の将軍で「元帥ではない」人物。その事実が限界と能力を物語っている気もするが、歴史を彩る存在としては非常に興味深いといえる。
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三国志人物鑑定【ホウ統の巻】
後世になるほど人物は事績から判断するしかないわけで、活躍期間の短かった人材には難しい問題がつきまとう。しかし、いろいろな人物評を集めることで再評価ができるようにしている記事。書籍のお試し版的な色彩が強い。
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タンクバスター伝説
対戦車攻撃型スツーカとシュトルモビクの比較論だが、結論はシュトルモビクにルーデルを乗せたら、どれだけの戦果をあげたことか……に落ち着いた。T−34もされなかったが、コピーしちまえばよかったのに。
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戦国愚将列伝 斉藤竜興
さすが学研、局部はきちんと隠している。そんな問題でもないか。竹中半兵衛にしょんべんを掛けて稲葉山城を乗っ取られたという何とも情けない逸話付きの戦国大名である。もし義竜が長生きしていたら戦国の歴史はどう変わっていたのやら。
猛き黄金の国-道三-のニキビ面を思い浮かべながら想像したくなる。
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白石城天守
気合いの入った復元の様子を詳細に伝えてくれている。それぞれの木材の性質にあった工法があることを紹介してくれているところがよかった。
拝観料400円は決して高くはないだろう。いちど行ってみたいなぁ。
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3D図鑑制作講座vol.1
プリンス・オブ・ウェールズが雷撃されるシーンの再現モデル。3Dと言われるとCGのものを連想してしまうが、プラモデルを使ったものである。海面の作成にハマりだすと軍艦本体よりも止まらなくなる予感がした。
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三国志 諸葛孔明伝
Windows95のソフト。ずいぶん昔になってしまったものだ。軍師検定がかなり気になった。イメージするより自由度は相当低いのだろうけど。
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機械伝説NO.2 四式射爆照準器
かなり凄いモノ。自慢げなのも納得である。当然といえば当然だが、手が込んでいるなぁ。
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インタビュー 坂井三郎
王道のインタビュー。宮本武蔵になぞらえて空戦を語られている。さすがにインタビューを受ける態度に余裕があるなぁ。
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侃々諤々 戦国合戦の謎 姉川合戦を考える
けっきょく著者の考えに議論がひっぱられている。どうも複数の局面をつなげて議論しているせいで、その印象が強まってしまっている気がした。浅井・朝倉軍が信長と「初期に戦ったスライム」ではなく、充分精強な勢力であったと認識を改める良い機会になった。
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戦術学講座vol.3
防御作戦の組み立て方をたくみに説明している。やはり基礎はしっかり築きたいわけで、そうとうためになった。なんの「ため」にと聞かれてしまうと困るけれど。
実体験に基づいた軽めの知識が消化を助けてくれる。
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劉邦に天下をとらせた五人の“漢”
蕭何、張良、韓信までは基本的にあげられる人物だが、それに陳平と?食其をくわえている。それぞれ方向性のことなった方法で劉邦に天下をとらせた人材たちだ。
著者の劉邦に対する評価がかなり高かった。間違った献策もけっこう受け入れてしまっているのだが――それで致命傷を受けず、疑心暗鬼にも陥らず、良いものをより多く採用できたことが劉邦の優秀さなのかもしれない。
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十二戦艦物語
戦艦の写真がたくさんあって楽しい。比叡の御召艦時代の画像など、戦争ばかり気にしているとなかなか見られないものなのではないか。プリンス・オブ・ウェールズとの激突IFは英艦隊に補助艦艇が少なかったことがひとつの結論になりそうだ。
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戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 感想記事一覧