魚食の民〜日本民族と魚 長崎福三
2011.07.30 Saturday | by sanasen
四方を海に囲まれた日本と魚の関わりを、歴史や文化、生態など多角的な視点から描きだした本。最初に書かれたのは1981年で、現状にあっていないと思われる部分も多々あるが、魚食や漁業の歴史などについては非常にためになった。
海の富栄養化によって、ノリ養殖が栄えることは喜ぶべきか、嘆くべきか……。
個人的にはイワシやニシンの生産量の変化を生態学的な観点から分析するくだりが興味深かった。特定の集団がいなくなってしまうことが問題なら、問題の場所に集団を移植することで生産量を回復させられそう……何か思わぬ変化が起きそうで怖くもあるが。
生産量が減っている魚に更に漁獲圧を掛けてしまうことの危険性や、“イサナ”とも呼ばれていたクジラが日本の沿岸から姿を消していった事情など、種の保存に関する問題は今に続いていて興味深い。おかげで漁業権があることの意味も分かってくる。
企業が養殖ならともかく漁業を行うことはリスクが高いように思われた。
それにしても「すこぶる」の形容詞がすこぶる多い文章だった……全編を通して学術的で淡々とした文章なのに、すこぶるが多い癖のおかげで妙に人間味を感じた。
魚食の民―日本民族と魚 (講談社学術文庫)
海の富栄養化によって、ノリ養殖が栄えることは喜ぶべきか、嘆くべきか……。
個人的にはイワシやニシンの生産量の変化を生態学的な観点から分析するくだりが興味深かった。特定の集団がいなくなってしまうことが問題なら、問題の場所に集団を移植することで生産量を回復させられそう……何か思わぬ変化が起きそうで怖くもあるが。
生産量が減っている魚に更に漁獲圧を掛けてしまうことの危険性や、“イサナ”とも呼ばれていたクジラが日本の沿岸から姿を消していった事情など、種の保存に関する問題は今に続いていて興味深い。おかげで漁業権があることの意味も分かってくる。
企業が養殖ならともかく漁業を行うことはリスクが高いように思われた。
それにしても「すこぶる」の形容詞がすこぶる多い文章だった……全編を通して学術的で淡々とした文章なのに、すこぶるが多い癖のおかげで妙に人間味を感じた。
魚食の民―日本民族と魚 (講談社学術文庫)