深海-ABYSS- クレール・ヌヴィアン

 真っ暗な深海に住む生物の写真図鑑。
 妖しくも美しい軟体動物たちがまるで異世界のような深海にいざなってくれる。マリンスノーが本当に星みたいで、丸っこい深海生物は有機的な宇宙船に見えた。中には宇宙人そのものに見えてしまう奇怪な生物もいるけれど……。
 軟体動物に比べると深海魚は本当におぞましいから困る。

 気になった生物としては底生のパージェス動物を思わせるイツクチブンッブクの一種が挙げられる。お互いを刺でさし合うことで集団の密度を保つとは、ハリネズミのジレンマが通用しない生物である。いや、コロンブスの卵的な手段で解決していると言った方がいいのかもしれない。
 集団の真ん中に位置する個体は餌のもらいが少なそうだが、襲撃を受けるリスクも少ない。リスクとリターンが釣り合った生態をしている。

 他には異様極まるユビアシクラゲが印象的だった。まったく透明感のない重々しい色彩は、悪の宇宙要塞もかくや。こいつに食べられるのとクリオネに食べられるのでは気分が大分違うのではないか。


 多くの学者がそれぞれの得意分野について解説しており、深海にまつわる名言も充実している。地球上に残された最後にして最大のフロンティアへの情熱が感じられる写真図鑑だった。でも、最大の生命圏の看板は「地下」に奪われそう。

深海【奇妙でカラフルな深海の世界】
深海【奇妙でカラフルな深海の世界】
カテゴリ:科学全般 | 23:24 | comments(0) | trackbacks(0)

ヨーロッパ史における戦争 マイケル・ハワード/奥村房夫・奥村大作

 暗黒時代の初期から対テロ戦争の開始まで、ヨーロッパ史における戦争を簡潔で優美な文章で力強くつづった著作。非常に長い期間がわずか二百数十ページに圧縮されて描かれている。戦争に偏ってはいるものの、ヨーロッパの通史として読んでもパフォーマンスが高い。
 この本でヨーロッパ史の流れを掴むのも乙といえるのではないか。

 個人的には第一次世界大戦まで食い込んでくると「何か違う」と感じてしまうのだが……この時代までは期待していなかったせいかなぁ。アメリカの存在がどんどん重くなってきて、本を通して“ずっと成長を見守って来た”ヨーロッパが軽くなっていくことが寂しかったのかもしれない。
 反面、日露戦争の話題で日本が出てくるのは嬉しかった。第二次世界大戦で出てくるのは複雑な気持ちだけど……。

 オックスフォード大の教授であった著者の文章には、私の文体にまで影響を与えるパワーがあった。時にユーモアたっぷり、時にざっくばらんに、歴史上の出来事を描きだしてくれている。
 スペインがオランダに金を払って海軍を整備し、オランダはその売り上げでスペインと戦っていたことは衝撃的だった。お前ら一体何がしたんだ――戦争か。戦争戦争戦争!

 戦争が第一次世界大戦の前くらいまでは社会と切り離せない代物であり、相互に影響を与えあっていたとする論調が、奇抜ではないものの印象的だった。軍隊を社会からかけ離れたものにしてしまうことは、暴力を制御する機会を自ら放棄することに繋がらないか、心配だ。

 巻末の解説や参考文献も充実していて(特に英文を読みこなせる人なら)更に戦争史の世界を広げていける構成になっている。入門にもまとめにも良い本だ。

ヨーロッパ史における戦争 (中公文庫)
ヨーロッパ史における戦争 (中公文庫)
カテゴリ:歴史 | 20:04 | comments(0) | trackbacks(0)

戦略戦術兵器事典2日本戦国編 歴史群像グラフィック戦史シリーズ

 日本の戦国時代における戦争の実相について豊富なデータを用いてまとめられた本。1994年の初版発行なので、いろいろと陳腐化している部分があるのは否めないが、逆に著者の先進性が垣間見える記事も存在している。山城から平城への進化が起こったわけではなく、軍事的政治的必要性から城が建てられていたとする記事などが好例だ。
 どうしようもないところでは長篠の合戦が鉄砲3千丁の三段撃ちと明言されてしまっている……ちょっとは疑義を挟んでほしかった。ただ、合戦の紹介は航空写真に記号を描き込んだものなので、文章とは別にかなりの見応えがあった。天神山の棚田が実に立派である――当時はなかっただろうし、今も存続しているか怪しいが。

 あと様々な著者の様々な記事の集合体であるせいか、鳥取城の干殺しがクドイほど繰り返し出てくる点が気になった。秀吉の買い占め作戦について5回くらい読まされた気がする。その点は酔っ払い親父みたいな本だ。
 甲陽軍鑑が大活躍している件については――記事中でも言われている通り――他に資料がないからしかたがないのかなぁ。陣形の章など江戸時代の軍学に影響を受けていると思われるが、話半分には面白い。

 不朽の価値をもっていると感じるのは当時の書状などから分析された一連の統計データで、兵が一日に必要とする兵糧や、250人がこもる城に蓄えられた物資の実際などが分かりやすくまとめられている。
 銃弾の材質について鉛、鉄、銅青銅の三つをまとめた記事も興味深かった。各大名家を紹介するところのデータが同じものになっていれば面白かったのだが、そうそう都合よく集まってはくれないか。

 巻末の戦例集もなかなか充実しているのだけど、日本の戦国時代に限っては同系の本が多いので、最新のモノよりは魅力に劣ると感じた。それでも、本を通して得られた知識をもって読めば、思うところは多々あった。

関連書評
グラフィック図解 関ヶ原の戦い 歴史群像シリーズ
グラフィック図解 長篠の戦い 歴史群像シリーズ
戦国合戦イラスト&マップ集 歴史群像シリーズ
歴史群像アーカイブvol.13 戦国合戦録 信長戦記

戦略戦術兵器事典 2 日本戦国編 (歴史群像グラフィック戦史シリーズ)
カテゴリ:歴史 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0)

泳ぎません。 比嘉智康

 比嘉先生の三作目は初めての女の子主人公――女の子視点は今までもあったが、女の子視点が固定したままハーレムに持ち込みそうなので修羅場描写に期待が高まる。こんなにほんわか仲良しの変人水泳部が嫌いなはずの男のために引き裂かれてしまったら!?
 まぁ、神卵太郎くんの誠意ある行動と日頃の妄想と、ヒロインたちの変人っぷりがあれば、なんとでもなる!ただし、龍の隠された鱗と八重っちの胸にだけは触れるなよっ。

 ヒロイン全員が男に対して嫌悪感や歪んだ好奇心を抱いている設定には最初、気を揉んだ。それでもギャルゴさんなら!ギャルゴさんなら、同じプールに入った瞬間、全員孕ませてくれる!!と念じたけれど、全員孕ませる仕事はギャルゴさんでも集団不純異性交遊部を創った勝ち越しさんでもなく、新聞部の神卵太郎に与えられているようだ。
 ラスボスは「美少女バイキング」なのかなぁ……。

 これまでの衝撃的な展開が念頭にあるせいで、ついついおぞましい展開を想像してしまう。物語の出だしも、もい子がメールで男を弄んだことを匂わせていたり、にいちゃんが犯行予告に使えそうなアイテムを用意していたり、晴天の下で遠雷を聞くような気分にさせられた。
 やっぱり、きっと、何か、何かある!

 たとえばー、プールから排水された水がすべて誰かさんの胃に消えているとかー。神卵太郎の第二の人格、淫乱太郎が目覚めるとかー。

 でも、神と八重のフラグを速攻で回収したのは読者を必要以上に不安がらせないためのはず。水泳部員三人に桜子幕府も絡んで、キャピキャピしながらも抱腹絶倒させられる恋愛模様が展開されることを望む。
 でも、物語の舞台を放課後のプールに限定しているからできる描写が限られるなぁ……水中出産か!

比嘉智康作品感想記事一覧

泳ぎません。 (MF文庫J)
泳ぎません。 (MF文庫J)
カテゴリ:文学 | 17:22 | comments(0) | trackbacks(0)

図説 古代の武器・防具・戦術百科 マーティン・J・ドアティ/野下祥子

 シュメールから暗黒時代の初期まで。古代における軍事に関わる事柄を歴史の流れを踏まえながら紹介してくれる本。
 なかなか詳しく説明されている本の少ない古代メソポタミアの軍事について、かなり詳しく取り上げてくれている点がよかった。サルゴン王は相当偉大だ。戦争を交えることは自然と敵のレベルに近づくことをもたらすから、部族民国家とはいえ、メソポタミア周辺の軍隊も文明が乏しい地域の軍隊とは違っていたことだろう。
 あと、バービルムの繁栄について四方世界の王のネタバレになる知識を得てしまった……常に2対1に持ち込むとは巧い外交じゃのう。

 各国の軍事史が非常に短くまとめられていて、知っている戦争についておさらいするのに丁度よかった。あまりに簡潔なので、基礎的な知識がないと戸惑うかもしれない。
 そして、簡潔であっても新しい視点を感じることが何度かあった。

 文章はかなり直訳に近い雰囲気で、それが戦争の描写にあってはいるのだが、飽きやすいきらいがないでもなかった。
 たまに事実誤認が混ざっている点もマイナスだ――カルタゴがギリシア人の国家のように書かれていたのには正直腹がたった。あと、マリウスが「北アメリカ」で戦ったことになっているのは原著が間違っていたとしても酷い間違いだ。本当は「北アフリカ」だと、まともな地理感覚があれば分かりそうなもの。
 まぁ、不満はあっても、この手の本では間違いが少ない方だったと思う。間違いではないのだが「ペルタスタイ」を「ペルタスト」と呼んだり、原語よりも英語に引きずられた様子の単語がでてくるところも多少気になった。

 とりあげられている戦例は――詳しさに欠けるものが多いとはいえ――とても多く、その囲みだけを追っていくだけでもエキサイティングだった(ただし戦闘技術の歴史1〜古代編3000BC-AD500に収録されているものも多い)。特にユダヤ人と周辺民族の戦例が充実している。2Pがっつり書かれた「メロムの水場の戦い」をこの本で初めて知った。
 まったく、旧約聖書(というかカナンの地)は戦争の宝庫だぜ!

関連書評
会戦事典 古代ギリシア人の戦争
歴史群像アーカイブvol.4 西洋戦史ギリシア・ローマ編吸

図説古代の武器・防具・戦術百科
図説古代の武器・防具・戦術百科
カテゴリ:歴史 | 00:31 | comments(0) | trackbacks(0)

植物化石 5億年の記憶

 植物の歴史を「圧縮化石」「印象化石」「鉱化化石」の写真をもちいて追っていく。写真の画質がすばらしく、紙もとても質の良いものを使っているので、たいへん見応えがあった。
 特に珪化木で有名な鉱化化石は美しく、所有欲をそそられてしまった。球果も鉱物化することがあるとは、面白い。

 時代ごとに挿入された景観復元図も太古の地球を想像させてくれて、好奇心を刺激した。次々と進出する世界を広げていく植物の生命力に手に汗を握る。


 また、巻末に収録された「三木茂の仕事」も興味深かった。
 博物学系研究者の王道を行く、日頃の地道なフィールドワークと入念なスケッチ、基本に忠実でありながら想像力の豊かさを感じさせるメタセコイアの研究。他の分野に手を出していても大成していただろうと思わせる。

 大雨の後、東へ西へ崖崩れ跡を探しに旅したエピソードは良く考えるとかなり危ない。追加の崖崩れがあるかもしれないし、増水した川を渡る状況も必然的に多かっただろう。植物化石の前に水草を研究していた経験が川を渡るのに活きていたのかもしれない。まさにフィールドワーカー!


関連書評
琥珀〜永遠のタイムカプセル:琥珀入り昆虫化石写真図鑑の名著

植物化石――5億年の記憶 (INAX BOOKLET)
植物化石――5億年の記憶 (INAX BOOKLET)
カテゴリ:地学 | 00:10 | comments(0) | trackbacks(0)

王家の風日 宮城谷昌光

 中国で二番目に古い王朝である「商(周人は殷と呼ぶ国)」の最後の日々について描いた時代小説。小説の体裁をとることによって、かえって封神演技の神話の彼方にある時代に理性の強烈な光を投げかけている。
 祭祀をなによりも優先した商王朝の姿がとても新鮮で、印象的だった。戦争や狩りも神のために行なっている――聡明な受(紂)王はそこから離脱しようとしたけれど、商王朝の連続性の上では不可能で、周王朝への世代交代がなければ完成しなかったと言えるかもしれない。
 情報源をよりにもよって占いに頼った結果、負けたのは憐れだ。

 周が覇権を握るにあたって、かつて商に滅ぼされた「夏」に連なる国々が大きな役割を果たしていることも興味深い。というか商の長い歴史のなかで存在し続けられることが凄い。周に倒された商も、宋の国となって戦国時代まで続いているくらいだからなぁ。古代中国の人々は気が長い。

 もしかしたら商の王になっていたかもしれない箕子や、彼と対立していたこともある干子も面白かったが、いちばん精彩を放っていたのは周に滅ぼされた秦の王族であるエイ廉とエイ来だった。三国志に出てくる悪来とは、この人だったのかという驚きもある。そして、苗字の漢字が難しい。
 彼と伍して戦えるつわものだった“若き”太公望にも驚きだ。超強力な諜報機関をつくって商王朝を内側から蝕む彼の姿は、ビン〜孫子異伝〜で描かれる孫ビンのモデルになっていそう。

 紂王が単純な悪役ではなく、有能だが欠点もあり、王朝の矛盾を一身に背負うことになってしまった非業の君主として描かれているところが良かった。結末を知っていても彼のことを応援してしまうのだった。


宮城谷昌光「王家の風日」に描かれた「牧野の戦い」を戦況図化してみた
宮城谷昌光作品感想記事一覧

王家の風日 (文春文庫)
王家の風日 (文春文庫)
カテゴリ:時代・歴史小説 | 23:49 | comments(0) | trackbacks(0)

風は山河より 第二巻 宮城谷昌光

 いちどは三河を席巻した英雄、清康の横死によって“パッとしない二代目”松平広忠の時代にうつる。特別付録で、なにごとも三代掛かり、二代目はパッとしないことが多いと歴史の法則が語られていた。
 パッとする二代目と言えば、誰から数えはじめるかにもよるが、北条氏綱や真田信之あたりかなぁ。長宗我部もなかなか……。

 しかし、確かに広忠はパッとしないわけで、国内は麻のように乱れて、周辺諸国の脅威をいいように受けている。石高的にひとまとまりになれれば充分に対抗していけるものが、親戚を上手く扱えないばかりに悲惨なことになるとは。
 松平信定に続いて、松平信孝が問題になるところに、松平一族そのものの問題点を感じた。親戚が多いのは長所であり短所でもある。織田家みたいにとことん内訌をやりきってしまうのでなければ、うまく顔を立たせてやらなければならない。


 低迷する松平家の代わりに尾張の織田信秀が輝いていた。
 負けても落ち込むことなく、次々と奇抜な行動を起こして見せる。その積極性と明るさがかけがえない魅力を放っていた。寄進によって寺社や朝廷の覚えをめでたくしていることが、信長の雄飛にも繋がっていたのであろう。もちろん、津島の経済力があってこそ出来ることだが。

 そんな信秀軍8000をわずか800で破った井田野の戦いは実に三河武士らしい戦だった。姉川の合戦であそこまで奮戦できた理由もなんとなく分かった気がする。
 あそこまでしっかり陣形を固めてじりじりと歩を進めてくる相手には、鉄砲の一斉射撃で対するのが有効だろう。もしかしたら、織田軍の軍備はいざというとき三河武士に対抗するために編み出されたものなのかもしれない。一代前でこれだけ殴り合っていれば、意識しない方が無遠慮だ。

宮城谷昌光作品感想記事一覧

風は山河より 第二巻
風は山河より 第二巻
カテゴリ:時代・歴史小説 | 10:39 | comments(0) | trackbacks(0)

風は山河より 第一巻 宮城谷昌光

 東三河の交通の要衝、野田城城主「菅沼正則」を主人公とする歴史小説。
 三英傑よりも二世代前の、松平清康の時代から物語は始まっている。登場人物の名前に耳になじまないものが多く、その子供や孫の名前を挙げられて印象を新たにさせられることが繰り返された。
 その点、権威は衰えたりとはいえ足利将軍の名前は時代に一定の座標を与えられている。腐っても幕府と言ったところであろうか。

 まずは三河一国をまとめようとする松平清康の奮闘が描かれるのだが、そのために戦う三河人の「習性」がすさまじい。
 籠城を潔しとせず、勝つための戦術であっても一歩も退くことをせず、粉骨砕身して敵にぶつかっていく。まるで小説のような壮絶な玉砕を、そこまで重要ではない戦いで違和感なくやってしまえるのはいかがなものか。
 松平信定や後年には石川数正が付き合いきれないと考えるのも無理はない。

 まぁ、この不器用さが堪らなく愛おしいのであるが――見方によっては堪らなく不気味なんだろうけど。
 三河人の強烈さを、著者が非常に落ち着いたトーンで語るところが非常に趣味良く感じられて、楽しめた。


 野田城周辺の地理を草の臭いまで伝わってくる勢いで、描いているところも魅力。土地が人々を育むことが見えてくる。
 史料によれば当時の三河が29万石で、駿河が15万石であることに驚いた。


宮城谷昌光作品感想記事一覧

風は山河より 第一巻
風は山河より 第一巻
カテゴリ:時代・歴史小説 | 10:53 | comments(1) | trackbacks(0)

彼と人喰いの日常 火海坂猫

「明るい映画が好きです。明るい小説や漫画が好きです。BADENDは認めません」〜折り返し作者コメントより。

 ……どうやら火海坂先生は真性らしい。BADENDとまでは言い切れないものの、お世辞にも明るいと言えるお話ではなかった。特に幼馴染の境遇が辛すぎる。受け取りようによっては萌え要素なのかもしれないけど。
 かといって面白くないかと言えば、そういうわけでもなく、物静かな文体とダークネスな内容のハーモニーが趣深かった。それでいてラノベらしい読みやすさは維持されている。


 彼と人喰いの日常において最大の「売り」となるのは、ブラックホロとでも呼びたくなる人外ヒロイン黒衣(くろえ)だ。
 主の指示にしたがって――現実には逆に無理矢理選ばせているのだが――人間を月に一人は殺して食べるという恐ろしい設定をもっている彼女の存在は忘れがたい。しかも、殺人を指示したことを自覚させる露悪的な行動を繰り返す。猫が取って来たゴキブリの死骸を飼い主に見せるのとはワケが違う。
 存在からして罪と切り離せないため、好き嫌いが激しく別れそうなヒロインではあるが、なにやら不思議な魅力を湛えているのも事実。
 不覚にもラストには時めいてしまったよ……主人公の十夜が、吊り橋効果で人の吊り橋から落ちないことを切に願う。

 ところで、最後の人喰いは催眠術を使えば、もっと楽に回避できたよね?あの効力なら人格を変えるくらい楽勝だし、記憶喪失に追い込んで放浪させるだけでもいい。許せないにしても一ヶ月その状態でもたせてから始末すれば犠牲者を増やさずに済んだのに……後でそれを十夜に気付かせて更に追い詰めるつもりなのか?
 さすがは黒衣さん、えげつない。

彼と人喰いの日常 (GA文庫)
彼と人喰いの日常 (GA文庫)
カテゴリ:ファンタジー | 23:31 | comments(0) | trackbacks(0)
| 1/2PAGES | >>