図解雑学ハプスブルク家 菊池良生
2012.08.31 Friday | by sanasen
700年を超える歴史を持つハプスブルク家。彼らの春秋を中世の勃興時代からオーストリア・ハンガリー二重帝国が解体した第一次世界大戦まで一冊で追いかける挑戦的な本。巻末には文化を紹介する章まであって、非常に欲張りである。
血縁を重視するハプスブルク家の戦略は彼らに繁栄と衰退をもたらしている。民族主義の時代になってしまえば、多民族国家を治めていることが足枷になってしまっていた。
それでも、他民族が許容される世界の存在意義があったことがウィーンに多くのユダヤ人を集めていたことで証明されている。イスラム教世界ならオスマン帝国が、海の向こうならアメリカ合衆国が多民族国家をやっていたわけだが、宗教(社会主義を含む)でも文化・法律でもなく、ハプスブルク家を象徴に他民族をまとめるのは無理があったのだろう。
事実上最後の皇帝であるフランツ・ヨーゼフは皇室であることよりも個人の象徴力で国をまとめていた印象なので、ユーゴスラビアとチトーの関係に近いと思った。
歴代の人物ではフェリペ2世が酷評を受けていたことが印象的だった。まるで良いところがないような書かれっぷりだ。カール五世やその弟とくらべてしまうと評価できないのも納得してしまう。
ろくでなしだけど、長生きの力で多くの物を手に入れたフリードリッヒ3世のような例もあるのだが。
ハプスブルク家 (図解雑学)
血縁を重視するハプスブルク家の戦略は彼らに繁栄と衰退をもたらしている。民族主義の時代になってしまえば、多民族国家を治めていることが足枷になってしまっていた。
それでも、他民族が許容される世界の存在意義があったことがウィーンに多くのユダヤ人を集めていたことで証明されている。イスラム教世界ならオスマン帝国が、海の向こうならアメリカ合衆国が多民族国家をやっていたわけだが、宗教(社会主義を含む)でも文化・法律でもなく、ハプスブルク家を象徴に他民族をまとめるのは無理があったのだろう。
事実上最後の皇帝であるフランツ・ヨーゼフは皇室であることよりも個人の象徴力で国をまとめていた印象なので、ユーゴスラビアとチトーの関係に近いと思った。
歴代の人物ではフェリペ2世が酷評を受けていたことが印象的だった。まるで良いところがないような書かれっぷりだ。カール五世やその弟とくらべてしまうと評価できないのも納得してしまう。
ろくでなしだけど、長生きの力で多くの物を手に入れたフリードリッヒ3世のような例もあるのだが。
ハプスブルク家 (図解雑学)