信長公記で追う 桶狭間への道 水野誠志朗
2013.01.30 Wednesday | by sanasen
タイトルは桶狭間を強調しているが、尾張で織田信長が送った前半生をゆかりの土地を巡って追うことのできるガイドブックである。実際に現地に行くための案内が充実していて、ページの下に用意されたQRコードを読ませればグーグル地図を開くことすら可能という面白い構成になっている。
じっくりと信長の若い時代を追いかけたいと考えたときに役立つ本である。特に土地勘のある地元の人間には面白いのではないか。
信長の若いころを見ていると、絶え間なく押し寄せる国内の問題と国外の問題に同時に対処していることが興味深い。内部が乱れている国は外部からも狙われる。
まずは国内をまとめてから国外なんてイメージしやすい形にはなかなか持っていけないのである。よほどタイミングよく周辺諸国も乱れてくれなければ。
信秀の絶頂期から退潮期についても触れられているが、落ち目になっても潰れずに、信長に遺すものを守りきった点を評価したい。むしろ成功続きのままバトンタッチするよりも、後継者にとってはやりやすい面があったのではないか。
比較される上に、目立たない負債を背負い込まされるよりもいい。そんな風に信秀を評価した。
戦乱続きの信長を支えた存在として著者は「親衛隊」を重視していて、桶狭間の前に行われた数々の戦闘でも彼らに注目している。それが実際に、どんな集団だったのか、イメージを膨らませすぎに感じることもあったけど、おもしろい視点であることは確かだ。
最後にあった桶狭間の戦いの予想については、文章を追っていると理路整然と感じる。しかし、別の説を読んだときも印象は同じだったから、なんとも言えないのだった。
著者の勧めるように実地踏査をして、確固とした自分の意見をもつことが一番であろう。
信長公記で追う「桶狭間への道」 2012年 06月号 [雑誌]
じっくりと信長の若い時代を追いかけたいと考えたときに役立つ本である。特に土地勘のある地元の人間には面白いのではないか。
信長の若いころを見ていると、絶え間なく押し寄せる国内の問題と国外の問題に同時に対処していることが興味深い。内部が乱れている国は外部からも狙われる。
まずは国内をまとめてから国外なんてイメージしやすい形にはなかなか持っていけないのである。よほどタイミングよく周辺諸国も乱れてくれなければ。
信秀の絶頂期から退潮期についても触れられているが、落ち目になっても潰れずに、信長に遺すものを守りきった点を評価したい。むしろ成功続きのままバトンタッチするよりも、後継者にとってはやりやすい面があったのではないか。
比較される上に、目立たない負債を背負い込まされるよりもいい。そんな風に信秀を評価した。
戦乱続きの信長を支えた存在として著者は「親衛隊」を重視していて、桶狭間の前に行われた数々の戦闘でも彼らに注目している。それが実際に、どんな集団だったのか、イメージを膨らませすぎに感じることもあったけど、おもしろい視点であることは確かだ。
最後にあった桶狭間の戦いの予想については、文章を追っていると理路整然と感じる。しかし、別の説を読んだときも印象は同じだったから、なんとも言えないのだった。
著者の勧めるように実地踏査をして、確固とした自分の意見をもつことが一番であろう。
信長公記で追う「桶狭間への道」 2012年 06月号 [雑誌]