よくわかる元素図鑑 左巻健男・田中陵二
2013.05.31 Friday | by sanasen
水素からリバモリウムまで、元素を写真で紹介していく元素図鑑。例によって産出鉱物や利用方法が解説されている。
利用方法関係では、ただでさえ珍しい元素が原子力発電に関わることが多いのに、原発事故のおかげで別の方向からも名前のでてくる元素があって、いささか食傷気味だった。
一方で放射性元素に関係して鉱物標本の写真が多くみられた点は、鉱物好きとして収穫だった。橙色のキュリー石と一緒に写っている緑色の結晶は燐銅ウラン鉱かな?人形峠産の燐灰ウラン鉱が立派過ぎて驚いた。
父島産の輝沸石といい、日本産らしからぬグレードの標本が飛び出して来る本だった。産地の解説が全ての標本にないのは、元素図鑑である以上は仕方がない。
個別の元素ではベリリウムの解説にある「単体と化合物に甘味があり、わずかな量で死に至る強い毒性があります」が強烈だった。これ、甘味を確認した人は死んじゃったの?舌に載せるだけで吐き出せば助かるのかな……どんなに想像しても怖すぎる。
クリプトンを吸うとヘリウムを吸うのとは逆に声が低くなるというトリビアも気になった。ボーカロイドを発売している某会社は、何故そんな元素を社名に選んだ?
銀の皿は純粋なヒ素には反応しなくて、微量に含まれる硫化ヒ素に反応していたらしい。緑青の毒性とされていたものが銅ではなく、分離されなかった鉛から来ていた逸話を思い出す。
周期表一枚にまとめることのできる小さな世界が、無限の広がりを持っている。そんな感覚が楽しかった。
関連書評
世界で一番美しい元素図鑑 セオドア・グレイ/ニック・マン
よくわかる元素図鑑
利用方法関係では、ただでさえ珍しい元素が原子力発電に関わることが多いのに、原発事故のおかげで別の方向からも名前のでてくる元素があって、いささか食傷気味だった。
一方で放射性元素に関係して鉱物標本の写真が多くみられた点は、鉱物好きとして収穫だった。橙色のキュリー石と一緒に写っている緑色の結晶は燐銅ウラン鉱かな?人形峠産の燐灰ウラン鉱が立派過ぎて驚いた。
父島産の輝沸石といい、日本産らしからぬグレードの標本が飛び出して来る本だった。産地の解説が全ての標本にないのは、元素図鑑である以上は仕方がない。
個別の元素ではベリリウムの解説にある「単体と化合物に甘味があり、わずかな量で死に至る強い毒性があります」が強烈だった。これ、甘味を確認した人は死んじゃったの?舌に載せるだけで吐き出せば助かるのかな……どんなに想像しても怖すぎる。
クリプトンを吸うとヘリウムを吸うのとは逆に声が低くなるというトリビアも気になった。ボーカロイドを発売している某会社は、何故そんな元素を社名に選んだ?
銀の皿は純粋なヒ素には反応しなくて、微量に含まれる硫化ヒ素に反応していたらしい。緑青の毒性とされていたものが銅ではなく、分離されなかった鉛から来ていた逸話を思い出す。
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