古絵葉書でみる日本の城 西ヶ谷恭弘・監修/後藤仁公・編
2013.09.08 Sunday | by sanasen
明治から昭和初期にかけての絵葉書に収録された日本の城郭をあつめた写真集。戦災で失われる前の貴重な姿をたくさん見ることができる。
解説も詳細で、北から南まで一通りの城郭について知識をえられた。五稜郭にはじまって首里城で終わる構成はなかなか面白い。
また、地域のシンボルとして城郭の写真をもちいた人々の想いがなんとなく伝わってきた。
それぞれの城に多くの異名があるところも、郷土愛のあらわれと言えるのではないか。
しかし、悪い方向に郷土愛が働いてしまうと、意味不明な模擬天守を立てることになってしまうから、油断ならない。
「戦前に建てられた」岐阜城の模擬天守を写した絵葉書には衝撃を受けた。実に無茶苦茶をされているなぁ。徳川氏にとって重要な意味をもつ岡崎城の現状が酷評されているのには笑った。笑うしかなかった……。
太平洋戦争ではなく、幕末の戦いで焼けてしまった城の写真には荒涼とした空気があって、寂しい気持ちもわからないでもなかったが。
各地で復元が進んでいるため、絵葉書の状態よりも、江戸時代に近い姿をもつに至っている城が一部ながら見られる事実はうれしい。掛川城など見事なものだ。
伊予松山城の建物がうしなわれた端から復元されている点には住民の執念を感じた。松山市民がいるかぎり伊予松山城は滅びぬ。何度でも蘇るに違いない。
関連書評
復元ドキュメント 戦国の城 藤井尚夫
日本の城[古代〜戦国編]〜知られざる築城の歴史と構造 西ヶ谷恭弘・香川元太郎
古絵葉書でみる日本の城
解説も詳細で、北から南まで一通りの城郭について知識をえられた。五稜郭にはじまって首里城で終わる構成はなかなか面白い。
また、地域のシンボルとして城郭の写真をもちいた人々の想いがなんとなく伝わってきた。
それぞれの城に多くの異名があるところも、郷土愛のあらわれと言えるのではないか。
しかし、悪い方向に郷土愛が働いてしまうと、意味不明な模擬天守を立てることになってしまうから、油断ならない。
「戦前に建てられた」岐阜城の模擬天守を写した絵葉書には衝撃を受けた。実に無茶苦茶をされているなぁ。徳川氏にとって重要な意味をもつ岡崎城の現状が酷評されているのには笑った。笑うしかなかった……。
太平洋戦争ではなく、幕末の戦いで焼けてしまった城の写真には荒涼とした空気があって、寂しい気持ちもわからないでもなかったが。
各地で復元が進んでいるため、絵葉書の状態よりも、江戸時代に近い姿をもつに至っている城が一部ながら見られる事実はうれしい。掛川城など見事なものだ。
伊予松山城の建物がうしなわれた端から復元されている点には住民の執念を感じた。松山市民がいるかぎり伊予松山城は滅びぬ。何度でも蘇るに違いない。
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