二人の兵法 孫子〜孫武と孫ピンの謎 永井義男
2015.04.30 Thursday | by sanasen
個人的にはアイスバーンになっている話題。孫武と孫ピンのどちらが孫子を書いたのか、かつて論争が行われてきた歴史を紹介してから、それぞれが生きた春秋時代と戦国時代を概説。孫子と孫ピン兵法から一部の金言を抜き出して、解説を加えている。
例を採集する時代の幅を広くとった戦例紹介がうれしい。現代での応用は邪魔だが、ボリュームは最低限なので我慢した。少なくともビジネスには固定していないし。
敵を知るよりも自分を知る方が実は難しいという指摘には頷かされる。実際には知っているパーセントの問題になるわけだが、それが上がっていくほど自分を知ることの方が難易度が高くなる印象がある。
孫ピンの兵法では攻撃が重視されていることが時代背景を反映しているとしていたが、孫子でも敵地で戦う(補給する)ことを推奨しているわけで、その前提条件を満たすには侵攻しなければならない。
両者の違いが、転換なのか、連続性をもったものなのか、よく吟味して考える必要があると思う。
銀雀山の発掘が、文化大革命の最中だったせいで、杜撰だったという話には腹が立った。人類全体の貴重な遺産が刹那的な権力にしがみつく独裁者によって損なわれたわけだ。
……歴史らしい現象ではあるな。
関連書評
孫ピン兵法〜もうひとつの「孫子」 金谷治 訳・注
孫子とクラウゼヴィッツ マイケル・I・ハンデル 杉之尾宣生+西田陽一 訳
二人の兵法 孫子―孫部と孫〓の謎 (学びやぶっく)
例を採集する時代の幅を広くとった戦例紹介がうれしい。現代での応用は邪魔だが、ボリュームは最低限なので我慢した。少なくともビジネスには固定していないし。
敵を知るよりも自分を知る方が実は難しいという指摘には頷かされる。実際には知っているパーセントの問題になるわけだが、それが上がっていくほど自分を知ることの方が難易度が高くなる印象がある。
孫ピンの兵法では攻撃が重視されていることが時代背景を反映しているとしていたが、孫子でも敵地で戦う(補給する)ことを推奨しているわけで、その前提条件を満たすには侵攻しなければならない。
両者の違いが、転換なのか、連続性をもったものなのか、よく吟味して考える必要があると思う。
銀雀山の発掘が、文化大革命の最中だったせいで、杜撰だったという話には腹が立った。人類全体の貴重な遺産が刹那的な権力にしがみつく独裁者によって損なわれたわけだ。
……歴史らしい現象ではあるな。
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孫ピン兵法〜もうひとつの「孫子」 金谷治 訳・注
孫子とクラウゼヴィッツ マイケル・I・ハンデル 杉之尾宣生+西田陽一 訳
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