ハトはなぜ首を振って歩くのか 藤田祐樹

 ハトが首を振って歩くパラパラ写真付き!ふざけているのか、まじめなのか分からないおまけ要素のついた動物研究の一冊。疑問に思ったことをとことんつきつめる。これぞ学問である。

 タイトルにあるハトが首を振って歩く理由についてはフリードマンの研究によって、目が横に向いた視点を固定するためだと、おおかたの予想がついている。「片目で立体写真を撮る」説も追加で有力みたいだが、目の配置を理由にされると、ハトに似た目の配置をした草食のほ乳類が首を振らない理由が気になってくる。
 直接は説明されていないが、ほ乳類には首の骨が7本しかなくて可動範囲が狭いこと――鳥類は12〜13本。もっと多いものもいる――眼球を動かして対応できること、遠くを監視する用途が多いことあたりが理由かな?

 首の動きは二足歩行の話でもあるので、鳥がみせる独特の移動方法「ホッピング」の話や、歩行と走行のエネルギー消費の関係など、興味深い知識が多かった。
 そして、著者の文章にはユーモアがあって楽しんで読めた。

関連書評
ジュゴンの上手なつかまえ方〜海の歌姫を追いかけて 市川光太郎
パンダ〜ネコをかぶった珍獣 倉持浩
スキマの植物の世界 塚谷裕一

岩波科学ライブラリー ハトはなぜ首を振って歩くのか
岩波科学ライブラリー ハトはなぜ首を振って歩くのか
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サツマイモと日本人〜忘れられた食の足跡 伊藤章治

 戦中戦後の苦しい時期に日本人の食を支えてくれたサツマイモ。もっとさかのぼれば江戸時代の伝来時から琉球人や日本本土の人間を飢餓から救っていたサツマイモと日本人の歴史がみえてくる。
 サツマイモのおかげで命をつないだ先祖がひとりもいない日本人はもしかしたらいないかもしれない。そもそも最近の戦後で大半の人がお世話になっているわけで……。

 そんなサツマイモのすばらしさが分かったが、同時に悲しみの歴史も多く目にすることになった。天草諸島のきわめて貧しい状態には涙せずにはいられない。
 土地の貧しさから故郷を離れて、離れた先でも大変な目にあった人が多かったようだ。特に水俣で水俣病に苦しめられた人たち。
 天草諸島の人々にとってももちろんサツマイモは大きな助けをしていて、猫の額のような土地にまでサツマイモが植えられていたとのこと。

 現代でもアフガニスタンで有名な医師に関連して立てられたペシャワール会が普及に努力していたり――そこでも現地の強盗に青年が殺される悲劇があった――宇宙食としての可能性も見据えられているようだ。
 葉や茎が食べられることがクローズアップされるのが、宇宙に関連するところになってからであるのは不思議だな。ライバルにして救済の盟友であるじゃがいもにはない特徴だろう。

 サツマイモに関するいろいろなデータも収録されているが「イモ」と聞いて思い浮かぶものへの意識調査がおもしろかった。北ほど「じゃがいも」、若いほど「じゃがいも」という傾向があるらしい。じゃがいもは大量にポテトチップスになっているからなぁ。塩さえなくても美味しく食べられる意味ではサツマイモにも長所はあるのだが、これも時代の変化だな。

関連書評
ルソン島 戦場の記録〜たたかいと飢えの中を生きて 沢田猛
にっぽん自然再生紀行 鷲谷いづみ

サツマイモと日本人 (PHP新書)
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PHP出版って、こんなに左よりの本も出すんだな。
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最高の戦略教科書 孫子 守屋淳

 孫子の勉強会をさまざまな企業のトップと繰り返しおこなってきた著者が、孫子の内容にツッコミを入れることでさらなる深読みを目指した本。孫子の並びを解体して、テーマごとに孫子の有名な一部分を解釈している。また、他の兵法書や経営者、スポーツ選手などの言葉を多く引用して主張の助けにしている。
 この本が特別なのか、自分の心境の変化なのか、昔ほどビジネスへの孫子の応用に抵抗がなくなっている自分に気付いた。汚れちまった悲しみに……ただし、野球てめーまでは受け入れられない。主張は説得力があるんだけどね。

 著者は一度でも負けたら破滅の孫子が描いていた戦争と、小さく失敗して改善を続けることが有効なビジネスの違いを指摘して、常にそのまま応用できるものではないと説明している。または分野によって孫子に近い状況と遠い状況があるとも語っている。
 そういえば孫子では戦場で繰り返し負けることで敵を油断させて勝つ方法は考えられていない感じがする。せいぜい強いところの当たりはいなして、不定形となり、弱点を攻めるというところか。もちろん事前の情報戦では自らを弱くみせることを評価しているが。

 同じ相手と繰り返し戦う――というよりもフランスに報復する――ことをイメージしたクラウゼヴィッツと、一度かぎりの勝利を次善とする孫子の「重心攻撃」に関する違いの指摘も興味深かった。
 呉子にも一度で勝つ者は帝であり、五度勝つ者は滅びるって言葉がある。大企業相手に中小企業が繰り返し勝利していたら、同質化戦略で徹底的にやられてしまう。
 そんな可能性も意識させられる。

関連書評
孫子とクラウゼヴィッツ マイケル・I・ハンデル 杉之尾宣生+西田陽一 訳
中国古典兵法書・孫子 中谷孝雄
孫子 町田三郎・訳

最高の戦略教科書 孫子
最高の戦略教科書 孫子
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スキマの植物の世界 塚谷裕一

 アスファルトの亀裂やブロックのスキマなど人が生み出した空間に見事に適応した植物たちの写真集あるいは簡単な図鑑。海岸や高山の天然物のスキマにいきる植物もちょっとだけあるよ。
 スキマの植物図鑑の続刊にあたる本らしく、載せられている植物はややマニアックな方向に走っている?まぁ、ぜんぜんマニアックじゃなくても自分にはあまり分からないであろう……マツバギクが言われれば分かるくらいか。いや、フキノトウなんかも分かるけれど。タカサゴユリは日本原産のユリと区別をつけずに、たくさん見てきたのだろうなぁ。

 脱走した園芸種という出自をもつスキマの植物からは、あまりに繁殖力が旺盛すぎると、野生するようになって商品価値が下落してしまう悲哀が感じられる。逆に繊細すぎる植物は一般の園芸家には敬遠されて繁栄することができない。
 三倍体みたいに種子で増えなくなっている奴はヒントかもしれないが、植物なら他の方法で増えることもあると……植物は商売人の都合で進化してくれないのだ。ただ見つかるのみである。

 著者が植物に関する子供時代の思い出を語っているところでは、その記憶力に驚いた。ずっと関心を持ち続けていたからこそ、研究者になっているのだろうし、本書のように旅行の先々でスキマの植物を撮影しているのだろうけど、その関心の方向性自体が自分にはちょっとばかり新鮮である。

関連書評
毒草を食べてみた 植松黎
文明を変えた植物たち〜コロンブスが遺した種子 酒井伸雄

カラー版 - スキマの植物の世界 (中公新書)
カラー版 - スキマの植物の世界 (中公新書)
カテゴリ:科学全般 | 22:54 | comments(0) | trackbacks(0)

暗黒の中世〜ヨーロッパの都市生活 ジョン・D・クレア/アンドレア・ホプキンス

 恐怖に包まれた14世紀のヨーロッパ都市生活が実写で描かれる。黒死病はおそろしいが、それでパニックになった人間はもっと恐ろしい。ユダヤ人に対する攻撃はすさまじいの一言だ。よく滅びないで生き残ってこれたなぁ。いや、地域ごとには滅びるに等しいダメージを受けている場合もあるのか?
 いちばん絶望的だったのは大学の状態である。難しい試験を出した試験官をさし殺しちゃいけないと布告が出るは、市民と大学関係者の間で宣戦布告のない戦争がおこなわれるは……知の砦って元々はそういう意味だったのか?

 中世の都市には公衆浴場が結構あったという話は、他の本でも読んだ。中世よりも後の時代が不潔だったりするのである。
 だが、道路に排泄物がぶちまけられていたりする事は変わらず……人が密集して暮らすのは大変である。

 商人ごとに格好と商品の写真を載せたページがおもしろかった。東方の商人はちょっと漠然としすぎている気もするが。
 最後に紹介された著名なフロワサールの権力者へのすりよりっぷりが悲しい。古代とは何もかも変わってしまったのだなと痛感する。

関連書評
図説 中世ヨーロッパの暮らし 河原温・堀越宏一
中世の城 フィオーナ・マクドナルド/マーク・バーギン/桐敷真次郎
カラーイラスト世界の生活史12 啓蒙思想の時代 ピエール・ミケル/ピエール・ジュベール
カラーイラスト世界の生活史8 城と騎士 アシェット版/福井芳夫・木村尚三郎

暗黒の中世―ヨーロッパの都市生活 (歴史体験シリーズ)
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大名屋敷と江戸遺跡 宮崎勝美 日本史リブレット87

 高度経済成長期以降注目を集めだした東京の江戸遺跡。
 東京大学構内にあった加賀藩の本郷屋敷を中心に、江戸における大名屋敷の展開を描く。

 遺跡を学ぶシリーズの加賀藩江戸屋敷に重複する部分が多々あって、記憶をたぐりながら補いあうように読んだ。
 他の江戸屋敷についても紹介してくれているので、加賀藩江戸屋敷の特殊性と普遍性を区別して覚えることができる。

 3000人もの人がぎゅうぎゅう詰めで暮らしている印象のあった江戸時代中期以降の加賀藩江戸屋敷だが、それでも江戸時代前期や他の藩の江戸屋敷にくらべれば空間に余裕があって、そのおかげで藩主と藩士の空間の二重構造がもっともくっきりしていたことを覚えておきたい。
 逆に考えると、他の藩では江戸勤めの機会は、下級武士にとっては藩主に姿を覚えてもらうチャンスだったのかもしれないな。

 いくつも紹介されている江戸での大火も武士が日頃の備えをみせるべき非常時の側面があった気がする。加賀藩でも消し止めた人の名前が記録されているわけで。

関連書評
江戸のミクロコスモス〜加賀藩江戸屋敷 追川吉生:オススメ

大名屋敷と江戸遺跡 (日本史リブレット)
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文明を変えた植物たち〜コロンブスが遺した種子 酒井伸雄

 アメリカ大陸原産の6つの植物。ジャガイモ、ゴム、カカオ、トウガラシ、タバコ、トウモロコシについて歴史と伝来による社会的なインパクトを描いた一冊。
 運んだヨーロッパ以上にアフリカが影響を受けているなぁ……伝来前の食生活が想像できないまでに変化してしまっていて、得られた物の大きさの対照として、失われた物の大きさも意識してしまう。
 まぁ、ジャガイモやトウモロコシによって飢えから解放されたことは非常に大きい。トウガラシは馴染むまでに時間が掛かる地域があっても、いちど染まってしまえば……タバコより恐ろしいかもしれない。
 タバコはペストや三十年戦争など、つねに負の歴史と連鎖して(迷信的効果を求めて)規模を拡大していることが興味深かった。今後、タバコが増えるようなことがあるとすれば……喫煙をしない兵士も、タバコを材料に他の物資と交換できて便利だったと聞く。タバコは嫌いだが、そういう文化は嫌いではない。肝油っぽい。

 カカオのところで言われていたお茶やコーヒー、カカオが伝来する前のヨーロッパは水分補給をアルコール飲料に求めるしかなくて、みんながほろ酔い気分で仕事をしていたという記述が印象に残った。
 ある意味、幸せな状態だったかもしれないが「国際競争力」はなくて当然か。

 植物を通して社会の変化をみていくのは楽しかった。原産地ではいろいろな種が現在まで残っていても世界的に羽ばたいていけるのは限られた一つか二つの種なのよね……(その中で多くの品種が生まれてくるわけだけど)。

関連書評
大陸別世界歴史地図4〜南アメリカ大陸歴史地図
火星の人 アンディ・ウィアー 作/小野田和子 訳:ジャガイモが大活躍するSF

文明を変えた植物たち―コロンブスが遺した種子 (NHKブックス No.1183)
文明を変えた植物たち―コロンブスが遺した種子 (NHKブックス No.1183)
カテゴリ:雑学 | 23:51 | comments(0) | trackbacks(0)

中国王朝の起源を探る 竹内康浩

 中国のはじまりの王朝「夏」「殷(商)」「西周」について最新(本書は2010年発行)の発掘調査をふまえて実像を描こうとする一冊。
 中国国内では存在が確実で紀元前2070年に誕生したと宣言された夏だが、「中華統一王朝」としての「夏」の存在を著者としては未だに疑っているとのこと。日本人研究者が「商」ではなく「殷」をあえて使う理由に似ている。
 見方次第であろうが、史記の記述に中国の考古学が引きずられすぎな印象は否めないか。

 興味深かったのは殷と西周の違いで、関連する遺跡が展開した広さでは前にあった殷が西周を上回っているとのこと。もちろん、殷の拠点と拠点の間には羌などの異民族が存在していたことであろう。都市国家と植民都市のネットワークから、封建による領域国家への変化を、殷と西周の間に見ることもできそうだが即断は禁物。
 殷の青銅器「威信財」を使用した外交は、大和政権の鏡を使った外交を連想させた。鉛の同位体分析によれば有名な三星堆遺跡の目玉が飛び出した出土品が中原の青銅器と同じ技術、原料で作られていたというのが興味深い。
 受注から設計、製作という流れが当時にもあったのであろうか。

関連書評
図説 中国文明史2〜殷周 文明の原点
天空の舟〜小説伊尹伝・上 宮城谷昌光:夏と殷の王朝交代を描いた小説。
天空の舟〜小説伊尹伝・下 宮城谷昌光

中国王朝の起源を探る (世界史リブレット)
中国王朝の起源を探る (世界史リブレット)
カテゴリ:歴史 | 20:44 | comments(0) | trackbacks(0)

ベルリンの戦い1945 ピーター・アンティル

 ピーター・デニスがカラー・イラスト。三貴雅智が翻訳。
 第二次世界大戦の一つの終焉であるベルリンの戦いを描いたイラストレイテッド。なぜ彼らはここまで戦い抜いたのか。狂信的な連中にいやいやつき合わされた人間が多かったことも想像できるが、被害はまったく凄まじい。
 そして、スターリンの意志によってベルリンへの突入を強いられたソ連軍の損害も市街戦だけに壮絶なものがある。30万ということは、大祖国戦争の1パーセントに達していたりするのか?
 捕虜収容所を襲撃したので戦力を回復できたとか、読んでて目がおかしくなったと思った。そのまま部隊に組み込んで戦うなよ……助かったと思ったらドイツ軍が降伏するまで支配下にいたほうが生存率は遙かに高かったという悲劇。ただもうひたすら同情するしかない。
 ロシア兵にレイプされたというナチスドイツによってロシアから連れてこられた婦女子に対しては言葉もない。1945年4月から5月のベルリンは地上でもっとも地獄に近い場所だった。

 スターリンがジューコフとコーニェフを張り合わせたことも部下の支配術としては優れていても、被害を拡大する結果を招いている。まぁ、ともかく、ぐちゃぐちゃのぼろぼろで、「移動裁判所」の存在もあって末期にふさわしい戦いだった。
 イラストで示される戦いの規模がどんどん小さくなっていく点が興味深かった。マクロからミクロまで常にソ連軍が数的優勢を確保している。

 あと、第17軍の第一ウクライナ方面軍にたいする反撃がやっぱり気になる。第9軍の西への突破など、総統に縛られなくなったドイツ軍の動きが末期なのに生き生きしてみえる。
 指揮官の列伝もあって、マントイフェル将軍への関心が増した。ドイツ側の指揮官はヒトラーの癇癪でどんどん代替わりしているんだよなぁ。

関連書評
学研第2次大戦欧州戦史シリーズ10〜ベルリン攻防戦
地図で読む世界の歴史 第2次世界大戦 ジョン・ピムロット

ベルリンの戦い1945 (オスプレイ・ミリタリー・シリーズ―世界の戦場イラストレイテッド)
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カテゴリ:歴史 | 20:34 | comments(0) | trackbacks(0)

国家形成の考古学 岩崎卓也・常木晃[編]

 古代メソポタミアやインダス、遊牧民族など海外の例や日本国内の例をあげて国家形成の考古学を論ずる論文集。国家形成に必要とされる要素がおぼろげながら見えてくる。見えてきた気になる。
 一章のまとめが非常に強力で勉強になった。
 レンフルーによる初期国家の特徴3つは覚えておきたいので引用もしておく。

1.多くの場合各領域は大きくてもせいぜい1500km2であること
2.中心地間の平均距離は40kmほどであること
3.初期国家の数はそれぞれの地域で10内外であること

 数字がけっこう具体的である。
 古代においては同等な水準をもつ国家が並立する場合が多く、文化的基礎が整っていない場合でも対照となる国家に刺激されて「共振」をおこすという説も興味深い。

 各章では遊牧民族の古墳をあつかった第5章が個人的におもしろく感じた(興亡の世界史のスキタイと匈奴に重なる部分が多いないようだが)。死者の関係者が一晩でやってくれるだけに古墳の規模が想像できる。味方の有力者を50人も殺すことで勢威に余裕があることをみせる発想はかなり豪快だ。春秋時代の秦で殉死がおこなわれたのも、そういう流れが影響していたのかもしれない。

 ナイル川流域の硬質オレンジ土器を利用した流通システムの解析も、その手法が気になった。同じ手を使えば日本の石器時代の石器流通についても見えてくるものがありそうだ。きっと何処かに論文があるのだろう……。

 最後の藤原京についての論文は第1章で高い評価を受けていたので意気込んで読んだ。藤原京の地名は前の時代からの地名を引き継いでいるが、平城京の地名は数字を使った味気ないものであり、成立時の計画性の差を示すとのこと。
 逆に考えると歴史ある平城京や平安京はそれ以前の歴史を踏みつぶしてしまっているわけである……もったいなく感じられてきた。
 藤原京の人口は面積100haで4〜5万と推定され、平城京では10万というのも覚えておきたい。疫病の全国的な蔓延は巨大な情報・物流センターである都の誕生に付随して起こった問題であると同時に、中央集権で把握することが可能になった問題でもありそうだ。
 でも、中央による医者の各地への派遣が疫病を広めてしまった皮肉な展開も考えられる。都市化には光だけではなく、闇もある。ちょうど文明そのもののように。
 それを意識させる点でも優れた最終章だった。

関連書評
興亡の世界史00〜人類文明の黎明と暮れ方 青柳正規
興亡の世界史02〜スキタイと匈奴 遊牧の文明 林俊雄
大仏造立の都〜紫香楽宮 小笠原好彦


国家形成の考古学 (現代の考古学)
国家形成の考古学 (現代の考古学)
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