月刊ニュートン2016年4月号

NGK SCIENCE SITE
 インターネットに繋がっていることが前提になった!まぁ、音源が準備できればインターネットから取らなくてもいいのだろうが……時代だなぁ。

SCIENCE SENSOR
 水素を金属にする挑戦:固体にはなっていたが、金属固体にはなっていなかった。ややこしい。320万気圧はどうやって実現しているのやら。ダイアモンドで圧縮か。
 間氷期の終わり:人類の活動がなくても5万年は氷河期が来ないと。人類による地球温暖化とは時間スケールが違う現象だな。5万年延びるのはともかく。
 小さいほど舌もすばやい:断面図があらためて不気味だ。
 月の成分が明らかに:3号まできていたのか。日本での報道が少ないなぁ。着陸は機器の性能に関係なく新しい情報を与えてくれる。
 彗星に水の氷があった:形成条件によって氷の粒の大きさも予想できるんだ。
 極寒の地で生きのびる:マンモスも人類に極寒の地まで追撃されて気の毒である。

考古学実習レポート4
 編集会議では男子の姿もみられるな。「後世に埋められたもの」が気になった。追葬でもなく、信仰の関係か?

天の川銀河の中心部に正体不明の重い天体
 ブラックホールだと特定されていないから、あやふやなタイトルになっているのか。太陽の数百万倍に太陽の10万倍が合体。これも起きれば重力波が観測できるんだろうけど、さすがにそんなにタイミングは良くないか。

第9惑星の存在を予測
 天王星の影が薄い。外側にいる海王星の方が存在感を主張できるようだ。それにして予測された第9惑星の軌道が大きいこと……他の天体を軌道上から掃き出していると言えるのか?

無重力では細胞一つ一つが”やせ細る”
 疑似的な重力を与える遠心機に入れば健全な細胞を保てるという方向で研究結果をみてしまう。火星旅行の夢に一歩近づいた?

世界の絶景
 アンコール・ワットの5つの塔は、ヒンドゥー教で地球中心にあるとされる5つの山を表現している。アジアではこういうミニチュアを造る思想があるよな。
 太陽のピラミッドは観光客が目立つ。太陽の軌道を計算と書かれているが、夏至の日に観測しただけではないと説明できる要素があるのかなぁ。

重力波の観測に初成功
 観測施設がアメリカと欧州に偏っている。位置的にも日本の存在は重要だな。インドが動いても、北半球に偏っていることは解消されない。南半球で最初につくる国はブラジルか、南アフリカか……オーストラリアかな。

反物質の謎
 反人間って表現がおもしろかった。アミノ酸の光学異性体も考えれば4通りの人間が存在可能に!?
 映画「天使と悪魔」が気になってしまう。地味に広告になっている。2009年の作品だから今更か。

通信する脳細胞たち
 最初のニューロンの絵が体内図にしては珍しく綺麗である。微妙に左右対称ではない部分が興味深い。

南天をいろどる宝石たち
 ESOヨーロッパ南天天文台による研究成果。宇宙望遠鏡が活躍する状況でも南半球の天文台には大きな価値があると。
 画像が美しいわけではないが、SDP.81の観測が強く関心を引いた。解析で求められた姿はずいぶん奇妙である。引き延ばされた状態の方が「銀河っぽく」みえる。

森に生きるアジアゾウ
 ミネラルが含まれる赤土を自分にかける雄のゾウから本当に表情が読みとれる!インドの絵みたいだなぁ。
 ゾウが100種類以上の植物を薬として使い分けるという話と古代人が同じ植物を利用している話から、「古代中国の神農氏の正体はアジアゾウ!」という説に走りたくなった。
 母親ゾウの愛に関する記述も印象に残った。生息地がどんどん分断されていて将来が不安だが、なんとか生き残ってほしい。
 密猟者は本当にくそだなぁ。銃撃戦までして狩りたいものなのか……。

ギアナ高地の陥没穴に潜入
 地上に残された最後の秘境のひとつだ。火の鳥で主人公たちが閉じこめられた火口の穴を思い出した。やっぱり種の多様化には大きな影響があるだろうな。
 学術的にはともかく、鑑賞にむいた写真はあまり撮れなかったようで、ギアナ高地の他の場所の写真も収録されている。新種のカエルが気になるな。ジェクワナ族はギアナ高地のシェルパ?

地球の超未来
 人類の力で他の恒星に乗り換える方法も考えられているから大丈夫!そこまでして地球にこだわる意味があるのか――資本投資しまくってデススターになっていればあるかもしれない。

宇宙大百科 おおぐま座M82
 不規則銀河かと思いきや渦巻き銀河の可能性が出てきた。やっぱり大事だなんだな、角度とか。
 腕の分かる画像を載せてくれていないことがもどかしい。

Newton(ニュートン) 2016年 04 月号 [雑誌]
Newton(ニュートン) 2016年 04 月号 [雑誌]
ニュートンがニューロンを。ニュートンがニューロンを!
カテゴリ:科学全般 | 19:15 | comments(0) | trackbacks(0)

宝石のほんvol.1 琥珀 飯田孝一 亥辰舎

 有機物にして宝石。
 人類と長い関係のある琥珀をあつかった本。琥珀より若いコーパルもあつかっている。また、合成樹脂の模造品についても言及している。合成樹脂のデータは趣味の枠をはずれて参考になった。

 琥珀に対して様々な処理や加工がおこなわれており、強く気にしだすと手が出せなくなりそうなほどだ。
 はじめてミネラルショーに行ったとき、得意げに琥珀より安かったと虫入りコーパルを買ってしまったことを思い出す……コーパルはコーパルで揃えるコレクションになったから、よかったのさ。
 アマチュアはあまり本物と処理品で気負う必要はないのかもしれないが、偽物の虫入りだけは許せない。なんとか気をつけたい。

 琥珀の産地としてはバルト海沿岸とドミニカ共和国が有名だが、新しい産地も続々と現れているという最新情報が紹介されている。
 日本の有名産地である久慈が世界的にみても重要な面をもつことが分かって嬉しかった。しかし、推定埋蔵量は5万トンと毎年数百万トンも採集されるバルト海沿岸とは大差がある。
 じっくり大事に採集してほしいものだ。他の国内産地については簡単な記述で、ちょっと物足りなかった。銚子の琥珀は多少出番が多い。眠っていた産地情報は気になる。
 瑞浪のコーパルだけ10万年前と若いが、他のコーパル産地は紹介されていないだけなのかな。

関連書評
琥珀〜永遠のタイムカプセル アンドリュー・ロス著/城田安幸 訳
ROCK and GEM 岩石と宝石の大図鑑
琥珀:Amber:自分の持っている琥珀の写真

琥珀 (飯田孝一 宝石のほんシリーズvol.1)
琥珀 (飯田孝一 宝石のほんシリーズvol.1)
カテゴリ:地学 | 12:27 | comments(0) | trackbacks(0)

鉄学137億年の宇宙史 宮本英昭・橘省吾・横山広美

 鉄の歴史を10倍年ずつ遡って追っていく岩波科学ライブラリーの161巻。人類の歴史から宇宙論まで話は広がって――素粒子までいくと流石に鉄の関係は薄くなる。
 鉄が安定的な元素であることや恒星の内部で合成される理論についても説明してくれており、最終的には宇宙と人類の生活が非常に深い関連性をもっていることが分かる。

 鉄ほど重要ではないかもしれないが、銅でも似た内容の本ができそうなので、たまには誰かにやってほしいと思った。
 そうすると銅・銀・金になってしまうかなぁ――それなら、あるにはある。

 著者が1970年代生まれの研究者たちで、新進気鋭の三人が分野を横断して協力している様子も興味深い。といっても、宮本氏と橘氏は惑星地質学と実験地球惑星科学で、それなりに近い?
 この本の元となった企画展を見たかった……。

 人体に含まれる鉄は釘一本分と書いてあって、人体から何枚も剃刀が出てくる能力バトル漫画のことを思い出した。

関連書評
おもしろサイエンス錆の科学 堀石七生
律令国家の対蝦夷政策〜相馬の製鉄遺跡群 飯村均

鉄学 137億年の宇宙誌 (岩波科学ライブラリー)
鉄学 137億年の宇宙誌 (岩波科学ライブラリー)
カテゴリ:地学 | 20:22 | comments(0) | trackbacks(0)

つくってあそぼう7〜チーズの絵本 かわぐちおさむ・へん

 発酵させるチーズを拭くときは綺麗な塩水と綺麗な布を使ってね……作っているキャラクターはネズミだけどな!
 乳を出す動物がチーズを作っているのは分かるけれど、ネズミが含まれている理由がわからない。チーズを好むといえばネズミというお約束があるからか?
 まぁ、絵本だからそこを重点的に突っ込んでも成果はない。

 生乳は腐りやすく長期保存の利かない食べ物であって、ヨーグルトやチーズなどが生産できるようになってはじめて、家畜の乳は安定した食料源になった。
 そんな歴史からチーズの具体的な作り方まで教えてくれる。
 ただし、モッツァレラチーズは2日で食べきることとされているので保存食品ではない。さらに行程を進めた発酵させるチーズの場合はできあがるまでに2〜3週間かかる。
 長期保存のためには長期製作が必要なのである。

 工程の随所でホエーが「捨て」られまくっているが、乳糖で甘いと聞いて賞味したくなった。カレーに使ったりもするらしいし、ホエーで作るホエーチーズなるものも、品種紹介には存在している。
 有名なものでも400種類もあるというから、薄い本書で紹介されているのは深奥なチーズ世界のほんのさわりである。

関連書評
そだててあそぼう60〜乳牛の絵本 みとももりゆき・へん
つくってあそぼう12〜塩の絵本 たかなしひろき・へん

チーズの絵本 (つくってあそぼう)
チーズの絵本 (つくってあそぼう)
カテゴリ:ハウツー | 19:28 | comments(0) | trackbacks(0)

つくってあそぼう12〜塩の絵本 たかなしひろき・へん

 さわだとしき・え。
 動物に必要不可欠な分子、塩。農業を始めてから動物の血や骨から得る塩分だけでは足りなくなった人類は塩の採取や輸送をはじめた。
 塩の歴史や海水からの作り方を教えてくれる絵本。頭がおにぎりのキャラクターが作業をしてくれるのだが、冷静になって絵だけをみると、とってもシュールだ……。
 絵本だからしかたがない。

 能登の揚浜式塩田が一軒だけ残っている話が出てきた。従業員の人は本当にきつい肉体労働をされていると思う。伝統への情熱が肉体を支えているのかなぁ。

 個人的には赤穂の塩の博物館に行ったことがあるので、土鍋で海水(かん水)から塩をつくった体験などを思い出しながら読んだ。この本の場合は煮詰めきらずに水分を少し残して、にがりを落とすために使っている。
 確かににがりの残っている作った塩は潮解しやすかった。

 どこかの博物館(科学館かも)で、プラスチックの容器にいれた海水をまるまる蒸発させたものを見たのも思い出した。微量成分をつきつめていけば金だって含まれているんだよな。

関連書評
地球 塩の旅 片平孝

塩の絵本 (つくってあそぼう)
塩の絵本 (つくってあそぼう)
カテゴリ:ハウツー | 12:25 | comments(0) | trackbacks(0)

そだててあそぼう51〜ニガウリ(ゴーヤー)の絵本 ふじえだくにみつ・なかやまみすず・へん

 つちはしとしこ・え。
 沖縄の作物というイメージがあったけれど、実は九州や南土佐でも伝統的に育てられてきたニガウリ。しかも、九州の品種の方が苦みが強かったりする。
 目からウロコの意外な事実を知って、ニガウリへの関心が増えた。

 料理研究家が著作に参加しているだけに、九州のものを含めて多彩な調理方法が研究されている。
 説明はシンプルで、調理方法も実際にシンプルだと思われるけど、それだけにニガウリのおいしさを引き出すのは難しいと予想される。
 まぁ、失敗してもひどく苦いだけと割り切ればいいのかな……。

 鹿児島につたわる「梅しそ漬」が気になった。梅干しやしそを投入しつつも氷砂糖を大量に使っている。苦さと辛さと甘さの激突。勝つべきは甘さらしいが、初めてつくるときはドキドキものだなぁ。

関連書評
そだててあそぼう11〜キュウリの絵本 いなやまみつお・へん
そだててあそぼう12〜カボチャの絵本
そだててあそぼう13〜メロンの絵本 せこたつお・へん
ニガウリだけウリ科集団から仲間はずれなんだ…。

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ニガウリ(ゴーヤー)の絵本 (そだててあそぼう)
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カテゴリ:ハウツー | 18:54 | comments(0) | trackbacks(0)

図説ナポレオン政治と戦争〜独裁者が描いた軌跡 松嶌明男

 2015年1月30日発行。最新のナポレオン研究の成果をとりこんだナポレオンの図説。伝記というには権力を握ってからのナポレオンに描写が集中しており、むしろ彼の作り出した時代や社会を描くものになっている。

 文化資本の有効活用と再生産に視点が集中していて、クーデターで成り上がったナポレオンがいかにして自らの権力に正統性を持たせていったかを、カール大帝の幻影を有効活用したことなどで説明している。
 カール大帝の影響が及んだことのない地域に挑戦してからのナポレオンはつまづくことが多かったという指摘は非常に示唆的に感じられる。神聖ローマ帝国の外側にある国に対しては間接的支配に徹する方が賢明だったのだろう。
 中世初期のイスラム旋風は文化資本の利用的に解釈できるのかなぁ。あっちを真似できると考えたならナポレオンの暴走も説明できそうだ。

 革命と反動の狭間で揺らされたのは民衆だけではなく、ナポレオンその人も同じだったのかもしれない。
 若い嫁をむかえて無理矢理つくった我が子への権力委譲にこだわるところは、まるで豊臣秀吉にみえた。ジョゼフィーヌを寧々と考えれば、なかなかの説得力である。
 指摘している人はたくさんいるに違いないが、今までこんな視点を持つことがなかった。

 宗教政策については、プロテスタントとカトリックのめんどくさい時代にあったので大変だったのは分かるが、それにしてもナポレオンは強引すぎた。
 なあなあの軟着陸が一番だと感じ、それはまだしも簡単に思えるのだが「司教は司教座と結婚する」みたいな狂った価値観を前にしては感覚は信じるに値しない。
 矛盾を一身に背負って宗教政策に粉骨砕身したポルタリスのことを覚えておきたい。

 個人的にいちばん興味のある軍事については淡泊だがよくまとまっていた印象。とりあえず図がカラーでみやすい。
 三帝会戦でオーストリア帝とロシア帝が同じ場所にいたように描写している点に引っかかった。ナポレオンがセント・ヘレナ島で自分の歴史を捏造したことを指摘しながら……?
 戦闘技術の歴史4が軍事関連書の筆頭にあげられていて納得した。配色へのツッコミにも納得した。あの本はシリーズ全体で勝った側と負けた側の色分けルールがあるから仕方ないのだが。

 あと、コラムで「世の辞書に不可能の文字はない」の元となったソモシエラの戦いでのエピソードに触れ、現自民党参議院議員のワタミ氏への痛烈な批判をおこなっている事が強烈な印象に残った。
 まったくもっておっしゃる通りで、ナポレオンの負の遺産を直視し、万骨枯りて一将功なる時代からの決別をしなければならない。

関連書評
戦争概論 ジョミニ/佐藤徳太郎・訳
戦闘技術の歴史4〜ナポレオンの時代編 AD1792-AD1815
ナポレオンの戦役 ローラン・ジョフラン/渡辺格
世界の戦争7〜ナポレオンの戦争 志垣嘉夫・編

図説 ナポレオン (ふくろうの本)
図説 ナポレオン (ふくろうの本)
カテゴリ:歴史 | 20:45 | comments(0) | trackbacks(0)

そだててあそぼう34〜アサガオの絵本 わたなべよしたか・へん

 うえだみゆき・え。
 やっぱり変化アサガオのマニアックな世界に招待された!子供向け絵本にしてはディープすぎて楽しくなってしまう。メンデルの法則を駆使して劣性遺伝を極めた16分の1の変化アサガオ(出物牡丹)を誕生させる方法を教えてくれる絵本。
 ミニチュアあさがおの育て方も紹介されていて、こっちは素朴にかわいい……と言っても暗室処理で植物の成長に干渉するところは突然変異以上かもしれない。

 タネ取り用の株を確かめるために暗室処理を駆使する領域までいくと、もはや……なんと言ったらいいのだろう。
 まぁ、普通のアサガオでも可憐なので楽しめる。中国の詩人がアサガオを織り姫と彦星の逢瀬になぞらえて作った詩の話が「風流」だった。それに対して江戸っ子の「粋」が変化アサガオの変化にも投影されているものなら、二つはやっぱり微妙に異なる。
 そんなことを変化アサガオ栽培を通じて学ぶ小学生がいたら――将来がたいへん楽しみである。

関連書評
そだててあそぼう16〜ヒマワリの絵本 かねここうじ・へん やまもとゆうじ・え
そだててあそぼう18〜アイの絵本 くさかべのぶゆき・へん

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アサガオの絵本 (そだててあそぼう)
アサガオの絵本 (そだててあそぼう)
カテゴリ:ハウツー | 23:15 | comments(0) | trackbacks(0)

図解入門 よくわかる最新真空の基本と仕組み 飯島徹穂

 基礎から学ぶ真空技術の知識とノウハウ。真空の常識。という文字も表紙に踊っているが、背表紙では「よくわかる最新真空の基本と仕組み」がタイトルだと考えられる。
 サーチエンジン対策にキーワードを盛り込みすぎたウェブページタイトルみたいになっている……。
 表紙に火星があるのは、火星の気圧が低い関係だろうが、実際には火星の話題はなかった。惑星表面全体は特定の「空間」と言えるのかなぁ。

 そんなことはともかく、本書は真空技術についてのイロハを扱っており、真空の歴史から真空を作り出すための装置、そして真空の応用技術まで紹介してくれる。
 数式はほどほどにあって、実用時に足踏みしたとき、最低限のとっかかりを与えてくれそうだった。

 高真空容器の溶接は片側からだけにして、ポケットができないようにした方がよいなど、細かいポイントにも言及してくれていて、かなり参考になった。
 巻末の真空用フランジの寸法表なども参考になる。できれば面粗さの情報も載せておいてほしかったな。調べれば出てくるか。

関連書評
入門ビジュアルテクノロジー よくわかる真空技術 (株)アルバック

図解入門よくわかる最新真空の基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)
図解入門よくわかる最新真空の基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)
カテゴリ:工学 | 00:21 | comments(0) | trackbacks(0)

そだててあそぼう15〜ラッカセイの絵本 すずきかずお・へん

 ひらのえりこ・え。
 日本のラッカセイの70%を生産する千葉県(に縁のある)の人が書いていなかったら、どうしようかと……歴史的経緯を知ると本土より古い時代から育てていた沖縄県の人なら違和感はないが。
 作画は静岡県出身、武蔵野美術大学(東京)の人だった。

 ピーとナッツでピーナッツ。地上に花が咲いて地中に実のなる不思議な作物ラッカセイのおもしろい性質が分かる。
 カタカナで書くとイメージしにくいけれど、漢字の落花生はなかなか本質を突いている。普通の土の中じゃなくても、実は生長できるのかと、いろいろなものに子房柄をつっこませる実験がおもしろかった。工夫をすれば水耕栽培でも育つらしい……。
 マルチを使うことを勧めていたので、貫通できることを期待してしまったが、花が咲いたら剥がすように勧められていた。ですよねぇ。

 おそらく大豆よりも害虫に強いと思われる落花生の特性を活かした栽培が今後も行われることを願う。
 ただし、日本の生産量は消費量の15%。そういえば、千葉県民でも国産落花生は高級品として扱っている話題があったな。作付け面積と収穫量から逆算すれば1haに2t少ししか採れないからなぁ……。
 量での勝負は厳しい。本書で勧められている茹でたラッカセイは昔から好きだ。

関連書評
そだててあそぼう9〜ダイズの絵本 こくぶんまきえ・へん
そだててあそぼう66〜アズキの絵本 十勝農業試験場アズキグループ・へん
そだててあそぼう81〜インゲンマメの絵本 十勝農業試験場菜豆グループ・へん

農文協そだててあそぼうシリーズ感想記事一覧

ラッカセイの絵本 (そだててあそぼう)
ラッカセイの絵本 (そだててあそぼう)
カテゴリ:ハウツー | 14:06 | comments(0) | trackbacks(0)
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