モン・サン・ミシェル――奇跡の巡礼地 ジャン=ポール・ブリゲリ
2016.07.31 Sunday | by sanasen
ある図書館では建築のコーナーに分類されていたが宗教的な側面もかなり強いモン・サン・ミシェルの本。
大天使ミカエルとの切っても切り離せない関係を持っていたことから始まって、多岐にわたるモン・サン・ミシェルの歴史と魅力が語られている。
いろいろな人がいろいろな思いを投影してモン(本文中ではこう略称されている)に手を加えてきたことが分かる。それでいて一つの形として落ち着いているように感じられるのは、海と陸がまじりあった特殊な風景のおかげかもしれない。
大天使ミカエルの「神の名前を言ってみろ。ゴルァ」な設定がなかなか刺激的だ。ミカエル自体がひとつの神のように振る舞いながら、形式上は大天使の形に収まっているあり方が実に巧みでもある。
モンはミカエル信仰によってローカルな巡礼者をフランスから集めることができた。枠が限られているので、目玉商品の奪い合いになりかねないところがあるな。
城としてのモン・サン・ミシェルはある本では難攻不落と書かれていたが、この本ではフランス軍に攻略されている。物理的な意味での攻略ではなかったのだろう。
ノルマンディーとブルターニュという二つの重要な半島の付け根に位置することがモンの歴史に与えた影響も興味深かった。
関連書評
大聖堂・製鉄・水車 J・ギース/F・ギース 栗原泉 訳
モン・サン・ミシェル: 奇跡の巡礼地 (「知の再発見」双書158)
大天使ミカエルとの切っても切り離せない関係を持っていたことから始まって、多岐にわたるモン・サン・ミシェルの歴史と魅力が語られている。
いろいろな人がいろいろな思いを投影してモン(本文中ではこう略称されている)に手を加えてきたことが分かる。それでいて一つの形として落ち着いているように感じられるのは、海と陸がまじりあった特殊な風景のおかげかもしれない。
大天使ミカエルの「神の名前を言ってみろ。ゴルァ」な設定がなかなか刺激的だ。ミカエル自体がひとつの神のように振る舞いながら、形式上は大天使の形に収まっているあり方が実に巧みでもある。
モンはミカエル信仰によってローカルな巡礼者をフランスから集めることができた。枠が限られているので、目玉商品の奪い合いになりかねないところがあるな。
城としてのモン・サン・ミシェルはある本では難攻不落と書かれていたが、この本ではフランス軍に攻略されている。物理的な意味での攻略ではなかったのだろう。
ノルマンディーとブルターニュという二つの重要な半島の付け根に位置することがモンの歴史に与えた影響も興味深かった。
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