和食文化ブックレット5〜和食の歴史 原田信男
2017.11.30 Thursday | by sanasen
日本の和食文化はいかにして生まれたのか。天武天皇による肉食の禁止令がはじまりとなって、穀物と魚の特異な食文化が育まれてきたことが分かるブックレット。影響力としては聖武天皇が大きいと思っていたが、歴代の天皇に繰り返し言われてきた結果なのだろう。
表紙になっている絵が笑ってしまうくらい山盛りなのだが、これにも歴史的な意味があると本文を読めば分かる。山盛りぶりで関心を引いて理解した後に表紙をみればちょっとした感慨がわいてくる仕掛けなのかもしれない。
各地の神社に伝わっていた神饌料理が、明治時代の神社の統一によって餅などを供える形式にされて、現代にそれぞれ独自の文化を残していないのは残念である(諏訪神社など例外はあるらしい)。
著者によれば和食は本膳料理でほぼ成立し、江戸時代には庶民の口に入るにまでなった。八百善のものすごい価格設定には度肝を抜かれた。
明治時代に入ってからは肉食が解禁されて、洋食というライバルも生まれるのであるが、戦中がいちばん苦しい時代だったようだ。
朝食は1円、昼食は2円50銭、夕食は5円までと価格で統制されていたのには驚き呆れた。まさに食の暗黒時代だ。それでいて上流階級の抜け道はあったんだろうな。さらには人間の尿から塩を取る方法も研究されていたと言う……。
いまこうして自由に食べ物を口にできることは本当にありがたい。
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和食の歴史 (和食文化ブックレット5)
表紙になっている絵が笑ってしまうくらい山盛りなのだが、これにも歴史的な意味があると本文を読めば分かる。山盛りぶりで関心を引いて理解した後に表紙をみればちょっとした感慨がわいてくる仕掛けなのかもしれない。
各地の神社に伝わっていた神饌料理が、明治時代の神社の統一によって餅などを供える形式にされて、現代にそれぞれ独自の文化を残していないのは残念である(諏訪神社など例外はあるらしい)。
著者によれば和食は本膳料理でほぼ成立し、江戸時代には庶民の口に入るにまでなった。八百善のものすごい価格設定には度肝を抜かれた。
明治時代に入ってからは肉食が解禁されて、洋食というライバルも生まれるのであるが、戦中がいちばん苦しい時代だったようだ。
朝食は1円、昼食は2円50銭、夕食は5円までと価格で統制されていたのには驚き呆れた。まさに食の暗黒時代だ。それでいて上流階級の抜け道はあったんだろうな。さらには人間の尿から塩を取る方法も研究されていたと言う……。
いまこうして自由に食べ物を口にできることは本当にありがたい。
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