コウテイペンギン〜氷の世界のスーパーアイドル

 ナショナルジオグラフィックDVD

 そういうのマゾって言うんだよね……サブタイトルの華やかさに比べて実際の映像がつたえる過酷な生態が際だっている。なぜそこまで我に艱難辛苦を与えよと考えるのか、理解できないレベル。
 日の出ない真冬の撮影方法も理解できない……どうやって機材をもたせたんだ?ずっとヒーター入れっぱなしだったの?

 コウテイペンギンは生存競争に負けた最弱の存在ゆえに、最大で寒さへの耐久力は最強、なんて答えかもしれない。
 そんなコウテイペンギンでも冬を乗り切れない個体はたくさん出るし、巨大氷山B15が着岸すればバタバタと倒れる。そのありさまは悲惨の一言で、ついつい助けてしまいたくなるが、科学者たちはそんなことをしても焼け石に水だと理解している様子だった。
 それでもつらい経験だったに違いない。

 寿命の40年は自然状態の人間に近いものがありそうだ。長老的なコウテイペンギンもいるんだろうな。
 ナショナルジオグラフィックが開発したカメラを用いたバイオロギングについても少し触れていた。そちらの研究は撮影当時はまだ序についたばかりのようだった。

関連書評
ペンギンのしらべかた 上田一生 岩波科学ライブラリー182

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DVD コウテイペンギン 氷の世界のスーパーアイドル
DVD コウテイペンギン 氷の世界のスーパーアイドル
カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 22:45 | comments(0) | trackbacks(0)

徹底解明 ツタンカーメン死の真相 ナショナルジオグラフィック

 CTスキャンによってツタンカーメンのミイラを撮影し、その死因をあきらかにする試み。ついでに「ツタンカーメンの呪い」と言われたガーナヴォン卿の死についても迫ったり迫らなかったり――正直、尺のばしにしか見えなかった。あの結論を出すならば途中の検査は不要だった気がする。
 発掘者にとっては重要な情報で、気をつけてもらうためにもっと早くから分析されているべきだったけれど……日本の古墳は湿度が違うはずなので、その差が比較できたら面白い研究になるはず。

 ツタンカーメンの死因については比較的確定的な情報が得られている。患部の生体反応が観察できることは研究者にとって幸いでも、ツタンカーメン本人には地獄の苦しみだったに違いない。1〜5日か。仮に戦場の怪我だったら再現映像とは違って妃に看取られずに死んだだろうな。
 同情を禁じ得ないが、ファラオたちが行った戦争では同様の怪我人が多数出たことも忘れてはなるまい。

 ツタンカーメンが尻拭いをすることになったアクエンアテンこそ有名になるべきファラオで、「改革」と言って何でも劇的に変えれば巧く行くわけじゃないことを後世に伝えてくれている。
 ファラオが記録抹殺刑に遭いおるとは……。

 カーター隊のミイラに対する所行が酷すぎた。発掘品の撮影では評価していたのだが、カーターの隊では極端に「モノ」に偏った発掘が行われていたようだ。情けない話だ。

関連書評
CGで蘇る王家の谷 ディスカバリーチャンネル:こちらではカーターは好印象だった……
「もしも?」の図鑑 ピラミッドの建て方 中川武・監修

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DVD 徹底解明 ツタンカーメン 死の真相
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カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 20:42 | comments(0) | trackbacks(0)

ダイナソー・プラネット ピロラプトルの漂流記

 ピロラプトルが津波にのまれて漂着した先は、小型化した恐竜たちの住む小さな島。
 これも一種のなろう系転移話と言えるかもしれない(ガキ大将が年下相手にいきがっている方が近いけど)。地元では小型種だったピロラプトルが漂着先では大型の支配者になってしまう。実に皮肉である。

 それだけ強い立場にありながら子孫を残せそうもない点もまた皮肉……身体のサイズが違っていても卵生なら交配が可能かな?現実には受精をすませた雌が漂着したり、単為生殖を身につけたりして増えていくところである。

 ピロラプトル以外の恐竜を縮小するのはCGを駆使した番組制作者にとっては得意分野だったに違いない。バンクの有効活用にも思われる。
 ヨーロッパのあまり著名でない恐竜たちがたくさん出てくるところも興味深かった。イグアノドンだけは超有名だな。

関連書評
鳥類の祖先ベロキラプトル ダイナソー・プラネット
恐竜ファイル リチャード・ムーディ

ディスカバリーチャンネル ダイナソー・プラネット ピロラプトルの漂流記 [DVD]
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カテゴリ:映像資料 | 20:40 | comments(0) | trackbacks(0)

3DCG日和。vol.2〜MikuMikuDanceで踊るユーザーモデル制作 かこみき

 メタセコイヤを使ったMMD用ユーザーモデル制作方法が説明されている。作例として「こどものおもちゃ」の九重りんたちの制作を見ながらモデル制作が学べる本。2010年8月出版の本であり、ソフトの操作系などの情報が古くなっていることは否めないが基本的な流れを知ることができる。
 当時に制作されたモデルを編集していく上でも、役に立つのではないか。

 小学三年生の九重りんモデルをまっぱから制作していくので、ちょっとドキドキした。設定資料集のイラストから乳首がかき込まれているんだな……。
 ツインテールが漫画的に大きくダンスを踊らせた場合の動きが激しそうだ。それこそモデラーによる物理演算設定の腕の見せどころなのであろう。

 気軽に借りてしまっているモデルの制作がどれだけ大変なことか、外側視点ながら理解できた。これでなかなか使われないモデルがあるのだからモデラーの根気もすごい。
 大事に使わなければ、と思った。

 本書でIKが他のモデルからコピペできることを知ったので、とりあえず腕IKで試してみた。手首と位置を同じにする簡単な方法はないかな?(同じモデルをもう一つ開いて、座標をコピペした)

関連書評
PさんのためのPMDエディタの本 でで/かんなP
MikuMikuDanceキャラクターモデルメイキング講座 マシシP

キャラクターをつくろう! 3DCG日和。 vol.2 - MikuMikuDanceで踊る、ユーザーモデル制作
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カテゴリ:ハウツー | 20:32 | comments(0) | trackbacks(0)

奇岩の世界 山田英春 編 創元社

 フリー写真をふんだんに使った奇岩写真集。一部は編集者が自分で撮影したもので巻末にクレジットのついている写真もあるのだが、時代はここまで来たかと驚きを禁じ得ない。
 そのまま本で印刷しても通用するほど高解像度の写真がネットにあふれているのか。さすがにフリーと言ってもプロが撮影した高解像度の写真がメインかなぁ。

 不思議なバランスを保っている奇岩はどれも「??」と思わせてくれた。バランスを保てない岩は崩れてしまうので、保てているものだけが奇岩と言われる一種の生存バイアスである。
 載っているだけじゃなくて、くっついている関係でおそろしいほど奇妙な形状をたもっている岩もある。表紙にもなっている「翼の王」などまるでリーゼントヘアーだった。

 奇岩が人の住みかになっている場合もあるが、さすがに修道院や要塞などの特殊な施設が多めだ。
 だがポルトガル人は本気で岩に住む。たしか住居にデータロガーを設置して調べている本でもイベリア人がくり抜いた岩の中に住んでいた(スペイン人だった可能性もある)。
 そういうのも一種の文化なのであろう。

関連書評
インサイド・ザ・ストーン〜石に秘められた造形の世界 山田英春
奇妙で美しい石の世界 山田英春

奇岩の世界
奇岩の世界
カテゴリ:写真・イラスト集 | 21:11 | comments(0) | trackbacks(0)

タクラマカン砂漠〜埋もれたオアシス都市〜

 ナショナルジオグラフィック

 スタインとスタインが追い求めた玄奘三蔵法師のお話。スタインが探検のスタート地点に着くまでの旅が明らかに大冒険で、そこからさらに発掘しながらの旅をおこなう精神力に感嘆した。
 アレクサンドロスにあこがれていた三つ子の魂百までの実例である。
 中国の文化財に関するあつかいについては簡単に結論が出せるものではない。そろそろ原本は返してもいいんじゃないかと思うことはある。日本もそこそこ持ち出されているはず。

 玄奘の旅については砂漠で水を失った状態で四日半もすごした体験が壮絶だ。そんなことがあっても、ブッダには遠く及ばないと悟らされるのもつらいようでいて、自分とブッダを比較することが傲慢にも、それが成り立つほど優秀だったようにも感じられた。
「トルコの協力を得た」と説明していた相手は、トッケツのことだな。トルコ系民族国家なら全部トルコと翻訳してしまうらしい。

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カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 16:29 | comments(0) | trackbacks(0)

ダークマター〜宇宙最大の謎を解け! ナショナルジオグラフィック

 見えないものを見ようとして望遠鏡をのぞき込まない。
 アレシボの電波望遠鏡は活動しているが、さまざまな検出手法が試みられているダークマター探査のお話。見えないものの話を映像化するためにナショナルジオグラフィックが取った手段も興味深かった。
 一種の物理学者名鑑と化している。ダークマター研究の第一線に立って活動している(あるいは、活動していた)研究者たちの顔を覚えるのにも良さそうだ。

 宇宙を料理にたとえたスパーゲル氏はとても印象的で、できあがったものを後で美味しくいただいたのか、非常に気になった。とりあえず、美味しそうではなかった。スキンヘッドのおっさんが放つウインクにはやられた。

 ダークエネルギーを発見したパールマター氏も、やたら楽しそうに分からないことを語ってくれた。未知を開拓していくことが楽しくてしかたない雰囲気だ。

 一部にはダークマター発見レースに挑むことの苦しみも描かれていたが、大規模な実験設備もエキセントリックなものが多くて楽しかった。日本が食い込めていないことは残念だ。まぁ、AMSが設置されたISSには貢献している。

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宇宙の「一番星」を探して 谷口義明
宇宙に強くなる100のキーワード ニュートンムック

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ナショナル ジオグラフィック〔DVD〕 ダークマター 宇宙最大の謎を解け!
ナショナル ジオグラフィック〔DVD〕 ダークマター 宇宙最大の謎を解け!
カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 16:26 | comments(0) | trackbacks(0)

サルタサウルスの成長 ダイナソー・プラネット

 ディスカバリーチャンネル
 白亜紀において北米ではほとんど姿を消した竜脚類であったが、南米においては未だに命脈を保っているものがいた。脳の形もサイズもバナナに似ていたというサルタサウルスの成長を描いたCG作品。
 腐れ縁の肉食恐竜も出て来て、所十三先生の恐竜漫画を連想した。
 そんなに人情のあるものじゃないけれど……。

 主人公のアルファは脳のわりに賢い個体で、運も非常に強い。身体のサイズのわりにたくさん産んで、少し生き残る戦略になっているのは、
卵生で卵の大きさに限界があったことと関係がありそうだ。
 ぐんぐん大きくなるサルタサウルスの個体数を調整する肉食恐竜も大変だったのではないか。

 サルタサウルスの群れには「初夜権」じみたルールがある設定になっていた。なんだかなぁ……設定の参考にした動物は何?

関連書評
へんてこ恐竜大図鑑 ナショナルジオグラフィックDVD

ディスカバリーチャンネル ダイナソー・プラネット サルタサウルスの成長 [DVD]
ディスカバリーチャンネル ダイナソー・プラネット サルタサウルスの成長 [DVD]
カテゴリ:映像資料 | 16:23 | comments(0) | trackbacks(0)

はじめて育てる おしゃれに飾る!小さな盆栽づくり

 指導 関根正/監修 松井孝

 小さな盆栽という言い方は二重表現に思えたけれど、反面大きな盆栽はアリなので対照的に小さな盆栽と言ってもいいのかもしれない。盆栽に詳しい人には、より細かい分類があるのだろう。

 豊富な写真とイラストで、盆栽の入門を助けてくれる本。取っつきにくい盆栽のイメージを変えてくれた。
 盆栽といえば松のイメージがあったけれど、針葉樹以外を使った雑木盆栽や草物盆栽もあるらしい。雑木盆栽は育て方までちゃんと紹介されている。草物盆栽についてはあることの紹介でおおよそ終わっていた。
 まぁ、針金で曲げたりはしないからな。

 盆栽の幹が枯れて白くなった部分のことを舎利(枝の場合は神)と呼んでいるそうだが、それを皮を剥いで人工的に作っているあたりの説明にはやや禁忌的なものを感じてしまった。
 自然への接し方のジェネレーションギャップなのかな。
 自然主義的にもてはやされがちな江戸時代には、こういうことが流行していたと知っておきたい。

関連書評
そだててあそぼう69〜タケの絵本 うちむらえつぞう・へん

小さな盆栽づくり―はじめて育てる おしゃれに飾る!
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カテゴリ:ハウツー | 14:51 | comments(0) | trackbacks(0)

鳥類の祖先ベロキラプトル ダイナソー・プラネット

 ディスカバリーチャンネル
 鳥の祖先と言っているが、始祖鳥はジュラ紀には誕生しているので、直系の祖先ではないはずのベロキラプトルを描いたドキュメンタリー風の映像作品。
 雌のベロキラプトル「ホワイトチップ」の視点から、当時のゴビ砂漠における弱肉強食やベロキラプトルの群の様子を眺めることが出来る。
 オチはやっぱりベロキラプトルとプロトケラトプスの有名な化石につながっていた。あいつら作品のなかで、どれだけの役を割り振られてきたのかな……真実はひとつのはずだけど、さすがに情報が少なすぎて完全に明らかにされる未来は予想できない。

 かつてのリーダーが卵泥棒に落ちぶれているシーン、さらにベロキラプトルの群がかつてのリーダーを見捨てるシーンなど、なかなかきついものを感じた。
 拾う神あれば捨てる神ありかな。ホワイトチップはやたらと運のいい恐竜だった。まるで周囲の雄から運を吸い取っているみたいだ……いや、雌も吸い取られているなぁ。
 ベロキラプトル界の駆逐艦雪風っぽい。

関連書評
恐竜!化石を求めて ナショナルジオグラフィックDVD
恐竜の大陸〜アジア ディスカバリーチャンネル
世界恐竜発見地図 ヒサクニヒコ

ディスカバリーチャンネル ダイナソー・プラネット 鳥類の祖先ベロキラプトル [DVD]
ディスカバリーチャンネル ダイナソー・プラネット 鳥類の祖先ベロキラプトル [DVD]
カテゴリ:映像資料 | 14:50 | comments(0) | trackbacks(0)
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