火山のしくみパーフェクトガイド 高橋正樹

 パーフェクト!
 カラーイラストでビジュアル的にわかりやすく、火山に関連する幅広い内容をまとめたパーフェクトガイド。付録の赤色立体地図でみる火山も、さまざまな方向から3Dに赤色立体地図を重ねた画像が収録されていて、見応え十分だった。
 注目の新しい国土である西之島に関する情報が集まっている。収録内容も出版までの一時を切り取ったもので、今後も激しく変化していくと思われるが。

 さまざまな火山の研究者たちが自分の専門分野についてのコラムを載せているので、火山関係の進路に進みたい高校生にも参考になるかもしれない。
 おもしろいところでは火山地質学者による日本の温泉10選なんて記事もある。
 温泉といえば、泉質が地理的な法則性をもって変化していくのも興味深かった。

カテゴリ:地学 | 20:38 | comments(0) | -

鉱物語り〜エピソードで読むきれいな石の本 藤浦淳

 著者が所有する国産の美しい鉱物の写真と共に石に関するエピソードが読める本。
 西日本を中心に過去の有名産地や一時的にファンの間で評判になったと思われる産地の標本がたくさん出てきて、著者のキャリアの長さとアクティブさが感じられた。
 外国産の鉱物もまったくないわけじゃなくて、話の内容によっては写真に出てくる。

 鉱物名の日本語表記に○○石・○○鉱じゃなくて○○ナイトと最後までカタカナの表記を使っているのは珍しいかもしれない。著者なりのこだわりか?

 今では採れない鉱物、稼働していない鉱山や石切場の鉱物をみたり話を読んだりしていると、いまの鉱物ファンが将来おなじような本を出せるのか心配になってくる。
 可能性のひとつは海外で採集する手だが……?あまりに手に届かないものの話ばかり並べられるのも読者は喜ばないかもしれない。

鉱物関連記事一覧

鉱物語り: エピソードで読むきれいな石の本
淳, 藤浦
創元社 (2019-10-17)
カテゴリ:地学 | 20:04 | comments(0) | -

鉱物・宝石のひみつ 松原聰

 高クオリティの鉱物標本写真が惜しげもなく使われた子供向けの鉱物・宝石の本。一方で河原の石を拾う方法も紹介しているので「手に入るのは、こんなものだ」と理解してもらえると思いたい。
 河原の石は荒川の物で統一されていた。

 海外だと国名までだが産地や化学組成も表記していて、なかなかわかりやすかった。アルファベットでの表記はないが、カタカナで英名もわかるようにしてある。
 けっこう読みの難しい鉱物が多いので助ける。

 なお、鉱物図鑑で化学組成を示したのより後にメンデレーエフの周期表が出てくる。条痕などについても同様の順番になる。
 簡単な内容であるし読み返すことを前提とすれば、問題はないのかなぁ。むしろ、そこに注意して読み返すことで記憶に定着しやすくなるかもしれない。

鉱物関連記事一覧

調べる学習百科 鉱物・宝石のひみつ
松原 聰
岩崎書店 (2017-10-17)
カテゴリ:地学 | 23:28 | comments(0) | -

古代史マップ〜世界を変えた帝国と文明の興亡 ナショナルジオグラフィック

「他国に攻め入れば殺戮と死が生まれ、その土地に住む民を追放しなければならない。これほど我が身を苛むものはない」アショーカ王

 いいこと言っているのに大文字での表示はされていなかった。アショーカ王の後を継いだ王にとっては大変なことをしてくれたからかな?変心のいいところしか描かれていなかったが。

 本書では古代の帝国や文明の勢力が地図で魅力的に表現されている。クレタとギリシアの地図にグルニアとレフカンディの地名をみつけた。ファイアーエムブレムが元ネタをとったのは、この辺りか……。
 それぞれは薄味ながら北アメリカのカホキアを中心とするミシシッピ文化やアフリカのマリ帝国とソンガイ帝国まで扱っている。ソンガイ帝国を滅ぼしたモロッコも強いのでは?古代史の範囲じゃなくなるから出番がないのかな。インカ帝国も。
 エキゾチックな勢力のなかに北ヨーロッパの巨石文明も含まれているところがユニークだった。

 アショーカ王の考えは尊いものだが、歴史上は「支配をやめれば、たちまち支配されることになるだろう」というアルキビアデスの言葉が優勢だったと感じざるを得ない。

古代史マップ 世界を変えた帝国と文明の興亡 (ナショナル ジオグラフィック 別冊)
ナショナル ジオグラフィック
日経ナショナルジオグラフィック社 (2019-01-31)
カテゴリ:歴史 | 20:37 | comments(0) | -

リアルサイズ古生物図鑑 中生代編 土屋健・群馬県立自然史博物館

 著者の飼い犬とお宅が写真に写っている!
 サイズ感の話題でたびたび言及されているので、エオラプトル&エオドロマエウスの写真で、モデルになっている二頭の犬(ラブラドール・レトリバーとシェットランド・シープドッグ)が著者の飼い犬であることにピンときた。
 二頭がいる家は写真を撮るための家という可能性もあるな。モデルハウス、いやハウスモデルか?

 中世代編は有名な恐竜がたくさん出てくるので、それなりに知っているつもりの恐竜について、さらにスケール感がつかめた気分になる。
 魚竜の中には沈没船やダイバーと並べられても遠近でサイズがわかりにくい奴もいた。そもそも水中の距離感はイメージしにくい。その点、市場に並べられた奴はわかりやすかった。

 三畳紀の恐竜がサッカーに出場できるシュールSFにはニヤリと笑った。植物からの貴重な出演であるキカデオイデアはカーリング選手に囲まれて何を思う……。

 表紙にもなっているプロトケラトプスのくつろいだ様子がカワイイ。けっこう重量はありそうだが。窓の外にオビラプトルもいることに感想を書いていて気づいた。
 紹介文の最後にやたらと「実際にはいませんので、ご注意を」と繰り返されるのは電子書籍版ではミュートをつけてやってほしいところだ。わかってる。もうわかってるから……。

土屋健(オフィスジオパレント)著作感想記事一覧

古生物のサイズが実感できる!  リアルサイズ古生物図鑑 中生代編
土屋 健, 群馬県立自然史博物館
技術評論社 (2019-07-22)
カテゴリ:古生物学 | 08:02 | comments(0) | -

星を楽しむ 天体観測のきほん 大野裕明・榎本司

 きれいな写真とわかりやすい解説で、最新の情報を盛り込んだ天体観測の入門書。
 ただし、著者はスケッチをお勧めする人でもある。太陽の黒点観測でちょっとだけスケッチしたことあったなぁ……星雲はやっぱり写真に撮りたかった。

 太陽、月、惑星、主なメシエ天体などのサンプル的な写真が載っている。二重星の写真はやや珍しいかもしれない。オーロラはなかった。まぁ、国内ではほとんど観測できないし……。

 流星群は三つがオススメされていて、4ヶ月に1回のチャンスになる。そう思うと意外と少ない。
 ほとんどの流星群を全夜観測し続けるような怪物もいると書かれていて、天文ファンの恐ろしさを再実感した。健康な人が天文ファンになるとは限らないが、健康でなければ重度の天文ファンを長く続けることはできない。

カテゴリ:天文 | 12:43 | comments(0) | -

おいしいお茶の秘密 三木雄貴秀

 この世にあまたあるお茶の正体がわかりやすく解説されている。アッサム種もお茶の木としては、同じ「種」なんだな。品種と種の説明がごっちゃになって、アッサム種は別の植物と勘違いしていたこともあった。
 ルイボスティーは本当に別の植物から作るらしい。ジャスミンティーは厄介なことに、一般的なお茶にジャスミンの香りをつけたもの。お茶自身が千変万化の香りをもちながら、香りの吸着しやすい性質をもっているのだから面白い。

 品種や茶の種類の説明ではミルクのような、栗のような、等と説明される香りをもつお茶があって興味深かった。漫然と飲んでいたお茶も、普通のお茶でも、もう少し感覚を研ぎ澄ませて飲むべきかなぁ。
 その方が気分転換になりそうだし。

 日本の品種だけ甘みや渋みなどがグラフ化されている。これも地道なブランド作りの成果なのだろうか。
 玉露の成分が異常……抹茶より尖った数字が出てくるのは何故なの?特にカフェインの多さは脅威を覚えるほどだ。
 もっともメジャーな品種である「やぶきた」が誕生した場所の近くまで行ったことがあると判明した。どこかに石碑が立っていたりしたのかな?
 鹿児島産のお茶や茎茶がコストパフォーマンスに優れるとのことなので買うときに気にしてみたい。

カテゴリ:雑学 | 22:44 | comments(0) | -

トリノの聖骸布-謎に包まれた至宝-

 解かれた封印 古代世界の謎3

 キリストの遺体を包み、その顔が写されたと言われるトリノの聖骸布。その論争の経緯がまとめられている。1998年なので、いいかげんに決着がついているのかなぁ。
 炭素同位体による年代測定すら、ややこしい話になっているし、宗教は人から冷静さを失わせる。自分が「科学的」な立場にあって否定していると思っている人間にまで、それはあてはまるようで、聖骸布の制作者がレオナルド・ダ・ヴィンチであり教会への時限爆弾として仕掛けたという与太話には吹き出してしまった。

 ところで遺体を布で包んだら何か影が写り込むことはありえるのだろうか?
 本書でかかれている範囲では、再現実験が行われていないことが気になってしまう。
カテゴリ:歴史 | 23:37 | comments(0) | -

地上絵-古代人の遺した謎のメッセージ- ポール・G・バーン

 解かれた封印 古代世界の謎8

 キルバーンの地名が出てきてダイの大冒険を連想していたら、著者の姓がバーンだった。どうでもいいが。
 地上絵の言葉だけで「ナスカの地上絵」を連想してしまうが、本書ではさらに幅広くイングランドやアメリカなどの地上絵にも触れている。
 イングランドの全裸の男をえがいた地上絵「サーニー・アバス・ジャイアント」には度肝を抜かれた。古代の遺跡ならポルノには当たらない。ヘソがペニスの一部と間違えられて、長さが追加されてしまったエピソードがバカバカしくて素敵だ。
 ニュージーランド軍も英連邦軍としてブリテン島に出征したときに巨大なキウイを描いていたとは面白いことをしている。

 地上絵の構造についても簡単に説明していて、それらが作られた方法や年代が分かってきた。

地上絵―古代人の遺した謎のメッセージ (開かれた封印 古代世界の謎)
地上絵―古代人の遺した謎のメッセージ (開かれた封印 古代世界の謎)
カテゴリ:歴史 | 12:59 | comments(0) | -

ミイラ-紐解かれた過去- ロザリー・デイヴィッド

 開かれた封印・古代世界の謎9

 ミイラの語原は瀝青。医学的な効果があると思いこまれた瀝青の代わりに同じく色が黒いという下らない理由でミイラは薬品にされてしまっていたという……カニバリズムじゃん。
 近世までは迷信の側面からカニバリズムへの志向が残っている部分があるよなぁ。

 本書が書かれたのはミイラの研究に内視鏡が使われたころのようで、大きな傷をつけずに内部をみたり、組織の一部を切り取ったりできる効用が取り上げられている。

 他には歯に関する研究でエジプト人の歯が、パンにまじってくる砂や小石による深刻な磨耗にさらされていたことが紹介されていた。
 庶民から王まで同じ問題を抱えていたのだろうか?製粉作業をする場所に注意すれば、ある程度は回避できそうなものだが。

ミイラ―紐解かれた過去 (開かれた封印 古代世界の謎)
ミイラ―紐解かれた過去 (開かれた封印 古代世界の謎)
カテゴリ:歴史 | 22:09 | comments(0) | -
| 1/387PAGES | >>