見えない脅威 生物兵器 小林直樹 アリアドネ企画

 炭疽菌、ボツリヌス毒素……etc.etc.
 生物兵器の実際について解説した本。911の直後に出版されたらしく化学兵器が使用された地下鉄サリン事件には、かなり言及している。
 オウム真理教が炭疽菌の散布も試みていて、感染の条件が揃わなかっただけということに戦慄した。生物兵器攻撃に、失敗した場合に、仕掛けた側は失敗したことが分かっても、仕掛けられた側は攻撃を受けたことすら認識できないかもしれない。
 成功するまでトライ・アンド・エラーを繰り返されたら……そんな恐ろしさも感じた。

 最強威力のものにこだわらなければ、生物兵器の材料になる細菌や生物毒が付近にいくらでもあることも恐ろしい。
 アメリカ軍でも、攻撃されることを防ぐのは難しく、攻撃されてからの対応に重点を置いているという。

 ソ連が自ら禁止条約に調印した生物兵器の開発を密かに続けていて、ロシアになってもやめていないらしいことは、(本書が書かれた後におきた)イラク戦争が存在がきわめて怪しい生物化学兵器の保有を理由におこなわれたことを考えると、理不尽に思えるのだった。
 亡命者により、もっと証拠がはっきりしているロシアは殴らず、イラクは殴るんだ。

 終盤に細菌兵器にむいた細菌やウイルスの紹介があり、感染力や致死性などで五段階評価されている。ちょっと書くのが楽しそう……まぁ、現実と切り離してみることができれば、気持ちはわかる。

カテゴリ:雑学 | 23:33 | comments(0) | -

失われた黄金と宝石の謎 魅惑の財宝伝説 ナショナルジオグラフィック

 人間は光り物が大好き。古代から近代までの財宝を大きな写真で並べてみせるナショナルジオグラフィックの別冊。
 個人的にはこの写真で満足かな。
 ムガール帝国の書記が使っていたインク壷には強く惹かれるが……インドの宝飾品は大したものだ。エジプトやスキタイと違って質と同時に量を確保したまま現代に至っているのだから。
 盗掘や略奪を受けて延べ棒にされてしまった芸術品の数々を思う。

 沈没船の財宝探しではアトーチャ号とセントラルアメリカ号の話が紹介されている。
 引き上げに成功すれば大裁判に巻き込まれる。実にアメリカらしい恐ろしさで、ゴールドラッシュで実際にいった人よりも関連の商売をした人の方が得をした逸話を思い出させる。
 火中の栗を拾うようなものだな。

魅惑の財宝伝説 失われた黄金と宝石の謎 (ナショナル ジオグラフィック 別冊)
ナショナル ジオグラフィック
日経ナショナルジオグラフィック社 (2017-04-13)
カテゴリ:雑学 | 13:01 | comments(0) | -

宇宙から地球を観る 地球観測衛星「だいち」の目2

 余色立体図でみた広島のビルが見事に浮かび上がってみえて、つい側面を凝視してしまった。硫黄島の地図化に活用されたのも納得の立体感だった。
 硫黄島って、航空写真はなかなか撮れないが、現地調査はできるんだな……。

 世界各地の農地を比べた写真もおもしろい。
 アメリカの農地が区画とは別方向に畝を立てていて「等高線農法」をやっていることが伺えた。社会で学んだ知識を実際目にすることができるのは楽しい。
 日本の北海道の農地は等高線もおかまいなしに木の生える川をそのまま飲み込んで方形の防風林を作っている。野生動物の移動にとってはありがたそうだ。

 著名人が衛星画像でゆかりのある土地をみて語っている。岡田監督はホテルとスタジアムの往復ばかりで不適任だろう……本人が悪いのではなく。
 パリダカの話とエベレスト登山の話は読み応えがあった。600人のポーターを動員した後者はまるっきりの極地法だ。アレクサンドロス大王の行軍はこんな感じだったのだろうと実感できる現代では数少ない機会だったのではないか。

だいちの目 2 宇宙から地球を観る (地球観測衛星「だいち」の目)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
日経ナショナルジオグラフィック社 (2008-01-17)
カテゴリ:雑学 | 12:40 | comments(0) | -

タリバン 田中宇 光文社新書

 2001年10月25日初版、同11月20日第4版。
 ここに911直後の騒然とした世相を感じ取る。著者はジャーナリストとしてタリバン支配下のアフガニスタンを取材した経験をもっている。
 アメリカが難民慣れしてしまったアフガニスタンと戦うことはアメリカ側に失うものが大きすぎると指摘している。アメリカ側の政権は何とか立ったが、いまでもアフガニスタンは争乱状態なので、その通りかもしれない。

 パキスタンとアフガニスタンの深い関係も述べられていて興味深かった。
 ペシャワールのブラックマーケットなど、アフガニスタンとパキスタンの癒着が強すぎて、分離手術できる気がしない……。
 ソ連撤退後にムジャヒディンが意気揚々と進撃したら、傀儡政権の軍に大敗した展開は、ゲリラ軍を正規軍に転換することの難しさを物語っている。
 アメリカもパキスタンも正規軍への転換に協力する動機がなかったみだいだし。

 911についてイスラエルの陰謀説が載っているのは、事件直後だからこそ危うい感じがした。好意的にみればリアルタイムで集められる限りの情報を集めて、載せたのだろうけど。

タリバン (光文社新書)
田中 宇
光文社 (2014-08-22)
カテゴリ:雑学 | 19:12 | comments(0) | -

図解でよくわかる毒のきほん 五十君靜信

 以外と身近に有毒植物がたくさんあるので、覚えておかないと命に関わる毒の知識。知らなくても君子危うきに近寄らずなら大半は避けられるだろうが、自然と触れ合わないよりはしっかり危険を見極めて触れ合いたいものだ。

 ローマのワインは、鉛の鍋で似ることで有毒だが甘くしていたと聞いて、危険を知らないことは恐ろしいと思った。
 昔は他の病気が多すぎて中毒症状を分離するのも簡単じゃなかったのかもしれない。それにしても不老不死を求めて水銀の薬にハマった中国の皇帝は哀れである。
 歴代では唐の皇帝が特に中毒になっていたことを知った(漢も引き合いに出されているので多いのだろう)。


 あと、ヤドクガエルが人工飼育なら無毒化されるからと、新鮮な色が人気のペットになっていることに驚いた。
 今までの流れを考えれば、ヤドクガエルにもペットブームのせいで絶滅の危機に瀕する種が出てくるのではないか?多様化が進んでいるらしいから、それぞれの絶対数は少ないものも多いはず。
 ちゃんと管理されてくれればいいんだがなぁ……。

カテゴリ:雑学 | 18:38 | comments(0) | -

おいしいお茶の秘密 三木雄貴秀

 この世にあまたあるお茶の正体がわかりやすく解説されている。アッサム種もお茶の木としては、同じ「種」なんだな。品種と種の説明がごっちゃになって、アッサム種は別の植物と勘違いしていたこともあった。
 ルイボスティーは本当に別の植物から作るらしい。ジャスミンティーは厄介なことに、一般的なお茶にジャスミンの香りをつけたもの。お茶自身が千変万化の香りをもちながら、香りの吸着しやすい性質をもっているのだから面白い。

 品種や茶の種類の説明ではミルクのような、栗のような、等と説明される香りをもつお茶があって興味深かった。漫然と飲んでいたお茶も、普通のお茶でも、もう少し感覚を研ぎ澄ませて飲むべきかなぁ。
 その方が気分転換になりそうだし。

 日本の品種だけ甘みや渋みなどがグラフ化されている。これも地道なブランド作りの成果なのだろうか。
 玉露の成分が異常……抹茶より尖った数字が出てくるのは何故なの?特にカフェインの多さは脅威を覚えるほどだ。
 もっともメジャーな品種である「やぶきた」が誕生した場所の近くまで行ったことがあると判明した。どこかに石碑が立っていたりしたのかな?
 鹿児島産のお茶や茎茶がコストパフォーマンスに優れるとのことなので買うときに気にしてみたい。

カテゴリ:雑学 | 22:44 | comments(0) | -

レッド・アトラス〜恐るべきソ連の世界地図

 ジョン・デイビス/アレクサンダー・J・ケント著 藤井留美 訳

 ソ連が密かに整備していた世界中の地図。その詳細について実際にソ連の地図をカラーで例示しながら語る。
 共産主義の恐ろしさというか、巨大な官僚組織によって手段が目的化した結果が、この膨大な地図なのではないか。著者は西側陣営との戦争に備えて、あるいは統治に備えてのものかもしれないと推測しているが、最初の動機がそれらであっても、ある時期を通過したら肥大化しすぎた官僚組織によって事業が自己目的化したんだと思う。
 日本人としては、そんな想像を巡らせた。

 建物の配置まで書き込まれ、橋の荷重や川の水深・流速にも詳しいソ連の地図は魅力的だった。アメリカの同じ場所の地図と見比べてもソ連の方が好みだ。字は読めないが……。
 もちろん仮想敵国の地図に間違いがまったくないわけではなく、通りの名前など細かいミスが本書で紹介されている。とくに高速道路の接続は偵察衛星でも分かりにくい鬼門なのかもしれない。
 実際戦争で利用されることになっていたら、この間違いで混乱が起きたのではないかと、なぜかソ連軍将校視点になって戦慄してしまった。
 さすがに日本語版巻末付録の東京の地図についてはソ連側の視点ではみれない。ちょっと田舎っぽく感じるのは地図表現よりも制作された年代の関係かなぁ。

レッド・アトラス 恐るべきソ連の世界地図
レッド・アトラス 恐るべきソ連の世界地図
カテゴリ:雑学 | 20:56 | comments(0) | -

暗闇に息づく神秘を訪ねて−−ニッポンの洞窟

 穴があったら入りたい。
 日本各地の洞窟を案内するムック。東京都や大阪府にも紹介される洞窟があって、全体では平地じゃないことが分かる。
 溶岩洞窟の説明について、ガスが抜けたあとだと間違った説明を繰り返していて困ったものだ。記事によっては、表面が固まった後も中の溶岩が溶けたままで流れ出したあとだと、ちゃんと解説しているものもあった。
 筆者による違いかな?

 けっこう観光のために整備された洞窟が多くあって、各地の必死な思いを感じてしまった。
 信仰が絡んでいる洞窟では、非常に高い確率で弘法大師ゆかりと名前があがっていて、弘法大師が歩けば洞窟に当たる状態……!

 地学的に話題の多い玄武洞には一度いってみたいなぁ。

ニッポンの洞窟 (イカロス・ムック)
ニッポンの洞窟 (イカロス・ムック)
カテゴリ:雑学 | 23:12 | comments(0) | -

言論・出版の自由(アレオパジティカ)他一篇 ミルトン・原田純

言論・出版の自由
 考えてみれば当たり前だが、この問題の前線が宗教にあったことを理解した。イスラム圏やアメリカでは今でも宗教にあるのだろう。ゆえにミルトンは聖書の内容を逆手にとって言論・出版の自由を訴えることができた。
 人間の可能性を信じることが根っこにあることも見えた。
 古代ギリシア・ローマのキリスト以前の例もたくさん出してくるところはルネサンス以後の時代らしい。

自由共和国建設論
 解説を読んで長老派の動きに引いてしまった。確実に歴史に悪名を残す動きをしている。
 緊急事態の必死な主張であったようで、その背景を踏まえて読まなければいけない内容らしい。王の悪行が過去のものとは思えないというか、いちおう民主主義の現代でも似たようなことがなされている……。
 それでも終身制議員の発想は気軽には受け取れないが、当時の平均寿命なども判断に関係しているのだろうか。

言論・出版の自由―アレオパジティカ 他一篇 (岩波文庫)
言論・出版の自由―アレオパジティカ 他一篇 (岩波文庫)
カテゴリ:雑学 | 19:27 | comments(0) | -

みんなが知りたい!ものの一生がわかる本

 あまり脈絡がなく、いろいろなものの一生が解説されている本。子供の好奇心を伸ばす効果はありそうだ。個人的には毛の一生を読みながら、はたらく細胞のことを連想していた。

 しかし、彗星は惑星ではない。なんでそんな間違いをしてしまったのか、わからないが、目立つ部分に書かれているだけにチェック不足に感じた。

 イセエビが育つために必要な時間を知ってしまうと、乱獲で絶滅しないか余計に心配になるのだった。サンゴも心配だな……。

カテゴリ:雑学 | 22:34 | comments(0) | trackbacks(0)
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