食虫植物の世界〜虫を食べる不思議な生き物たち 柴田千晶・田中桃三

 ハエトリグサの開閉は5回が限度。大きすぎる獲物は消化しきれず枯れる危険がある。自分で栽培する場合は虫じゃなくてタンパク質の小片を与えればいい。筆者はゆで卵の白身をピンセットでつまんで与えている。

 最後の栄養の与え方は目からウロコだった。食虫植物のおもしろいところだな。もちろん餌の与えすぎは注意である。

 食虫植物は栄養の乏しい土地のパイオニアプランツで、他の植物が生きられないような環境でも進出して、だんだんと土地を豊かにすることができる。
 しかし、人間の活動で土地利用が固定されてしまったため、人工的に食虫植物が生きる環境を維持する必要がでてきている。皮肉なことだ。

 タヌキモとムジナモが別種なのはややこしい。でも、ムジナはアナグマのことなんだっけ?

子供の科学サイエンスブックス 食虫植物の世界
子供の科学サイエンスブックス 食虫植物の世界
カテゴリ:生物 | 23:40 | comments(0) | -

わらうプランクトン ひらいあきお

 まるで笑っているように表情豊かにみえるプランクトンたちの写真集。幼生は相対的に頭が大きいこともあって人間が表情を投影してみやすい姿をしている。
 おどろきの姿をした生き物が多すぎて、一巡では覚えられなかった。

 写真には別方向からの写真と実際のサイズもついているので、印象的な写真だけでは終わらずに、対象になっているプランクトンのことを知ることができる。
 ツジツボから海中でつかえる接着剤の開発ができるかもしれないなどの豆知識も書かれていた。

 子供だけじゃなくて大人でも楽しめる本だった。

わらうプランクトン (図鑑NEOの科学絵本)
わらうプランクトン (図鑑NEOの科学絵本)
カテゴリ:生物 | 00:05 | comments(0) | -

ゾウの時間ネズミの時間〜サイズの生物学 本川達雄

 歴史的名著!実はジャンプに掲載されていた読み切り漫画でタイトルを知った。それから実際に本書を読むまでに20年以上掛かってしまったのではないか?

 さすがに現代でも揺るがない価値のある内容になっていて、生物に対する新しい目を拓いてくれる。
 数学や物理学を駆使することで生物全体の一般的法則を追求する研究を紹介しつつ、人間の視覚に頼ったものの見方に見直しを求めている反転が面白い。

 ウシの効率の悪さが説明されているところをみて、変温動物で草食の家畜を研究すれば肉の生産効率がよくなるのにと思った。
 現実には肉食のワニでやられているくらいか?草食のイグアナは味か何かに問題があるのか。
 まぁ、現代の研究はもっと効率的な昆虫食やミドリムシまで来ているので、いまさら爬虫類の家畜化にエネルギーを割く価値はあまり認められないのだろうなぁ。
 大型でエネルギー消費の多い動物ほど縄張りが重なりやすい関係で群れのシステムが発達する指摘もあった。その性質をもつことも家畜化の利点につながるわけで……。

 最後に出てくる棘皮動物の特殊性も面白かった。必要なときはロックができる装甲の構造は技術的に模倣する価値が高そうだ。

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)
ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)
カテゴリ:生物 | 23:35 | comments(0) | -

土の中の美しい生き物たち〜超拡大写真でみる不思議な生態

 価値観の変更が必要だ。なかにはもちろん美しい生き物もいるのだが、個人的にはやっぱりグロテスクとの印象を覆すことのできない生き物もたくさんいた。特に実害を受けた経験のあるヤマビルは無理だ……。
 そんな生き物でも写真が細かいところまで写っていて美しいことは認められる。小さい生き物なので透明感を出せているものが多い。
 ムカデに比べてヤスデから綺麗でカッコいい印象を受けることも不思議だった。体長3メートルの古代ヤスデからイメージの影響を受けているのかもしれない。
 ほとんど知らなかったトビムシはカワイイというかコミカルな雰囲気がしていて、なかなか印象に残った。

 写真撮影の方法はもちろん、土壌動物を使った学習の方法や環境評価の方法など、学術的に実用できる情報も盛り込まれている。
 足下への関心が少しでも深まればいいと思った。

関連書評
ハエトリグモハンドブック 須黒達巳

土の中の美しい生き物たち ―超拡大写真で見る不思議な生態―
土の中の美しい生き物たち ―超拡大写真で見る不思議な生態―
カテゴリ:生物 | 18:51 | comments(0) | -

本当は怖い動物の子育て 竹内久美子 新潮新書

 本当に怖い……動物の話から先住民、そして現代の日本人に繋がっていくところが!
 人間も動物、そして遺伝子の乗り物であることから完全には抜け出せていない。多くの虐待事例から著者はそのことを読みとっている。
 本能に打ち勝たなければ……と思うものの、多くの場合、虐待の当事者には本能の関係で自分がしでかしてしまっていることも理解されていないであろう。
 確かに動物のかわいさだけを物語るTV番組よりも、こういう恐ろしい一面を克明にする本が知られてほしい。

 タニマニアデビルのたくさん生まれた子供のうち、4匹だけしか乳首にたどり着けない生態は、すでに精子の段階で選別を受けているのにまだ選別するのかと呻きたくなる。
 発生の段階における問題に対応するために、ここでも選別をかけているのだろうな。

 あとがきにあったモソ人の「走婚」はとても興味深い風習だった。母方のおじに注目して世界史を見直すと、なにか面白いことが拾い上げられるかもしれない。

本当は怖い動物の子育て (新潮新書)
本当は怖い動物の子育て (新潮新書)
カテゴリ:生物 | 22:15 | comments(0) | -

くらべる骨格動物図鑑 川崎悟司・著 大渕希郷・監修

 海パンさんという呼び名が最後に判明した。
 丸坊主の海パン男が他の動物の骨格に準じたポーズを取ってくれる変な動物図鑑。完全に笑わせに来ているイラストが一つや二つではない。
 ヒトが動物を真似するために無理のあるポーズを取っているように見えるときは、ヒトが他の動物がするには無理のあるポーズを取っていると考えるべし!
 直立二足歩行は、それほどスペシャルだ。

 骨格まで解剖することで、ヒトも動物の一種として相対化して見つめ直すことができた。
 ウサギを仰向けにすると人間で言うエビぞり状態であり命の危険さえある、などトリビアも盛りだくさん。キリンの背骨がひとつ首の骨みたいに機能していることには驚いた。
 笑えるし話の種になる本だ。

ウマは1本の指で立っている!くらべる骨格 動物図鑑
ウマは1本の指で立っている!くらべる骨格 動物図鑑
カテゴリ:生物 | 22:59 | comments(0) | trackbacks(0)

じっくり観察特徴がわかるコケ図鑑 大石善隆

 コケにならないコケの図鑑。原始的な植物といっても形態と生態の多様性が大きなコケの写真図鑑。
 むくむく苔のネーミングが強烈な印象に残るのであった。姿も名前に通じて特徴的なので、なんとかムクムクゴケひとつは覚えておきたい。

 コケにはセン類とタイ類、そしてツノゴケ類があって、かなり大きく異なっている。
 セン類にくらべてタイ類は、より好きな人を選ぶ雰囲気があった。ヌメヌメした質感が多いから。
 でも、綺麗といわれるコケはどちらの種類でも確かに綺麗だ。コケの女王マルダイゴケが動物の糞や死体の上に生える生態をもつことには……コントラストが評価を高めるのか?

 各ページの下に必ず書き込まれた豆知識が凄かった。著者のコケに対する情熱の強さが伺えた。
 フランスから来たフォーリー神父の名前も覚えてしまった。高山のコケにまで名前を残しているなんて、アクティブな人だったんだなぁ。日本にまで来ている時点でアクティブなのは当然か。

じっくり観察 特徴がわかる コケ図鑑
じっくり観察 特徴がわかる コケ図鑑
カテゴリ:生物 | 20:01 | comments(0) | trackbacks(0)

岐阜県の魚類の現状と今後―岐阜の河川に魚をふやそう!

 岐阜県の河川における魚種の分布調査をおこなった報告書。昔に比べて河川の魚が種類・数ともに減少してしまっていることが明らかだ。生活排水問題が見られにくくなっても河川の状況が好転していないことに衝撃を受けた。

 移入種すらそんなに見つかっていなかったりするわけで、ともかく河川が魚にとって住みにくい場所になっているものと思われる。
 地球温暖化にともなく気象極端化もあって河川改修を急ぎたい気持ちも理解できるが、可能なかぎり河川環境に配慮した工事をおこなたてほしいものである。

 琵琶湖アユなどの放流については、そもそもの是非にまで踏み込まないようにしていると感じた。
 河川と子供のふれあいを提言しているところでは、間違っても金魚の放流会などに利用されないでほしいと思った。

 前半に調査記録があり、後半に魚の図鑑がある。魚に詳しくない人は図鑑から読んだ方がよさそうだ。自分はそうすればよかった……。

岐阜県の魚類の現状と今後-岐阜の河川に魚をふやそう-
岐阜県の魚類の現状と今後-岐阜の河川に魚をふやそう-
カテゴリ:生物 | 18:52 | comments(0) | trackbacks(0)

植物たちの戦争 日本植物病理学会

 病原体との5億年サバイバルレースとのことだが、個体はサバイバルを行っていても、集団としては相互に発展しあっている印象。それはそれで協力して地球環境に対するサバイバルを行っているともいえる。けっこう深い副題だな。

 本書は主に細菌とウイルスが引き起こす植物の病気について、最新研究と元に興味深く語ってくれる。
 とくに細菌は単純な生き物にみえて、とんでもなく複雑な駆け引きを使いこなしていて、やはり恐ろしさがある。遺伝子の水平伝播は「チート」だ。

 付着器におけるメラニンの役割など、思わぬ情報が思わぬところに伝わっていく意外性にも研究の醍醐味が感じられた。
 日本の研究者が大きな役割を果たしている分野だが、今後も世界について行けるのだろうか。本書がひとつの支えになることを祈りたい。

植物たちの戦争 病原体との5億年サバイバルレース (ブルーバックス)
植物たちの戦争 病原体との5億年サバイバルレース (ブルーバックス)
カテゴリ:生物 | 19:05 | comments(0) | trackbacks(0)

タケの大研究 内村悦三

 草でも木でもないタケの秘密がわかる子供向けの本。タケの増やし方を載せることが爆弾の作り方を載せるのに似た行為に思えてしまうのだった……モウソウチクは江戸時代までなかったので侵略的外来種だな!それを言い出すと、どこまで遡るか、難しい部分はあるかなぁ。

 タケは太平洋をまたいでアメリカ大陸にも分布している。アフリカ大陸や東南アジアにもあり、かなり海を越える力が強いようにみえるのだが、そのあたりの説明は特になかった。
 地下茎で越えたのか、種で越えたのか?

 世界には実が食べられるタケがあると知って驚いた。あと、熱帯アジアのタケは密集して生えて、温帯のタケとは雰囲気が違っていることを知った。
 確かに映画などで密集したタケをみたことがある。

タケの大研究(仮) (楽しい調べ学習シリーズ)
タケの大研究(仮) (楽しい調べ学習シリーズ)
カテゴリ:生物 | 21:53 | comments(0) | trackbacks(0)
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