鉄道車両 陸送 菅野照晃

 深夜、自動車が通行する道路をトレーラーに積まれた鉄道車両が横切っていく。どこか幻想的な雰囲気すらある非日常的な風景の写真をあつめた写真集。

 撮り鉄の世界には、こんな分野もあるのかと驚いてしまった。
 追跡時のマナーを守るよう著者は注意喚起している。最悪の場合、妨害を避けるため、すべての車両が養生される結果になってしまいかねない。

 そもそも養生されずに出荷されることに驚いた。昔からの慣例と、そもそも屋外で使用する設備であることが関係していそうだ。
 それでも擦りそうなところは養生したくなってしまうものだが、養生の分だけクリアランスが減ることの方が問題なのかもしれない。

 著者を感嘆させる陸送に従事しているプロたちの技は写真じゃなくてリアルタイムで確認してみたいものである。

鉄道車両 陸送
鉄道車両 陸送
カテゴリ:写真・イラスト集 | 20:02 | comments(0) | trackbacks(0)

イギリス断片図鑑〜歴史は細部に宿る エディング編著

 人物・出来事・建造物の三種類からイギリスを紹介する図鑑。
 基本的に歴史よりの内容になっている。最後にブレグジットが来たことには驚いた。ド・ゴールに拒絶され続けたままだった方がイギリス人にとっても幸せだったかもしれない。

 ヘンリー8世の酷い行為の影響が、断片の端々に現れていて、直接人物を描写されるよりも印象が悪くなった。肖像画と違うからチェンジは酷い。よく平和裏に受け入れたなぁ――実は花嫁の方も同じ理由でチェンジと思っていた?

 ハチミツ色の建物がならぶバイブリー村の景色がフィクションの中みたいな美しさ。
 これは一度、散策してみたい。
 きっと映画撮影の舞台に何度もなっているに違いない。

世界とつながる イギリス断片図鑑 歴史は細部に宿る (A book of the knowledge of the fragmentary history to know the United Kingdom more)
世界とつながる イギリス断片図鑑 歴史は細部に宿る (A book of the knowledge of the fragmentary history to know the United Kingdom more)
カテゴリ:歴史 | 20:26 | comments(0) | trackbacks(0)

極夜 中村征夫

 グリーンランド北部。北極近くのエスキモー(本書内の表記)のシオラパルクでの暮らしを撮影したドキュメンタリー写真集のリマスター版。
 貴重な資料的価値を感じる。
 ここに住んでいる大島さんは他の手記でも名前があがる人だ。人口50人に日本人がいるんだから凄い確率である。お子さんもいる。

 犬と人の厳しい関係も、現地の生活環境を物語っている。実状を知らずに一方的な批判をするのは避けたいものだ。調教術の提案はありだと思ったが。
 罠にかかるウサギもよく生息しているものだと感心してしまうのだった。そういえばウサギは冬眠しないのか。

 発酵食品キビヤは本当に強烈そうだな……。

極夜
極夜
カテゴリ:写真・イラスト集 | 23:04 | comments(0) | trackbacks(0)

植物たちの戦争 日本植物病理学会

 病原体との5億年サバイバルレースとのことだが、個体はサバイバルを行っていても、集団としては相互に発展しあっている印象。それはそれで協力して地球環境に対するサバイバルを行っているともいえる。けっこう深い副題だな。

 本書は主に細菌とウイルスが引き起こす植物の病気について、最新研究と元に興味深く語ってくれる。
 とくに細菌は単純な生き物にみえて、とんでもなく複雑な駆け引きを使いこなしていて、やはり恐ろしさがある。遺伝子の水平伝播は「チート」だ。

 付着器におけるメラニンの役割など、思わぬ情報が思わぬところに伝わっていく意外性にも研究の醍醐味が感じられた。
 日本の研究者が大きな役割を果たしている分野だが、今後も世界について行けるのだろうか。本書がひとつの支えになることを祈りたい。

植物たちの戦争 病原体との5億年サバイバルレース (ブルーバックス)
植物たちの戦争 病原体との5億年サバイバルレース (ブルーバックス)
カテゴリ:生物 | 19:05 | comments(0) | trackbacks(0)

世界の戦争廃墟図鑑――平和のための歴史遺産 マイケル・ケリガン

 岡本千晶・訳。
 第二次世界大戦のみ。先の戦争の痕跡を世界各地でもとめた写真集。インドやサハラ以南のアフリカは欠落している。中東そして何よりもロシアが足りない。いろいろ差し障りがあって撮影できなかったのだろうか?
 北の果てスヴァーバル諸島にまで足を延ばした行動力は凄い。
 説明の文章は短いのに難しく言い過ぎてわかりにくいことがあった。6インチ砲のことを機関砲と書いたこと以外は間違いに気づかなかった。

 戦車障害物の写真が比較的多いのはコンクリートによる耐久性の関係かな?
 苔むしたコンクリートや樹木に覆われた砲台の写真はやはり雰囲気があった。夏草や兵どもが夢のあと……

 落書きが目立つことには、これを書いた連中はここであったことを少しでも知っているのかと空しい気持ちになった。

[フォトミュージアム]世界の戦争廃墟図鑑:平和のための歴史遺産
[フォトミュージアム]世界の戦争廃墟図鑑:平和のための歴史遺産
カテゴリ:写真・イラスト集 | 22:21 | comments(0) | trackbacks(0)

にっぽんのスズメと野鳥仲間〜身近な「お散歩鳥観察」 中野さとる

 中野さとる氏が撮影地に選んでいる名古屋近くの「ある公園」が気になって気になって気になって……だが、そっとしておくべき。それよりも自分にとっての「野鳥観察聖地」を探すべきであろう。
 そのヒントを本書は与えてくれている。

 スズメの周りの野鳥に視野を広げた本書では、身近な野鳥について知識を得ることができる。
 野鳥の英名の由来についても触れることが多くて、学名とは違う新鮮さがあった。イギリスにいない鳥なのか、安直な名前が多いのだが。

 日本ではありきたりなヒヨドリが、日本以外の地域ではめずらしく海外の野鳥ファンにとって日本に来たら観たい鳥になっているのが面白かった。
 いろいろな分野でありそうな話である。

にっぽんのスズメと野鳥仲間
にっぽんのスズメと野鳥仲間
カテゴリ:写真・イラスト集 | 08:27 | comments(0) | trackbacks(0)

世界一不思議な錯視アート 北岡明佳

 思ったほど錯視が見えなくてショックを受けた。何かがおかしいことは分かるのだが、違和感が錯視現象にまでつながっていってくれない。目のコンディションにもよるのか?
 文字は少ないのに一気に読もうとすると目が疲れる本でもあった。

 モノクロなのに色がみえたり、ギラギラ光って見えるオプアートがあったり、漫画にも応用できそうな可能性を感じた。
 やりすぎるとポケモンフラッシュ事故が起こる?

 動物にも錯視があるが、錯視を面白がるのは人間だけということが興味深い。人類はいつか錯視を楽しめる地球外生命体に出会える日が来るのだろうか。

世界一不思議な錯視アート
世界一不思議な錯視アート
カテゴリ:写真・イラスト集 | 21:08 | comments(0) | trackbacks(0)

知られざる弥生ライフ 誉田亜紀子

 弥生時代のイラスト概説書。弥生土器にも縄文のついたものがあることをフックに、弥生時代への関心を誘っている。
 マニアックな部分にまで言及していて、戦争で殺害された死体のレポートは、ゆるいイラストで見るのがちょど良かったかもしれない――人骨の写真も出てくるが。
 大量の鏃を打ち込まれた人は、戦闘の結果というよりも処刑であり、呪術的な意味も込めて、ああいう形になったのではないかなぁ。生前に受けた矢か、死後に受けた矢か、鑑定できないことが残念だ。

「卑弥呼の住まい」イラストは大阪府弥生文化博物館の想像復元模型を更にイラスト化しているため、参考にしてはいけない感じがした。あまりにも足場にするものが不安定で、空中に浮いているかのようだ。
 復元模型の制作経緯を聞けば、多少は印象が変わるのかな?

 縄文時代の土偶と石棒は別系統の祭祀だったらしいが、弥生時代の祈りでは男女一対の思想が強くなってきている点も興味深い。両者の関係に何か変化があったのだろう。

知られざる弥生ライフ: え? 弥生土器なのに縄文がついたものがあるって本当ですか!?
知られざる弥生ライフ: え? 弥生土器なのに縄文がついたものがあるって本当ですか!?
カテゴリ:日本史 | 10:27 | comments(0) | trackbacks(0)

陶芸で多面体〜フラーレン、ナノチューブ、トポロジー 石黒武彦

 陶土を素材にして数学的に有名な立体をいろいろ作成してみた本。常に新しい形態を追求している陶芸家にとってヒントになりそうだ。
 計算さえすれば形が自然と決まってくるところも陶芸家には新鮮であろう。まぁ、計算通りの形をえるための試行錯誤は、かなりあった様子が伺える。
 折り紙の折り方が説明されていても、正確に折るためには技量が必要なことに似ている。

 釉薬の使い方は比較的に素朴で、面がわかりやすくする機能を重視しているところがある。
 最後に載せられている作品は上手と思ったら、長年陶芸を学んだ著者の奥さんが作った作品であった。
 フラーレンの形が何度も話題になっているけれど、個人的には石榴石によく見られる結晶形が陶器で再現されている点がおもしろかった。

陶芸で多面体―フラーレン,ナノチューブ,トポロジー― (Ceramic Art Approach to Polyhedrons)
陶芸で多面体―フラーレン,ナノチューブ,トポロジー― (Ceramic Art Approach to Polyhedrons)
カテゴリ:ハウツー | 21:17 | comments(0) | trackbacks(0)

知られざる縄文ライフ 誉田亜紀子

 縄文時代の最新研究をわかりやすく紹介する本。縄文時代に興味があるのに、学校で習ったことから知識がアップデートされていない人に向いている。

 極一部のシャーマンがつけていたであろう漆塗りの櫛が一般的な装飾品に感じられてしまう描写があったり――別のところではヒスイなどは特別なアイテムだと説明はされているのだが――注意が必要に感じられる部分も見受けられる。
 婿通い婚だった可能性を示しておきながら、交易のついでに嫁入りする女性のイラストがあったりもした。そういう例も普通にあっただろうけど。
 ……あれだけ長い時代と広大な地域を一冊にまとめることの難しさを感じる。

 一番興味深かったのは縄文時代の服作成に掛かるコストで、一日8時間編むとしても1年以上かかるそうだ。
 まぁ、戦国時代でも農民は悪くすれば一生に一着に近い状態だったらしいからなぁ……現代との差がとても大きい分野である。

知られざる縄文ライフ: え?貝塚ってゴミ捨て場じゃなかったんですか!?
知られざる縄文ライフ: え?貝塚ってゴミ捨て場じゃなかったんですか!?
カテゴリ:日本史 | 06:21 | comments(0) | trackbacks(0)
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