生きもののヘンな顔 小宮輝之 ネイチャー・プロ編集室

 人間以外の動物もあくびが感染する。ハリセンボンの針は約500本など、動物トリビアと一緒に楽しめる動物の顔写真集。
 かなり不気味な容貌魁偉と言いたくなる顔から、かわいらしい特徴を備えた顔まで、いろいろな顔が存在している。しかし、それは人間の価値観を通して感じられるものなのだとあとがきを読んで気づかされた。
 あのハダカデバネズミと人間が「裸」の点で共通性が高いとは!あちらは地下生活のおかげで裸でやっていけるのだろうけど、そう考えるほどに人間が不思議な動物になってくる。
 他の動物は人間を考えるにあたっての鏡にもなる。

 チャイロタマゴヘビの鳥類の卵しか食べないから、鳥類の産卵時期以外は何も食べずに過ごす生態は絶滅の可能性が高そうで怖い。どんだけ特殊化してしまっているのかと。
 海底の砂にうもれた三島オコゼのなかまは顔が怖すぎて悪夢に出てきそうだった。しかし、英名はかっこよくスターゲイザー(星を見つめるもの)!
 ラクダの睫毛が長いことを意識すると、ラブコメ漫画でよくある「こいつ睫毛長!」ってシーンを「こいつラクダみたいに睫毛長!」に変換したくなった。唾吐きかけてきそうなヒロインだなー。

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生きもののヘンな顔
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カテゴリ:写真・イラスト集 | 19:27 | comments(0) | trackbacks(0)

みんなの放射線測定入門 小豆川勝見 岩波科学ライブラリー224

 福島第一原発の事故以来、一般人にも需要がうまれた放射線測定技能の入門書。元素による違いなどを噛み砕いて説明している。
 ガンマ線がはかれる物は測定しやすいが、ベータ線しか出さない物は測定が容易ではないため出回っている情報も少ない。そういうバイアスが掛かっていることも知ることができた。

 筆者が関心を持っている放射性物質の移動は自分にも興味深く、定「面
」的なマッピングで元素の移動を追跡することには、現実の利益だけじゃなく知的な充足感も与えてくれると思う。

 多くの日本人が放射線測定技術を身につけたら、いつか他国で原発事故が起きたとき、助けに行けるかもしれない。メリットとして思いつくのはそれくらいとも言える……。
 測定機器のメーカーはもの凄い利益をあげているのだろうな。原発事故のときに、そういうメーカーの株を買い込んだ人間もいるはずなどと考えてしまった。

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世界に衝撃を与えた日09〜マンハッタン計画の始まりとチェルノブイリ原発事故

みんなの放射線測定入門 (岩波科学ライブラリー)
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カテゴリ:科学全般 | 21:39 | comments(0) | trackbacks(0)

宇宙に挑む3〜宇宙へ飛び出せ ナショナルジオグラフィック

 実業家のオルセン氏がソユーズロケットに登場して宇宙に飛び出したときのドキュメンタリー。日本でもニュースになった。
 お気楽観光かと思いきや、厳しい訓練が行われていて、最後には命の危険がともなうアクシデントさえ待っていた。なかなか盛り上げてくれるじゃないか……生還で済んだからオルセン氏にとっては、いい思い出になったんじゃないかな。
 本職の宇宙飛行士の片方よりも着陸後の体調がいいところには笑ってしまった。彼みたいに宇宙へ飛び出す適正を隠れ持った人間が世界中にいる予感がする。
 それを示しただけでも意味のあるフライトだったかもしれない。

 ロシアのロケット技術が素直に褒められていて冷戦も今は昔に感じる。発射時の脱出ロケットが正常に機能した記録ですごいと思っていたら、着陸時の漏洩から宇宙飛行士たちが全滅した事故も取り上げられていて……アメリカもスペースシャトルでやっているからなぁ。やっぱり二つの世界の行き来がいちばん難しいようだ。
カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 22:14 | comments(0) | trackbacks(0)

宇宙に挑む2〜地球外生命体を探せ ナショナルジオグラフィック

 太陽系内で生命誕生の可能性のある星々があげられていく。
 あまりに可能性の低いものまで取り上げられるから、エウロパ程度の難易度なら生命がいなければおかしい気すらしてくる……。金星の雲の中に生命が存在するならば、水が乏しいというイオにだって何とか存在できそうな気がしてくる。
 カリストとガニメデも生命がいたら熱いなぁ(寒いけど)。

 こういう生命存在の可能性を補強しているのは、地球の極限環境に生息する生き物たちだ。
 こいつらの生きている環境こそが原始的と考えれば地球外生命存在の可能性はあがるが、ふつうの地球上の生命から「特殊化」したと考えれば地球外生命存在の可能性はさがる。
 やはり地球の生命が最初に発生した環境を突き止めたいものである。だが、現実には地球外生命の生息環境から、地球生命誕生の謎に迫る可能性すらありうる。
 そういう情報が得られるかもしれない意味でも地球外生命の探査は有意義である。

 各天体の地形を再現したCGに見応えがあって、とても良かった。

関連書評
火星〜最新画像で見る「赤い惑星」のすべて ジャイルズ・スパロウ 日暮雅通・訳

[ナショナル ジオグラフィックDVD BOX] 宇宙に挑む(DVD3巻セット)
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カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 00:03 | comments(0) | trackbacks(0)

イラストでわかるスタンダード馬場馬術 JANE WALLACE他

 イギリスの馬場馬術のわかりやすい入門書。乗馬用の馬が後ろ足に重心をおくことの大切さが繰り返し説かれている。
 馬車用の馬は前足に力を込める調教になるので、小説や漫画にある馬車の馬を奪って、走り回る行為は微妙なのかもしれないと思った。乗れても旋回性能などで問題が生じる。

「インパルジョン」という言葉も繰り返し出てきて、バネが適度に圧縮されたような馬の状態と理解した。競走馬のもつ「スピード」とは「インパルジョン」が対称にあるらしいことが興味深い。
 いろいろな特性を持った馬がいるものだな。

「拳を使う」という表現も良く出てくるのだけど、最後まで理解しきれないところがあった。実践すればわかるのだろう。
 手綱や鞭もあくまでも馬とのコミュニケーション手段として使うのであって、過度になってはいけないことが直接書かれなくても理解できた。
 馬術の実践に当たっては馬が賢すぎるため、先にやることを覚えてしまい失敗の原因になることがあるらしい。調教する人はたいへんだ。

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クセノポーンの馬術・ポダイスキー ヨーロッパ馬術小史 荒木雄豪・編
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イラストでわかるスタンダード馬場馬術 運動の基本・問題とその解決・競技のテクニック
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カテゴリ:ハウツー | 20:02 | comments(0) | trackbacks(0)

ドラゴンとの戦い〜伝説のモンスターは実在したのか?

 ナショナルジオグラフィックDVD
 西洋風ドラゴン限定。人々に害をなす悪のモンスター、ドラゴンの伝説を取り上げたドキュメンタリー。吐く息は熱いということは恒温動物だったのかな?いや、体内で化学物質を反応させて高熱を作り出している可能性も?
 その表現から尾鰭がついて炎を吐くように変化したことが何となく想像できた。

 CGによる再現動画つきで出てきた英雄はベオウルフにファフニールを倒したシグルズ、ワイバーンを倒したジョン・コニャーズ、そして、聖ヨハネ騎士団のリュドネド・ゴゾン。後ろの二人は知らなかった。
 どちらも政治的事情により移った土地で、現地人のためにドラゴンを倒している共通点がある。まったく興味深いことに。ドラゴンが異教そのもので、自分たちが正当とするキリスト教を広めたことを暗示している可能性すらあるかな?彼らがイングランドやロードス島に入ったとき、そこはすでにキリスト教社会ではあったと思うけど。

 リュドネド・ゴゾンの故郷でおこなわれていたドラゴンの祭りについて、モノクロの映像が残っていた。一神教のキリスト教社会で、こんなに異教的な祭りが長く続いていることも不思議である。
 教会の方はドラゴンに対して倒すだけに手段をかぎらず、柔軟に対応している。

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騎士団 須田武郎 新紀元社
中世騎士物語 須田武郎 新紀元文庫


DVD ドラゴンとの戦い 伝説のモンスターは実在したのか?
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カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 22:51 | comments(0) | trackbacks(0)

けったいな生きもの ぴかぴか 深海生物 エリック・ホイト

 北村雄一 訳
 深海生物タチ特徴的な言葉遣いで自己紹介する写真集。翻訳前の文章がこんなに気になった本は初めてだ!英語の一人称は日本ほど多彩ではないはずだが、わらわやわしのニュアンスをどうやって汲み取ったのかなぁ。
 自分で脳がないと説明しながらしゃべるギボシムシに笑った。

 変なところに意識が集中してしまうけれど、やっぱり深海生物は奇妙で興味深い。発光について注目されがちだったけれど、簡単に説明される餌の取り方などの生態情報も興味深かった。
 それを得るために学者たちが限られた機会を血眼になって観察したことを考えればなおさらである。

 シラエビの仲間が解説した、海面近くはのエビは透明、深海はオレンジ色、いちばん深いところは真紅という特徴は他の生物にも基本的に応用できるみたいで、自己紹介前にあたりを付けることができた。
 表紙にもなっているクロクラゲの仲間が、この世のものとは思えない妖しさだ。「深海のイソギンチャク」として紹介されている個体は、ガンダムF91に出てきたラフレシアみたいだった。あるいは仏像の台座?
 カウンターシェイディングの基本を反対にしているチヒロダコの仲間の「(それは)なぜでしょうね?」が分からないままだったが、あえて目立ちやすくすることで飛び込んできた獲物を襲って食べるためかなぁ。体長50cmのタコならば……

関連書評
深海散歩〜極限世界のへんてこ生きもの 藤倉克則

ぴかぴか 深海生物 (けったいな生きもの)
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カテゴリ:写真・イラスト集 | 23:27 | comments(0) | trackbacks(0)

宇宙に挑む1〜彗星を追いかけろ ナショナルジオグラフィック

 人類が宇宙にいかなくてはいけないわけではないが、生き残りたければ彗星対策だけは万全にしておかなければならない。
 生命の安全というわかりやすい方向から宇宙開発の必要性を訴えることができている。確率論的にいえばいつかは必ず彗星や小惑星が衝突すると言っても間違いではない。
 ただし、一個人の時間感覚では運に頼ってもいい気持ちになってしまいかねない。それよりも交通事故を心配しろと――言えないのは人類の存続自体に関わりかねない問題だからだ。
 核兵器がなんだかんだで拡散してしまっている現状では、自然災害を勘違いした国による暴発からの全面核戦争も怖くなってきた。小惑星対策で全世界が協力して核兵器の廃絶にむかえればいいんだけどなぁ。
 すべては余裕を持って発見する「目」に懸かっている。

 小惑星対策の一里塚となったディープインパクト計画の責任者マイケル・アハーン氏の名字が忘れられない。そしてウィキペディアで検索したら亡くなっていた。
 アハーン氏はなくなっても、小惑星対策は生き続け、それが人類を生かし続けることを願う。

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宇宙 未知への大紀行1 天に満ちる生命

[ナショナル ジオグラフィックDVD BOX] 宇宙に挑む(DVD3巻セット)
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カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 20:07 | comments(0) | trackbacks(0)

原発と活断層〜「想定外」は許されない 鈴木康弘

 岩波科学ライブラリー212
 岩波ブックレット寄りの岩波科学ライブラリー。原子力発電所に関連した活断層の調査があやまった歴史をたどってきており、原発事故によってやっと正す機会が生まれたが、それすらも歪めようとする人たちがいることが分かる……。
「基準を厳しくしたら日本で原発はつくれない」なんて意見を出した人物は「御用学者」の批判を免れないのではないか。科学的に妥当な基準でつくれないなら、つくっちゃダメなのだ。
 喉元すぎれば熱さ忘れるとばかりに、貴重すぎる経験を元の木阿弥にされることを恐れる。

 日本の原発は冷却のために海岸に立地するわけだが、海底にも活断層は存在していてトレンチなどの直接的な調査はおこなえない。
 リモートセンシングの方法はあるものの、この点も問題だと気づかされる内容だった。

 真摯に対策案を考えている著者たちを心の底から応援した。

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日本の地下で何が起きているのか 鎌田浩毅

原発と活断層――「想定外」は許されない (岩波科学ライブラリー)
原発と活断層――「想定外」は許されない (岩波科学ライブラリー)
カテゴリ:科学全般 | 22:24 | comments(0) | trackbacks(0)

日本の地下で何が起きているのか 鎌田浩毅

 岩波科学ライブラリー266
 火山学者の著者による防災啓蒙書。大災害時に生き延びるための心構えや基礎的な地震や火山の知識が説明されている。

 しかし、活断層と地震断層の用語説明が正反対になっていた。著者の説明では地表地震断層って言葉が意味不明になりかねない。マグニチュードも1あがると約32倍で、2あがると正確に1000倍なのに、「約」をつけるほうが逆になっている。
 どうしてこんな間違いを?

 東日本大震災から日本中の活断層や火山がうごめき出しており、日本列島は活動期に入ったと言われる。いつ収まるのか生きているうちには期待できないくらいかもしれないが、活動期でなくても南海トラフ地震などは定期的に襲ってくるので(活動期だぞ)という心構えを持っていた方が防災にはいいかもしれない。
 それにしても連動地震による被災者6000万人の予測はすさまじい。まさに国家存亡の危機になるし、各地の原発がコントロールできるのか非常に心配にもなってくる。
 発電所については破局噴火の方がもっと怖い。いざというとき東日本に逃げるためのイメージトレーニングを勧めていたが、うまく行くとしたら海路かな……趣味でヨットを持っていると命が助かるかもしれない。
 住所の選択もしかり、資産のあるほうが命を守りやすい現実も意識せざるを得なかった。それでも自分ができる範囲で準備している人は、大金持ちでもなんの準備もしていない人より生き延びやすいはず。

関連書評
南海トラフ地震・大規模災害に備える 田結庄良昭
中世の巨大地震 矢田俊文 吉川弘文館
スロー地震とは何か 巨大地震予知の可能性を探る 川崎一朗

日本の地下で何が起きているのか (岩波科学ライブラリー)
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カテゴリ:ハウツー | 19:12 | comments(0) | trackbacks(0)
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