恐竜超世界 NHKスペシャル「恐竜超世界」制作班

 小林快次・小西拓哉 監修

 定説になっていないことを再現CGにしたことを告白している本。専門家の「こういう可能性もあります」を錦の御旗にして、創りたいシーンを創っていないか?
 そんな抵抗感を自分が強く覚えるのは、著者が正直に事情を説明しているせいや番組自身は見ていないせいかもしれない。番組の中でも仮説であることが強調されているなら、あまり問題ないんじゃないかな……。
 本質的にはリアル調の3DCGが持つ説得力への危惧かなぁ。ゲームで3DCGに慣れた世代にとってはイラストレーションと同じ「作り物」であることが分かっているのかもしれない。
 実写写真が使われている「むかわ竜」関連の情報は喉に引っかからずに落ちた。

 羽毛恐竜の脇役に出てきたアラスカのナヌークサウルスが、頭のやたらと大きな二頭身的な姿をしていて恐ろしいはずなのにコミカルだった。神の失敗作っぽさがある。

 モササウルス関連の情報は個人的に目新しくて興味深かった。そもそも卵胎生の胎児が溺れないのは羊水に高濃度の酸素が含まれているため?へその緒が母胎と繋がっていないから血液で酸素を送っているわけではないはずで、基礎的な知識が足りないことを痛感した。
 癌により17歳で亡くなった宮内和也さんが残された時間をかけてモササウルスを研究したエピソードには胸を打たれた。

カテゴリ:古生物学 | 23:11 | comments(0) | -

4億年を生き抜いた昆虫 岡島秀治 ヴィジュアル新書

 昆虫のそれぞれ優れた生態を見事な写真と一緒に示した新書。
 なお、写真はアフロからのものだったり、図が引用だったりする。本書のために、これほど多くの種類の昆虫写真を撮ることは現実的ではないか。
 中には海外の昆虫もいるからなー。アルゼンチンアリは海外の虫だが、写真は国内で撮られた様子。そういえば子供の頃あこがれていた海外のカブトムシが日本に放されて問題になっているらしいことに驚いた。
 日本の気候に適応できたのか!?地球温暖化による気候の変化も影響しているかもしれない。

 解説の多くは1ページや2ページしかないのだが、自分の知らない知識がたくさん載っていた。アブラムシに社会性昆虫の特徴をもった種がいて、生殖能力がない「兵隊アブラムシ」が生まれるとか……アリに護衛させるだけじゃ物足りないのか。アリに護衛させない種なのか。
 アゲハチョウでも食草がくっきり違っていて、我が家のサンショウを食い荒らしていたアゲハチョウが、おそらくナミアゲハであったことも今更ながら気づいた。
 紹介される昆虫の最後がハチ・アリの仲間だったことは、やはり著者に彼らの社会性が高く評価されている証左なのかなぁ。

 あと、無変態性、不完全変態性、完全変態性の分類は覚えておきたい。

カテゴリ:生物 | 20:23 | comments(0) | -

沈黙の巨人−解き明かされたイースター島の謎− ポール・G・バーン

 開かれた封印 古代世界の謎14

 イースター島のモアイにまつわる話。争乱のあと島を治める人物を選ぶ「鳥人」の儀式は、鳥人候補が選んだ若者に試練をくぐり抜けさせるもので、試練をくぐり抜けた本人が鳥人になれるのではなかったらしい。
 勘違いして覚えていた?
 試練に参加した人間が将来の鳥人候補になるパターンが多そうではある。

 謎の文字ロンゴロンゴについて、スペイン人にサインを求められたことが切っ掛けとなって誕生したと考えられていて、動機と成果が興味深い。 人口的に限界がある中で、よく文化的な成果をあげられたものだ。
 宣教師への警戒や奴隷狩りから文字の記憶が失われてしまったのは酷く残念だった。

 モアイ像に目を装着すると実は上の方をみていることが分かるのも面白かった。帽子をかぶるし、実は腹の辺りまで造られているし、モアイは一般のイメージと完成形のズレが割と大きい。

カテゴリ:歴史 | 23:24 | comments(0) | -

戦国、まずい飯! 黒澤はゆま

 戦国時代に食べられていたものにできるだけ近い食べ物をいろいろと食べてみた本。
 タイトルはまずい飯!となっているが、おいしいと評価されている食べ物も多い。しかし、いつも食べられるわけでも、下層階級の人が食べられるとも限らず、戦国時代の悲惨なイメージが補強されたような、そんなに変わらないような微妙な気持ちだ。赤米をのぞくとまずさで一番印象的だったのは、著者が灰汁抜きに失敗して痛い目にあった芋茎と里芋の葉だったりするし。
 それを除くと糠味噌が強い。

 米から始まり、(豆)味噌に終わる。しかも、途中に出てくる食べ物が味噌に繋がるようになっている構成が見事だった。
 味噌で天下を取るは言い過ぎでも、発酵のいい菌を保有していることが戦乱の世において有利に働いたことは想像できる。
 米の品種改良を考えても、戦略的な意味の生物兵器戦はとっくの昔に始まっていたのかもしれない。

 味噌で取り上げられている力車マンとドイツ人の話は、別のところで玄米を白米に変えさせたら人夫が音を上げたと玄米だけのすごさを強調するエピソードとして語られているのをみた覚えがある。
 本書の方が正確っぽい。

カテゴリ:歴史 | 21:52 | comments(0) | -

知られざる聖杯伝説−死海文書と聖杯の謎−

 クリストファー・ナイト&ロバート・ロマス著 開かれた封印 古代世界の謎6

 いまやアーサー王物語と不可分の関係にある聖杯伝説。その源流をおいかけていくと、テンプル騎士団がエルサレムで聖杯を掘り出した可能性がみえて……こない気がしないでもない、わずかに。
 このシリーズ内では結構ゆんゆんした内容だった。タイトルがあからさまにゆんゆんしていることは反動でブレーキが掛かるけれど、聖杯はそうではなかったらしい。
 神の王(レックス・デウス)なる家系は本当に存在するのか?陰謀論的な色彩を帯びているのは否めなかった。けっきょく聖杯がイングランドにあるとして、誰が持ってきたかもあやふやだし……アリマタヤのヨセフなのか、テンプル騎士団なのか。

 聖杯探しがアーサー王の騎士団に致命的なダメージを与える結果になったことは何か寓話的で興味深かった。あの流れならガラハッドに任せればいいのに、なんでみんな探して回るんだか。それこそが欲望だから聖杯を手に入れられるはずもなく……。

カテゴリ:雑学 | 22:27 | comments(0) | -

失われたアトランティス−伝説と謎に満ちた大陸−

 ジェニファー・ウエストウッド著、開かれた封印 古代世界の謎2

 プラトンが対話篇で言及した問題の島、アトランティス。その正体に関する侃々諤々の論争が紹介されている。
 アトランティスの名前は知っていても、その概要は知らなかったので最初のまとめが勉強になった。まさかアトランティスが地中海世界を侵略して、9000年前のアテネ軍と死闘を繰り広げていたとは……苦笑を禁じ得ない。

 アトランティス=テラ・クレタ島仮説はわりと説得力があったけれど、小アジアとリビアを足した大きさがあったとする説明が思いっきり足を引っ張っている。
 そして、小アジアそのものをアトランティスとする説は大きさの例えを完全に無視しているなぁ。

 ギリシア人の民族的な記憶を反映したものである可能性までは完全否定できないので、クレタ説とは逆さまになるが、アトランティスの話に謎に包まれた「海の民」のヒントが隠されているかもしれないとも思った。

 アトランティスのアクロポリスに関する記述は、漫画「進撃の巨人」で壁の構造に取り入れられていそう。進撃の巨人は三重で、アトランティスのアクロポリスは五重だが。
 漫画「ヒストリエ」でアリストテレスが、アトランティスをプラトン先生の作り話と話していたのは事実である以上に彼の主張であったこともわかった。

カテゴリ:雑学 | 21:59 | comments(0) | -

ストーンサークル−不思議な巨石群− オーブリー・バール

 開かれた封印 古代世界の謎

 イギリス諸島各地に残されたストーンサークルの謎について、考古学的な成果を追った本。有名なストーンヘンジ以外にも多くのストーンサークルの写真が掲載されていて興味深い。
 文章で関心だけ引き立てて写真のないストーンサークルもあったが……現代ならウェブで見ることができても、本書の発行当時の読者はもどかしい思いを抱いたのではないか。

 スコットランドのストーンサークルとアイルランドのストーンサークルに共通性があって、スコットランドの方が古いことにおもしろさを感じた。スコット人がアイルランド出身であることを考えれば、昔には逆方向の流れがあって、またスコットランドに戻ってきたとも考えられる。
 距離があるように見えてもスコットランドとアイルランドの地政学的な繋がりは太いようだ。

 男根に見立てられる石があったりすることから、日本の縄文時代とストーンサークルの時代に共通点を感じる。後者は青銅器時代から鉄器時代なので、そこは違うのだが、島国という条件もあって偶然似通ったのかもしれない。

カテゴリ:歴史 | 23:30 | comments(0) | -

レイライン−大地をつらぬく神秘− ナイジェル・ペニック

 開かれた封印 古代世界の謎

 ヨーロッパ各地に残る直線状構造。その扱いの歴史が分かる本。
 UFOの航路などと言われ出してからの盛り上がりは、レイの提唱者であるワトキンズが気の毒になるほどだった。彼の旅を徹底的に脚色・捏造してしまうところなど、御輿にしていても敬意は欠片もない。
 向こうにもこういう人たちがいるんだなと妙な親近感を覚えてしまったのも事実である。

 レイラインがまったくの虚像であるかと言えば、それは違っていて、人間が造ったといえるものも中には確かに混じっているらしい。
 まぁ、人間がつくる構造物が直線の形をしていてもおかしなことはない。都市計画に同心円上のものがあるヨーロッパだからこそ、特別に思われたところもあるのかなぁ。現実の地形に合わせないレベルにもよるが。

 ところで英語の「ruler」の単語に定規と支配者の意味があるって話は、墨家における「鉅子」を彷彿とさせるものがある。考えることは洋の東西で一緒か。

カテゴリ:雑学 | 23:31 | comments(0) | -

深海の狩人〜インド洋交通破壊作戦 天宮謙輔

 ドイツがイギリス本土上陸作戦に成功した世界で、日本がエジプトへのロンメルの進撃を助ける形でアフリカ沖で通商破壊戦をおこなう架空戦記。
 史実と異なるジブラルタルの陥落から、どんどんイギリスにとっての流れが悪くなってくる。地中海を出撃してイギリス海軍と交戦したイタリア海軍の被害が気になった。

 主人公は潜水艦の新米士官三上、同型艦には同期の田中もいて、艦の雰囲気が対比的だった。どうにも田中の経験が悲しくてならない。

 三隻の駆逐艦に追い立てられた30時間の緊迫した潜水シーンはとても印象的だった。
 囮魚雷改造のために9時間も掛かると聞いたときには、さすがにこの作戦は厳しいんじゃないかと思った。魚雷の信管に関する事細かな描写がちゃんと伏線になっている。

 イギリス軍が輸送船の被害を日本が発表するまでUボートの犯行だと思っていたってことは、囮に排出したブロマイドは回収されていないみたいだな。

カテゴリ:架空戦記小説 | 20:12 | comments(0) | -

見えない脅威 生物兵器 小林直樹 アリアドネ企画

 炭疽菌、ボツリヌス毒素……etc.etc.
 生物兵器の実際について解説した本。911の直後に出版されたらしく化学兵器が使用された地下鉄サリン事件には、かなり言及している。
 オウム真理教が炭疽菌の散布も試みていて、感染の条件が揃わなかっただけということに戦慄した。生物兵器攻撃に、失敗した場合に、仕掛けた側は失敗したことが分かっても、仕掛けられた側は攻撃を受けたことすら認識できないかもしれない。
 成功するまでトライ・アンド・エラーを繰り返されたら……そんな恐ろしさも感じた。

 最強威力のものにこだわらなければ、生物兵器の材料になる細菌や生物毒が付近にいくらでもあることも恐ろしい。
 アメリカ軍でも、攻撃されることを防ぐのは難しく、攻撃されてからの対応に重点を置いているという。

 ソ連が自ら禁止条約に調印した生物兵器の開発を密かに続けていて、ロシアになってもやめていないらしいことは、(本書が書かれた後におきた)イラク戦争が存在がきわめて怪しい生物化学兵器の保有を理由におこなわれたことを考えると、理不尽に思えるのだった。
 亡命者により、もっと証拠がはっきりしているロシアは殴らず、イラクは殴るんだ。

 終盤に細菌兵器にむいた細菌やウイルスの紹介があり、感染力や致死性などで五段階評価されている。ちょっと書くのが楽しそう……まぁ、現実と切り離してみることができれば、気持ちはわかる。

カテゴリ:雑学 | 23:33 | comments(0) | -
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