老子と荘子の言葉 100選 境野勝悟

 老荘思想から重要だったり、わかりやすかったり、心に響いたりする名言を50ずつ抽出。1ページで解説をおこなう一冊。人生の羅針盤に?

 右ページは老荘の名言がちょっと書いてあるだけなのでページ数が実質半分に感じた。しかし、重みは左右のページで変わらない。左のページを圧縮して右のページに込めておきたい。もっと深い意味だって見つかることがあるかもしれない。

 個人的な好みなのか、老子の言葉の方が気に入るものが多かった。長いたとえ話で意味をひもといていく荘子のスタイルと本書のスタイルの相性があまり良くない可能性もある。荘子の名言は話の枕のキーワード的に感じる。
 老子は解説があるから、いい言葉だと思えるけれど、ないと意味にたどりつけない。

 井の中の蛙大海を知らずの逸話で蛙が低くみられている感じが、今までの話からは訝しかった。是非善悪などないのでは?「自慢するな」系の警句が多いので、そちらに分類するべきなのだろうな。

 働きすぎの人に「世を挙げて之を誉むるも、勤めるを加えず」の言葉を贈りたい。おだてに乗って飛び降りるしか降りられないところまで登っちゃダメだ。

関連書評
自由訳 老子 新井満
古典コミックシリーズ「荘子」 真崎守

老子・荘子の言葉100選―心がほっとするヒント (知的生きかた文庫)
老子・荘子の言葉100選―心がほっとするヒント (知的生きかた文庫)
カテゴリ:文学 | 00:03 | comments(0) | trackbacks(0)

メソポタミアの神話〜神々の友情と冒険 矢島文夫

 古代メソポタミアにおいてシュメール人やアッカド人、アッシリア人などによって粘土板に印された神話を整理して紹介するジュニア向けの本。欠損していて不明な部分が多い神話を著者がおぎなって意味が通るようにしている。繰り返し部分は割愛されているが、それでも目立つものがあった。
 おそらく学校の教材として使用された関係であえて繰り返し部分が多くなっていたのではないか。

 イナンナが地下界に行く話は門を通るたびに装飾を取られていって最後に全裸になるところが「注文の多い料理店」を連想させた。宮沢賢治が知っていた可能性はあるのかな?
 世にも有名なギルガメシュ神話は、山男エンキドゥが妙に賢いところが面白い。そんなに頭脳明晰な答えを返していい育ちをしていないと思うのだが、当時の人々は設定とキャラクターに違和感を覚えなかったのかな。(動物と一緒に水や草をとっていたところは無視して)山男は賢いものだという常識があったのかもしれない。

 神では圧倒的に「困ったときのエア神」である。とりあえず相談にいけば人間でも神でも助言を与えてもらえる。とってもありがたい神様だ。みんなにドラえもん扱いされている。
 イナンナはスイーツ。事実を指摘されて怒り、襲ってくるとか始末におえない。多神教の神らしい理不尽さである。

 いったん問題がこじれて大きくなってしまうと血を見ずには解決できなくなってしまうのは神々の世界でも同じなのだと、ティアマトに関する物語を読んで思った。血縁関係があっても容赦なしである。

 意味不明な点もあるが、歴史時代の初期から物語性豊かな作品が存在したことがよく分かった。


 古代メソポタミアを舞台にした作品「四方世界の王」で、マルドゥーク神が50の欠片に分かれている設定はマルドゥークの名前が50個あることから来ていたんだなぁ。ナムルもシャズもマルドゥーク神の異名に数え上げられていることに気づいて感動した。

関連書評
古代メソポタミアの神々 三笠宮崇仁・岡田明子・小林登志子
バビロニア都市民の生活 S.ダリー著/大津忠彦・下釜和也 訳
五〇〇〇年前の日常〜シュメル人たちの物語 小林登志子
四方世界の王1巻 定金信治・雨音たかし

メソポタミアの神話―神々の友情と冒険 (世界の神話)
メソポタミアの神話―神々の友情と冒険 (世界の神話)
カテゴリ:文学 | 21:50 | comments(0) | trackbacks(0)

月刊ニュートン2015年6月号

NGK SCIENCE SITE
 こんなに危ない実験を紹介してくるとは……これは火傷を避けるの難しいぞ。安全カバーも含めて工作を紹介するべきだったかと。
 過熱水蒸気の時代が間違いない。

SCIENCE SENSOR
 絹の膜で電池を改良:生分解が心配だ。絹という材質を選択したところがおもしろい。
 水星のマントルは不均質?:水星で火山が確認されていたんだ。今後の分析が楽しみだ。
 エボラに効果あり:ウイルスの量が多いと効果がない。マスコミによって表現のニュアンスが変わりそう。使うべきシチュエーションがわかってきたのはありがたい。
 食べてアレルギー予防:研究結果を活かすときには気管支に詰まらせないように注意。
 過去の水量は膨大:それでも地球に比べればかなり少ないのでは?そのあたりの比較もしてほしいが、短文記事では難しいな。

福島第一原発の原子炉内部の透視に成功
 穴をほって機器を地下に設置すれば容器の底もみることができるらしい。早めに取り組んでほしい。

土星の衛星に生命が存在できる環境があった
 熱源としてはやっぱり潮汐力なのかなぁ。放射壊変もあるとは思うが。氷の断熱効果も結構高いのか?
 結果を出した実験の規模がいまいち想像できず気になる。

世界の絶景 ピサの斜塔
 頂上の部分だけ傾きを変えてバランスを取っているとのこと……手持ちで何とかしなければならない現場工事のつらさを思い出す。
 職人もびびりながら作業していたのだろうな。計画の半分の高さで終わっているし。

世界の絶景 ペトラ遺跡
 ナバテア王国の首都。関連書籍を読もうとしたが、結局読めずにいる。周辺の治安が心配だが、観光客をみると?

バクテリア驚異の世界
 親子や兄弟でも常在菌の種類は違う(多少は似通っている程度)らしい。そんな新知識にショックを受けた。シャム双生児は特殊例すぎるか。
 細胞構造の細かいCGがたまらん。でも、あまり長時間みていたくない……。

アンドロメダ銀河の素顔
 お隣の銀河。でも、230万光年の距離があって、相互の関係は弱いと油断していると40億年後に……まぁ、物質レベルではスカスカだし。夜空の想像図が地上への影響をゼロとしているが、実際のところどうなのか気になった。
 でも、宇宙にはこういう状態がみえている惑星が絶対あるだろうな……すごいことだ。

森の宝石――ハチドリ
 運動量が多いので常に食べているハチドリ。パンダみたいだが、あっちは消化器官が発達すれば楽になる可能性があるけれど、ハチドリの場合はすでに花の蜜を食べていて大きな効率アップは望めそうにない……。
 長い花の根元にくちばしをブスリと刺して蜜をいただいているハチドリの写真に笑った。たくましい。個体としては良くても種として、最終的に良い行動なのかは悩ましい気もするが。
 今度は植物が花の側面を強化する方向で進化するのかなぁ。共進化には終わりがない。

知られざるサハラの絶景
 チャド共和国北部のサハラ砂漠を旅して撮られた写真。人口希薄地帯の雰囲気がすごく独特である。
 地面の深い割れ目にたまった池、アルシェイのゲルダがおもしろかった。塩分が増加することはないっぽい?家畜用には多少は塩分があった方が都合がよさそうだけど。

レーザーで”核融合の火”をつけろ!
 取材協力に浜松ホトニクスの社員が三人も……とても一般企業とは思えない。本当に特殊な会社である。静岡の誇りだな。
 ターゲットエリアの写真にSFっぽさがあって満足。

パキケファロサウルス
 まさかのドラコレックス=ステゴケラス=パキケファロサウルス説!?
 ステゴケラスは知らなかったが、ドラコレックスは恐竜漫画「白亜紀恐竜奇譚 竜の国のユタ」で出てきたので良く覚えていたが、パキの幼体である可能性があったのか……。
 近縁種でも頭の形にバリエーションがあっておもしろい。

オオスズメバチ
 最強生物の呼び名も高いオオスズメバチ。日本に生息するスズメバチに世界最大の奴がいるらしい。コルセットを巻いたみたいに細くくびれた体のせいで、固体の食べ物が通らず液体で取るしかないこと。そのために幼虫と「栄養交換」を行っていることがおもしろかった。
 アリマキの仕事を身内の内部でやっている感じだ。
 幼虫はかわいいと思えないこともないが、蛹は無理だと思った。産みつけられた順番にちょっとずつ成長段階の違う写真があるので、自分にとってのラインを見つけ……あまり注視するものじゃないなぁ。

宇宙大百科 オメガ星団
 ふつうの球状星団とは異なり、矮小銀河が天の川銀河によって周辺部をはぎとられたものらしい。天の川銀河のエッチ。

Newton(ニュートン) 2015年 06 月号 [雑誌]
Newton(ニュートン) 2015年 06 月号 [雑誌]
カテゴリ:文学 | 00:03 | comments(0) | trackbacks(0)

のうりん7巻 白鳥士郎

 彼岸島は反則だ!
 やめてくれよ。九州から東海に帰る途中の新幹線上で読める代物じゃなかった……何度、笑いをこらえて顔を背けたことか。あれは加古川?
 女子の入浴シーンもページを開きにくかったけど、後でしっかり観察させていただきました。今日も家族会議だねっ、切符先生!!

 家族会議と言えば、修学旅行のしおりの表紙絵も凶悪だったなぁ。ページをめくる前から線の具合で予想できてしまったんだ……どんだけ個性的なんだ、三峯画風。
 ベッキーのリアルで不気味な顔など、カウントされると萌え絵を圧迫する結果になる絵がいくつもあってチャレンジ精神を感じた。
 これはもっともっとサービスしないとね!やはり、家族会議コース。

 沖縄への修学旅行は先輩たちのありがたさが身に沁みる話だった。たぶん、耕作たちも「ありがたい先輩」として後輩に記憶されることになる。
 旅行中に何度もちょっかいを掛けてきた群雲りくの正体に関しては……誰が得をするの?予想は出来たけど、当たってもまったく嬉しくない。こういう男の娘キャラは早い段階で正体を明かしてほしい。シューきゅんは最高に萌えるのだから。
 社長もずいぶんとチャレンジャーだ。現実世界には性別を明らかにしたうえで女装姿でもモデルをやっている(外国の)人がいたりするが。

 ラストは帰る途中の気分にぴったりあった。新幹線の中で読んでよかった、たぶん。
 次は四天農が大活躍とのことで、7巻も可愛かったバイオ鈴木がもっと可愛いことを願う。しかし、彼女の体型に「背徳的」とか考える耕作はヤバいな。工と商にも勝機が!?

白鳥士郎作品感想記事一覧

【Amazon.co.jp限定】のうりん 7 イラストカード付 (GA文庫)
【Amazon.co.jp限定】のうりん 7 イラストカード付 (GA文庫)
カテゴリ:文学 | 17:51 | comments(0) | trackbacks(0)

のうりん6巻 白鳥士郎

 アニメ化が決定したのにテーマが重いです……先生!
 まさかTPPにここまで突っ込むとは。美濃田茂市に工場をもつ大企業「ソラー」が出てきた時点で「おい、やめろ」と思ったものだが、将来のある子供たちの前に容赦のない現実が突きつけられている。ちょっとは夢を見させてくれても良いじゃないか。これじゃあ、沖縄の成人式みたいに荒れるだけ。

 厳しい現実といえば耕作の前には完全にエンジンの掛かったベッキーという現実が……長谷川あらため仙田愛の代わりに森に還して来ようぜ。父親は岐阜県の県議ってことは確率的に自民党の可能性が高いのかな?衆院議員なら100%だが――いや、比例もあったか。自分の間違いを高校生に指摘されて素直にあらためる柔軟性には、かなり好感を覚えた。
 日本の農業をなんとかするためには政治の世界に身を投じるしかない→ベッキーのお婿さんになろう、というコースがほんの僅かながら存在していることに恐怖を禁じえない。

 寄生獣ネタは笑ったんだが、真面目なシーンまでパロディを持ちだされると複雑な気分になってしまう。そこは、自分の言葉で語れよ、と。いや、ラノベで誰にも分かっていないことの結論を出すのは、しんどいと思うけどね。
 生産緑地に指定されている畑の枝豆が毎年植えられるだけで収穫されないのを見て育ったので思うところはある。刈った稲からまた芽が吹いて米を実らせているのを見て、飢えている国の人に送ったら喜ぶだろうな、と思ったこともある――これはいろいろ非現実的だけど。
 農業は実際にやったことはなくても、日常的に接する機会はそれなりにあるから、外野が口出ししたくなってしまうのかもしれない。外野は黙ってろ、ではなく、「みなさん本当は内野なんですよ?」と気付いてもらうのが正解か。

 新キャラクターとしては、特効の拓世界からやってきた拓魎子先生が印象的だった“!?”おてんば姫アリーナは元ネタへの関係はあまりなく、厄いイメージだけが残ってしまった。重症だなぁ……。

 まぁ、ともかく口絵のバイオ鈴木が天使。なんでこんなにかわいいの?国産度が絶望的に低くても、うどん食べます。こんな美少女にオススメされたら、うどんを食べないわけにはいかないっ!って、そういう企画も実在するな。

白鳥士郎作品感想記事一覧

のうりん 6 (GA文庫)
のうりん 6 (GA文庫)
カテゴリ:文学 | 00:21 | comments(0) | trackbacks(0)

のうりん5巻 白鳥士郎

 衝撃を受けた。いまでも頭の一部が混乱している。
 獣医の渡辺さんが語るペット事情が衝撃的すぎて――部分的には漫画のワイルドライフなどで知ってはいたのだけど――吐き気に近いものまで感じてしまった。動物の生命を犠牲にすることに嫌悪感だけを強めていくのも、純潔教育で性に嫌悪感を覚えるみたいで、何かが違う気がするんだけど上手く言葉にならない。
 とりあえず生命を育む母なるおっぱいを大事に生きて行こうと思いました。

 セクハラ教室で一生懸命応えている牛はかせの吉田さんがどんどん脱いでいく演出は卑怯だ。オチはやっぱりベッキーが付けた。シューきゅんの世界を超えた出演は嬉しい。でも、なぜ去勢される必要が……むしろ逆のことをしたがっているものとばかり思っていたよ。
 そんなに男らしく性徴することが嫌か!

 動物愛護団体が来てパニックになった牛を林檎が鎮めるシーンはナウシカを強烈に連想した。その割にパロディ成分が薄くて、のうりんらしからぬものを感じていたのだが、出産シーンでイメージを巧みに回収していた。
 林檎は初心者ゆえにかつての自分をみる気持ちを周囲に与えることができる。地味でもいいキャラに育っているなぁ。

 パロディといえば連載が終了しただぶるじぇいネタが来るとは予想外だった。あの紐職人は明らかにつまようじさん……ビジュアルが容易にイメージできる。そうか、漫画版の作画つながりか。一人だけ違う挿絵をもらっていたら、挿絵で遊ぶ作品らしくて愉快だったかも。

 パロディ以上にオリジナルのギャグが冴えていて第2限の展開には笑いっぱなしだった。下肥の狂いっぷりも捨てがたい。
 ただ口絵にバイオ鈴木がいなかったことだけは不満である。もし、彼女が出ていたら腐った牛……ヨーグルトになっちゃうな。

白鳥士郎作品感想記事一覧

のうりん 5 (GA文庫)
のうりん 5 (GA文庫)
カテゴリ:文学 | 00:50 | comments(0) | trackbacks(0)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない11巻 伏見つかさ

 口絵に出てきた謎のキャラはランちん。そう考えていた時期が私にもありました……よくもだましたアアアア!!だましてくれたなアアアアア!!……私が勝手にぬか喜びしただけである。でも、フルネームが分かって良かったね、宮本蘭!みんながラストスパートに入っている中、スタートラインに立った感じだぜ!これで京介がランちんに告白したら、きょうちゃんパンツ100枚チャリで買ってくるッ!!


 謎のキャラの正体は中学時代にスーパー京介と交流のあったキャラクター、櫻井秋美だった。このタイミングでの新キャラが、かなり話に食いこんできて、ヒロインのもう一角が麻奈実という状態で、正直読み進めるのが苦しかった。
 読み終わってみれば次に大いに期待をもたせる内容ではあったが――エロゲーよりすごいことって具体的に何なの?ぜったい考えずにいっているな、きりりん。具体例を示されたら、他の誰よりも動揺しまくると見た。カリ○アンコム事件を僕らは忘れない。

 秋美は“京介分欠乏症”の先駆者として注目したい。やはり兄パンからは依存性のある何らかの気体が放出されている疑いが濃厚である。
 一緒に生活している桐乃が完全な中毒者になってしまうのもいたしかたない。
 それと瀬菜を冥府魔道に引きずり込んだ疑いだが――秋美の影響を必要以上に評価することは瀬菜にたいする侮辱である。彼女なら切っ掛けは違えど必ず乙女ロードに辿りついていた、そう確信している。
 まぁ、スタートが早くなった分、手遅れ感が増した可能性は否定しない。

 さて、ラスボスの麻奈実さんであるが――桐乃への一般常識を語った部分で心証が非常に悪くなってしまった。彼女は子供の敵となる“社会”の化身なのかもしれない。“社会”も実はかなり子供っぽいしなぁ。
 不幸になるから止めろという説得は、桐乃の一人が確実に不幸になっても両親などそれ以上に不幸になる人間の方が多いから、より多数の幸福のために“彼女は切り捨てられるべき”と言っているように感じてしまった。実際のところ日本の法は全然そんなこと言っていないんだけどねぇ。
 桐乃の京介依存に対する認識が読者と麻奈実では違うせいもあるかもしれないけど、いろいろ情報を集めている今でも態度を変えていないわけで嫌な感じである。

 ただ紛糾するクラスを鎮めた迫力と手腕は評価したい。裏サイトを即座にブチ消させるとか鬼だ。悪い場所になりやすいものとはいえ手塩をかけて育てたサイトであっただろうに……陽子に運営者として微妙に同情してしまう。京介が秋美に謝ったんだから、麻奈実は陽子に謝りに行こうよ。

 ちなみにEDについては、理不尽な女と結婚した京介の爺ちゃんが言った『いずれオマエにも分かる』で、完全にフラグは立った。もはや議論の余地はないと思っている。

伏見つかさ作品感想記事一覧

俺の妹がこんなに可愛いわけがない(11) (電撃文庫)
俺の妹がこんなに可愛いわけがない(11) (電撃文庫)
ろりりんかわいいよろりりん。桐乃がタイムスリップしたら自分に萌えまくるに違いない。思えば妹ゲーへの没頭は究極のナルシズムだったな。
カテゴリ:文学 | 21:58 | comments(0) | trackbacks(0)

のうりん4巻 白鳥士郎

 ご結婚おめでとうございます!

 故郷の愛生村に返ってきた耕作と農のけしからん結婚式が行われる。衰退の最前線である農村の姿にはいろいろと考えさせられるものがあった。現実には商や工みたいな可愛い幼女もいないかもしれないし……。
 村社会の陰湿さや女性への風当たりの強さについては、それでもマイルドにされている気が……実際に知っているわけじゃないから、印象だけで語るのも良くないな。愛生村みたいな村も日本のどこかにはあるのでしょう。一人だけの医者を三年連続で追い出す村は確実に存在するけどな!

 農が受けていた跡継ぎを産めプレッシャーは実際シャレにならないものだったと想像しちゃう。どうしてもできなくて、狂わされる――すでに手遅れな気もするが――よりは姉妹に産んでもらった方がええよ?ここはやはりレビラト婚しかないな!!
 耕作は農のことを母親代わりだと言っていたが、今回の話を読んだ印象では、もっと凄まじい何かだ。疑似家族ごっこを済ませていたとは大したラノベ主人公だ。
 父親代わりだった耕作がガチで好きな工は、作中のキャラでもかなり危ない部類だと思った。まぁ、多少の変態はベッキーの飛び抜けた数値を前にしてしまえば人類の誤差範囲内にすぎない!
 むしろ美濃柴犬の方がベッキーより人類の仲間に近い……そんな惨状を呈してきた。誰かベッキーを嫁にして!!なんか山の神様に若い男を生け贄にささげる感じがする。

 喜一おじさんたちの「まだトマトを三十回しか育てていない」という考えには胸を打たれた。人間は本能では三以上を数えられない生き物なのかもしれないが、この姿勢には明らかな哲学がある。
 手法をオープンにして全体を変えようとする姿勢は、資本主義の枠内で村おこしを計っている士姉ちゃんより先を行っていると思うんだけどなー。

 耕作の両翼発言には笑った。婚活の参加者には非常に得るべきものの多い演説をしてくれたと思う。農村で浮気はダメ絶対!
 お盆で帰省する時期にあわせて、この話をもってくる白鳥先生が恐ろしい。帰っていろいろ話したくなった人もいるのだろうが……。ごちそうの法則が母方の実家に――味は良かったけど傾向として――けっこう当てはまっていて妙に嬉しくなった。

白鳥士郎作品感想記事一覧

のうりん 4 (GA文庫)
のうりん 4 (GA文庫)
ゆかたんと長良川鉄道をまったり乗りたいなぁ。
カテゴリ:文学 | 10:21 | comments(1) | trackbacks(0)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない10巻 伏見つかさ 電撃文庫

 うわあああ!あやせたんマジエンジェル!!通い妻のエンジェル!すきっぷしているあやせたんには素粒子の羽が生えていたに違いない。あやせたん輝いてる!10巻のあやせたん輝いているよ!特に目が……鈍く。

 超絶あやせ押しの10巻は最終的に彼女が京介に告白するところまで行ってしまった。後戻りができないところまで行ってしまった。
 黒猫と違って京介と桐乃がセックスするのは許せないラブリーエンジェルに、その選択肢があったとは。親友と好きな人、両方を取るのはエンジェルの力を持ってしても困難だ。いろいろ分かった上で、これまでずっと我慢してきて、それでもついに耐えられなくなってした告白なんだろうなぁ。
 苦しみの凝縮した巻末挿絵の涙が美しい。口にしたら寿命が真田信之お兄ちゃんの年齢分は伸びるよねー。

 あやせの後ろには影の大番長である麻奈美も控えていることだし、高校生活の終わりに向けてますます予断を許さない状況になってきた。いいなぁ、青春しているなぁ。


 表紙の押しかけ女房きりりんが本編に存在しなかったことが、ちょっと残念だ。京介の夢の中でもエプロンさせる方だし……料理の勉強とか陰ながらしていそう。加奈子に師匠を紹介してもらえよ。
 なお「ずっと帰って来なくてもいいよ」のセリフには「あたしが押し掛けるから」がオートで挿入された。私のきりりんがるもバージョンアップを重ねて精度が上がってきたな。胸が熱くなる。

 赤城の話題でさらっと出てきたが、瀬菜がいつも真壁の話をしているのって――察しない主人公の鈍感さは、酸に痛みを感じないハダカデバネズミの生まれ変わりを疑いたくなるレベルだ。
 アパートの庭で取り合いとか、他の住民がいたら農薬の購入を検討しはじめていたはず。というか全体的に近所迷惑著しいよね?学生の多いアパートなんて壁ドンが基本かもしれないけど、結構気になっていた。わざわざ壁が厚い云々話題にしていたのは、そのためか。
 ま、せいぜい幸せになってくれたまえよ。

伏見つかさ作品感想記事一覧

俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫)
俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫)
あやせまで攻略に掛かっている黒猫はほんまもんのハーレム志向バカだと思いました。……突き抜けやがった。
カテゴリ:文学 | 01:28 | comments(0) | trackbacks(0)

のうりん3巻 白鳥士郎

 いきなりマリア様が見てるネタからおっぱじめやがった。更にギャルゴの噂長に生身で匹敵しているヒトリガミは襲ってくるわ、バキの全選手入場ネタはあるわ、バイオテロ鈴木がソードマスターするわ、安心の生産者表示と品質である。だから乳牛コスプレした吉田おっぱいさんの切符先生イラストをペロペロしても大丈夫!問題ない。
 切符先生……そのうち家族会議を通り越して勘当されてしまわないか、心配になってしまうな。あんなにバイオ鈴木の胸を大きく描きおって……あんなのバイオ鈴木じゃない。パイオツ鈴木だッ!!

 パロディ多めで笑えて農業知識が身につく内容はいつも通りながら、どっちも危険な領域に突っ込みだした気がした。
 淫語が巧すぎて引くし、婚前旅行が決定した吉田胡蝶さんの農政批判にはハラハラしてしまう。実家が大地主の彼女に語らせるところもアイロニーがきつかった。
 でも、難しく絡み合った問題だからと解決にしり込みしている時間はもはやあるまい。

 ラブコメの方は林檎ちゃんが正ヒロインの座から蹴落とされかねない勢いで、ステマ幼馴染の攻勢が強まっている。
 耕作と農の地元の反応がおかしすぎるよ……実際にそんなことになっとったら、学校でも問題になるだらー。あれ?もしかして、アラフォーを野放しにしているあの学校ならそうでもない?
 四天農を筆頭とする田茂農林高校の凄まじさに感覚が狂ってきた。やっぱりなんだかんだで王道学園モノだよねー。


 最後のほうで耕作の親父がロクデナシフラグを立てていて怖い。そういえば彼に最初の畑を貸してくれたのは叔父だったな。

のうりん1巻感想
のうりん2巻感想

のうりん 3 (GA文庫)
のうりん 3 (GA文庫)
カテゴリ:文学 | 00:43 | comments(0) | trackbacks(0)
<< | 2/10PAGES | >>