目でみる地下の図鑑 こどもくらぶ

 植物・動物・人類の構造物、そして地球内部まで。
 普段目にすることのできない地下の不思議について取り上げた一冊。蟻の巣に石膏を流し込んで型を取るのって、蟻が犠牲になっているんだろうな……深さ4メートルの巣を掘ってしまったときは後悔したんじゃないかと想像する。それとも掘っても掘っても終わりが見えなくて興奮した?

 解説文で地下を掘ればマグマだまりに突き当たると明らかな間違いを書いていたのは残念だった。マントルは固体だし(大気圧になれば液化するにしても)、液状の外核もマグマだまりとは別物である。
 思いこみには常に警戒が必要だ。

 やっぱり地下洞窟の情報が楽しくて、心が躍る気持ちになった。
 アマゾン川の地下河川ハムザ川が物凄くて、目を疑った。深さ4km、幅200〜400km、全長6000kmって……地球の内部にはまだまだ未知が残されているんだなぁ。

 エヴァンゲリオンに出てきたジオフロントの模式断面図が収録されているのには笑った。

目でみる地下の図鑑
目でみる地下の図鑑
カテゴリ:写真・イラスト集 | 23:52 | comments(0) | trackbacks(0)

古代ガラス展 栄アートギャラリー 1983

 非常に古い展示会の冊子。カラー写真が表紙と最初の三枚しかなくて、他はすべてモノクロ写真になっているくらい古い。カラー写真を収録することのコストが垣間見える。
 しかも、カラー印刷の部分は片面印刷になっているのだ。現代の製本技術は凄い。

 載っている作品というか考古品はメソポタミアを中心とした地域のもので、ややイランの比重が高くなっている。
 正倉院にも関係しているカットガラスも興味深いが、地中海東岸でつくられた瑪瑙様の模様をもったガラスも製法から気になった。いや、カットガラスも製法が気になるなぁ。
 ガラス工芸品を見ると、いつもそうだ。そろそろ、ガラス細工のハウツー本も読んでみるべきかもしれない。
カテゴリ:写真・イラスト集 | 23:04 | comments(0) | trackbacks(0)

ガザ〜戦争しか知らないこどもたち 清田明宏

 21世紀に入ってからも4度の戦争を経験しているガザ。そこに生きるこどもたちや戦う医療従事者たちの姿を写した写真集。
 戦争の主体であるイスラエルやイスラム武装勢力のことには徹底的にふれていないので「戦争」という顔のない化け物が存在して、人々の住居を破壊して回っているように感じる。
 おかげで日本人読者には災害に似て感じられて共感しやすいかもしれない。

 苦労して建てた住居が数分の戦闘で破壊され、外気にさらされて生活せざるを得ない状況は本当に気の毒だ。半壊した建物などにしかたなく住んでいる人も多いけれど、地中海沿岸のガザは地震がありえる地域だったはず。
 もしも大地震が起こったら生じる被害はおそろしいものになり、戦争の被害そのものとも言える。

 ひどい状況だけど、写真にそこそこ緑が写っていたことは慰めになった。イスラエルの本によれば南の方は乾燥地帯だったはずだが、海岸にあるガザ地区の場合はそれなりに雨が降るのかな。
 ただし、無期限停戦後の豪雨で非常事態宣言という記述もあって……。

ガザ: 戦争しか知らないこどもたち
ガザ: 戦争しか知らないこどもたち
カテゴリ:写真・イラスト集 | 23:46 | comments(0) | trackbacks(0)

世界の美しいウミウシ〜Sea slugs〜 パイ インターナショナル

 画面いっぱいのウミウシ写真に、種名のみのページが大半を占めるウミウシの写真図鑑。
 多様な造形に、多彩な配色をもつ海の美しい生物の姿を純粋に楽しめる。文字情報としては数回のコラムが挟まれていて、ウミウシに関するちょっとしたトリビアを知ることもできる。
 アオミノウミウシのカツオノエボシから刺胞を盗んで、触ってくる相手に発射する盗刺胞の性質は、自分の身を守るためにも知っておきたい。割と恐ろしい。

 他にはシンプルな名前のサフランイロウミウシなど色彩で目を楽しませてくれるウミウシがいれば、ピカチュウを連想させる配色とツノをもったカンナヅノウミウスもいる。緑色の穂が多数ついたオオアリモウミウシには迫力がある。
 濃い緑色でしわのあるミラーリュウグウウミウシは、ファミコンゲームFE外伝に出てくるラスボスのドーマ連想させた。風の谷のナウシカにでてくるオームに近いウミウシもいそうなものだけど、残念ながらピッタリのウミウシは見つからなかった。
 5000種もいればいつかは図鑑で遭遇できるかも?
 ウミウシは漫画家やゲームデザイナーにはモンスターの造形を考える上での参考になりそうだ。

関連書評
うれし、たのし、ウミウシ。 中嶋康裕

世界の美しいウミウシ
世界の美しいウミウシ
カテゴリ:写真・イラスト集 | 12:34 | comments(0) | trackbacks(0)

おとなの奈良 絶景を旅する 堀内昭彦・堀内みき

 奈良の土地を歴史を感じながら旅する写真集。決定的な瞬間をたくさん撮影していて奈良へのあこがれを膨らませてくれる。
 霧がでているときに撮影することで背景を消して、歴史ある風景だけを残すなんて……。

 桜や紅葉の写真も見事で、写真家が現地に通った回数が気になるほどだった。あじさいを大量に植えたお寺のあじさいがある歴史が50年しかないことに驚いたりもする。

 有名な歴史の舞台が身近に存在しており、いつでも眺めることができる環境に暮らしている人々の気持ちが少しだけ想像できた。景観を守ってくれているのは、とてもありがたい。
 生駒山地からみた大阪と奈良の対比が鮮やかなほどだ。あと、卵白を泡立てて作った銘菓きみごろもを食べてみたくなった。

関連書評
平城京のごみ図鑑 奈良文化財研究所 監修

おとなの奈良 絶景を旅する (奈良を愉しむ)
おとなの奈良 絶景を旅する (奈良を愉しむ)
カテゴリ:写真・イラスト集 | 16:53 | comments(0) | trackbacks(0)

クオッカ〜世界一幸せな動物 山と渓谷社

 カピバラの後釜を狙っているらしき哺乳動物クオッカの写真集。
 極端に情報量の少ない中、クオッカのセリフとしてカンガルーの仲間であることを知った(巻末にまとまった情報あり)。カピバラに似ていても系統はかなり違う。進化の収斂って奴を感じる。

 世界一幸せな動物と言われているのは孤島に住んでいる警戒心のない集団でオーストラリア本土では人間がもちこんだ動物によって、ほぼ絶滅状態になっているそうだ。
 世界一幸せな動物の呼び名が悪趣味な皮肉に聞こえてしまうのであった。

 まぁ、かわいいとは思う。

関連書評
カピバラ 渡辺克仁

クオッカ 世界一幸せな動物
クオッカ 世界一幸せな動物
カテゴリ:写真・イラスト集 | 23:31 | comments(0) | trackbacks(0)

地球に生きる神秘的なサル 公益財団法人ニホンモンキーセンター監修

 近い種であるがために表情を読んでしまいやすく、そこに神秘性を感じることの多いサルの写真集。
 全部で300種ほどいるとされるサルのうちの96種が収録されている(亜種もありそうなので、もう少し少ないかもしれない)。

 ネズミキツネザルの仲間がたくさんいて、ネズミなのかキツネなのかサルなのかハッキリしてほしくなる。そうかと思えばイタチキツネザルまで登場。最後にはジェントルキツネザルが出てきて、紳士がネズミやイタチと同列の存在であることが明らかになった。

 童謡に出てくるアイアイが思ったよりも怖かった。自分の頭の中でロリスと入れ替わっていた気がする。
 マントヒヒ、マンドリルなど名前に聞き覚えのあるサルでも、姿のイメージは結構混乱していることが確認できた。精進せねば。

 サルの種類は大きく旧世界猿と新世界猿に分けられて、後者はアフリカからアメリカ大陸にわたった一種類から派生していった種類らしい。マーモセットと名前につくやつ以外の新世界サルは分からなかったが、まずはその区別を覚えておきたい。

関連書評
あさひやま動物園写真集 今津秀邦・多田ヒロミ

地球に生きる神秘的なサル
地球に生きる神秘的なサル
カテゴリ:写真・イラスト集 | 21:22 | comments(0) | trackbacks(0)

にっぽんスズメ歳時記 中野さとる

 インスタグラムから出版へ。愛知県内でスズメの写真を集中的に撮っている中野さとる氏の本。
 スズメのさまざまなしぐさが見て楽しめる。スズメの生態についても導入部で解説がある。のどの黒さなど意識してみていなかったことを反省。
 春から夏にかけては子育てするスズメの姿が楽しめるそうなので注意したい。
 道に迷ったイエスズメを目撃したら幸せになれるかも――見ても気づかない予感しかしない。白いスズメは見間違えようもないが。

 愛知県内での写真という割には雪とスズメの写真もみられた。東三河の山間部がフィールドなのかな。
 刈り終わった田んぼでスズメが群れている姿は、なんとも季節感があふれていいものだ。群の写真をみるだけで、うるさい気がしてしまうところも微笑ましい。

関連書評
コンパクトデジカメで野鳥を撮ろう! ZERO CORPORATION編

にっぽんスズメ歳時記
にっぽんスズメ歳時記
カテゴリ:写真・イラスト集 | 23:45 | comments(0) | trackbacks(0)

古代ローマの別荘(ヴィラ) ジャクリーン・モーリー/ジョン・ジェイムズ/桐敷真次郎

 金持ちどもめ、結構な生活をしやがって……けっ!という僻みが湧いてくる一部クロスセクションのある図解ライブラリー。
 でも、奴隷をロボットにおきかえれば現代人が理想と考える生活に、そんなに遠くないところをローマ人も目指していたと感じる。あるいは未だにローマ人の理想の呪縛が現代人に残っているのかもしれない。

 ひとつの多角経営をしている農業ヴィラを舞台にして、そこで働く様々な奴隷の仕事をみることができる。
 実は奴隷よりも日雇い仕事の人がしんどかった可能性もみえてきた。「賢い」奴隷運用法として、病気にさせたら損だから、そのリスクがある仕事は日雇い人夫にやらせろとあるらしい。
 時代や仕事内容によって奴隷のしんどさは千差万別であって、単純化することが難しい。
 でも、主人への殺人があれば、その家の奴隷が全員死刑になるところは、やっぱり一蓮托生の面があることを示している。一人の奴隷がやけっぱちになれば、主人も同僚も不幸になるわけだ。

関連書評
中世の城 フィオーナ・マクドナルド/マーク・バーギン/桐敷真次郎
ヴァイキングの町 フィオーナ・マクドナルド/マーク・バーギン/谷口幸男

古代ローマの別荘(ヴィラ) (三省堂図解ライブラリー)
古代ローマの別荘(ヴィラ) (三省堂図解ライブラリー)
カテゴリ:写真・イラスト集 | 14:40 | comments(0) | trackbacks(0)

世界の魅惑のトンネル 洋泉社編集部 編

 世界のトンネルをあつめた写真集。最後には話題につかえるトンネル知識も収録している。
 写真の出典でアフロばかりが出てくるのでアフロのトンネルを抜けた気分になった。普通の定義のトンネルばかりではなく、トンネルを感じさせる光景も収録している。
 果樹が道にせりだして緑のトンネルになったものや、藤棚、鳥居などかなり自由に「トンネル」に定義していた。

 アメリカのトンネルはさすがに未来志向で、SFの雰囲気がある。日常空間にすると疲れそうだけど、観光でたちよって見る分にはよさそうだ。
 ヨーロッパの同種のトンネルは、どうにもセンスが合わず、心がざわついた。自然物や歴史的なトンネルはいいんだけどね。

 見開きいっぱいに写真を使った関係でトンネルの中心が、ページの継ぎ目に当たってしまっている問題は何とかしてほしかった。
 最後のトンネルQ&Aに出てきた鍋立山の難工事には恐れおののいた。トンネルボーリングマシンがスタート地点よりも押し戻されるって……世界で最も長い645mってタイトルの映画にできそうだ。
 リニアを通すため、現在もトンネル技術者たちによる伝説が紡がれているのだろうな。

関連書評
素堀りのトンネル〜マブ・二五穴

世界の魅惑のトンネル
世界の魅惑のトンネル
カテゴリ:写真・イラスト集 | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0)
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