生きもののヘンな顔 小宮輝之 ネイチャー・プロ編集室

 人間以外の動物もあくびが感染する。ハリセンボンの針は約500本など、動物トリビアと一緒に楽しめる動物の顔写真集。
 かなり不気味な容貌魁偉と言いたくなる顔から、かわいらしい特徴を備えた顔まで、いろいろな顔が存在している。しかし、それは人間の価値観を通して感じられるものなのだとあとがきを読んで気づかされた。
 あのハダカデバネズミと人間が「裸」の点で共通性が高いとは!あちらは地下生活のおかげで裸でやっていけるのだろうけど、そう考えるほどに人間が不思議な動物になってくる。
 他の動物は人間を考えるにあたっての鏡にもなる。

 チャイロタマゴヘビの鳥類の卵しか食べないから、鳥類の産卵時期以外は何も食べずに過ごす生態は絶滅の可能性が高そうで怖い。どんだけ特殊化してしまっているのかと。
 海底の砂にうもれた三島オコゼのなかまは顔が怖すぎて悪夢に出てきそうだった。しかし、英名はかっこよくスターゲイザー(星を見つめるもの)!
 ラクダの睫毛が長いことを意識すると、ラブコメ漫画でよくある「こいつ睫毛長!」ってシーンを「こいつラクダみたいに睫毛長!」に変換したくなった。唾吐きかけてきそうなヒロインだなー。

関連書評
いきもの写真館 べんりなしっぽ!ふしぎなしっぽ! 小宮輝之
外来生物はなぜこわい?1〜外来生物ってなに? 小宮輝之

生きもののヘンな顔
生きもののヘンな顔
カテゴリ:写真・イラスト集 | 19:27 | comments(0) | trackbacks(0)

けったいな生きもの ぴかぴか 深海生物 エリック・ホイト

 北村雄一 訳
 深海生物タチ特徴的な言葉遣いで自己紹介する写真集。翻訳前の文章がこんなに気になった本は初めてだ!英語の一人称は日本ほど多彩ではないはずだが、わらわやわしのニュアンスをどうやって汲み取ったのかなぁ。
 自分で脳がないと説明しながらしゃべるギボシムシに笑った。

 変なところに意識が集中してしまうけれど、やっぱり深海生物は奇妙で興味深い。発光について注目されがちだったけれど、簡単に説明される餌の取り方などの生態情報も興味深かった。
 それを得るために学者たちが限られた機会を血眼になって観察したことを考えればなおさらである。

 シラエビの仲間が解説した、海面近くはのエビは透明、深海はオレンジ色、いちばん深いところは真紅という特徴は他の生物にも基本的に応用できるみたいで、自己紹介前にあたりを付けることができた。
 表紙にもなっているクロクラゲの仲間が、この世のものとは思えない妖しさだ。「深海のイソギンチャク」として紹介されている個体は、ガンダムF91に出てきたラフレシアみたいだった。あるいは仏像の台座?
 カウンターシェイディングの基本を反対にしているチヒロダコの仲間の「(それは)なぜでしょうね?」が分からないままだったが、あえて目立ちやすくすることで飛び込んできた獲物を襲って食べるためかなぁ。体長50cmのタコならば……

関連書評
深海散歩〜極限世界のへんてこ生きもの 藤倉克則

ぴかぴか 深海生物 (けったいな生きもの)
ぴかぴか 深海生物 (けったいな生きもの)
カテゴリ:写真・イラスト集 | 23:27 | comments(0) | trackbacks(0)

いきもの写真館 べんりなしっぽ!ふしぎなしっぽ! 小宮輝之

 しっぽ、それは人類が放棄した一つの可能性。
 さまざまな役割をはたす動物のしっぽを主題とした写真集。ふつうの動物写真集では見ることの少ないお尻からの一枚をたくさん観ることができる。
 どの動物もかわいらしい。
 特に自分のしっぽを布団にして眠っているリスやキツネたちは破壊力が高かった。あと、アルマジロの赤ちゃんが思わぬ伏兵だった。
 なお「完全に丸くなれるアルマジロはマタコミツユビアルマジロとミツオビアルマジロだけ!」らしい。名前も丸めてくれ……。

 カワウソがいろいろな機能の説明に出演していて、しっぽをマルチに使っている。
 カバのマーキング用のうんちをそこら中にこすりつける用途は勘弁してほしいものがある。年老いたカバはしっぽの毛がなくなっていたけれど、やっぱりうんちと一緒に失われたのだろうか。

関連書評
アフリカを行く 吉野信
猫のかわいい撮り方 田中光常

いきもの写真館 べんりなしっぽ! ふしぎなしっぽ!
いきもの写真館 べんりなしっぽ! ふしぎなしっぽ!
カテゴリ:写真・イラスト集 | 22:14 | comments(0) | trackbacks(0)

生け雑草 小林南水子 柏書房

 これがインスタ映えか!?
 著者が見つけた近所の雑草を、自宅にあるいろいろな容器に飾った「生け雑草」。365日生けつづけた作品の中から110を選び出して収録している。
 雑草の豆知識もついてきて、ちょっとためになった。サザンカが元々は漢字の山茶花通りに「さんざか」と呼ばれていたことを知った。
 ツルニチニチソウはいつも見ているのに(そして草取りで苦戦させられているのに)名前を知らなかったので、知ることができて感動した。

 見慣れたが名前のわからなかった雑草(雑草などと言う草はない)の紹介に感心しつつも、一番の興味は大量の容器に向いてしまった。ずいぶんたくさん持っているなぁ……と思っていたら、さすがに同じ容器が出てくるようになった。琺瑯の器などは向きを反対にして雰囲気を変えている。

 春夏秋冬で生けられている雑草の方も、同じものが別の季節に出てくることがあった。アジサイはドライフラワーにまでなって冬に登場の大活躍だった。桜も落ちた花はおろか落ち葉まで取り入れられている。

関連書評
誰かに話したくなる雑草のふしぎ 森昭彦
雑草にも名前がある 草野双人

生け雑草
生け雑草
カテゴリ:写真・イラスト集 | 22:13 | comments(0) | trackbacks(0)

美しい海の浮遊生物図鑑 若林香織・田中祐志 著 阿部秀樹 写真

 深海生物にも負けない奇妙で美しい姿。水中生物の珍しい写真がたくさん収録された図鑑。
 種まで特定されていない写真も多くて、その場合は何かの一種(sp.)と表記されている。最初は「きっちりしてください」とイライラしていたけれど、解説文を読んでいるうちにまだまだ謎の多くて楽しい分野であることを表していると肯定的に受け取れるようになっていた。
 基本的に説明文は学術的で感情を感じさせないのだが、コラムなどでは著者や写真家の個性が浮かんできていて面白かった。

 一口に浮遊生物(プランクトン)と言っても種類がとても多くて、小さいときだけ浮遊生活を送っている生物もいる。大人になった姿は親しみのあるものでも、仔魚の時代にはまったく違った姿をみせてくれている。

 大食漢のウリクラゲは同じサイズが出会って食べ合いになったら、偶然の差で食べる側が決まるのかな。ほとんど裏返った状態になれるとか怖い。
 ヤジロベエクラゲは名付け親のセンスを感じた。見た目はまさにヤジロベエ。

 仔魚にみられる外腸は捕食者に損なわれても再生できるのかな。囮になりそうな身体の一部がいろいろあって、そういう点が気になる。
 身を隠す場所のない海中で浮遊していきることの大変さを感じさせてくれる姿の生き物がいろいろいる。

関連書評
クラゲの秘密〜海に漂う不思議な生き物の正体 三宅裕志
小さなプランクトンの大きな世界 小田部家邦・高岸昇
ときめく微生物図鑑 塩野正道・塩野暁子 写真:鏡味麻衣子

美しい海の浮遊生物図鑑
美しい海の浮遊生物図鑑
カテゴリ:写真・イラスト集 | 00:05 | comments(0) | trackbacks(0)

蛍の本 田中達也 日本写真企画

 ゲンジボタルニヘイケボタル、そしてヒメホタル。主に三種類のホタルを中心に、ホタルの生態と写真の撮影方法をおさえた本。
 一般の大人向け書籍が空きニッチであったらしく、学習に苦労した著者の思いが込められている。ホタル観察ではポイントとなる乱舞の時間帯や回数について、自らの経験にあわせた定説とは違う情報を影響してくれている。
 風の強い日や雨の日でも、飛ばないと思いこまずに観察に行けば発見があるかもしれないとのこと。他の撮影者や観察者がいない点ではチャンスにもなるはず。
 AFの赤い光でトラブルになるとか、撮影者同士の怖い逸話がちらっとある。

 撮影方法のヒントはかなり詳しくて、説明は画像処理にも及んでいる。
 比較明合成の技術によって新しい可能性が開けている反面、実際に肉眼で見るのとは異なる写真も撮れてしまうので、観光案内用の写真で盛られないように注意が必要だ。
 ここまでやってしまうと天体写真に近いのだが、天体写真で慣れているので、自分にはそこまでの抵抗はないとも言えた。

関連書評
星降る絶景〜一度は見てみたい至極の星景色 沼澤茂美

蛍の本
蛍の本
カテゴリ:写真・イラスト集 | 17:40 | comments(0) | trackbacks(0)

世界のかわいいけもの! 大渕希郷

 かわいい動物の写真集。
 最初にサーバルが出てきてマニアックだなと思ったら、次はアライグマ、お次はフェネック。カバが出てきた時点で「これ、けものフレンズだ!!」となった(途中の説明文でも暗示している)。
 トキは順番通りに出てこなかったが、ほ乳類の後に鳥類、は虫類の順番で並べられているせいだった。そこは譲れなかったらしい。

 ヨタカとニシアオジタトカゲは何事かと思いきや、ツチノコに誤認されているかもしれない生物とのことで、けものフレンズに染め尽くされていた。
 豆知識もおもしろいので、ファンにはオススメである。コツメカワウソがマレーシアでは漁業に利用されていたとは!

 スナネコがやっぱりカワイイ。フェネックはネコ科に負けないかわいさながら、イヌ科だったんだな。よく体つきを見れば納得である。
 あまりかわいいイメージのない動物にもかわいさを見つける写真集だけど、基本はかわいいオオアルマジロの爪が凶悪で怖かった。
 そして、かわいくても害獣だとハッキリ書かれるアライグマ。

関連書評
あさひやま動物園写真集 今津秀邦・多田ヒロミ

世界のかわいい け も の!
世界のかわいい け も の!
カテゴリ:写真・イラスト集 | 00:13 | comments(0) | trackbacks(0)

中国帝王図(THE EMPEROR OF CHINA) 皇なつき/画

 田中芳樹・井上祐美子・狩野あざみ・赤坂好美/文。
 黄帝から愛新覚羅溥儀までの歴代中国支配者(実権のない人物もいるが)を絵にして、中国関係の作品を書いている作家による解説を加えた画集。有名どころの帝王だけじゃなくて、日本人のカバーがあまい五代十国時代の帝王も描いてくれている。帝王の事跡を通じて、彼らが生きた時代についての知識も手に入れることができた。

 前蜀の王建が気に入った。イラストにもなっている燃えさかる桟道を剣で切り開いて駆け抜けたエピソードも強烈で忘れにくい。
 蜀の地方政権には印象的な支配者が多い気がする。

 春秋時代にさけるボリュームの問題も絡んでいそうだが、楚の荘王が描かれていなかったのは残念だ。重耳を厚遇したのが成王じゃなくて荘王だったら、さらに覇者ポイントが上がったんだろうけど、そうすると同時代だから覇者になりにくいか。

 田中芳樹氏の文体は特徴的で記名をみる前に何となく分かった。イラストを書いた皇なつき氏も一部の解説文を書いている。エピソードをふまえたイラストを描けるのだから、それだけのしっかりした知識を持っていても不思議はない。

関連書評
永楽帝〜明朝第二の創業者 世界史リブレット人038 荷見守義

中国帝王図 (講談社文庫)
中国帝王図 (講談社文庫)
カテゴリ:写真・イラスト集 | 20:08 | comments(0) | trackbacks(0)

建設中。 勝田尚哉

 巨大構造物の建設中写真をあつめた写真集。すさまじいボリューム感をもった写真がつぎつぎと現れて、人間の営為が行き着いたところを思い知らせてくれる。
 ぼくにはとてもできない気分にさせられてしまうが、一人一人は自分の仕事をこなしているだけのつもりかもしれない。

 著者は建設会社で勤めた経験のある人なので、段取りの説明が専門的でわかりやすかった。
 高層ビルを建てるタワークレーンが解体時には少しずつ小さいクレーンを構築して大きなクレーンを降ろしていき、最終的なクレーンはエレベーターから搬出されることを知った。
 ずいぶんと無駄に感じられるけれど、それが一番コストパフォーマンスが良いのだろうな。ヘリコプターで降ろしてもらうわけにはいかないか。

 驚くのは橋を一晩でつないでしまう工事で、その重量もさることながら、寸法があわなかった場合の恐怖を考えて竦んでしまう。工事前に十分な検討をしているに違いないが、それにしても一晩で何とかしなくちゃいけないのは大変だ。
 詳細な図面や工事担当者の連続性がどうしても必要になる。きっと彼らを含めてインフラなんだなぁ。日本社会はちゃんとそれを評価できているのだろうか。

 あとがきが哲学になっていた。「建設中」と途中の状態なのに、「。」を入れているタイトルも哲学的だ。写真によって完成品として区切ったと言いたいのかなぁ。

建設中。
建設中。
カテゴリ:写真・イラスト集 | 15:22 | comments(0) | trackbacks(0)

目でみる地下の図鑑 こどもくらぶ

 植物・動物・人類の構造物、そして地球内部まで。
 普段目にすることのできない地下の不思議について取り上げた一冊。蟻の巣に石膏を流し込んで型を取るのって、蟻が犠牲になっているんだろうな……深さ4メートルの巣を掘ってしまったときは後悔したんじゃないかと想像する。それとも掘っても掘っても終わりが見えなくて興奮した?

 解説文で地下を掘ればマグマだまりに突き当たると明らかな間違いを書いていたのは残念だった。マントルは固体だし(大気圧になれば液化するにしても)、液状の外核もマグマだまりとは別物である。
 思いこみには常に警戒が必要だ。

 やっぱり地下洞窟の情報が楽しくて、心が躍る気持ちになった。
 アマゾン川の地下河川ハムザ川が物凄くて、目を疑った。深さ4km、幅200〜400km、全長6000kmって……地球の内部にはまだまだ未知が残されているんだなぁ。

 エヴァンゲリオンに出てきたジオフロントの模式断面図が収録されているのには笑った。

目でみる地下の図鑑
目でみる地下の図鑑
カテゴリ:写真・イラスト集 | 23:52 | comments(0) | trackbacks(0)
<< | 2/17PAGES | >>