CGで蘇る王家の谷 ディスカバリーチャンネル

 古代エジプトのフェラオたちが埋葬された王家の谷をCGで描いて墓の立体的な関係をわかる形にしているドキュメンタリー。このデータがあれば墓堀たちも苦労せずに掘る方向を決められたのに……盗掘する連中に知られていなかっただけマシか。
 ひとつひとつの墓の建設に時間が掛かって、全てを引き継ぐことなど不可能だったんだな。三次元的な位置関係を正確に記録すること自体が難しい。
 でも、個別にみたときの部屋の許容誤差である2mmは守っていたと言うから職人の技術には驚きである。ファラオが死ぬと喜んでいただけのことはある。
 それが落書きとして記録に残っているあたり、結構言論的に自由な社会だったのかなぁ。

 王家の谷に挑んだ発掘者たちでは、怪力芸人から考古学者になったベルツォーニと、ツタンカーメンの墓を掘り当てたカーターが紹介されている。
 ベルツォーニが無法の時代に見つけたせいでエジプトの財宝が散逸することに……18〜19世紀はヨーロッパの恥だ。
 カーターの学術的にまじめな写真での記録ぶりが好対照を示していた。KV5みたいな新発見がまだ眠っているといいなぁ。しかし、KV5の膨大な部屋数は言っても財宝は言わないあたり、盗掘者に先を越されてしまったんだな……。

関連書評
「もしも?」の図鑑 ピラミッドの建て方 中川武・監修
ファラオの秘宝 ナショナルジオグラフィック傑作写真集

ディスカバリーチャンネル CGで甦る王家の谷 [DVD]
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司馬遼太郎と城を歩く2〜弘前城・名古屋城・高知城・彦根城

 天守生き残り組を中心にした2巻。名古屋城も第二次世界大戦さえ切り抜けられれば……本丸御殿の復元について取り上げられていたが、いまは復元が終了していて、天守の木造復元が話題になっている。財政的に無理があると思うけどなぁ。

 弘前城は「ひろまえ」じゃなくて「ひろさき」だから注意が必要だ。高知城が河中城だったが、水害を受けまくっていたので高知城に改名したことも名前のついでとして覚えておきたい。

 弘前城が建てられた当時の青森には「かき揚げの城」ばかりで近代的な城はなかったと説明しておきながら、その後に周囲から城の設備をかき集めたと説明していることが矛盾して感じられた。
 いろいろ奪われたから周囲の城が貧相になってしまったことで弘前城が目立ったという事ではないのかな。
 弘前城の南にあるシゲモリの丘が目障りなので、寺を集めて防御施設にしたところは、さすがに政権から遠く離れているおかげでやりたい放題している印象がある。
 櫓を改装した代用天守は正面だけを飾ったびんぼっちゃま状態……。

 彦根城について井伊直政のことが多く語られていた。井伊直孝が重要だと思うのだが――司馬遼太郎が訪れた当時とは、ひこにゃんの存在によって大きく隔てられているとかいないとか。

司馬遼太郎と城を歩く 第2巻 [DVD]
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司馬遼太郎と城を歩く1〜大阪城・小田原城・備中松山城・熊本城

 巨大城郭がそろっている中、備中松山城だけ浮いている。だが、天守が現在まで残っているのは備中松山城だけという面白いチョイスの城巡りを司馬遼太郎の文章朗読と一緒に楽しめる。
 やっぱり司馬遼太郎は文章が巧い。大阪城の落城描写には素直に舌を巻いた。現在も残っている構造物を観てきたように語る延長で、歴史上に起こったことも観てきたように語っている。

 大阪城(パッケージからこの表記である)を説明するところで真田信繁こと幸村とまるで正反対の解説をしていたのは(NHKはそれでいいのか)と思ってしまった。
 あと、朗読される「ソンキ」を損気と勘違いしてしまって尊貴の意味だと気づくのに遅れた。

 備中松山城については、本丸までは麓から山道を1500m。歩いて1時間という具体的な情報が述べられて、藩主は麓の屋敷から人生で数回しか本丸に登らなかったとの歴史を補強している。まぁ、参勤交代で江戸にいなくちゃいけない時間も長いからなぁ。
 せっかくなのだから自分の城下町を見下ろして、領民の生活に想いを馳せてほしいところではあるが。

司馬遼太郎と城を歩く 第1巻 [DVD]
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戦火の記録〜湾岸戦争 ディスカバリーチャンネル

 湾岸戦争を空軍作戦の視点から描く映像作品。陸軍はともかく海軍の存在感はトマホークミサイルの発射だけであった。これでは日本の掃海活動が取り上げられるチャンスなんてないわな。

 後世目線なのかもしれないが、すべては筋書き通りで、戦った兵士は自分を納得させるのに一生懸命に見えてしまった。
 イラク軍のやったことを考えれば当然の報いだと判断するときに、イラク兵士ひとりひとりへの意識は消滅してしまう。中には良心的な兵士や無理矢理動員された兵士がいたとしても、彼らも含めて蛮行の報いを受けるのである。
 それもまた蛮行に思えてしまう。もちろん、避ける方法はない……。

 空襲の映像から「テレビゲームのように」と言われていた感覚をちょっとは理解できた。
 あと主役的なあつかいだったF-16ファイティングファルコンの知識も多少は増えた。F-15をもっている日本が導入しないのは航続距離の関係か。エンジンは同じなので整備はそこそここなせそう。

ディスカバリーチャンネル 戦火の記録:湾岸戦争 [DVD]
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戦火の記録〜ヨーロッパ戦線 ディスカバリーチャンネル

 第二次世界大戦ヨーロッパ戦線を55分でまとめた作品。スペイン内戦からはじめて、よくまとまっているとは思うが、ビスマルク追撃戦はともかくUボートとの戦いまで端折ってしまったのはいただけない。
 イギリスを救った二つの新兵器と言われて思いついたのは、レーダーとハフダフだったが、実際にはレーダーとエニグマ暗号の解読機であった。情報重視の視点が海外の作品らしいかも。

 逆にドイツの敗因は長距離爆撃機を開発しなかったことに求められている。イギリス航空戦での敗北につづいて、ソ連の疎開工場も爆撃できなかったことを問題視しているのだ。
 でも、アメリカ軍も問題に直面した長距離護衛戦闘機の開発もあわせて必要だし、限られた資源を集中しなくてはならない立場では失敗と言い切れない面もありそう。
 それを言い出すとドイツの贔屓丸だしな航空行政そのものが失敗になるなぁ。

 そういえばイタリアの存在感がなかった。ドイツの足を引っ張ってバルバロッサ作戦発動のタイミングを遅らせたくらいか……ドミノ式にアメリカを参戦させた日本の方がまだ扱いが大きかった気がする。

戦火の記録:ヨーロッパ戦線 [DVD]
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近世庶民のくらし-西鶴・芭蕉・近松- 竹内誠・監修

 江戸時代の徐々に変容していく庶民の生活。その原動力になったのは豊かな商人たちであった。時代を牽引した文人である井原西鶴、松尾芭蕉、近松門左衛門を代表として、江戸時代の前期の様子が描かれる。

 当時の代表的な都市は江戸・大阪・京都だったとのことで、だいたい今日に受け継がれている。しかし、同じ都市でも属性には大きな違いがあった点が興味深い。
 天下の台所の大阪、消費都市だった江戸、出版に強かった京都など、それぞれの特色に触れられている。
 越後屋の一日の売上が150両に上ったことなど、経済活動のディテールが興味深かった。好色一代男の主人公が相場の有利さを考えて一歩金を両替している様子も当時の風潮を感じさせる。

 西鶴も元々は俳諧の世界から活動をはじめていて、浮世草子の作家に転身したそうだ。所属流派の変更時に諍いはなかったのか、ついつい気になってしまった。趣味の世界だから快く送り出してくれたのかもしれないが。
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その時歴史が動いた 乱世の英雄編〜宮本武蔵「五輪書」完成への苦闘〜

「兵法の道は人の道」
 厳流島の決闘以降の宮本武蔵をえがいた映像作品。仕官を求めて大坂の陣にも参戦するが、もはや時代はかわっていて宮本武蔵を召し抱えてくれる大名は見つからない。
 一方、養子にとった伊織が異常に優秀で、とんとん拍子の出世を遂げていく。武蔵が足に石を受けて動けなくなってしまった島原の乱でも、伊織は戦果をあげたらしく、行けるところまで行ってしまっている。
 彼の優秀さが気になって、伝記が読みたいと思ってしまった。

 武蔵は就職条件の三千石がふっかけすぎだ。剣術指南役だけで、それほどの知行を与えられるのは非常に限られた大名だけ。石田三成がいても、武蔵のスキルには知行の半分を与えたりはしないだろう。
 まぁ、実際には町割りを決めたり、いろいろやっていることも知っているのだが、そういう売り込みがちゃんと出来ていたのかなぁ。戦場での働きを強調しすぎだった可能性も考えてしまう。

 それでも最後は理解者をえられて――亡くなってしまうけど――五輪書の前身となる書物を書いていたりする。細川家の数寄を貴ぶ家風が、武蔵の技術にも、シンパシーを覚えたのかもしれない。
 そうだとすれば武蔵は五輪書でしっかり応えてみせたことになるのではないか。

その時歴史が動いた 乱世の英雄編 兵法の道は人の道宮本武蔵 五輪書 完成への苦闘 [レンタル落ち]
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にっぽん百名山 中部・日本アルプスの山◆NHKエンタープライズ

 甲斐駒ヶ岳と木曽駒ヶ岳。ふたつの駒ヶ岳と、日本二位の北岳などが紹介される。
 北岳だけにキタダケの名前がつくキタダケソウが生えている早口言葉みたいな状況になっている。登りの7時間は伊達ではない。ガイドの人さえしんどそうな登山があった。たくさん喋って解説しながら登っているせいもありそうだが。あと、マイクが息を拾い過ぎ。

 光岳が光岳と書いて「てかりだけ」と読むことを知った。そんな光宙みたいな……名前の由来となった二つのてかり岩も出てきた。石灰岩は弱酸性の雨で溶けて、てかてかするからね。

 最後を飾った白山は植物がたくさん観られる。信仰登山の歴史があるせいか、750人が泊まれる山小屋の室堂が存在していて驚いた。ロジスティクスがさぞかし凄いことになっているに違いない。
 谷甲州先生の小説、加賀開校始末で白山が出てきた関係もあって関心をもって映像をみた。

にっぽん百名山 中部・日本アルプスの山II [Blu-ray]
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歴史秘話ヒストリア〜戦国武将編 織田信長

「女中は見た!!本能寺の変・信長最後の3日間」
 ヒトラーの映画作品にひっかけたようなタイトルで、一般的な信長のイメージに毒された人には意外に感じられる一面を描く。
 家臣には厳しいけれど、女中や一般の障害者などには優しい。そんな信長像が見えてくる。残酷な一面も矛盾なく存在していたはずで――そうでなければロスが大きくて天下人にはなりにくいと思う――信長の哲学が気になってくる。

 別の一面である公家への名物みせびらかし攻撃には茶器の趣味が公家の間にも十分に広がっていたことが感じられる。
 ある意味で武家の価値観に染まってしまっている時点で公家の負けにも思える。財産の誇示はけっこうだが、そのための資金で別のことをしたほうが天下取りには近道だった可能性はないのか。
 そんなことも気になった。自分で価値を吊り上げて、領地などを与える代わりに茶器で済ませた財テクとも聞くから判断が難しい。

 信長の役者は49歳を演じるには若い感じだった。秀吉の役者は末期の猜疑心が強いイヤらしい秀吉らしさを良く出していた。
 シリーズの秀吉の話とちゃんと同じ人が声を当てている。

歴史秘話ヒストリア 戦国武将編 織田信長 女中は見た!! 本能寺の変・信長最後の3日間 [DVD]
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歴史秘話ヒストリア〜戦国武将編 上杉謙信

「謙信、変身!悩める若者、ヒーローになる」

 27歳で自分探しの旅に出たり、キレて敵陣に飛び込んだりするアル中武将、上杉謙信の話。
 手紙に書いた「依怙によって弓矢は取らぬ。筋目によって合力する」の言葉はカッコいい。イメージ戦略もあるかもしれないと思いつつも感心した。
 だが、要望に応えての激しい出兵は実りをもたらさず、不識院(「庵」だと思っていたが、この映像作品では「院」で統一されている)になってから西進しての領土配りが家臣の心を掴んだという。急がば回れだったのかもしれないな。

 謙信の2敗にカウントされている一つは臼井城の戦いだと本編でわかったが、もうひとつは何だろう?

 家臣の統制に苦労した点において、武田信玄とものすごく気が合いそうだった。家臣の愚痴で意気投合する龍と虎がどこかで見たい。指摘されている通り、謙信は名前に虎を入れまくってる龍だけど。
 ついでに達磨不識のエピソードも知ることができた。問答時にすでに高名でなければ皇帝に「何だこいつ」と思われるだけだっただろうな。

関連書評
ビジュアル戦国英雄伝4〜武田信玄・上杉謙信 河合敦
戦国武将の遺言状 小澤富夫

歴史秘話ヒストリア 戦国武将編 上杉謙信 謙信、変身! 悩める若者ヒーローになる [DVD]
歴史秘話ヒストリア 戦国武将編 上杉謙信 謙信、変身! 悩める若者ヒーローになる [DVD]
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