じっくり観察特徴がわかるコケ図鑑 大石善隆

 コケにならないコケの図鑑。原始的な植物といっても形態と生態の多様性が大きなコケの写真図鑑。
 むくむく苔のネーミングが強烈な印象に残るのであった。姿も名前に通じて特徴的なので、なんとかムクムクゴケひとつは覚えておきたい。

 コケにはセン類とタイ類、そしてツノゴケ類があって、かなり大きく異なっている。
 セン類にくらべてタイ類は、より好きな人を選ぶ雰囲気があった。ヌメヌメした質感が多いから。
 でも、綺麗といわれるコケはどちらの種類でも確かに綺麗だ。コケの女王マルダイゴケが動物の糞や死体の上に生える生態をもつことには……コントラストが評価を高めるのか?

 各ページの下に必ず書き込まれた豆知識が凄かった。著者のコケに対する情熱の強さが伺えた。
 フランスから来たフォーリー神父の名前も覚えてしまった。高山のコケにまで名前を残しているなんて、アクティブな人だったんだなぁ。日本にまで来ている時点でアクティブなのは当然か。

じっくり観察 特徴がわかる コケ図鑑
じっくり観察 特徴がわかる コケ図鑑
カテゴリ:生物 | 20:01 | comments(0) | trackbacks(0)

岐阜県の魚類の現状と今後―岐阜の河川に魚をふやそう!

 岐阜県の河川における魚種の分布調査をおこなった報告書。昔に比べて河川の魚が種類・数ともに減少してしまっていることが明らかだ。生活排水問題が見られにくくなっても河川の状況が好転していないことに衝撃を受けた。

 移入種すらそんなに見つかっていなかったりするわけで、ともかく河川が魚にとって住みにくい場所になっているものと思われる。
 地球温暖化にともなく気象極端化もあって河川改修を急ぎたい気持ちも理解できるが、可能なかぎり河川環境に配慮した工事をおこなたてほしいものである。

 琵琶湖アユなどの放流については、そもそもの是非にまで踏み込まないようにしていると感じた。
 河川と子供のふれあいを提言しているところでは、間違っても金魚の放流会などに利用されないでほしいと思った。

 前半に調査記録があり、後半に魚の図鑑がある。魚に詳しくない人は図鑑から読んだ方がよさそうだ。自分はそうすればよかった……。

岐阜県の魚類の現状と今後-岐阜の河川に魚をふやそう-
岐阜県の魚類の現状と今後-岐阜の河川に魚をふやそう-
カテゴリ:生物 | 18:52 | comments(0) | trackbacks(0)

植物たちの戦争 日本植物病理学会

 病原体との5億年サバイバルレースとのことだが、個体はサバイバルを行っていても、集団としては相互に発展しあっている印象。それはそれで協力して地球環境に対するサバイバルを行っているともいえる。けっこう深い副題だな。

 本書は主に細菌とウイルスが引き起こす植物の病気について、最新研究と元に興味深く語ってくれる。
 とくに細菌は単純な生き物にみえて、とんでもなく複雑な駆け引きを使いこなしていて、やはり恐ろしさがある。遺伝子の水平伝播は「チート」だ。

 付着器におけるメラニンの役割など、思わぬ情報が思わぬところに伝わっていく意外性にも研究の醍醐味が感じられた。
 日本の研究者が大きな役割を果たしている分野だが、今後も世界について行けるのだろうか。本書がひとつの支えになることを祈りたい。

植物たちの戦争 病原体との5億年サバイバルレース (ブルーバックス)
植物たちの戦争 病原体との5億年サバイバルレース (ブルーバックス)
カテゴリ:生物 | 19:05 | comments(0) | trackbacks(0)

タケの大研究 内村悦三

 草でも木でもないタケの秘密がわかる子供向けの本。タケの増やし方を載せることが爆弾の作り方を載せるのに似た行為に思えてしまうのだった……モウソウチクは江戸時代までなかったので侵略的外来種だな!それを言い出すと、どこまで遡るか、難しい部分はあるかなぁ。

 タケは太平洋をまたいでアメリカ大陸にも分布している。アフリカ大陸や東南アジアにもあり、かなり海を越える力が強いようにみえるのだが、そのあたりの説明は特になかった。
 地下茎で越えたのか、種で越えたのか?

 世界には実が食べられるタケがあると知って驚いた。あと、熱帯アジアのタケは密集して生えて、温帯のタケとは雰囲気が違っていることを知った。
 確かに映画などで密集したタケをみたことがある。

タケの大研究(仮) (楽しい調べ学習シリーズ)
タケの大研究(仮) (楽しい調べ学習シリーズ)
カテゴリ:生物 | 21:53 | comments(0) | trackbacks(0)

完全保存版 頭骨図鑑〜ホネの世界は美しく面白い! 吉田賢治

 いろいろな動物の頭骨を紹介するマニアックな本。
 草食動物と肉食・雑食動物の大きな違いがわかる。いっぽう、種の違いは生態の類似性によって乗り越えられることがあり、頭骨は驚くほど似た形状を取ることがある。
 それも趣きなのであろうが、特に古生物の研究者にとっては大変なことも想像できた。昔は、ほ乳類なのに「バシロサウルス」と名付けられた例もあるわけで……。

 頭骨にはレア度も表示されているのだが、ワシントン条約などの絡みを考えると、なかなかダークなところがある。
 絶滅が危惧される動物の頭骨は博物館で楽しみたいものだ。
 神奈川県立 生命の星地球博物館が充実した頭骨コレクションを持っていることを知った。

 たまに写真にうつる人物は素手で博物館の頭骨に触っていて、手袋必須の制限まではないらしいと知った。

完全保存版 頭骨図鑑
完全保存版 頭骨図鑑
カテゴリ:生物 | 07:27 | comments(0) | trackbacks(0)

虫や鳥が見ている世界――紫外線写真が明かす生存戦略 浅間茂

 紫外線カメラによって様々な動植物を撮影し、その機能を探っていくフルカラーの文庫。人間の目では識別できない世界においても、紫外線のみえる鳥や虫に関わる動植物は多様な工夫をこらしていた。
 相手が紫外線をみえることを知って、そうするわけじゃなくて、進化によって長い時間をかけて適応していくのだから面白い。

 紫外線の悪影響をさけるために色素で吸収したり、反射している場合もあって、それは人類にも関わってくる問題だった。
 高山植物ほど色鮮やかな花を咲かせるのは、高山の方が紫外線が強いからその悪影響を防ぐため、という話が興味深かった。「デイジーワールド」のデイジーも紫外線分野でも花の色を変えているはずだ。

 ウツボカズラの大きなものは紫外線を利用せず、蜜で大きめの動物を呼び込んで、その糞尿を栄養にしているそうだが、それで収支があうのかなぁ。
 どうしても足りない栄養素を補うためだから、コストも単純には考えられないのかもしれない。レアアースは高いみたいなものだ。

カラー版 虫や鳥が見ている世界―紫外線写真が明かす生存戦略 (中公新書)
カラー版 虫や鳥が見ている世界―紫外線写真が明かす生存戦略 (中公新書)
カテゴリ:生物 | 20:54 | comments(0) | trackbacks(0)

にっぽんのカラス〜スーパービジュアル版 松原始

 カラスについてのQ&Aが美麗な写真と共にまとめられた本。
 遠目に嫌われているカラスの意外な美しさを思い知る。
 羽が構造色の反射をしているときは、特に魅力的だ。鳥に青の色素はなくて(卵にはあって)青い鳥は構造色を利用していることも覚えておきたい。つまり色素を使って青い恐竜もいない可能性が高いのではないか?

 ハシブトガラスとハシボソガラスの違いについても、もちろんこだわって説明がなされている。専門家の説明によって意外と多くの違いがあることを知ることができた。
 ワタリガラスが欧米では特別あつかいされていることも面白かった。

 なお、目が瞬膜で覆われて白くなっている写真はちょっと怖い。でも、生態目的で写真を撮っていて写ったら嬉しいのだろうな。

にっぽんのカラス
にっぽんのカラス
カテゴリ:生物 | 20:12 | comments(0) | trackbacks(0)

ツバメのくらし写真百科 大田眞也

 人々に愛されていると思ったら、近年はそうとも限らないらしいツバメ。彼らの日常を著者が自分の家や熊本県内で写真におさめて解説を加えた本。
 鳥インフルエンザウイルスへの警戒心から巣を壊されると最後に書いてあったけれど、鶏舎の話じゃなくて民家の話なのか?フンが嫌われる方がまだ分かる。
 ツバメの巣がスズメに利用される件は、ネットニュースでも読んだ。最初から巣作りすれば7〜10日で、再利用は半日で、準備完了らしいので毎回巣作りを強いられるなら負担は大きかろう。
 雛が口を開けたら餌を与えてしまう鳥の本能がツバメにもあって、著者が間違えてスズメの雛をツバメの巣に入れたら、元気に育って巣立った逸話が興味深かった。
 人工的な托卵が行われたわけである。

 白い個体の写真が何枚もあって、ツバメにあっては、そこまで珍しい現象ではないように感じられた。成鳥にまでなれば飛翔能力で外敵からの襲撃は切り抜けられるのだろう。

 冬でも日本に留まっているといわれているツバメは、もっと北から来て日本で越冬している個体ではないかとの説もおもしろかった。

ツバメのくらし写真百科
ツバメのくらし写真百科
カテゴリ:生物 | 22:56 | comments(0) | trackbacks(0)

海辺で調べる生き物の生態〜さまざまな生き物のくらし 小林安雅

 海辺はファンタジックな生き物の宝庫。海辺で観察できる様々な生き物の姿と生態が紹介されている。
 底が抜けた砂茶碗にたとえられるツメタガイの卵がおもしろかった。水中考古学者が騙されかねない形状をしている。昔の人がつくるには螺旋の形状が難しすぎるけれど。

 カイワリの幼魚とキタマクラの「カップル」は、大きなキタマクラ側にもメリットがあるのだろうか?
 多少なりとも姿が大きく見えればデメリットではない?勝てない相手に襲われたときはカイワリの幼魚が犠牲になるってことかもしれない……。

 待ち伏せ中の姿と捕食シーンを二枚の写真にまとめたものが非常にわかりやすい。メガネウオとマゴチにくらべてしまうと、ホシノエソの待ち伏せはあまり隠れていない気がしたが。

海辺で調べる生き物の生態―さまざまな環境と生き物のくらし (子供の科学★サイエンスブックス)
海辺で調べる生き物の生態―さまざまな環境と生き物のくらし (子供の科学★サイエンスブックス)
カテゴリ:生物 | 23:29 | comments(0) | trackbacks(0)

光るいきもの〜海のいきもの 大場裕一・宮武健仁

 なんとなく古い本でフィルムカメラで撮影したものと思いこんでいたら、2015年の本だった。デジタル機材に違いあるまい……冷静に考えて見返せばアナログ機材で、同じレベルの写真を撮るのは不可能に近い。
 ヤコウチュウの写真など、ヤコウチュウの光と背景の光を両方みえるようにするためには、画像処理が必要と思われる。

 光る理由がいちおう理解されているホタルイカやウミホタルと違って、ヤコウチュウなど光る理由がわからない生き物の方が多い感じだった。
 同じ種類に光るものがいるという情報も発光の進化を考える上で重要なのだろうな。
 とりあえず、体中に1000の光る点をもつというホタルイカの接近写真が綺麗だった。でも、腹部の滲んだ光点はたんなるピントの問題なのね……。

海のいきもの (光るいきもの)
海のいきもの (光るいきもの)
カテゴリ:生物 | 07:34 | comments(0) | trackbacks(0)
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