HST ハッブル宇宙望遠鏡のすべて 沼澤茂美・脇屋奈々代

 歴戦の古強者、ハッブル宇宙望遠鏡の成果を太陽系内の惑星から、130億年前の銀河まで幅広く紹介する一冊。学術的な価値があるだけではなく、非常に美麗で見応えのあるハッブル画像が楽しめる。
 惑星状星雲の一覧は宝石箱をあけたみたいで本当に綺麗だった。あるいはケーキ屋さんのウィンドウみたいと表現しても良いかもしれない。
 まだ惑星状星雲になっていないが、レッドレクタングルがテーブルカットのレッドベリルみたいで綺麗だ。

 太陽系内天体については探査機が実際に接近しているので、もっと解像度のいい画像を得られている場合もあるが、他の天体に関してはほとんどがハッブル宇宙望遠鏡の画像がベストと思われる。
 冥王星の画像では、ニューホライズンズが撮影したハート模様がハッブル宇宙望遠鏡から得られた画像の段階でなんとなく分かってニヤリとした。
 ガリレオ衛星やタイタンなど外惑星の衛星まで模様を撮影できていることが本当にすごく、宇宙望遠鏡の威力を思い知らされる。

 イータカリーナ星がベテルギウスと同じくいつ爆発してもおかしくない星であることを知った。宇宙には爆弾ばっかりだなぁ。

 銀河を超えて銀河団まで対象がひろがると、ちょっと脳がついていけないところがあった。アインシュタインリングには、どこまでアインシュタインの名前にあやかるのかと……。
 四半世紀をこえて稼働しているハッブル宇宙望遠鏡だが、まだまだ成果をあげてくれることと信じる。スペースシャトルが退役してメンテナンスができない状態になっている点が解決されてほしいものだ。

HST ハッブル宇宙望遠鏡のすべて~驚異の画像でわかる宇宙のしくみ~: 太陽系から最果ての銀河まで…宇宙がはっきりと見えてきた
HST ハッブル宇宙望遠鏡のすべて~驚異の画像でわかる宇宙のしくみ~: 太陽系から最果ての銀河まで…宇宙がはっきりと見えてきた
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月刊ニュートン2015年10月号

NGK SCIENCE SITE
 あまりにも単純なので追加実験があった。柘植先生の小説(逆撃の武田信玄シリーズだったかな)で、鉛を空中から水中に落として弾丸を作るシーンがあったのを思い出した。
 何事も試してみるものだな。

受精卵からヒトへ
 性同一性障害についての説明を期待したが、その辺りには触れられなかった。胚子の段階では汚染物質の影響を受けやすいというくらいかな。いろいろな生まれつきの病気や障害への関係が記述から想像できて興味深いのだが、詳解がないと想像で終わってしまうところがある。記事に甘えずに自分で調べないとなぁ。

灼熱の太陽 厳選ショット
 日本の宇宙天文台もこの分野では活躍しているのだが、アメリカの衛星がとらえたショットがもっぱら紹介されている。
 まったく太陽のエネルギーは膨大である。うまくエネルギーをいただくことができればエネルギー問題が解決するのにとついつい夢見てしまう。宇宙空間での太陽光発電が実用化されれば一歩進んだことになるだろうか。

海のかくれんぼ
 共進化の言葉がやたらと好きなライターだ。片方が滅びれば両方滅びるリスクもあるわけで、それよりメリットが大きくなくても成立するのか、興味がある。
 それにしても良く海中でかくれんぼしている生物をみつけられるなぁ。よほど水中の視界に慣れているのだろう。

陸の大群集
 オグロヌーの群れは移動で2割が死亡するというのが劇的。でも、野生動物へのイメージからすれば生き残るとも思える。平均寿命にもよるな。
 ジャコウウシの群れが格好良い。島にどれだけの個体数があるのかと思ったけれど、凍結した海を渡って合流することもあるのかな?

探査機が目撃した冥王星
 冥王星は寒すぎるので氷が強度をまして3500メートルの山を支えられるまでになる!?なんとも凄い話だ。
 今後も続報に期待。裏側の地学があまり語れそうにないことが残念。

性転換する魚たち
 人間の受精卵の話とおなじ号に載せているのは狙っていそう。魚の場合は生殖器の差が少ないため、性転換のコストよりもメリットが上回るという話。
 生きる環境によってハーレムか、一対一かなどが決定されて、性までもが大きな影響を受ける。生命の神秘である。

地球温暖化が台風を強くした
 高緯度地帯では台風の動きが予測しにくいらしい。二酸化炭素排出は高緯度からの方が多いだろうに、まず明らかな被害を受けているのは低緯度という……アメリカは南部にちょくせつ食らっているなぁ。地球温暖化自体を認めたがらない連中も多いみたいだが。

ラッコ
 贅沢な大食らいども、こんにちは。漁師に憎まれる海のアイドルラッコの説明。毛の密度がしょうじき羨ましくなったが、人間と違って一部でも脱毛したら生死に関わるので危機感には大きな差はないどころかラッコの方が上かもしれない。
 肉球部分が冷えるので万歳しているのが面白い。大気中の方が寒い場合は水中に手をつけるのかな?

トリケラトプス
 人気者恐竜トリケラトプス。その一族ごと紹介される。漫画「竜の国のユタ」を思い出しながら読んだ。スティラコサウルスとか出てきたなぁ。
 尖ったパーツがバランス良く配置されたトリケラトプスのデザインはやっぱりカッコいい。神って天才ね!

Newton(ニュートン) 2015年 10 月号 [雑誌]
Newton(ニュートン) 2015年 10 月号 [雑誌]
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星降る絶景〜一度は見てみたい至極の星景色 沼澤茂美

 天体写真の第一人者、沼澤茂美が世界中でとった星空写真の写真集。
 南半球での写真を多数収録し、中には南極での写真まである!チリの天文台で撮られた写真が撮影者の推しっぽい。
 マチュピチュと星空の写真もあれば、なぜかマチュピチュそのものの写真も収録されている。

 日本では水田にうつる星「だけ」を写した写真なんかもあって自由に楽しく良い作品を作られている印象がした。
 皆既日食の連続写真をみると、さすがに高い技術が安定していることが分かる。カメラを複数台そろえても一発勝負だからなぁ。気象条件もいろいろだろうに、きれいに等間隔に撮るなぁ。

 ただ、ラブジョイ彗星と天の川が平行しているという写真では、どこが彗星なのか、なかなか分からなかった……解説を読んで「たぶんこれだろう」と同定する状態。ラブジョイ彗星単体の写真ははっきりしているのだが。

 技術でとられた写真もよいけど、めぐまれた条件でとられた横道光の写真などに、そこだけでしか撮れない貴重さと憧れを覚えた。

関連書評
FAR OUT(ファー・アウト)銀河系から130億光年のかなたへ マイケル・ベンソン/檜垣嗣子
よくわかる天体望遠鏡ガイド えびなみつる

星降る絶景: 一度は見てみたい、至極の星景色
星降る絶景: 一度は見てみたい、至極の星景色
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大宇宙MAP〜天体の距離から見えてくる宇宙の構造〜 沼沢茂美・脇谷奈々代

 地球を中心にして、徐々に距離の離れた天体へ。地動説的な視点から描かれる宇宙の姿。太陽を中心にしないと内惑星と外惑星が入り乱れて出演してくる。まぁ、木星からは外惑星が連続するので、太陽を無視すれば岩石惑星とガス惑星でうまく分別できている。
 小惑星の大きさ一覧にイトカワが出演できていなかったのは、まことに遺憾というか、準惑星連中にくらべるとあまりにも小さすぎてドットにしかならないので仕方がない。

 なにげに新鮮で楽しかったのが、太陽のご近所さん恒星たちの情報だ。有名どころのアルファケンタウリやシリウスだけではなく、肉眼でギリギリみえる近傍恒星も四行で説明されている。
 アケルナルを読み間t……はっはっは。

 星雲は有名どころの有名画像が多かったが、コホーテク星雲K4-55は初めて知った。礁湖みたいで美しい。
 銀河系の外側に出ると、離れるほどに化け物だらけになっていく印象……目立つ連中がとりあげられるのだから当然か。M31の質量が天の川銀河の2倍であることを悔しがるのは宇宙最大規模のナショナリズムと言えるかな。
 ソンブレロ銀河はあいかわらずお美しい。ステファンの五つ子に相互影響していないNGC7320がいることで、五姉妹にひとり義妹が混じっている設定の作品にやさしくなれる気がした――などと意味不明の供述をしており。

関連書評
FAR OUT(ファー・アウト)銀河系から130億光年のかなたへ マイケル・ベンソン/檜垣嗣子
天体観測の教科書 惑星観測[編] 安達誠・編
宇宙に強くなる100のキーワード ニュートンムック

大宇宙MAP ~天体の距離から見えてくる宇宙の構造~: 地球から宇宙の果てまで (大人のための科学入門)
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火星―探査衛星写真(普及版) NASA協力 小尾信彌・訳

 火星をはじめて周回して画像を地球に送ってきたマリナー9号による火星画像約180枚と、この本が書かれたときにミッションを始めていたバイキング探査機による画像36枚を収録した1976年の本。ただし普及版として2003年に刷られた第4版を読んだ。

 火星の地形が多くの点で地球や月との対比から理解できること、それでも解けない謎が残されていることが説明されている。
 解釈は古いものの目の前にあらわれた現象にたいして無力ではなく、なんらかの理解を与えている。地球での同様の地形の研究と、先行する月での蓄積があったればこそ、だろう。
 おかげで比較惑星学の創生期に立ち会っている気分になれた。

 ただ、やはり解釈が古いところはあって、クレーターの中央の盛り上がりを衝撃の反動ではなく、火山活動と解釈したがる傾向が見られる。河川が流れたと説明する場所を「月のリルに似ている」と表現するのも、矛盾している。太古の月に流水があったとするなら別だが……。
 そのような不満はあったものの逆に最新の解釈はどうなっているのか興味をかき立てられるところでもあり、地学頭の体操になった。断層の切断関係など、まるで教科書的な現象も捉えられている。

 画像はモノクロで解像度は100m程度、不鮮明だったりカメラのせいで現れる黒点が気になったりするものの、現在の火星写真集では見られない画像も多く収録されているはずで「処女地」の姿に目を楽しませることができた。

関連書評
火星〜赤い惑星の46億年史 Newtonムック
火星〜最新画像で見る「赤い惑星」のすべて ジャイルズ・スパロウ 日暮雅通・訳

火星―探査衛星写真
火星―探査衛星写真
カテゴリ:天文 | 16:15 | comments(0) | trackbacks(0)

火星〜赤い惑星の46億年史 Newtonムック

 フランソワ・フォルジェ、フランスワ・コスタール、フィリップ・ニョーネ共著、水谷仁Newton編集長訳!
 水谷編集長が翻訳した火星の2009年1月における決定版科学冊子。それまでの成果を様々な視点からまとめており、たいへん興味深い図解がたくさん出てくる。
 特に火星の大気循環に関する図には強い関心をそそられた。フランスからの地上観測が、風のデータに反映されていると別のページにあって、いまだに地上の天文台が大きな仕事をしていることに強い感銘を受けた。

 マーズ・エクスプレスの件をみてもフランスは大活躍で、工業製品一般のイメージを覆している。ドイツはもちろん、イタリアもいい機器を提供している模様。スウェーデンもお忘れなく。
 一方、イギリスはビーグル2に集中していたので謎の失敗によって、エクスプレスの活躍を誇りに思う切符を失った?……まぁ、何かしら貢献があるには違いないが、残念な結果になってしまった感じはある。
 ビーグル2の経験を活かして、エクゾマース計画で活躍してくれることを期待。

 この手の本は予算獲得支援の意味もあるのか、最後の方に探査計画の話をもってくるので、科学的な成果の印象が薄れてしまう弱点がある。まぁ、あとがきにあったように本書で紹介されていることもまだまだ仮説にすぎず、新しい探査によって覆されていく可能性があると認識するためにも、探査計画の話題は必要なのかもしれない。
 砂丘に見られるガリーを説明する理論はまとまったのかなぁ。本当に数百年前に形成されたなら、地軸の傾きによる大気圧の増加で液体の水が地表に存在可能になった説も違和感がある。もうちょっと古くないと、おかしいのでは?

関連書評
火星〜最新画像で見る「赤い惑星」のすべて ジャイルズ・スパロウ 日暮雅通・訳
3Dで見る火星の絶景ポイント ニュートンムック
火星からのメッセージ ジム・ベル
ローバー、火星を駆ける スティーヴ・スクワイヤーズ

火星―赤い惑星の46億年史 (NEWTONムック)
火星―赤い惑星の46億年史 (NEWTONムック)
カテゴリ:天文 | 00:03 | comments(0) | trackbacks(0)

火星〜最新画像で見る「赤い惑星」のすべて ジャイルズ・スパロウ 日暮雅通・訳

 これおもしろい!これセンス・オブ・ワンダー!!惜しむらくは訳が
 2014年に至るまでの火星探査の成果を一冊にまとめあげた珠玉の一冊。高解像度の火星画像がおしげもなく使用されており、適当にページをめくるだけでも無限に時間をつぶせる。
 火星の地図帳のようでもあるが、全体像を描くことよりも、それぞれの特徴的な地形を紹介することを優先させている。全体が知りたければGoogleEarthで火星を表示するなり、なんなりして出来るからな。
 この本と重ねて使用することで、さらなる火星通になることができるはず。

 ただオービターの画像を見慣れていないとついつい凹凸が逆にみえてしまうのが辛いところ。実際に堆積岩の方が堅くて残った「逆転地形」があるから、ますますややこしい。
 人間の目は無意識に上側からの光線と影を解釈しやすいらしい。困ったときはクレーターを注視して感覚を取り戻そう。

 探査機ではESAのマーズエクスプレスが多くの魅力的な画像を提供していた。NASAが凄いのはしかたないにしても欧州にも遅れをとるのはぐぬぬぬぬ……おのれ、あの時のぞみが到達しておれば今頃!そんなことを言っているうちにインドの探査機も火星にたどり着いた。
 ソ連の探査機が火星に呪われているみたいに失敗しまくっているのはやっぱり怖い。赤い国が赤い星に嫌われるとは皮肉だ……まぁ、時差を克服する技術が必要だからな。当時のソ連には月よりも難しい目標だったのだろう。

 それにしても、あの流れの中でバイキングが2機(オービターとランダーを別に数えれば4機)まとめて成功させてしまったNASAの力はすさまじいものだ。
 なにげにランダーの方がオービターよりも長生きしたことを知った。オービターも現代でも通用する写真をたくさん撮っている。

 あと、老兵マーズ・オデッセイの成果も意外に多く収録されていて嬉しかった。MGSとMROの間に埋もれるものかと……能力が被らないように送り込んでいるので見せ場があるのは当然かもしれない。
 また、どんなに能力が上位互換でも季節変化を解析するためには過去の成果が重要になる。そういう意味ではハッブルや地上の天文台、はてはアマチュアまでもが撮像したデータもかなりの価値をもっている。
 複数のオービターが火星上空を飛び回る時代には生み出しえない価値を……。

 オービターの画像と地質学的な解釈に興奮する一方で、ランダーが写した岩だらけの画像にはちょっと冷めてしまう自分がいた。
 だから最近の探査機ほど青色を強調した画像を発表していると考えるのは穿ちすぎだろうな。たまに青く表現された砂丘を波打つ海に見間違えて幸せな気分を味わった。
 やはりテラフォーミングにはロマンを感じてしまうのであった。

関連書評
火星の人 アンディ・ウィアー 作/小野田和子 訳
未知なる火星へ――生命の水を求めて―― ディスカバリーチャンネル

火星: 最新画像で見る「赤い惑星」のすべて
火星: 最新画像で見る「赤い惑星」のすべて
カテゴリ:天文 | 23:41 | comments(0) | trackbacks(0)

天体観測の教科書 惑星観測[編] 安達誠・編

 太陽系内の惑星をアマチュアが観測して、研究に役立つデータをえる方法を詳細に解説した本。
 スケッチから入って、動画撮影によるスタックと画像処理、解析ソフトを利用して画像から客観的なデータをえる方法が載せられている。また、天体望遠鏡の調整方法や動画撮影にむいた機材の紹介もあった。

 趣味だからこそ全力投球のいい例で、地上からの限られた解像度のデータでいろいろな事を明らかにしようとする姿勢に尊敬を覚えた。
 ここまでのレベルに到達できるアマチュア観測者は一握りに違いないが、惑星観測の延長線上に存在していることを知っておくのは励みになるはず。
 いまの自分はせいぜい双眼鏡で火星と木星・土星をみるくらいだが、そこで起こっている現象を常に意識していれば、楽しみも少しは増す。

 観測の主力はやはり火星と木星で、歴史的にも多くのデータが蓄積されていることが示されている。ついで土星と金星で、水星や天王星・海王星は相当難しいとまとめられていた。水星に至っては太陽に近いので危険ですらある。
 直接画像が示されてはいないが、木星の衛星から模様をえる例もあると言及されていた。ネット上でみたときは衝撃を受けたものだ。

 強く戒められているのが、画像処理を掛け過ぎて、利用価値のないものを作ってしまわないことだ。少なくとも処理前のデータをあわせて保存することで、冗長性を確保しておくべきだろう。

天体観測の教科書 惑星観測編
天体観測の教科書 惑星観測編
カテゴリ:天文 | 21:12 | comments(0) | trackbacks(0)

THE PLANETS 太陽系 惑星 最新画像のすべて ジャイルズ・スパロウ/桃井緑美子

 太陽から太陽系外縁天体まで。
 既知の太陽系の構成員を最新画像で紹介していく写真集。本の版が大きいので、どの写真も見ごたえ十分。地球も惑星の仲間として同列に紹介されている様子が好ましかった。おかげで地球南極のバード氷河と火星の砂時計型クレーターの間にある明らかな共通点に気付くことができた。どちらも氷河が口を絞られたところを流れている(いた)。

 火星表面の画像は地球を上回り主力と思えるほどのボリュームがあって、自分が火星人だと勘違いしそうになった。それも地表の画像から軌道上の画像まで揃っているわけで、同じ条件を満たしている天体は他に月とタイタンだけだ(地球表面の画像は載せられていない)。
 人類というかアメリカ人のあくなき火星への興味を感じてしまう。やっぱり彼らの本能に根付いたフロンティアスピリットを刺激する何かが火星にはあるのではないか。

 画像の枚数は絞られているにしても、衛星の画像がしっかりと載せられていて、人間が自分の足で立てる大地の存在に好奇心をかき立てられた。
 ガリレオ衛星は見慣れたものだが――木星の潮汐力があまり掛かっていないカリストとガニメデの扱いが悲しいほど軽い――土星の衛星や天王星の衛星からは新鮮な印象を受けることがあった。土星の衛星イアペトゥスが梅干しの種に見えてしまってしかたがない。ヒペリオンはハチの巣に似ているし、土星の衛星は変わり種ぞろいだなぁ。
 タイタンの美しさに至っては憧憬の念すら覚える。

関連書評
月のかぐや Kaguya on the Moon JAXA
Google Earthで行く火星旅行 後藤和久・小松悟郎
惑星気象学入門〜金星に吹く風の謎 松田佳久

太陽系惑星
太陽系惑星
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FAR OUT(ファー・アウト)銀河系から130億光年のかなたへ マイケル・ベンソン/檜垣嗣子

 地球近傍の星々からどんどん遠くの世界へ。宇宙誕生直後に生まれた銀河の画像、いわいるハッブル・ディープ・フィールドまでを収録した天体写真集。
 アマチュアレベルからは到底想像できない高解像度の画像が多く収録されており、天体の美しさに圧倒された。特に馬頭星雲など、星雲が本当に「雲」に見える点には感動を禁じえない。筋のひとつひとつが鮮明に目で追えて、大気中の雲の流れを見ていると錯覚しかねないほどだ。
 大気のない宇宙を舞台にしていることもあり、詳細すぎる画像に距離感が狂って、まるで自分が宇宙のかなたまで旅している気分になれる。

 そして、それは時間を遡る旅でもある。光が放たれた時代の解説が平行して載せられている構成が非常におもしろい。
 天体の本であるにも関わらず歴史分を補給することができた。歴史の中にも天体の話題は事欠かず、先祖の生活が星の巡りと共にあったことが分かる。
 考えてみれば私たちの身体を構成する元素もビッグバンや星の活動から生まれたわけで、我が身から宇宙の果て130億光年先まで、ひとつながりの世界なのだ。その事実の発見に驚嘆を禁じえない。

関連書評
双眼鏡で星空ウォッチング 第3版 白尾元理

ファー・アウト―銀河系から130億光年のかなたへ
ファー・アウト―銀河系から130億光年のかなたへ
 放射圧が自己重力に優って超新星になる恒星のサイズであるエディントン限界の知識が新鮮だった。太陽の120倍だと即座に超新星爆発してしまうんだな。
カテゴリ:天文 | 23:45 | comments(0) | trackbacks(0)
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