Minerals in the Earth〜大地からの贈り物 神奈川県立生命の星・地球博物館

 神奈川県立生命の星・地球博物館でおこなわれた鉱物の特別展の解説書。鉱物の成因を軸にまとめていて、複数の成因で生まれる鉱物について一部は産地ごとの成因を知ることができた(熱水鉱床うまれの菱マンガン鉱など)。

 表紙にもなっている栃木県産のバラ輝石が圧巻の美しさで、本文中では表紙とは画像が回転した状態で紹介されているほど――回転していなければ何も感じないのに、安直な使い回しに感じる。

 神奈川県の博物館らしく、神奈川県産の鉱物が充実していた。たとえば湯河原沸石だが……これは静岡県産の方が写真が大きかったりする。
 玄倉の燐灰石がふつうの例みたいに出てくるのも神奈川県の博物館ならでは?

 海外の珍しい鉱物では六面体のダイアモンドやパキスタンアシュトン産の透明感のある緑色をした水晶が興味深かった。
 生命の星・地球博物館の鉱物コレクションの軸となっている寄贈されたコレクションについての紹介もあった。

関連書評
美しい鉱物と宝石の事典 キンバリー・ライト 著/松田和也 訳

鉱物関連記事一覧
カテゴリ:地学 | 22:09 | comments(0) | trackbacks(0)

ビジュアル版 地球・生命の大進化〜46億年の物語 田近英一・監修

「大人のための図鑑」と銘打った地学の本。綺麗な図や写真、イラストなどで地球の誕生から現在までが紹介されており、未来についてもちょっと書かれている。
 2億5千万年後に誕生する超大陸「パンゲア・ウルティマ」に妄想が膨らんだ。でも、コラムで紹介されていた別の説で産まれる超大陸「アメイジア」の方を先に知っていたので、アメリカの東側に沈み込み帯が誕生する展開に不審なものを感じてしまった。
 そこまでして大西洋は広がりたくないのか?困った奴だ。
 パンゲア・ウルティマにおいてはインド洋が内海になっているところも興味深い。インド洋の生き物は特殊な進化を約束されている!?

 まぁ、すべては人類による大量絶滅を切り抜けてこそ。過去の大量絶滅を遙かに上回る速度で現在の絶滅が進行しているとも紹介されており、未来がとても心配になる。

 大人向けでも恐竜は関心が高いと思ったのか、再現イラストがたくさん紹介されていた。ただし、羽毛がない復元ばかりが並んでいるので、個人的には違和感が強かった。
 ビジュアルが強い図鑑だけに、復元の変化による影響も強く受ける。
 過去の大陸配置についても、それなりに詳しい図が載っているので興味深かった。

関連書評
「地球科学」入門 谷合稔
大地と海を激変させた地球史46億年の大事件ファイル ニュートンムック

大人のための図鑑 地球・生命の大進化 -46億年の物語-
大人のための図鑑 地球・生命の大進化 -46億年の物語-
カテゴリ:地学 | 19:51 | comments(0) | trackbacks(0)

楽しい植物化石 土屋香・土屋健

 なんとなく国産の個人的なコレクションの本だと勘違いしていた。中身を開いたら古生代からガッツリ世界的な標本が紹介される本だった。
 著者のひとりでもある土屋健氏の黒い本の植物版ダイジェストに感じられる内容だ。

 化石ショップを経営する土屋香氏の視点が入っていそうなコメントは、本屋のポップみたい。少々物欲を刺激する。
 しかし、白亜紀の植物については大半が現生のものが写真で紹介される形なのであった。第三紀以降では化石の方が多いのでイメージが混乱する。
 ディラノサウルスとアノマロカリスの地学会話が何気に情報量が多いもので、ほうほうと感心しながら読んだ。化石の形成が数ヶ月で済む場合もあるのか……。

 さいきんの第四紀ながら大量に紹介された栃木県塩原の化石も強く印象に残った。シノブ(植物)の化石と「忍石」の標本を並べてニヤニヤしたい。

関連書評
石炭紀・ペルム紀の生物 土屋健 群馬県立自然史博物館
白亜紀の生物・上巻 土屋健 群馬県自然史博物館監修
古第三紀・新第三紀・第四紀の生物・上 土屋健

楽しい植物化石
楽しい植物化石
カテゴリ:地学 | 22:44 | comments(0) | trackbacks(0)

ゾウがいた、ワニもいた琵琶湖のほとり 高橋啓一

 琵琶湖博物館ブックレット1
 360万年前の今の位置にはなかった琵琶湖。そこにはワニがいて、ゾウが水を飲むために近づいてくる所だった。
 大型動物の化石を中心に、琵琶湖周辺の生態系の変化とそれにまつわる研究を紹介する本。

 大量殺戮説が今では否定されていることを知った。すでに書いてしまった感想はしかたないけど、古い本を読むときは気をつけなくてはいけない。
 読んだ順番と学説の新しさは常に一致してくれないのだから余計に。

 その点、著者はミエゾウやアケボノゾウなどの名前が研究の進展によって変遷してきたことを説明してくれているが、混乱しないように注意するのは大変に違いない。資料をデジタル化して注釈に「現代の○○のことである」と説明が入るようになってくれると研究の助けになりそうだ。

 各地の標本を集めて比較研究をおこなった逸話も多くて、博物館の一般市民には見えにくい側の役割も、わかりやすく説明してくれていた。
「研究のために貸し出し中」と紙が置かれているときには世界のどこかでCTスキャンなどを受けているわけである。

関連書評
生命の湖 琵琶湖をさぐる 滋賀県立琵琶湖博物館
図説 日本の湖 森和紀・佐藤芳徳

ゾウがいたワニもいた琵琶湖のほとり (琵琶湖博物館ブックレット)
ゾウがいたワニもいた琵琶湖のほとり (琵琶湖博物館ブックレット)
カテゴリ:地学 | 19:11 | comments(0) | trackbacks(0)

鉱物レシピ〜結晶づくりと遊びかた さとうかよこ

 鉱物を楽しむために有用な情報がいっぱい載っている本。人工結晶は鉱物ではないのだけど、その作り方はやっぱり興味深い。それに人工結晶を作ることで鉱物への理解が深まる場合もありそうだ。
 タンバンの作成が法律の関係でできなくなっていることを知った。残念だが、他にもいろいろと結晶にできる物質は市場に出回っているようで、本屋で見かける結晶作成キットにも、もう少し注目してみようと思った。
 なんといっても天気管が気になる!天気と一緒に眺めたら毎日が楽しめそうだ。

 他にも鉱物を入れた万華鏡のつくりかたや、蛍石の加熱など簡単な実験の方法などが紹介されていて、内容はもりだくさんである。
 著者の経営するカフェに行ってみたくなったがニッチな商売がなりたつのはやっぱり東京なのであった……。

 文系と名乗っているけれど、記述の中には感心させられる自分にとっての新情報もあって興味深かった。
 しかし、モース硬度に.3や.8を出すのはいかがなものか。0.25や0.75といいたいことは想像できるけど、.5の基準鉱物が決まっていなければ、こんな表示はできない。あんな書き方をするならもっと説明をしてほしいと感じた。

鉱物関連記事一覧

鉱物レシピ 結晶づくりと遊びかた
鉱物レシピ 結晶づくりと遊びかた
カテゴリ:地学 | 15:05 | comments(0) | trackbacks(0)

鉱物キャラクター図鑑 いとうみつる・イラスト 松原聰・監修

 鉱物をキャラクター化した子供向けの図鑑。化学組成などのデータは載せられておらず、鉱物がそのまま読者に語りかけてくる体裁である。写真の一枚もついていないところは、非常に思い切りが良いといえる。

 ひすいが南九州の言葉遣いをしていたのだが、北陸の言葉をしゃべってるわけにはいかなかったのか?無理にでも個性の演出をするために産地との辻褄も無視された例だった。
 常にギプスでデザインされている石膏くんみたいな悲しい例も……炎色反応の花火を背負った天青石は恵まれている。

 色に特別な意味があると考えられて、ざくろ石が銃弾に使われたことがあるとの説明は初耳だった。たくさんの鉱物図鑑を書いてきた監修者なので、ネタ集めに余念がないのか。
 ドロマイトを使ったセメントは、ふつうの方解石だけで作ったセメントとは違いそうだ。そういえばドロマイトから焼かれた陶器なんかも研究されていたそうだ。

関連書評
鉱物・岩石紳士録 松原聰・北村裕花
フィールドベスト図鑑 日本の鉱物 松原聰

鉱物関連記事一覧
カテゴリ:地学 | 09:55 | comments(0) | trackbacks(0)

石ころがうまれた〜ビロード石誕生のひみつ 渡辺一夫

 著者が三保の松原でひろったビロードのような手触りの石。その出現場所を求めて近くの川を遡上して探査する様子が子供向けの本になっている。
 地質学調査の基本を具体的な例を使って説明してくれている。

 最後の方は目がビロード石モードになっていて簡単に見つけられたという経験談がとても良くある光景で共感できた。
 著者が調査を行った安倍川は、紫色のもっと珍しい斧石も河原から拾える。調査の途中で遭遇したはずなのだけど、読者の関心を分散させないためか言及はなかった。口坂本ではニッケル華も採れたはず。もっとも上流の方では砂金も採れる。
 著者がとった簡単な地図でそれぞれの産地の地名が確認できた。あのページはとても便利で、地図のページを指で押さえながら読み進めることになった。

 ビロード石が蛇紋岩であることは予想ができたのだけど――いちぶの専門家は使っている呼び方のはず。野外実習で聞き覚えがある――産状については知らなかったので勉強になった。著者のように苦労して自分の足でみつければ本で読むのとは桁違いの学習効果が得られるはず。
 その点ではちょっと羨ましくなった。

関連書評
実験・観察・ものづくり7〜岩石・化石のなぞ 角谷重樹・相場博明

鉱物関連記事一覧

石ころがうまれた―ビロード石誕生のひみつ (地球ふしぎはっけんシリーズ)
石ころがうまれた―ビロード石誕生のひみつ (地球ふしぎはっけんシリーズ)
カテゴリ:地学 | 22:06 | comments(0) | trackbacks(0)

はじめての古生物学 柴正博

 陸橋説はまだ死んでいなかった!入門書的なタイトルに反して意外に挑戦的な内容をもっている。恐竜の隕石絶滅説にも立ち向かっているし、定説に囚われないことに使命感すら覚えていそうな著者である。
 れっきとした東海大学の先生なので、もちろん根拠はあげているが、オッカムの剃刀で処理すれば別の解釈が優位に立ちそうな気はする。まぁ、自分の印象にすぎないので徹底的に議論が行われれば新しい定説が生まれてくるのかもしれない。
 著者も述べているように地質学の証拠はページとばしのものにならざるをえず、そこに解釈の自由が生まれてしまいそうな点は困ったものである。
 ゾウの骨から長い鼻を復元することは困難だが、恐竜のブラキオサウルスなどにも長い鼻があった可能性を否定することは難しいと著者は指摘している。
 それでも証拠は増えるいっぽうで、減ることはない。本書を読んで、著者に育てられた未来の地質学者たちの活躍に期待したい(個人的には最初の一冊にしない方がいいと思うけど)。

 さまざまな種類の生物などを網羅的にあつかっており、図も統一された雰囲気で見やすかった。

関連書評
地質調査入門 柴正博 東海大学出版部

はじめての古生物学
はじめての古生物学
カテゴリ:地学 | 18:56 | comments(0) | trackbacks(0)

図説 日本の湖 森和紀・佐藤芳徳

 日本の代表的な湖の基礎的なデータと歴史がまとめられている。
 琵琶湖は圧巻の日本一位だったが、意外と名前の歴史があさく、測量によって琵琶に似た形状が認識された江戸時代中期以降とのことだった。また、集水面積が滋賀県の96%にも及ぶとのことだった――やはり滋賀県は琵琶湖県である。

 人間との関係によって大きな変化を余儀なくされている湖も多く、水を発電用にもっていかれたり、海とつなげられて海水が進入したり、生息する生物にとっては堪らないであろうイベントが起こっている。
 そもそも生きている魚がいない状態から放流が行われた例も紹介されている。
 オオグチバスやブルーギルの存在についても、つとめて平静に語っている点が印象的だった。

 個人的には油ヶ淵を紹介してほしかったのだけど、最後の表に名前が載っているだけに留まった。日本一汚い湖ランキングで一位をあらそった手賀沼は紹介されているのに――やはり関東か、関東だからか!

 仁科三湖のならびがレバントの死海とガリラヤ湖の並びを連想させて興味深い。三方五湖については湖底堆積物の研究で知っていたので、特に強い関心をもって読むことができた。

関連書評
時を刻む湖〜7万枚の地層に挑んだ科学者たち 中川毅

図説 日本の湖
図説 日本の湖
カテゴリ:地学 | 00:09 | comments(0) | trackbacks(0)

「地球科学」入門 谷合稔

 地球の誕生から日本人の誕生まで。地球の歴史を一冊におさめた本。前ページカラーで、大量の画像を収録している。
 地球の悲鳴と題した環境問題を中心的にあつかったコラムもあって、地球環境に関心が高い人に向いている。

 ただし、本文は隙が見受けられ、学術的正確性に無頓着に感じられる部分もあった。コケを菌と表現していたり、ウミサソリの載ったヘッセルの本の表紙をバージェス生物群のものと解説していたりする。
 だんだん何のために読んでいるのか……という気分になってきた。「よくわかっていません」は真摯なのに、妙に印象に残ってしまう。

 ハワイのホットスポットが南に動いているために天皇海山列が北に曲がっているらしいなどの新しい知識も得られたので巧くつまみ食いしておきたい。

関連書評
惑星地質学 宮本英昭/橘省吾/平田茂/杉田精司
大地と海を激変させた地球史46億年の大事件ファイル ニュートンムック

「地球科学」入門 たくさんの生命を育む地球のさまざまな謎を解き明かす!
「地球科学」入門 たくさんの生命を育む地球のさまざまな謎を解き明かす!
カテゴリ:地学 | 21:43 | comments(0) | trackbacks(0)
<< | 2/29PAGES | >>