ロシア〜ナショナルジオグラフィック世界の国

 一国で「地域」と対抗できる面積をもつ世界最大のロシア。その歴史や自然、経済などがわかる。
 さすがに今の民主主義が根付きつつあると主張するのは無理があると思ったが……プーチンの強権によって逆の方向に進みつつある気がしてならない。
 あと住居問題もあって人口が減少傾向であることが、資源の豊かさを相殺していそう。国土は広いのに住居は狭いなんて皮肉な話だ。

 世界最大の虎、シベリアタイガーが1930年代には50頭まで減ったと聞いて、いまは500頭まで回復していても遺伝的な多様性にかなりの不安を覚えた。
 シベリアタイガーの頭数を法律で回復させたことは素晴らしい。

 少数民族についても言及があり、高等教育を受けるためにはロシア語を使用せざるをえない彼らの苦しい立場がわかる。初等教育なら民族の言葉で受けられる場合があるだけマシとも考えられるが、本人たちには厳しい現実である。

関連書評
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ロシア (ナショナルジオグラフィック世界の国)
ロシア (ナショナルジオグラフィック世界の国)
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ギリシャ〜ナショナルジオグラフィック世界の国

 ジェン・グリーン著、グレッグ・アンダーソン/コスタス・フラソプロス監修。
 電気の通じていない土地は「山奥の村にしかない」。それでもバルカン半島では比較的豊かな国ギリシャのことが一通りわかる本。
 さすがにギリシャの歴史をほんの一部で説明することには無理があった。それでもトルコとの深刻な関係はわかる。ベネチアへの恨みはさすがに捨てたのかなぁ。
 それよりも国王を落下傘させたドイツの方が恨まれてたりして――どっちも第二次世界大戦で敵になっているのは偶然か?その点では独立の英雄にイギリス人のパイロン卿がいることも興味深い。

 海に親しむギリシャの国土にはちょっとした親近感を覚える。しかし、チーズやオリーブオイルを多用している点はさすがに日本とは違っていた。
 行政区にマケドニアの名を関したものが複数あってマケドニアの独立がトラブルになった理由もなんとなくわかった。歴史からいいところ取りをしたがり過ぎている気もするが……。

関連書評
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NHKスペシャル 知られざる大英博物館 古代ギリシャ
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ギリシャ (ナショナルジオグラフィック世界の国)
ギリシャ (ナショナルジオグラフィック世界の国)
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メキシコ〜ナショナルジオグラフィック世界の国

 ベス・グルーバー著、ゲーリー・S・エルボウ/ホーヘイ・サモウラ監修。
 アメリカと国境を接することでいろいろあるメキシコの本。麻薬に関する犯罪が興味深いところなのだが、まったく触れられていなかった……それでいいのだろうか?

 表紙になっているのはメキシコの伝統的な漁業をおこなう漁師であって、小話のアメリカのビジネスマンと漁師を思いだした。
 メキシコの人口が1億3000万と日本に近いことも注目に値する。急速に増えている最中だが、人口ボーナスをちゃんと受け取れるのかなぁ。

 太平洋側にはりだしたカリフォルニア半島の話がちょっと興味深い。半ば孤立した環境は、ロシアのカムチャッカ半島に似ているかもしれない。
 食料にされているイグアナには二重に過酷な土地である……。

メキシコ (ナショナルジオグラフィック世界の国)
メキシコ (ナショナルジオグラフィック世界の国)
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ポーランド〜ナショナルジオグラフィック世界の国

 ザイラ・デッカー著、リチャード・バタウィック/イウォナ・サガン監修。
 悲しい歴史をもちながらも力強いポーランドの解説本。皮肉にもホロ・コーストやドイツの敗戦の影響により、いまでは人口の98%がポーランド人で、国土は広く、人口も比較的多い。
 移民の逆流に対処する時代がくるまでは羽を伸ばせそうな形成である。

 スラブ民族でありながらカトリックを選択したことがポーランド人に強固なアイデンティティを与えて苦難の時代にも一体感を失わせなかったことが興味深かった。スラブ人で正教会のウクライナなどが気になってくる。
 ストライキを組織した電気工が大統領にまで登り詰めたことも凄い。
 ソ連支配下のポーランドを独立状態と認めないのは極端すぎるんじゃないかと思ってしまうのは、程度の問題はあれアメリカの属国状態から日本が抜け切れていないせいなのかなぁ。

 ややこしいことに社会主義時代の自然破壊は酷かったけれど、ポーランドにはヨーロッパでも自然が残されている方らしい。単純に国土の広さによる勝利かな。あと、湖沼地帯のおかげもありそう。
 あと、用語解説の修道院に「修道士の住む施設」とだけ書いてあって、修道士の解説がないのはダメだと思いました。

関連書評
学研第2次大戦欧州戦史シリーズ1〜ポーランド電撃戦
ドイツ王室1000年史 関田淳子

ポーランド (ナショナルジオグラフィック世界の国)
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ウマ〜人間との関係〜 ナショナルジオグラフィックDVD

 人類と4000年の関係をもつ動物、ウマ。現代でもウマと関わる人はたくさんいる。
 4000年の歴史が今に続いていることが感じられるエピソードの数々が紹介される。

 モンゴルで開かれているナーダムの紹介ではなかなかデンジャラスなレース設定にモンゴル人の魂が感じられた。
 12歳以下しか参加できないのに、トップクラスは24kmを30分で走らせるんだ……落ちたらかなり危険だな。
 少なくとも過酷すぎる条件に倒れて死んでしまうウマはいるらしい。倒れたウマの傍にたたずむ子供の姿に、こっちまで泣きたくなった。落馬したのか、鞍を持ってゴールに向かって歩く子供もいたなぁ。

 25歳で第二の人生を歩み始めてからパラリンピックで金メダルを取ったウマなど、妙に涙腺を攻撃されることが多かった。
 彼らには何か心を震わすものがある。

 しかし、アメリカで「野生馬」を保護するのはどうなのか?完全に移入種なのだが……肉食動物がいなくなって食物連鎖が崩壊しているから、むしろアリかなぁ。
 モンゴルでの試みには文句のつけようがない。

関連書評
クセノポーンの馬術・ポダイスキー ヨーロッパ馬術小史 荒木雄豪・編
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ムガル帝国の興亡 ナショナルジオグラフィックDVD

 バーブルとクライブ。ムガル帝国を興した人間と、実質的に息の根をとめた人間。二人の人生を対比的にえがく映像資料。
 半透明にした映像を重ねて表示する表現がナショナルジオグラフィックのお気に入りらしく頻繁に出てきた。中途半端に資料のあるクライブの方がモノクロで描写されるボリュームが大きくて、バーブルはカラーで描かれているところも面白い。

 バーブルのパーニーパットとクライブのプラッシー、二人がインドを得た戦いがどちらとも兵力が敵の十分の一に近い極端に不利に感じられるものだった点も印象的だ。
 いくら数を集めても外部の革命的な勢力には遅れをとってしまう。逆に改革を起こして殴り返すのは苦手に見える。思想や学問の分野では功績があるのだけど。

 ムガル帝国の二代目であるフマユーンの名前が頻繁に出てくる割に、事跡が紹介されないことにニヤニヤしてしまった。まさに命懸けで病から救った息子があんな問題児だったなんてな。まぁ、フマユーンに続く血を残したことに意味はあるので、バーブルが道化というわけでもないか。

 クライブはほとんど人格破綻者で躁鬱病はともかく阿片への依存は非常に心証が悪い。しかし、近代の人間だから細かく人物像が残されているだけで、他の征服者にも似たような人物がたくさんいたのではないか?そう考えると、彼の記録には個人に留まらない史料価値が感じられる。
 もしも、彼が北アメリカに派遣されたら何が起こっていたのか。歴史のIFを感じさせる叙述もあった。

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忘れられた王国〜グレートジンバブエ遺跡〜 ナショナルジオグラフィックDVD

 サラハ以南のアフリカに存在する巨大な遺跡グレートジンバブエ。聖書に登場するジェバの女王に関連すると第一発見者に主張された遺跡を巡るアフリカ探検時代の物語。
 ドイツ人探検家のマウフは、貧しさに苦しみながらアフリカの奥地に到達した立派な男だったが、専門教育を受けていなかったことが災いして間違った結論を出してしまう。
 そして、信じたいことしか信じない人々に彼の説は人気を博してしまうのだった。シェリーマンがイーリアスから遺跡を発見してしまったばかりに、シェリーマン症候群にかかった人間が暴走した印象を受ける。
 思いこみを廃して目の前のある物を冷静に観察することの難しさを感じた。

 それを成し遂げたのが女性の考古学者として先駆的な存在だったイギリス人女性のトンプソンだ。第一次世界大戦で恋人を失った彼女は、フランスで先史時代の発掘に関わったことを皮切りに考古学にのめり込み、エジプトで成果をあげる。
 ついに招かれたローデシアでジンバブエがアフリカ人の都市であったことを突き止めるのだが、抵抗はすさまじいものなのだった。自分の信じる結果を求めるなら、考古学者じゃなくて小説家を呼ばなきゃね……トンプソンの言うとおり愚かな人々だ。
 話の最後にグレートジンバブエが印刷されたジンバブエドルが出てきて、非常に複雑な気分になった。ムガベェ・・・。

 二人の考古学者に焦点が合っているので、グレートジンバブエそのものの紹介は意外と少なくて物足りなかった。12世紀で人口が1万〜1万5千の大都市と言われても、それもヨーロッパ基準なんだよなぁ。中国とまったく比較しないのは如何なものか。
 歩くシーンが何度も撮られていたが、壁と壁の間が一人が通れる程度の広さしかないことも気になった。防御を考えての構造で、周辺には城壁を崩せる武器をもった勢力はいなかった証拠なのだろうか。
 発見と研究の経緯は分かったが、遺跡そのものへの疑問が新しく湧いてきて解消できない。そんな映像資料だった。

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カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 22:46 | comments(0) | trackbacks(0)

百獣の王ライオン ナショナルジオグラフィックDVD

 直球のタイトルにあるようにアフリカの自然界で最も目立つ肉食動物ライオンの生を描いたドキュメンタリー。オスを中心として彼らの一生がおおよそわかるようになっている。

 新鋭のオスが力を合わせて老いたオスを追い払い、プライドを力づくでものにしていくドラマはともかく、力を失い老いたオスがボロボロになって死んでいく有様は恐怖を覚えるほど悲惨だった。
 栄光が高かっただけにあまりにも憐れだ。
 プライドを制圧したオスライオンたちにも、その中で育っていったタウと呼ばれる個体にも、あのような運命が待ち構えていると思うと無常観を感じてしまう。それが自然なのだと言ってしまえばそこまでだけど、先を見越して悲劇を軽減できる人間っていいなと少し思うことができた。

 発情期の交尾が150回以上とか、寝食をおしんで子作りに励むとか、壮絶にすら感じられる知識もえられた。最期まで群れの頂点に立ててもオスにとっては辛いことになりかねないなぁ……。

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百獣の王 ライオン
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地底の神秘 ナショナルジオグラフィックDVD

 ニューメキシコ州にあるレチュギア洞窟にナショナルジオグラフィック協会がおこなった探検を中心にすえたドキュメンタリー。見たこともないような水と炭酸塩鉱物の造形をみせる神秘の世界に案内される。
 だが、いちばん驚嘆したのはアメリカに1万6千人の日曜洞穴探検家がいるって事かもしれない。レチュギアのあるニューメキシコ州だけでなく、ケンタッキー州などには個人所有の観光洞窟が無数にあって客の誘致に鎬を削っているというのだからスケールが大きい。洞窟探検も彼らにとっては登山と似たスポーツの一種であるようだ。
 とはいえ、9歳で懸垂降下速度の世界記録をもっている少女の話はかなり狂っていると思った。将来が楽しみな娘だ……。

 そんなケンタッキー州にあるマンモス洞窟とフリントリッジ洞窟を結ぶルートを探査した探検家たちの逸話は、未登頂の高山にはじめて登ったかのような彼らの興奮と喜びが伝わってきた。それはエベレストでも味わえないエッセンスを含んだ経験かもしれない――もちろん洞窟探検では味わえないものをエベレストはもっているだろうが。
 しかし、マンモス洞窟に出てきた彼らが完全に観光化された通路に辿りついたオチはちょっと笑いを誘う。観光客がいる時間帯に辿り着かなかったのが、不運だったのか、幸運だったのか。
 この世界最長が判明したマンモス洞については先史時代の先住民がアシの松明だけを頼りに石膏結晶の採掘にやってきていた話もあって歴史ミステリーの面でも神秘的なものを感じさせた。

 レチュギアはレチュギアで、石膏は花を咲かせ、アラゴナイトはシャンデリアと化し、方解石の真珠が連なる美しく静寂に満ちた神秘の世界で、見応えがあった。

地底の神秘
地底の神秘
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真夜中のライオン ナショナルジオグラフィックDVD

 プライドと呼ばれるライオンの群れの動きを昼夜問わずに追跡し、彼らのテリトリーで暮らす他の生き物の動きにも注目したドキュメンタリー。
 かなりグロテスクなシーンが多くて、ライオンが一頭の獲物に30頭がかりでくいついているのをはじめとして、クモやムカデ、ヘビなどの世界も緻密に撮影されている。それは夜にあるおぞましさそのものを感じさせる活動の数々で彼らの食事シーンとはいえ、食事しながらみるのはキツイだろう。
 40匹のカエルが協力して卵の巣をつくっている姿もえもいわれぬものがある。耐乾性はあがるんだろうけど、産卵のやり方から考えて半分乱交みたいになっているのでは……。

 グロテスクさは一段劣ったがアリジゴクの陰険さも印象的だった。アリが逃げにくいようにするだけではなく、間断なく砂粒を叩きつけることでアリの足を取るようにしているんだなぁ。
 ライオンはライオンで弱った個体が虐められるシーンがあったし、やっぱり綺麗ごとではすまない自然の厳しさが感じられた。

 そんな中だから群れがまったりと寝そべっている姿には凄く和んだが……30頭まとめて転がっているのだから、猫でもまず見れない。


 どんな機材を使ったのか知らないが、人間には苦手な夜間、野生動物の追跡撮影を地道にやりとげた撮影者の能力もすさまじい。

真夜中のライオン
真夜中のライオン
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