面白くて奇妙な古生物たち 加藤太一・土屋健

 古生物の定義から古生物のよもやま話を展開していく本。
 特定の時代にこだわらず面白い古生物をひとつずつ摘み食いしている。スーとマーストリヒトの怪物が似たような権利者問題を起こしていて、両方とも土地の所有者が勝っていることが興味深い。
 スーの地権者はオークションでいくら手に入れたのやら……。

 同じ著者の他の本で聞いた「キュプロクス=ゾウの化石」みたいな情報もある。
 そういえば牙が一緒に出てくれば巨人の頭部とは思いにくいと思うのだが、牙は骨と違ってなかなか残らないのだろうな。それでも歯をみれば……とは思わなくもない。日本では江戸時代に竜骨はゾウだと見抜かれるに至っているから、冷静で科学的な観察は大事だ。

 ティラノサウルスのウロコが確認されている話が、個人的には新情報だった。もふもふのティラノサウルスが遠のいて一部の人は喜んでいるだろう。
 だが、人間にハゲの人とそうじゃない人がいるように、同じ種の中で羽毛があったり、なかったりする可能性は?現生の動物を考えれば個体差って話にはならないな、うん。

土屋健(オフィスジオパレント)著作感想記事一覧

知識ゼロでもハマる 面白くて奇妙な古生物たち
知識ゼロでもハマる 面白くて奇妙な古生物たち
カテゴリ:古生物学 | 23:23 | comments(0) | -

恐竜・古生物ビフォーアフター 群馬県立自然史博物館・土屋健・ツク之助

 古生物の復元は時代によって大きく変わってきた。
 「ミイラ化石」が発見された鎧竜みたいに「決定版」に近いものも出始めているが、大半はまだまだ変動が予想される復元図の過去と現時点の姿を並べた本。

 そもそも多くの骨格がみつかる種は「幸運」であって、見つかった一本の歯しか地球上に残っていない種だってあるのだろう……

 デイノケイルス(自分がディリジノサウルスの名前で覚えていた種?)のいろいろな恐竜の特徴をもちよった姿が、現代におけるカモノハシみたいだ。
 生態を考えると、これは収斂進化では説明できない。

 「中温動物」の考え方は、同じ著者のサメ帝国の逆襲で聞きかじった覚えはあるものの、用語として意識したのは初めてだった。外温性、内温性の言い方も初めて知った。
 いいとこ取りでやっているのも巨体を維持できた秘訣か。
 知識は常にアップグレードしないと最新の研究についていけなくなる。全編を通して、それを意識させられる内容だった。

土屋健(オフィスジオパレント)著作感想記事一覧

恐竜・古生物ビフォーアフター
恐竜・古生物ビフォーアフター
カテゴリ:古生物学 | 18:39 | comments(0) | -

地形探検図鑑〜大地のようすを調べよう 目代邦康

 子供向けにわかりやすい地形の本。
 角礫を石、円礫を石ころと言い換える微妙さよ……後で言われればわかるニュアンスだが、前者は厳しいところがある。でも、角礫って言葉は難しいよなぁ。

 かなり多彩な内容をうまく収録していて、情報の圧縮力に感心した。
 地形学のいろはが分かるだけではなく、日本の地形的な特徴も何となく掴めてくるのではないか。

 海岸の地形変化に関する問題は、21世紀になっても引きずったままで、未来が心配になるのだった。
 それゆえに、こういう本で若い世代に啓蒙していく意味は大きい。

地形探検図鑑:大地のようすを調べよう (子供の科学★サイエンスブックス)
地形探検図鑑:大地のようすを調べよう (子供の科学★サイエンスブックス)
カテゴリ:科学全般 | 21:11 | comments(0) | -

地層ってなんだろう3〜歴史をしらべよう 目代邦康

 天然記念物の指定は1960年代以降すすんでいないそうだ。ジオパークを推進するとき一緒に、あるいは前作業として天然記念物化を進めればいいのにと思ったが、実際にはやっているかもしれない。

 カキが縦だとその場所で生きていたもの、カキが横になっていると死んで流されてきたもの。
 ここを覚えてみよう。
 サンゴも見事なものが千葉県の丘陵に出ているんだなぁ。海進期を実感させられる。現地に行けばもっと強く感じられるだろう。

 液状化現象を示す地層がぐちゃぐちゃになった露頭もすごかった。
 写真で上の方にいる人のポーズがちょっとコミカル。スケールになるからね、人が写るのは正しい。

地層ってなんだろう〈3〉歴史をしらべよう
地層ってなんだろう〈3〉歴史をしらべよう
カテゴリ:地学 | 21:28 | comments(0) | -

地層ってなんだろう2〜実験しよう 目代邦康


 小学校の校庭に河川実験施設があって、理科の授業で水を流して河川の形成を観察したことを思い出した。あとビーカーかペットボトルに土を入れて級化を観察する実験も義務教育期間にやった覚えがある。
 けっこう強い印象に残っているので、子供にはできるだけ地学の実験を経験してほしいと思った。
 近くにやっている博物館があれば恵まれている。

 実験が上手くいかなかった時がチャンスで条件の違いなどを考えてみようと書いているコラムを読んで思ったのだが、間違っていた条件がちょうど重力や素材の違う火星やタイタンの地学現象を再現している可能性もあるのかなぁ。
 そんな例がみつかったら最高だ。

地層ってなんだろう〈2〉実験しよう
地層ってなんだろう〈2〉実験しよう
カテゴリ:地学 | 22:58 | comments(0) | -

地層ってなんだろう1〜観察しよう 目代邦康

 まずは地層を生み出す様々な地形を写真と図で紹介していく。すべて国内の写真であり、日本の地形が多様なこともわかる。

 高山や南の島は近くに住んでいないと子供が観察するには難易度が高い。しかし、身近な地層がそういう場所で出来ている可能性を意識してほしいものだ。
 川の攻撃斜面は覚えやすいが、滑走斜面はすぐに忘れてしまう。インブリケーションの説明が懐かしかった。

 河岸段丘の断面図に日本には珍しい正断層が描かれている?それとも地滑りをイメージしているのかな?そう思っていたが2巻で同じ図が出てきて、河川堆積物を表しているにすぎないことに気づいた。
 地層の色を変えているところがポイントか。不整合面が湾曲していれば勘違いしにくかったのだが。

地層ってなんだろう〈1〉観察しよう
地層ってなんだろう〈1〉観察しよう
カテゴリ:地学 | 23:53 | comments(0) | -

恐竜時代1〜起源から巨大化へ 小林快次 岩波ジュニア文庫

 アラスカにおける恐竜足跡化石調査記録から話は始まる。過酷なむさくるしい(が報われることもある)恐竜研究の実例を示してからは、時代順に恐竜の発展を追っていく。
 恐竜の始まりを分岐した姉妹群の出現時期とする考え方と、現代に繋がる鳥類の始まりを恐竜類の中の姉妹群の出現時期とする考え方が、最初と最後でリフレインしている。
 なんでより発展した枝の太い方じゃなくて、姉妹群の方が早い時期に見つかっているのだろう。それほど生物の発展は運だということなのか?

 恐竜の特徴である気嚢システムの説明を読んで、ガス交換が効率的になると同時に熱交換も効率的になりすぎる可能性を感じた。現代の鳥が高々度を飛んでいることを考えれば、そうでもないのかな?
 でも気嚢システムが完成しきっていない時代には、長所が活かせて短所が表れない気候がたまたまマッチすることが大事かもしれないとの考えにしがみついている。

 始祖鳥の話は著者本人が標本に触れたこともあり、さまざまな話題を取り上げていて興味深かった。

恐竜時代I――起源から巨大化へ (岩波ジュニア新書)
恐竜時代I――起源から巨大化へ (岩波ジュニア新書)
カテゴリ:古生物学 | 20:44 | comments(0) | -

迷宮のミノア文明〜事実になった神話 ルイズ・スティール

 開かれた封印 古代世界の謎16

 アーサー・エバンズ卿の紹介からミノア文明の物語は始まる。
 父親の友人だったというシュリーマンの大発見にも刺激されて、エバンズはクレタ島で豪華で複雑な宮殿を発掘することになる。

 民衆から穀物を宮殿に集めて、その穀物で養った職人によって、貿易に使う工芸品を生産する。税金を取り立てていなければ生まれなかった富をつくりだす仕組みが見事に回っていたようだ。
 分業は都市の特徴と言われるが、宮殿の主は半ば人工的に分業を強いていた感じもする。

 絵画の分析から巫女の役割がそれなりに大きかったらしいことも印象的だった。エバンスが「玉座の間」と勘違いした部屋の「玉座」に腰掛けたのも女神を演じる巫女だったのではないかと書かれている。
 なお、宮殿が複雑な構造をしているのは、計画性のない増築のせいらしい……。

迷宮のミノア文明―事実になった神話 (開かれた封印 古代世界の謎)
迷宮のミノア文明―事実になった神話 (開かれた封印 古代世界の謎)
カテゴリ:歴史 | 22:43 | comments(0) | -

知られざる「恐竜王国!!」 NHK「ダーウィンが来た!」

 「日本にもティラノサウルス類やスピノサウルス類がいた!」というアオリで日本の恐竜を再現CGにした番組の本。

 歯が二本しか見つかっていないスピノサウルス類を膨らませすぎ。それほど肉食恐竜の人気が高いようで……恐竜研究のうえで重要なのは脳かんまで見つかっているタンバティタニスとしか思えなかった。むかわ竜も楽しみだ。

 タンバティタニスを研究した三枝博士は、ゾウを研究していたそうで、それを活かした話をしてくれている。
 日本のスピノサウルス類は歯だけだから仕方ないけど、スピノサウルス一般の説明からほとんど出ていなかった。
 情報が少ないゆえに、どの恐竜も古環境と絡めて語られているのは良い。

 あとやっぱり福井県は恐竜の名前にフクイを使いすぎ。ラテン語で表記する上でも都合がよかったりするのかなぁ。

NHKダーウィンが来た! 特別編集 知られざる恐竜王国!! 日本にもティラノサウルス類やスピノサウルス類がいた! (講談社 MOOK)
NHKダーウィンが来た! 特別編集 知られざる恐竜王国!! 日本にもティラノサウルス類やスピノサウルス類がいた! (講談社 MOOK)
カテゴリ:古生物学 | 13:15 | comments(0) | -

沈黙の都市マヤ〜密林に眠る驚異の文明 コンスタンス・コルテス

 開かれた封印 古代世界の謎5

 マヤにおける二つの都市パレンケとコパンを例にマヤ文明を紹介している。
 密林という地形と気候で文明の発達に難しそうな土地で、なぜマヤ文明が発達したのか、サブタイトルからあらためて気になったが、そのあたりの説明は特にされていない。
 アマゾンにも古代文明の形跡がみつかってきたし、気候の問題は思いこみに過ぎないのか?

 パレンケにはパカン王とチャアン・バラム王という二代にわたっての栄光が遺されている。パカン王の長生きと母親の生まれからもわかる婚姻政策がパレンケ繁栄の原動力だったのかな。
 スペイン人に多くの文章が焼かされてしまったことが残念でならない……。

 コパンは衰退の時代にまで話が続いている。石に複雑な文字を彫るメディアの問題で緊急事態のリアルタイムでの記録は期待しにくいが、著者の予想が外れて今後の発掘調査によって永遠の謎とならないことを期待したい。

沈黙の都市マヤ―密林に眠る驚異の文明 (開かれた封印 古代世界の謎)
沈黙の都市マヤ―密林に眠る驚異の文明 (開かれた封印 古代世界の謎)
カテゴリ:歴史 | 20:02 | comments(0) | -
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