戦闘城塞マスラヲvol.4〜戦場にかかる橋 林トモアキ

「魔眼は嘘だったんだ〜、恥ずかしいよねクスクス」とか噂されても邪気魔眼のほうが恥ずかしいわ!むしろ良かったんだよ!!とヒデオを慰めたくなった。
 彼がエリーゼに言ったように、あれは騙される方が悪いし、はっきしいってかなり恥ずかしい。そういう恥ずかしさを薄々自覚しているからこそヒデオが叩かれるのかもしれないが……。

 エリーゼがずいぶんと良いことになってしまっていて、ツンデレを飛び越えた悪辣っぷりに感動すら覚えた。彼女がウィル子の先輩だと思うと、ウィル子の将来に期待半分心配半分だ。
 ヒデオはモテモテに違いないと長谷部翔希に嫉妬していたけれど、彼ほど女運の悪い男も珍しいと思うぞ……あるいは本質的な趣味の悪さでせっかくのモテ要素を相殺しているのかもしれない。
 なんだかんだで評価してくれている美女に不足しないヒデオのほうが恵まれている気がした。まぁ、肝心の霧島レナには見捨てられたからどん底に落ちてしまったことに違和感はない。


 都市を真っ二つにわけたクロスフラッグスでは、鈴蘭が食欲魔人や視姦魔人に次ぐ「享楽魔人」と化していることを感じざるをえなかった。ヒデオへのぶつかりかたは流石に元主人公だと感じざるを得ない。
 だが、せめてパジャマ神にはパイくらいは何とかしてほしかったぜ……ウィル子の存在に抑圧された引き篭もりのリビドーをみせてやれ!みせてやっても貴瀬に揉まれて微妙だった非モテヒロイン相手では効果低そうだなぁ……恐るべし名護屋河鈴蘭!

 まったく、どいつもこいつも大人げなくて大好きだ!

戦闘城塞マスラヲ  Vol.4 戦場にかかる橋 (角川スニーカー文庫)
戦闘城塞マスラヲ Vol.4 戦場にかかる橋 (角川スニーカー文庫)
林 トモアキ

戦闘城塞マスラヲ1〜負け犬にウイルス感想
戦闘城塞マスラヲ2〜神々の分水嶺感想
戦闘城塞マスラヲ3〜奇跡の対価感想


お・り・が・み1〜天の門感想
お・り・が・み2〜龍の火感想
お・り・が・み3〜外の姫感想
お・り・が・み4〜獄の弓感想
お・り・が・み5〜正の闇感想
お・り・が・み6〜光の徒感想
お・り・が・み7〜澱の神感想

ミスマルカ興国物語1感想
カテゴリ:ファンタジー | 20:46 | comments(0) | trackbacks(0)

戦闘城塞マスラヲvol.3〜奇跡の対価 林トモアキ

「ウィル子と繋がったまま街中走るなんて…頭がフットー(オーバーフロー)しそうだよぉ!」とヒデオが思ったとか思わなかったとか、何はともあれウィル子がヒロインしていてやけに嬉しいのが聖魔グランプリだった。
 まぁ、テンション的にはヒデオがヒロインの位置にある気がしないでもない。他にもイニD顔を想像してしまった婦警が益荒男な主人公に落ちていたり、エルシアが可愛い一面をみせていたり――挿絵がないことに憤る――熱くおアツい戦いをみせてくれていた。
 ウィル子が能力を最大限に発揮してレースに勝ったのもよく、宿主の形とはいえヒデオも彼女に頼り切りなわけではないことが分かって嬉しかった。エリア88を読んだようなアドバイスや「ここは俺に任せて先に行け」もやっているし。
 しかし、物理的な距離が開くことによる計算速度の低下などはないのだろうか。二人の間が超空間的に繋がっているとしたら凄いことだ!――と思ったが、イカレまくったアウター連中に比べたらどうってことなかったぜ!!
 それでも彼女に神の片鱗をみたのは確かで、圧倒的な計算能力の先にはヒデオの魔眼が現実化する可能性すら潜んでいる気がした。マリーチが狂わされた科学の進歩を、科学の進歩で覆すことができるのか!?なかなかに興味深い。

 楽しく笑えてホロっと泣けるカラオケ大会はいいとして、パーティーでの非常にぶっ飛んだ話題には困惑してしまった。他の星にも知的生命体がいるのなら、アウターみたいな連中もいてよさそうなものだが?
 その辺どうなっているのか気になったが、きっと林トモアキ先生のことだから深くは考えていない。量子コンピューターに触れたことがウィル子に進化をもたらすといいな。ジョジョ的ウイルスのお約束にのっとってヒデオが進化する方が先か…。


 リュータが主人公の番外編では、細かいベクトルよりも熱量のスカラーを優先させる林先生の哲学が感じられた。惑わされることの多い時代だからこそ彼らのありようが魅力的にみえてくる。


戦闘城塞マスラヲ1〜負け犬にウイルス感想
戦闘城塞マスラヲ2〜神々の分水嶺感想

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ミスマルカ興国物語1感想

戦闘城塞マスラヲ〈Vol.3〉奇跡の対価 (角川スニーカー文庫)
戦闘城塞マスラヲ〈Vol.3〉奇跡の対価 (角川スニーカー文庫)
林 トモアキ
カテゴリ:ファンタジー | 17:22 | comments(0) | trackbacks(0)

ミスマルカ興国物語1 林トモアキ

 本格異世界ファンタジー!しかも、国とかの規模で話が動く、凄いよ国だよ!?と思ったけれど、私が知っている林トモアキ先生の作品はどれも世界の規模で覇権を争っていたのだった。ただ、妙に関係者がご近所さんっぽくなってしまうだけ。芸能界が意外と狭かったりする現象と同じようなものかもしれない――そうすると各国の指導者の世界もそれほどの規模をもつわけではなくマヒロ王子の野望にも妙な説得力がついてくる。古代ギリシア史によれば王一人を騙すより民衆一万人を騙すほうが簡単らしいけど。
 要はアプローチしてくる方向が異なるだけで行き着く「世界」はお・り・が・みなどとさほど変わらないのかもしれないなぁ。それはそれで楽しいので構わないけど。

 世界観は完全異世界にみせかけて、お・り・が・みや戦闘城塞マスラヲの未来にあたる設定になっているようだ。魔人や神器など耳になれた単語がひょいひょいとでてくる。冒頭の地図に「ゼピルム共和国」の名を見た瞬間には頬に汗が流れそうになった。
 あのゼピルムが――どれだけ連続性があるのか知らないけど――いまや魔人と人間の共和国で、魔人専制国家のグランマーセナル帝国と睨み合っているのだから歴史の流れは読みがたいものである。というか、林先生の頭の中身はほんっとーに読みがたい!
 それでもこうして「衝撃的な」作品が生産されてくるから不思議でならない。

 マヒロ王子の狂いきった言動もはちゃめちゃなギャグも楽しめた。ここまで読者を驚かせてくれる主人公は貴重なのではないか。
 しかし、戦争で国を奪うより口先で世界を征服する事のほうが凶悪に思えてしまうのは何故だろうな。戦争はどうしても集団の行動になるのに対して、詐欺は個人の行為に収束されるからかもしれない。
 ストーリーを振り返ればスリルに満ち溢れていたにも関わらず、実は死人がでていない現実も素晴らしい驚きをもたらしてくれた。


 あと、挿絵のルナスたんが男前すぎる。髪をおろして着るもの着ればまた化けるのかなぁ。もう一方のヒロインであるパリエルも考えてみればさぞかし由緒正しい家柄に違いない。もしかしたら帝国に侵攻する際の大義名分に担ぎ出されるのではないか。
 二人揃って政治的立ち位置もマヒロ王子的においしくなっているのが興味深い。

ミスマルカ興国物語 1 (1) (角川スニーカー文庫 150-20)
ミスマルカ興国物語 1 (1) (角川スニーカー文庫 150-20)
林 トモアキ
カテゴリ:ファンタジー | 09:11 | comments(0) | trackbacks(0)

戦闘城塞マスラヲ2〜神々の分水嶺

 さすがにいつまでもハッタリで戦い続けるわけにもいかず、わらしべ長者的に手に入れた力を少しずつ伸ばしていくのが嬉しくもあり、寂しくもある。もっとも成長を示しているのはウィル子のほうであり、ヒデオはいろいろなプレッシャーに苛まれているから支出計算ではいまだに赤がでている感じなので好感はもてるままだ。ある意味、名声も強さのうちなのだから卑下ばかりすることもないと思うけどなぁ。
 手に入っていく力も破壊されたり陳腐化されたりして、つねに手を変え品を変えしていくことを強要されている点もよい。おかげでストーリー展開の幅が広く感じられる――ネタ切れや行き詰まりが怖いけど。

 魔殺商会の割り切りっぷりは清々しく、変に自分たちを騙そうと思っていないところは評価できる。まぁ、ギャグみたいな存在だしな……あんまり寡占的になるとさしさわりがあるから独占禁止法の類があるのだと小型社会で勉強にもなる。ひとつのモデルケースとして社会学者が喜んで扱いそうな世界になっているな。
 エリーゼ興業が勝つのも影ながら支配されそうな感じがあり、どこかで自給自足生活している連中のほうが後々不利な目にあわずに住みそうな気もしてきた。PCを手放せないウィル子がいる以上、ヒデオは社会にガッチリ組み込まれて勝ち続けるしかないんだけどな……勝つために強くなることばかり意識しているが、勝つことで手に入れた力をウィル子や装備の強化に注いで強くなることもできるのだ。
 前後関係など考えているとちょっと頭を柔らかくできる要素に溢れた作品である。

戦闘城塞マスラヲ Vol.2 (2) (角川スニーカー文庫 150-12)
林 トモアキ
カテゴリ:ファンタジー | 12:25 | comments(0) | trackbacks(0)

戦闘城塞マスラヲ1巻 林トモアキ

 生まれもった人相の悪さのせいで全ての希望を失い、ともすれば現実の平衡感覚すら怪しいところのあるひきこもり青年川村ヒデオがなにげなく拾ったパソコンからでてきた美少女とうふんあはん、僕はここにいてもいいんだ、おめでとう!おめでとう!とはならない過酷なギャグファンタジー世界に我と我が身を投じていく……ような、自分の人相からのリベートを受け取っているような。
 ウイルスのウィル子とヒデオが参加するのは聖魔杯と呼ばれる人間とそれ以外の意志をもった存在のペアが勝負を繰り返して勝ち抜きを決めていく戦いだ。いちおうこの世ならざる力の持ち主が溢れた設定になっているものの、ひきこもり主人公のスペックが並の人間以下という現実から福本漫画ともギャグともつかない駆け引きと勘違いの積み重ねで勝負が決められていく状況になっている。
 この勘違いがなかなかにおもしろく、そっちの世界に生きる連中の解釈から湧きだしてくる設定が笑える。多くのファンタジーでは単純な現実として付き合っていかなければならないそれらを笑い飛ばせるのは痛快愉快といわざるをえない。
 最後の章にあったヒデオが出演しないシリアス一辺倒の話におぞけをふるってしまったのは、そんなわけだろう。

 作者はあとがきで拗ねていたが、なんだかんだいって美少女要素もきちんと押さえていて、憂鬱な中にもウハウハな環境を構築している。病気を移してくるどころか本人が病気で感染してくるという恐るべきウイルスのウィル子が、メインにしては珍しく良いと感じた。あと、あざとさの中にも確たる優しさのある大家さんもいいニャ。

戦闘城塞マスラヲ Vol.1負け犬にウイルス (スニーカー文庫)
戦闘城塞マスラヲ Vol.1負け犬にウイルス (スニーカー文庫)
林 トモアキ

戦闘城塞マスラヲ2〜神々の分水嶺感想
カテゴリ:ファンタジー | 21:49 | comments(0) | trackbacks(0)